しそ

perilla

しそはビタミン類やミネラル類を豊富に含んでいる栄養価の高い緑黄色野菜です。しその種子にはα-リノレン酸やルテオリンが含まれており、シソの葉に含まれるロスマリン酸は花粉症などのアレルギー症状を抑える効果があります。また、しそ独特の香り成分であるペリルアルデヒドには強い抗菌作用があり、食中毒の予防に効果があるといわれています。

LINEスタンププレゼント!お友達登録はこちら。配信期間2025/01/23

しそとは

●基本情報
しそはしそ科しそ属に属している一年草[※1]です。草丈は60cm程度で、茎が四角く、縁がギザギザとしている葉が特徴的です。しその原産地はヒマラヤ、中国南部です。日本では古くから栽培されており、その豊かな香りから「和風ハーブ」とも呼ばれています。

●しその歴史
しその歴史は非常に古く、日本にははるか昔に中国から伝えられたといわれています。
縄文時代の遺跡からしその種子が発見されており、その頃から栽培されていたと考えられています。日本では最も古い野菜のひとつであり、咳止めの薬としても用いられていました。

<豆知識①>しその名前の由来
中国にカニを食べて食中毒を起こした少年にしそを与えたところ、元気を取り戻したという逸話があります。「紫の葉で命を蘇らせる」ことから「紫蘇(しそ)」と名づけられたといわれています。

●しその品種
しそには、紅紫色で縮緬(ちりめん)のある赤じそと緑色で縮緬が少ない青じその2つの品種があります。一般的にしそと呼ばれているのは赤じそのことで、青じそは変種です。赤じそにはシソニンと呼ばれるアントシアニン色素が存在しており、酸と反応すると赤く発色する性質があります。この性質を利用して赤じそは梅干しや紅しょうが、シバ漬けなどの色付けに用いられています。
青じそは「大葉」とも呼ばれ、主に薬味として使われています。
薬効が高いのは赤じそ、栄養価が高いのは青じそだといわれています。
また、葉の表面は緑色で裏面は紅紫色が特徴のカタメンしそと呼ばれる品種もあります。

その他に発芽間もない芽である芽じそがあります。赤じその芽は紫芽(むらめ)、青じその芽は青芽(あおめ)と呼ばれています。つぼみの一部が開花した花穂じそ、熟さない実を収獲した穂じそなどがあり、これらは全て薬味や刺身のつまなどにして用いられています。
種子が熟しかけたしその実は扱穂(こきほ)と呼ばれ、漬け物や佃煮に加工されています。

<豆知識②>梅干しが赤い理由
梅は緑色をしていますが、梅干しは赤色です。梅を漬ける際は、赤じそが使用されます。赤じその赤い色素はアントシアニン色素のシソニンによるものです。このシソニンは酸と反応すると鮮やかな赤色を呈する性質があります。梅にはクエン酸が豊富に含まれているため、赤じそと一緒に漬けることでシソニンと反応し鮮やかな赤色になります。

●しその生産地
しそは愛知県、茨城県、高知県、愛媛県、群馬県、北海道など全国各地で生産されています。愛知県が国内生産量の約3割を占めており、中でも愛知県豊橋市は青じそや穂じその生産量が多く、日本一のつまもの[※2]生産地として有名です。
しそは赤じそと青じそで旬の時期が異なります。赤じそは6月~7月に旬を迎え、この時期以外はほぼ出回ることがありません。一方、青じそは7月~10月に旬の時期を迎えますが、ハウス栽培されていることもあり通年出回っています。

●しその選び方
しそは色鮮やかで、葉がみずみずしく、葉先まで張りがあるものが新鮮です。また、香りの良いものが良品です。軸の先端が変色していないものを選びます。葉が大きくなり過ぎたしそは味も香りも良くありません。
赤じそを選ぶ際は葉の裏面がより赤いものが新鮮です。また花穂じそはすぐに花が咲いてしまうため、あらかじめつぼみの多いものを選びます。

●しその調理方法
しそは主に薬味として利用されています。
しそを切って使用する場合、細かく切るほど効果的です。しそ独特の香り成分であるペリルアルデヒドが引き出され、香りがより一層豊かになります。
魚のフライに青じそを巻いて揚げると、臭みもとれ、しそに豊富に含まれるβ-カロテンの吸収率も高まります。また、梅干しなどの色付けに使用した赤じそは乾かして細かく刻むことで「ゆかり」としてご飯などのふりかけに利用することができます。
しその葉を天ぷらにする場合はしその片面のみに衣をつけます。油に入れるときは衣がついた面を下にすることで、衣のない面から水分が抜けてパリっと揚げることができます。

●しその保存方法
しそは空気に触れさせず、水分を十分に保つことでみずみずしく長持ちさせることができます。
水で湿らせたキッチンペーパーにしそを一枚ずつ包み保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存すると1週間程度日持ちします。また、1枚ずつラップに包んで冷凍しておくと、調理の際に凍ったまま手で細かくして料理に加えることができます。
熱湯をさっとかけ、しょう油漬けにしておく方法も長期保存に適しています。

