大麦若葉

大麦若葉とは、イネ科の植物である大麦の若い葉の部分のことを指します。主にSOD酵素をはじめ、ミネラル類やビタミン類を豊富に含んでいます。青汁の原材料のひとつとして使用されています。

大麦若葉とは?

●基本情報
大麦若葉とは、イネ科の植物である大麦の若い葉の部分のことを指します。大麦若葉は、まだ大麦が穂をつける前の20~30cmに生育した新鮮な若葉を収穫したものです。中央アジアが原産で、世界で最も古くから栽培されていた作物のひとつといわれています。青汁[※1]の原材料のひとつとして注目されている植物です。
大麦を育てる際には、麦ふみと呼ばれる作業が行われています。麦ふみとは大麦の芽が数枚出そろったところで、上から新芽を踏みつける作業のことをいいます。麦ふみをすることで、茎や葉が折れて中から水分が飛び、大麦内部の成分の濃度が高まり、寒さへの耐性が高まるといわれています。また、折れた傷口から植物ホルモンが生成され、茎を太くして水分を吸い上げる根の量を増やし、1本の茎から数本の茎に増えるという現象が促進されます。この麦ふみは約10日以上の間隔をあけて数回行われています。
このように、成長過程で踏まれるたびに強く丈夫になる大麦は生命力の強い植物であるといわれています。

●大麦若葉に含まれている成分
大麦若葉にはSOD酵素カルシウム亜鉛カリウムマグネシウムなどのミネラル類β-カロテンビタミンB1ビタミンCなどのビタミン類トリプトファンアラニンなどのアミノ酸食物繊維などがバランスよく含まれています。また、緑色の色素である葉緑素が含まれていることも特徴です。

[※1:青汁とは、生の緑葉野菜を絞った汁のことです。]

大麦若葉の効果

●生活習慣病を予防する効果
大麦若葉に含まれているSOD酵素には、動脈硬化や高血圧、糖尿病などの生活習慣病を予防する効果があるといわれています。
動脈硬化とは動脈の弾力性が失われ、硬くなった状態をいいます。本来は弾力性のある動脈の内壁に悪玉(LDL)コレステロールが付着することで、動脈壁が厚くなったり、硬くなります。悪玉(LDL)コレステロールは活性酸素が中性脂肪やコレステロールと結びつくことで、増加するといわれています。
動脈硬化は血管の老化現象ともいわれており、悪化すると脳出血や脳梗塞、眼底出血[※2]などの病気を引き起こす一因になります。
大麦若葉に含まれているSOD酵素は、動脈硬化の原因のひとつである活性酸素を除去する力を持っているため、動脈硬化の予防に効果があると考えられています。

高血圧とは血圧が高い状態をいい、血圧とは血管にかかる圧力のことをいいます。高血圧の状態が続くと、血管の壁に内側から高い圧力が続くため、血管の内壁が傷つきやすくなります。また、もろくなった血管に高い圧力がかかった場合には血管が破れやすくなり、脳内で血管に破損が生じてしまう場合もあるため、悪化すると脳出血や脳梗塞などの病気が発症しやすくなります。
SOD酵素の高血圧に対する効果を測った実験で、高血圧の状態にあるラット[※3]に対してSOD様成分の投与を続けた結果、SOD様成分が血圧の上昇を抑制したと思われる数値が確認された事例もあります。
また、大麦若葉にはカリウムが含まれています。血圧にはナトリウムとカリウムが大きく関係しているため、ナトリウムを過剰に摂取すると、血液中のナトリウム濃度を下げるため血液の量が多くなり高血圧になります。
大麦若葉に含まれているカリウムは、一度血液中に吸収されたナトリウムが腎臓で吸収されることを防ぎ、尿中への排出を促すことで血圧を下げる作用があるため、高血圧の予防に効果的であると考えられています。

糖尿病 (Ⅱ型糖尿病) とは、すい臓から分泌されるホルモンの一種であるインスリンが正常に働かなくなることで血糖値[※4]が上昇し、糖が尿に漏れ出す病気です。インスリンには、血糖値の上昇を抑える働きがあります。血糖値が上がると、神経や内臓に悪影響が出ます。
大麦若葉にはSOD酵素が含まれているため、糖尿病の予防に効果があると考えられています。
SOD酵素の糖尿病に対する効果を調べた実験においては、糖尿病を患ったラットに対してSOD様成分を投与した結果、血糖値の上昇を抑制する傾向が確認されました。よって、SOD酵素の糖尿病の予防や治療に有効である可能性が示されています。また、大麦若葉は食物繊維を豊富に含んでいます。食物繊維が血糖値の上昇を緩やかにすることで、糖尿病の予防につながります。【1】

