サンタベリー

santaberry
リンゴンベリー コケモモ プオルッカ マウンテンクランベリー カウベリー
Vaccinium vitis-idaea

サンタベリーとは、北欧[※1]のラップランド[※2]の森に自生する真っ赤な果実で、今注目のエイジングケア成分「レスベラトロール」をたっぷり含んでいます。細胞を若々しく保つ効果があるため、「若返りの果実」ともいわれています。他にも透明感のある若々しい肌へ導く効果や、女性の悩みに働きかける効果などがあります。

サンタベリーとは

●基本情報
サンタベリーとは、ツツジ科スノキ属の低木植物です。フィンランドなどの北欧に自生しており、高さは5~30cm程で、8月の終わりから9月にかけて真っ赤な果実を実らせます。葉は、1年中濃い緑色をしており、表面はワックスで磨いたようなツヤがあることが特徴です。

サンタベリーはフィンランドの国民にとって、ブルーベリーと同じように身近な果実として親しまれています。サンタクロースのように真っ赤で可愛らしい姿をしていることから、わかさ生活ではこの果実を「サンタベリー」と名付けました。「サンタベリー」はわかさ生活の登録商標です。(サンタベリーは現地ではプオルッカ、英語ではリンゴンベリーと呼ばれています。)

サンタベリーは北欧をはじめ、アジア、カナダなどの地域で古くから食されています。
サンタベリーの故郷フィンランドでは、Everyman’s right[※3]という法律のもと、野生のサンタベリーやブルーベリーを自由に収穫することができるため、休日には家族で森にサンタベリーを摘みに出かける様子がよく見られます。街の市場にも森で採れた新鮮なサンタベリーなどのベリー類が量り売りされています。
フィンランドでは、サンタベリーは生食だけでなく、ジャムやジュース、ヨーグルトや肉料理に添えるソース、ケーキや焼き菓子の材料としても利用されています。また、果実酒としても親しまれており、就寝前に飲むと疲労回復に良いとされています。
サンタベリーは果実だけではなく葉にも効果があり、葉を乾燥させた煎じ薬は糖尿病などにも有効だといわれています。乾燥した葉10~15gを水0.5リットルで煎じて、約半量になるまで煮つめ、1日3回に分けて食間に服用します。

日本ではサンタベリーの生果がまだ一般的ではなく、ジャムやジュース、サプリメントなどの原材料として販売されています。

●サンタベリーの原産地、生産地
原産地としては、北欧のフィンランドやスウェーデンなどが知られています。日本でも北海道から九州までの山岳地帯で見られます。
サンタベリーは北欧の森の中でも、あまり木の枝が影をつくらない日当たりのよい場所と酸性の土壌を好み、条件が整っていれば、栄養分の少ない土地でも生育することができます。
サンタベリーは、8月後半から9月前半にかけてが一般的に収穫時期のピークとなっています。

また、サンタベリーは寒さに非常に強く、氷点下30℃以下でも耐えることができます。夏でもあまり暑くならない北欧の気候は、生育に適しています。

●サンタベリーの四季
サンタベリーは夏の終わりから秋のはじめにかけて、湖のほとりや森の中で真っ赤な果実が実ります。収穫が終わるとサンタベリーは葉にしっかりと栄養を蓄え、冬を乗り切る準備を始めます。

冬の北欧は、氷点下30℃以下にもなる厳しい寒さに加え、極夜(きょくや)と呼ばれる太陽が昇らない暗い日々が続きます。北欧の草木は厳しい冬の訪れの前に枯れてしまうものがほとんどですが、たくましい生命力を持つサンタベリーは春から秋に蓄えた栄養により、青々とした葉を落とすことなく雪の下で春の訪れを待ちます。

春を迎え、雪が解け始めると、サンタベリーは光合成を行うためその葉を広げ、葉にしっかりと栄養を蓄えます。そして、春から夏にかけて新しい葉に生まれ変わる準備を始めます。葉の中に蓄えた栄養を全て枝に渡し、新しい葉へと生命力を受け継ぎます。

夏がやってくると、サンタベリーは白色の花を咲かせます。花は長さ5~8mmの釣鐘状の形をしており、6月から7月にかけて、枝の先端に密集して咲きます。
サンタベリーは、晩夏になると宝石のような真っ赤な果実を実らせ、その中に豊富にレスベラトロールを蓄えます。