●しそに含まれる成分とその性質
しそはビタミン類ミネラル類を豊富に含んでおり、香り成分との相乗効果も期待できることから、栄養価の高い緑黄色野菜として知られています。特にβ-カロテンカルシウムビタミンB1の多さは野菜の中でも群を抜いています。
β-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。脂溶性のビタミンであるビタミンAは油との相性が良く、油と一緒に摂取することで吸収率が上がります。
しそに含まれるビタミン類にはビタミンB2ビタミンB6ビタミンCビタミンEビタミンKナイアシン、ミネラル類にはカリウムマグネシウム亜鉛などが挙げられます。
また、しその葉にはポリフェノールの一種であるロスマリン酸も含まれています。
しその葉の独特の香りはポリフェノールの一種であるペリルアルデヒドによるものです。別名しそアルデヒドとも呼ばれています。ペリルアルデヒドには強い抗菌作用・防腐効果があります。

しその種子には必須脂肪酸[※3]であるα-リノレン酸やポリフェノールの一種であるロスマリン酸、ルテオリンが含まれています。これらは抗アレルギー成分として知られており、アレルギー症状を軽減する効果があります。

[※1:一年草とは、種をまいてから一年以内に発芽・生長・開花・結実・枯死する草のことです。]
[※2:つまものとは、料理を引き立てるために用いられる葉っぱや枝花などの総称です。]
[※3:必須脂肪酸とは、体内で他の脂肪酸から合成できないために食品から摂取する必要がある脂肪酸のことをいいます。]

しその効果

しそにはβ-カロテン、カルシウムをはじめとするビタミン類やミネラル類が豊富に含まれており、以下のような健康に対する効果が期待できます。

●アレルギー症状を軽減する効果
しその種子に含まれているα-リノレン酸とルテオリン、ロスマリン酸には、花粉症やアトピーなどのアレルギーの原因となる物質の働きを抑えることで、アレルギー症状を軽減する効果があります。
しその種子から抽出されるしそ油にはα-リノレン酸が豊富に含まれています。α-リノレン酸は体内でアレルギーの抑制やアレルギー体質を改善する働きを持つEPA(エイコサペンタエン酸)に変化します。
また、しそに含まれているロスマリン酸にもアレルギー症状を軽減する効果があると明らかにされています。特に赤じそにはロスマリン酸が多く含まれています。【1】【2】

●食欲増進効果
しそには香り成分であるペリルアルデヒドが含まれています。ペリルアルデヒドが嗅覚の神経を刺激することで、胃酸の分泌が促され、食欲が増進するといわれています。また、強い抗菌作用もあり、食中毒の予防にも効果があります。

●目の健康に働きかける効果
しそにはβ-カロテンが豊富に含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAとして働きます。
目の網膜にはロドプシンと呼ばれる光を感じるためのたんぱく質があります。人間がものを見ることができるのはロドプシンが光に反応し、その刺激が脳に伝わるためです。ビタミンAはこのロドプシンを生成するために必要な栄養素です。
しそのβ-カロテンが体内でビタミンAとして働くことでロドプシンの生成が促され、夜盲症[※4]や眼精疲労[※5]が予防されます。

●免疫力を高める効果
しそに含まれているβ-カロテンは体内でビタミンAとして、皮膚・粘膜を丈夫にする働きをします。ウイルスから体を守ってくれる大切な役割を果たしている皮膚や粘膜が丈夫になると、体の免疫力も高まります。
また、しそにはビタミンCも豊富に含まれています。ビタミンCは、白血球[※6]の働きを強化し、自らもウイルスに対抗する役割を果たしています。しそに含まれるβ-カロテンとビタミンCの相乗効果によって免疫力が高まり、風邪を引きにくく、回復力の高い丈夫な体をつくることができます。【3】

●骨や歯を丈夫にする効果
体内のカルシウムの99%が骨や歯に存在しており、細胞と同じように骨でも新陳代謝が行われています。骨の代謝にはカルシウムが関与しており、カルシウムが不足すると骨密度[※7]が低下し、骨や歯がもろくなります。しそにはカルシウムが多く含まれているため、骨や歯を丈夫にする効果があるといわれています。
また、しそには骨を構成するマグネシウムや亜鉛も豊富に含まれています。

●ストレスをやわらげる効果
人間はストレスにさらされると体内で大量のビタミンCを消費します。ビタミンCが不足すると、ストレスに弱くなり体や心の不調が引き起こされます。しそにはビタミンCと精神を落ち着かせる働きを持つカルシウムが豊富に含まれているため、ストレスをやわらげる効果が期待されています。

●疲労回復効果
しそに含まれているビタミンB₁には疲労を回復させる効果があります。
ビタミンB1は食事から摂った糖質をエネルギーに変えるために必要不可欠な栄養素です。糖質をエネルギーに変える力が低下してしまうと、疲労物質である乳酸が溜まりやすくなり、疲労を感じるようになります。