●細胞の健康を維持する効果
大麦若葉に含まれているSOD酵素は、細胞の健康維持にも効果的に働くとされています。
私たちの体は約60兆個もの細胞でできており、毎日の健康を維持するためにはその細胞ひとつひとつを正常な状態に保つことが大切です。
しかし、ストレスや喫煙などによって体内に活性酸素[※5]が増えすぎると、体内の細胞が攻撃され、細胞の中にある遺伝子までもが壊されてしまうことがあります。
DNAなどの遺伝子が壊されると、細胞は正常な働きや生まれ変わりを行うことができず、老化や様々な病気を引き起こしてしまうといわれています。
大麦若葉に含まれているSOD酵素は、細胞やDNAを活性酸素の攻撃から守り、老化や病気を予防する効果があると期待されています。

●骨や歯を丈夫にする効果
体内のカルシウムの99%は、骨や歯に存在しています。細胞と同じように骨も新陳代謝を毎日繰り返しています。この骨の代謝に関与している成分がカルシウムです。カルシウムが不足すると、骨密度[※6]が低下し骨や歯がもろくなります。
大麦若葉にはカルシウムが多く含まれているため、骨や歯を丈夫にすることができると期待されています。

●冷え性を改善する効果
冷え症とは、血行不良によって体の部位が極端に冷たくなることをいいます。特に末端である手足に冷えを感じることが多いといわれています。
冷え症が長く続くと細胞の生まれ変わりである新陳代謝が低下し、肌荒れや肩こり、腰痛、関節の痛み、むくみ、便秘、抵抗力の低下などの症状が現れる場合があります。
冷え性は特に女性に多いといわれています。女性は男性に比べ筋肉量が少ないため熱の生産量が少なく、月経で血液が減少しがちであることが要因として考えられています。
筋肉にごくわずかに存在しているカルシウムが筋肉の収縮をスムーズにすることで血流が改善されると考えられています。大麦若葉にはカルシウムが豊富に含まれているため、冷え性の予防・改善に効果的だといわれています。

●精神を落ち着かせる効果
カルシウムには神経のいらだちを抑える精神安定剤の働きがあるため、不足するとイライラやストレスの原因となります。大麦若葉にはカルシウムが豊富に含まれているため、神経のいらだちを落ち着かせる効果があります。

●貧血を予防する効果
貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビン[※7]量が減少している状態のことをいいます。貧血状態になると、動悸、息切れ、めまいなどの様々な症状が全身に現れます。
大麦若葉にはヘモグロビンをつくる材料となる鉄が含まれるため、貧血予防に効果的です。
ただし、大麦若葉に含まれる鉄は吸収率が低い非ヘム鉄であるため、肉や野菜と一緒に摂取し鉄の吸収率を高めることが大切です。

●新陳代謝を活発にする効果
大麦若葉には亜鉛が豊富に含まれています。亜鉛は100種類以上の酵素に含まれている必須元素で、たんぱく質や糖質、脂質の代謝に関与しています。
体内で新しい細胞をつくるためには遺伝子の情報を伝達したり、たんぱく質を合成したりする必要があります。この作用を高めるのが酵素で、亜鉛はその酵素の成分となります。
亜鉛が不足すると、細胞の生まれ変わりである新陳代謝が滞り、皮膚や骨格の発育・維持が遅れます。大麦若葉には亜鉛が豊富に含まれているため、新陳代謝を活発にする働きが期待できます。

●免疫力を高める効果
大麦若葉に含まれているβ-カロテンは、体内でビタミンAとして働き、皮膚や粘膜を丈夫にすることで体の免疫力を高めてくれます。皮膚や粘膜は、ウイルスから体を守ってくれる大切な役割を果たしています。
また、大麦若葉にはビタミンCも豊富に含まれています。ビタミンCはコラーゲンの生成に不可欠な栄養素です。コラーゲンが生成されることで、皮膚や骨、血管が丈夫になり、病気に対する抵抗力が高まります。
さらにビタミンCは、白血球[※8]の働きを強化し、自らもウイルスに攻撃する役割も果たしているため、β-カロテンとの相乗効果が期待できます。
免疫力が高まることで、風邪を引きにくく、回復力の高い丈夫な体をつくることができます。【2】

●目の健康に働きかける効果
大麦若葉にはβ-カロテンが豊富に含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAとして働きます。
目の網膜にはロドプシンと呼ばれる光を感じるためのたんぱく質が存在します。人間が物を見ることができるのはロドプシンが光に反応し、その刺激が脳に伝えられるためです。ビタミンAはこのロドプシンを生成するために必要な栄養素です。
大麦若葉のβ-カロテンが体内でビタミンAとして働くことでロドプシンの生成が促され、夜盲症[※9]や眼精疲労[※10]の予防に効果があると考えられています。