サンタベリーは、1年ごとに種子を残して枯れてしまう植物とは異なり、ひとつの体で毎年変わらない若々しい姿を見せることが特徴です。

●サンタベリーに含まれる成分と性質
サンタベリーの果実には注目のエイジングケア成分レスベラトロールが豊富に含まれています。

レスベラトロールとはブドウなどに含まれるポリフェノールの一種です。ポリフェノールとは、植物に含まれる色素で、強い抗酸化力[※4]を持ちます。

レスベラトロールは1939年に発見され、1992年に赤ワインに含まれることがわかり効果が認められた、比較的新しい成分です。レスベラトロールにはエネルギー産生や細胞分裂に関するたんぱく質に働きかけることで、老化防止や美容効果など様々な効果を持ちます。また、長寿遺伝子の活性化に関わりを持つといわれているため、寿命を延ばす効果があると考えられています。サンタベリーは、今後もますます研究が進むと高い期待が持たれている成分です。

レスベラトロールには化学構造の違いにより、トランス型とシス型の2種類があります。サンタベリーから摂れるレスベラトロールはトランス型です。
研究により、レスベラトロールには若々しさを保つ効果があることが報告されていますが、これらの研究にはトランス・レスベラトロールが使用されています。

サンタベリーには、レスベラトロールだけではなく、目の健康をサポートするアントシアニンや紫外線から肌を守ってくれるプロアントシアニジン、美白効果が期待できるフェルラ酸、抗酸化力を持つカテキン、プロシアニジン、フラキシンなど約30種類のポリフェノールが含まれています。
また「若返りのビタミン」といわれるビタミンEビタミンB1ビタミンB2、マンガンや良質な食物繊維も摂取することができます。
さらに美容成分として、美白効果のあるアルブチン、女性のホルモンバランスを整えてくれるリグナンなどが含まれており、サンタベリーはまさに美と若返りの果実であるといえます。

[※1:北欧とは、ヨーロッパの中でも北部に位置している地域のことです。一般的には、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランドの5ヵ国を指します。]
[※2:ラップランドとは、フィンランド・スウェーデン・ノルウェーの北欧3ヵ国とロシアを含む北緯66度33分以北の北極圏エリアを総称してラップランド地方と呼びます。]
[※3:Everyman’s rightとは、北欧に古くからある法律です。自国以外の旅行者など全ての人に対して認められる権利で、その中では、ルールを守れば、ベリーやキノコなどを自由に摘むことが許されています。]
[※4:抗酸化力とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ力です。]

サンタベリーの効果

●細胞(肌や唇)を若々しく保つ効果
人間の体は、約60兆個の細胞から構成されており、それらは日々生まれ変わりを続けています。しかし、年齢を重ねるとその生まれ変わる働きが低下し、生まれ変わった新しい細胞の質も徐々に低下してしまいます。これはDNA中の遺伝子の一部であるテロメアという部分がダメージを受け、遺伝子自体が短くなってしまうためです。
サンタベリーに豊富に含まれるレスべラトロールは、このテロメアを保護して短縮するのを防ぐことで、細胞ひとつひとつを若々しく保つ働きがあります。

●美肌効果
細胞の生まれ変わりは、肌とも密接に関係し、サンタベリーに含まれるレスベラトロールはここでも効果を発揮します。皮膚の細胞が生まれてから剥がれ落ちるまでの一連の流れをターンオーバーといいます。理想的なターンオーバーの周期は約28日といわれていますが、加齢とともに肌の機能が衰え、この周期が遅くなり、40歳代では約40日かかるといわれています。レスベラトロールには、そのターンオーバーの周期を整え、理想的な周期に近づける働きがあると考えられており、美肌効果があるといえます。
また、顔の中で年齢を感じやすいパーツとして、口元が挙げられます。
頬などの皮膚に対し唇は、細胞の生まれ変わりにかかる期間が約7日間と短いため、皮膚の生まれ変わりの乱れが現れやすい部分だといえます。唇の乾燥をリップクリームなどで外側から防ぐことに加え、サンタベリーに含まれるレスベラトロールを摂ることで、内側から唇を若々しく保つことができます。変化が現れやすい唇の健康を内外の両側からサポートし、口元を若々しく維持することで、顔全体の印象も変わり見た目年齢が若返りに効果的です。

