えび

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えびは、世界に約3,000種の種類があるといわれています。えびには、大きく分けて遊泳型と歩行型の2種類があり、どの品種においても高たんぱく、低脂肪でカルシウムやキチン、うま味成分など栄養が豊富に含まれています。そのためコレステロール値を下げる効果や生活習慣病を予防する効果が期待できます。

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えびとは?

●基本情報
えびとは、甲殻綱十脚目のうち長尾類に属する節足動物の総称です。えびは、世界中に数多くの種類がありその数は約3,000種といわれており、その栄養価は種類によって異なります。日本人にとても人気のあるえびですが、日本の自給率は5%ほどで、日本で食されているほとんどのえびはベトナムやインドネシアから輸入されています。

●えびの種類
えびには、大きく分けて左右に体が平たい遊泳型と円筒形で背腹に体が平たい歩行型の2つの種類があります。

  • 遊泳型
  • 【クルマエビ科】
    車海老や大正エビに代表されるクルマエビ科は、日本ではえびの中でも人気が高く、北海道南部以南に生息しており、養殖も盛んに行われています。

    【タラバエビ科】
    タラバエビ科には甘エビやボタンエビが分類されます。ボタンエビは全長20センチほどで甘みがあり、日本固有の種類です。

    【テナガエビ科】
    テナガエビ科に分類されるテナガエビは、全長9センチほどの大きさで、塩茹でや油で揚げて食べられます。

    【サクラエビ科】
    サクラエビ科に分類されるサクラエビはサイズも小さく殻ごと食べられるため、殻に豊富に含まれるカルシウムキチンなどの栄養素をそのまま摂取することができます。特にカルシウムはサクラエビ100g中に2,000mgと豊富に含まれており、成長期の子どもや骨粗しょう症[※1]の予防に効果的です。

  • 歩行型
  • 【イセエビ科】
    イセエビ科に分類される伊勢海老は全長約30センチと大ぶりで古くから祝いの席で用いられる高級種として使われます。

    【ザリガニ科】
    ザリガニ科にはオマールエビが分類されます。最大65センチに達し、えびの中では最大の大きさです。欧米では、高級料理の素材として広く利用されています。

●えびに含まれる成分と性質
えびには、種類によりさまざまな栄養が含まれていますが、どの品種においても高たんぱく、低脂肪で、亜鉛やカルシウムなどのミネラルも豊富に含まれています。えびの殻や尾には植物性食物繊維のキチンが豊富に含まれているため、余分にとりすぎたコレステロールなどの排出を促してくれます。また、えびの赤い色素には強力な抗酸化作用[※2]のあるアスタキサンチンが含まれており、活性酸素[※3]の除去に働きかけてくれます。
さらに、うま味成分であるグリシンアルギニンベタインといったアミノ酸も豊富に含まれています。

●えびのおいしい選び方
クルマエビなどの遊泳型のエビは頭の付け根と尾の付け根がしっかりしているもので殻が透けるような透明感のあるものが新鮮でおいしいといわれています。また、むき身や頭がとってあるものは臭いのしないものを選びましょう。

[※1:骨粗しょう症とは、骨からカルシウムが極度に減少することで、骨の内部がスカスカになった症状であり、非常に骨折しやすくなることで知られています。高齢者に多い症状で、日本では約1000万人の患者がいるといわれており、高齢者が寝たきりになる原因のひとつです。]
[※2:抗酸化作用とは、体内で発生した活性酸素を抑制する力のことです。]
[※3:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。体内で過度に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]

えびの効果

●コレステロール値を下げる効果
えびにはコレステロール値を下げる効果があります。えびにはコレステロールの排出を促すキチンという動物性食物繊維が含まれています。キチンは主に殻や尾に含まれており、キチンはコレステロールを原料としてつくられる胆汁酸[※4]を吸着して、排出するという働きがあります。キチンのこの働きによって、新しく胆汁酸をつくるために血中のコレステロールが肝臓へと運ばれるため、キチンには、血液中のコレステロールを低下させる効果があるといえます。また、えびには胆汁の分泌を促進し、コレステロール値を下げる効果のあるタウリンも含まれています。この2つの成分を含んでいることでコレステロール値を下げる相乗効果が得られると考えられます。