●貧血を予防する効果
貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビン[※8]量が減少している状態のことをいいます。貧血状態になると、動悸や息切れ、めまいなどの症状が現れます。
しそにはヘモグロビンをつくる材料となる鉄と鉄の吸収率を高めるビタミンCが含まれるため、貧血予防に効果的であると考えられています。

●血液をサラサラにする効果
しそに含まれるα-リノレン酸には体内でEPAに変わり、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らしてくれる働きがあるため、血液をサラサラにする効果が期待されています。悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪の増加は血液をドロドロにする一因となります。血液がドロドロになると新陳代謝[※9]が悪くなり、体が疲れやすくなったり、免疫力が低下し病気にかかりやすくなったりします。

[※4:夜盲症とは、光に対して目の反応が衰え暗い所で物が見えにくくなる症状のことです。鳥目とも呼ばれます。ビタミンAの欠乏症としても知られています。]
[※5:眼精疲労とは、ものを見ているだけで目の疲れや痛みを感じ、視界がかすむ、頭痛や肩こり、イライラを併発する状態のことです。]
[※6:白血球とは、血液に含まれる細胞のひとつです。体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する役割があります。]
[※7:骨密度とは、骨の密度をいいます。一定の面積あたり骨に存在するカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを示し、骨の強度を表します。]
[※8:ヘモグロビンとは、赤血球の中にあるたんぱく質のことです。全身の細胞に酸素を運ぶ役割をしています。]
[※9:新陳代謝とは、古い細胞や傷ついた細胞が、新しい細胞へ生まれ変わることを指します。]

しそはこんな方におすすめ

○アレルギー症状を緩和したい方
○食欲不振の方
○目の健康を維持したい方
○免疫力を向上させたい方
○骨や歯を強くしたい方
○ストレスをやわらげたい方
○貧血でお悩みの方
○疲れやすい方

しその研究情報

【1】しその有効成分ロスマリン酸は、免疫細胞の好中球や好酸球の活性を抑制することで、季節性アレルギーを抑制する働きを持つことから、しそが抗アレルギー効果を持つことが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14988517

【2】アレルギー発症マウスに、しそ抽出物を投与したところ、炎症性物質IL-1β、-6、TNF-αの発現が抑制され、肥満細胞、好酸球の浸潤も抑制されました。しそ抽出物がアレルギー抑制作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21239739

【3】摘出ラット大動脈に、しその成分ベリルアルデヒドを0.01~1mMの濃度で投与したところ、血管拡張作用が見られました。ベリルアルデヒドはカルシウムチャンネルを介して血管拡張作用を示すことから、しそが高血圧予防効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15957366

【4】モルモットにシソ種子抽出物投与したところ、脳内の酸化ストレスが提言したことから、しそが脳保護作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20079842

【5】肝障害ラットに、しそ抽出物を1000、3000mg/kg の量で投与したところ、肝臓障害の指標となるALTおよびASTが低下したことから、しそが肝臓保護作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17467864

もっと見る 閉じる

参考文献

・本多京子 食の医学館 小学館

・内田正宏 芦沢正和 花図鑑野菜 星雲社

・原山建朗 最新・最強のサプリメント大事典 昭文社

・野間佐和子 旬の食材 春‐夏の野菜 講談社

・池上保子 おいしく食べて健康に効く目で見る食材便利ノート 永岡書店

・吉川敏一 辻智子 医療従事者のための機能性食品(サプリメント)ガイド―完全版 講談社

・則岡孝子 栄養成分の事典 新星出版社

・Takano H, Osakabe N, Sanbongi C, Yanagisawa R, Inoue K, Yasuda A, Natsume M, Baba S, Ichiishi E, Yoshikawa T. (2004) “Extract of Perilla frutescens enriched for rosmarinic acid, a polyphenolic phytochemical, inhibits seasonal allergic rhinoconjunctivitis in humans.” Exp Biol Med (Maywood). 2004 Mar;229(3):247-54.

・Oh HA, Park CS, Ahn HJ, Park YS, Kim HM. (2011) “Effect of Perilla frutescens var.acuta Kudo and rosmarinic acid on allergic inflammatory reactions.” Exp Biol Med (Maywood). 2011 Jan;236(1):99-106.

・Takagi S, Goto H, Shimada Y, Nakagomi K, Sadakane Y, Hatanaka Y, Terasawa K. (2005) “Vasodilative effect of perillaldehyde on isolated rat aorta.” Phytomedicine. 2005 May;12(5):333-7.

・Eckert GP, Franke C, Noldner M, Rau O, Wurglics M, Schubert-Zsilavecz M, Muller WE. (2010) “Plant derived omega-3-fatty acids protect mitochondrial function in the brain.” Pharmacol Res. 2010 Mar;61(3):234-41. Epub 2010 Jan 15.

・Kim MK, Lee HS, Kim EJ, Won NH, Chi YM, Kim BC, Lee KW. (2007) “Protective effect of aqueous extract of Perilla frutescens on tert-butyl hydroperoxide-induced oxidative hepatotoxicity in rats.” Food Chem Toxicol. 2007 Sep;45(9):1738-44. Epub 2007 Mar 18.

もっと見る 閉じる

ページの先頭へ