●美白効果
サンタベリーに含まれるアルブチンは、美白に効果的です。肌のシミやくすみ、そばかすの原因となるメラニン色素を生み出すチロシナーゼ[※5]という酵素に直接働きかけることで、メラニンの生成を抑制します。肌の色素沈着を防ぎ、さらに沈着した色素を薄くする効果も報告されており、透明感のある肌に導く効果が期待されています。

●老化を防ぐ効果
老化の原因のひとつとして、体内に過剰に発生した活性酸素[※6]が挙げられます。
サンタベリーに含まれるレスベラトロールには、活性酸素を除去する強力な抗酸化力を持つため、老化を予防する効果があるといえます。【2】【8】
また、人間の体をつくる細胞には、長寿遺伝子とも呼ばれるサーチュイン遺伝子があります。サーチュイン遺伝子を活性化させることで、長寿への可能性が期待されています。
これまで、サーチュイン遺伝子を活性化させるには、食事から摂取するカロリーを制限する必要があるとされてきました。しかし、レスベラトロールの老化に対する効果が明らかになりつつある現在、サンタベリーに含まれるレスべラトロールに、サーチュイン遺伝子を活性化させる働きがあることが明らかとなり、高脂肪な食生活であってもレスベラトロールを摂取することによって長寿に対する効果があると考えられています。

●ブルーライトのダメージを抑える働き
パソコンやスマートフォンなどの液晶画面は、ブルーライトと呼ばれる波長が短くエネルギーの高い光が発せられています。
ブルーライトは、体内時計を狂わせたり目の疲れの原因となったりといった体へのダメージを与えることがあると考えられています。
サンタベリーには、ブルーライトから受ける細胞のダメージを抑える効果があることが研究されています。

●糖尿病を予防する効果
糖尿病とは血液中のブドウ糖(血糖)濃度が病的に高い状態のことをいいます。サンタベリーには、ブドウ糖の細胞への取り込みを促進させ、ブドウ糖過剰によるダメージから細胞を守る働きがあるとわかりました。このことから、サンタベリーには糖尿病を予防する効果が期待できます。【6】

●女性らしさを維持する効果
サンタベリーには、植物エストロゲン[※7]であるリグナンが含まれています。リグナンには、女性ホルモンのバランスを整える働きがあります。そのため女性のホルモンバランスが崩れることで起こる症状の一つである、骨粗しょう症やコレステロール値の上昇を予防・改善する効果があります。このように、リグナンは女性の更年期障害の緩和に働きかけることが期待されており、女性らしさを維持する効果があるといえます。また、プロアントシアニジンも豊富に含んでおり、女性に多い泌尿器系疾患等への予防にも効果があるといわれています。

●炎症を抑制する効果
サンタベリーには、抗炎症作用があると報告されており、皮膚の炎症や発赤に対して効果的です。さらに、サンタベリーに含まれる様々な成分には抗菌作用があり、髄膜炎などの病気を予防する効果があります。 【3】【4】【10】

●抗糖化によるアンチエイジング効果
サンタベリーには、糖化[※8]によるAGEs[※9]の生成を防ぐ働きがあり、アンチエイジング効果が期待されています。 【5】

[※5:チロシナーゼとは、アミノ酸であるチロシンを酸化して、メラニンを作る酵素のことです。この酵素の活性を阻害することにより、メラニンの生成を抑制します。]
[※6:活性酸素とは、普通の酸素に比べ著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。紫外線やストレスなどにより体内で過剰に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]
[※7:植物エストロゲンとは、女性ホルモンであるエストロゲンと同様の働きをする植物成分のことです。代表的な植物エストロゲンとして、大豆に含まれている大豆イソフラボンや亜麻種子に含まれている亜麻リグナンなどがあり、女性の更年期障害特有のほてりなどの諸症状の軽減や、閉経後の骨粗しょう症の予防などに効果があるといわれています。]
[※8:糖化とは、体内のたんぱく質と、食事から摂取した糖が結びつくことにより「AGEs(エージーイー)」という老化物質が体内に発生する現象のことで、老化の原因の一つです。]
[※9:AGEsとは、糖がたんぱく質と反応して変異し生成された物質のことです。また、最終糖化産物ともいわれます。]

こんな方におすすめ

○いつまでも若々しくいたい方
○美肌を目指したい方
○シミ、そばかすが気になる方
○生活習慣病を予防したい方
○女性らしさを維持したい方

サンタベリーの研究情報

【1】ビルベリーとサンタベリーとの交配種果実は、ビルベリーと同等の15種類のアントシアニンを含み、ポリフェノール成分としては53種類を含んでいました。
ポリフェノールの種類として、ビルベリーの46種類、サンタベリーの30種類よりも多いものとなりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21382629