●肝機能を高める効果
えびには肝機能を高める効果があります。えびに含まれるタウリンには、肝臓で胆汁酸の分泌や肝細胞の再生を促進したり、細胞膜を安定化させる働きがあります。タウリンは体内に入るアルコールや薬、食品添加物などの化学物質や、体内でつくられたアンモニアなどを分解して無毒化し、尿や便として体外に排出する解毒作用を持ちます。この解毒作用は肝臓が持つ働きのひとつです。タウリンを摂取することで肝臓の機能を強化させる、代謝や解毒、胆汁の生成を助ける働きをします。
また、えびには甘味やうま味の成分であるアミノ酸の一種でベタインが含まれています。ベタインには肝臓へ脂肪が沈着するのを防ぐとともに、脂肪の排出を促進する作用があることから、脂肪肝を予防する効果があります。
これらのことからえびには肝機能を高める効果があるといえます。

●眼精疲労を改善する効果
えびには眼精疲労を改善する効果があります。えびの赤色にはアスタキサンチンが含まれています。アスタキサンチンは「海のカロテノイド」といわれ、数あるカロテノイドの中でも抗酸化力が非常に強いことで知られています。抗酸化力とは、紫外線やストレスなどによって発生する活性酸素を除去する力のことです。【1】アスタキサンチンが持つ抗酸化力は、ビタミンEの約1000倍にもなるといわれています。このアスタキサンチンは体内の栄養が届きにくい細部にまで入り込むことができるため、目の奥までしっかりと栄養を届けることができます。そのため、慢性的な眼精疲労の改善が期待できます。

●動脈硬化を予防する効果
えびには動脈硬化[※5]を予防する効果があります。えびにはタウリン、キチン、アスタキサンチンが含まれています。タウリンやキチンは、コレステロール値を下げることで動脈硬化の予防に働きかけてくれます。また、アスタキサンチンは脂質の酸化を抑制する働きに優れているといわれており、さらに活性酸素の発生を抑制・除去してくれるため、動脈硬化を防ぐよう働きかけます。【2】

●骨や歯を丈夫にする効果
えびには骨や歯を丈夫にする効果があります。えびには骨や歯をつくるために欠かせないカルシウムが含まれています。体内にあるカルシウムの99%は骨や歯に存在しており、丈夫な体の土台となっています。私たちにとって骨は体を支えて姿勢を保ち、内臓を守るとても重要な働きをしています。えびのカルシウムは特に殻や尾に多く含まれているため殻ごと食べられるサクラエビなどが効果的です。

●美肌効果
えびには美肌効果があります。えびに含まれるアスタキサンチンは活性酸素を除去する力が非常に強いため、紫外線が原因となって引き起こされるシミやしわを予防する効果があるといわれています。また、えびにはコラーゲンも含まれていることから美肌効果が期待できます。

[※4:胆汁酸とは、胆汁に含まれている物質です。消化管内で食物の脂肪や脂溶性ビタミンをより吸収しやすくする働きをします。]
[※5:動脈硬化とは、動脈にコレステロールや脂質がたまって弾力性や柔軟性がなくなった状態のことです。血液がうまく流れなくなることで心臓や血管などの様々な病気の原因となります。]

えびは食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめです

○コレステロール値が気になる方
○肝臓の健康を保ちたい方
○お酒をよく飲む方
○目の疲れが気になる方
○生活習慣病を予防したい方
○骨や歯を強くしたい方
○肌のハリや弾力を保ちたい方

えびの研究情報

【1】えびに含まれているアスタキサンチンの低血糖効果と抗酸化効果を確認するために糖尿病モデルのラットを使いその効果を確認しました。結果、アスタキサンチンを摂取させた群において抗酸化活性の上昇が認められた。このことはえびに含まれるアスタキサンチンが糖尿病時に起こる酸化ダメージを減らす重要な役割を示すことを示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24821271

【2】ラットを使い、えびの外骨格に含まれるキトサンの働きについて確認した。結果、キトサンを摂取させた通常のラットと高コレステロールラットの両方において脂肪の減少と高コレステロールラットの体重の増加に対して減少効果を示しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17250635

参考文献

・イキイキ!食材図鑑 佐藤秀美 日本文芸社

・食材健康大事典 五明紀春 時事通信社

・食材図典 蔵敏則 小学館

・農林水産省 こどもそうだん
・Sila A, Ghlissi Z, Kamoun Z, Makni M, Nasri M, Bougatef A, Sahnoun Z. (2015) “Astaxanthin from shrimp by-products ameliorates nephropathy in diabetic rats.” Eur J Nutr. 2015 Mar;54(2):301-7.

・Hossain S, Rahman A, Kabir Y, Shams AA, Afros F, Hashimoto M. (2007) “Effects of shrimp (Macrobracium rosenbergii)-derived chitosan on plasma lipid profile and liver lipid peroxide levels in normo- and hypercholesterolaemic rats.” Clin Exp Pharmacol Physiol. 2007 Mar;34(3):170-6.

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