●疲労回復効果
大麦若葉にはビタミンB1が豊富に含まれています。
ビタミンB1は食事から摂った糖質をエネルギーに変えるために必要とされる栄養素です。糖質をエネルギーに変える力が低下すると、疲労物質である乳酸が溜まりやすくなり、疲労を感じるようになります。
このため、大麦若葉には疲労を回復させる効果が期待されています。

●ストレスへの抵抗力を高める効果
ストレスは、不安や緊張といった精神的なストレスはもちろん、紫外線やタバコ、疲労、睡眠不足などが原因となる場合もあります。人間はストレスを感じると体内でビタミンCを大量に消費します。体内のビタミンCが不足すると、ストレスに弱くなり、心身の不調にもつながります。
ビタミンCを摂取し、体内のビタミンC不足を解消することでストレスが軽減されるといわれています。

●肌荒れを予防する効果
ビタミンCは、コラーゲンの生成に欠かせない成分です。コラーゲンは、肌のハリを保つ働きを担っています。さらに、ビタミンCにはシミの原因となるメラニン色素の生成を防ぐ働きもあります。
大麦若葉にはビタミンCが豊富に含まれているため、肌荒れを予防する効果が期待されています。

●便秘を改善する効果
便秘とは便の水分が減り硬くなり、便が長期間、排出できない状態のことをいいます。便秘は慢性的なものですが腹痛や頭痛、食欲不振などの症状が現れることもあります。
大麦若葉に含まれている食物繊維が腸内で水分を吸収して膨らみ、腸管を刺激して腸のぜん動運動[※11]を高めることで便の排出が促されます。

[※2:眼底出血とは、眼底(瞳から入ってきた光が突き当たる眼球の奥の部分)から何らかの原因で出血した状態のことをいいます。]
[※3:ラットとは、実験に用いられるシロネズミの一種です。]
[※4:血糖値とは、血液中にブドウ糖がどれくらいあるのかを示す値です。ブドウ糖が血液中にあふれてしまうと血糖値が高くなります。]
[※5:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。体内で過度に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]
[※6:骨密度とは、一定の面積あたりに存在するカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを示す密度のことです。骨の強度を表します。]
[※7:ヘモグロビンとは、全身の細胞に酸素を運ぶ役割をしている赤血球の中にあるたんぱく質のことです。]
[※8:白血球とは、体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する役割を持つ細胞です。]
[※9:夜盲症とは、暗い場所でものが見えにくくなる病気のことです。鳥目とも呼ばれています。]
[※10:眼精疲労とは、ものを見ているだけで目の疲れや痛みを感じ、視界のぼやけ、頭痛や肩こり、イライラを併発する状態のことです。]
[※11:ぜん動運動とは、腸に入ってきた食べ物を排泄するための腸の運動のことです。]

大麦若葉は食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○動脈硬化でお悩みの方
○高血圧でお悩みの方
○糖尿病でお悩みの方
○細胞からの健康を維持したい方
○骨や歯を丈夫に保ちたい方
○冷え性でお悩みの方
○ストレスを感じている方
○貧血でお悩みの方
○いつまでも若々しくいたい方
○風邪をひきやすい方
○目の健康を保ちたい方
○疲れが溜まりやすい方
○肌荒れでお悩みの方
○便秘でお悩みの方

大麦若葉の研究情報

【1】喫煙習慣のある高脂血症患者を対象に、大麦若葉エキスを1日あたり15g の量で4週間摂取させたところ、動脈硬化の原因であるLDLコレステロールの酸化が抑制されたことから、大麦若葉に生活習慣病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15187421

【2】ラットに、大麦若葉を摂取させたところ、脾臓の免疫細胞リンパ球や免疫物質IgG の生産が促進されたことから、大麦若葉が免疫力向上作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11575582

参考文献

・NPO日本サプリメント協会 サプリメント健康バイブル 小学館

・Yu YM, Chang WC, Liu CS, Tsai CM. (2004) “Effect of young barley leaf extract and adlay on plasma lipids and LDL oxidation in hyperlipidemic smokers.” Biol Pharm Bull. 2004 Jun;27(6):802-5.

・Miyazaki Y, Tokunaga Y, Takagaki K, Tsusaki S, Tachibana H, Yamada K. (2001) “Effect of dietary cabbage fermentation extract and young barley leaf powder on immune function of Sprague-Dawley rats.”  J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2001 Jun;47(3):253-7.

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