【2】サンタベリー抽出エキスにはポリフェノール成分として、アントシアニンの他に、プロシアニジンB1、B2、フェルラ酸、p -クマリン酸が含まれています。サンタベリー抽出エキスを摂取することにより、酸化度合いを軽減し、赤血球中の抗酸化酵素を活発にしたとの報告があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21375302

【3】サンタベリーに含まれるプロアントシアニジンは抗菌性を持ち、さらに体内の炎症性の反応に関わるIL-6及びTNF-αの産生を抑制することによる抗炎症作用を持つことが確認できました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21370878

【4】サンタベリーに含まれるポリフェノールには抗菌作用が有り、髄膜炎菌がヒトに感染するのを防ぐ働きがあることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21086548

【5】老化の原因の1つとして、AGEs(最終糖化産物)が知られています。サンタベリーを摂ることにより、AGEsの生成を防ぐことができ、抗糖化作用によるアンチエイジング効果が期待できます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19927274

【6】サンタベリーなどのベリーは細胞への糖の取り込みを促進させるとともに、グルコース過剰によるダメージから細胞を守るはたらきがあることがわかりました。このことから、サンタベリーなどのベリーは糖尿病予防に役立つことがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19526043

【7】サンタベリーにはアントシアニンが含まれており、主要なアントシアニンはシアニジン-3-グルコシドであった。サンタベリーのアントシアニンは食べたあと、4-8時間後に最も排出されることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19351112

【8】サンタベリーにはポリフェノール成分としてカテキンとプロアントシアニジンが含まれています。
両者は抗酸化作用が強く、悪玉(LDL)コレステロールの酸化を防ぐことで、血管の健康を保ちます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20225652

【9】サンタベリーエキスを摂取したのち、ラットの血中では、アルブチンとポリフェノール成分であるフラキシンが検出されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15930756

【10】サンタベリーはアントシアニンをはじめとするポリフェノール成分が豊富であり、抗酸化力が高い果実です。またNF-κB などの炎症促進物質を抑制することにより、抗炎症作用あることが知られています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15826073

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参考文献

・最新医療が明かす長寿遺伝子活性成分 レスベラトロールの秘密 監修 植物栄養素DBフィトス 出版 株式会社カンゼン

・森のベリー・庭のベリー 著 井上 雅義 出版 カラー・ガイド・ブック―園芸クラブ

・Latti AK, Riihinen KR, Jaakola L. 2011 “Phenolic compounds in berries and flowers of a natural hybrid between bilberry and lingonberry (Vaccinium × intermedium Ruthe).” Phytochemistry. 2011 Jun;72(8):810-5.

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・Kylli P, Nohynek L, Puupponen-Pimia R, Westerlund-Wikstrom B, Leppanen T, Welling J, Moilanen E, Heinonen M. 2011 “Lingonberry (Vaccinium vitis-idaea) and European cranberry (Vaccinium microcarpon) proanthocyanidins: isolation, identification, and bioactivities.” J Agric Food Chem. 2011 Apr 13;59(7):3373-84.

・Toivanen M, Huttunen S, Lapinjoki S, Tikkanen-Kaukanen C. 2011 “Inhibition of adhesion of Neisseria meningitidis to human epithelial cells by berry juice polyphenolic fractions.” Phytother Res. 2011 Jun;25(6):828-32.

・Beaulieu LP, Harris CS, Saleem A, Cuerrier A, Haddad PS, Martineau LC, Bennett SA, Arnason JT. 2010 “Inhibitory effect of the Cree traditional medicine wiishichimanaanh (Vaccinium vitis-idaea) on advanced glycation endproduct formation: identification of active principles.” Phytother Res. 2010 May;24(5):741-7.

・Harbilas D, Martineau LC, Harris CS, Adeyiwola-Spoor DC, Saleem A, Lambert J, Caves D, Johns T, Prentki M, Cuerrier A, Arnason JT, Bennett SA, Haddad PS. 2009 “Evaluation of the antidiabetic potential of selected medicinal plant extracts from the Canadian boreal forest used to treat symptoms of diabetes: part II.” Can J Physiol Pharmacol. 2009 Jun;87(6):479-92.

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