アフリカンマンゴノキ

African mango
アフリカンマンゴー  アーヴィンシア

中央アフリカやインドなどに自生するアフリカンマンゴノキは体重を減少させ、食欲を抑制する働きがある薬草として古くから利用されていました。肥満が社会問題となっているアメリカではアフリカンマンゴノキを配合したサプリメントが人気を集めており、近年研究が進められています。

アフリカンマンゴノキとは?

●基本情報
アフリカンマンゴノキとは、アフリカンマンゴノキ属ニガキ科の高木で、中央から西アフリカやインドなどの湿度の高い熱帯地方の低木が集まる森に自生している植物です。アフリカンマンゴノキは英語名をアフリカンマンゴーといいます。マンゴーに似た緑色から黄色の果実をつけ、果実や種子が食用にされます。
アフリカンマンゴノキの種子やエキスはスープのとろみや味付け、菓子、食用油脂などとして常用されています。
アフリカ各地では、アフリカンマンゴノキが体重を減少させたり過激な食欲を抑えたりする働きのある薬草として古くから親しまれています。
アフリカンマンゴノキはメタボリックシンドロームの予防やダイエットを目的として、食事に加えたりサプリメントに配合されています。また、化粧品の原料としてアフリカンマンゴノキの油脂(バター)が使用されています。
アメリカではアフリカンマンゴノキの種子を乾燥させ、抽出、粉末化したエキスを使ったサプリメントも人気を集めています。
近年、アフリカンマンゴノキの機能性が研究されており、脂肪の合成を抑えたり、炭水化物の吸収を抑えるといった働きがあることがわかってきました。

<豆知識>アメリカの食生活
アメリカの食育の背景には、肥満や生活習慣病の問題があります。アメリカの肥満者率は30%を超え、非常に高い割合を占めています。
肥満に伴い起こりやすくなる病気に心疾患があげられます。心疾患での死亡率が日本では10万人に57人であるのに対し、アメリカでは184人と非常に高いことが問題視されています。
このような事態を重くみたアメリカの連邦農務省と連邦厚生省は、1980年以降に共同し『アメリカ人のための食生活指針』を5年ごとに発行しています。学校給食はこの指針に基づいた内容のメニューを提供することが義務付けられています。しかし、学校給食は生徒が自ら選ぶ形式になっていることが多く、その際の選び方に関しての指導がほぼなされていないという指摘がされています。
日本とは異なりアメリカは給食が必須ではないため、ファーストフードやスナック菓子を昼食にする生徒も多いようです。
このように肥満が社会問題になっているアメリカでは、ダイエット目的のサプリメントや成分の研究が盛んに行われており、その中でもアフリカンマンゴノキエキスは効果が高いものとして注目を集めています。

●アフリカンマンゴノキに含まれる栄養成分
アフリカンマンゴノキの有効成分については明確にはされていませんが、多くの健康効果が期待されるとして今後の研究に注目が集まっています。
アフリカンマンゴノキは、ある1つの成分が効能を持つわけではなく、様々な成分が働き合うことによってダイエット効果や生活習慣病を予防する効果があります。

アフリカンマンゴノキの効果

●ダイエット効果
食事を摂取すると体内で分解され、人間が活動するためにグルコースと脂肪がエネルギー源として使用されますが、使い切れなかったエネルギー源は脂肪細胞に蓄積されます。
この脂肪細胞が次第に肥大化していくと、肥満症状を示します。脂肪細胞から分泌されるレプチンとアディポネクチンという生理活性物質が肥満に大きく関わっているといわれています。
レプチンは善玉ホルモンといわれており、脳に満腹であることを伝え過食を抑える働きと、脂肪細胞の多くを占める中性脂肪の分解を促し、エネルギー源として使うことができる脂肪酸に分解する働きがあります。
レプチンの働きが阻害されると、脳に食欲を抑制する指示が届かず、さらに脂肪が分解されにくくなりエネルギーが脂肪細胞に溜まっていきます。
このレプチンの働きを活性化させる働きを持つ成分が、もうひとつの善玉ホルモンであるアディポネクチンです。脂肪細胞が肥大するとアディポネクチンが産生されにくくなり、レプチンの働きが弱くなってしまいます。
アフリカンマンゴノキは、食欲を抑えるホルモンであるレプチンがスムーズに働けるサポートをします。
肥大化した脂肪細胞はレプチンと結合するたんぱく質を分泌し、このたんぱく質がレプチンと結合してしまうとレプチンは脳内に入っていけなくなり、食欲のコントロールができなくなります。
アフリカンマンゴノキにはレプチンの働きを阻害するたんぱく質を抑える働きがあるため、食欲をコントロールするレプチンがスムーズに働き、食欲を抑えてくれることによって体重の増加を防いでくれるのです。
また、アフリカンマンゴノキには糖質が吸収されるために必要な消化酵素であるアミラーゼの働きを阻害する働きがあります。このため、体内に吸収される糖質の量が減少します。さらに、アフリカンマンゴノキには脂肪細胞内で糖質を中性脂肪に変換し、蓄積する働きのある酵素として知られるグリセロール-3-リン酸脱水素酵素(GPDH)の働きを阻害します。この働きにより、脂肪細胞の肥大化が抑制できます。
これらの様々な働きにより、アフリカンマンゴノキには体重をコントロールする効果があるといわれています。
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●生活習慣病の予防・改善効果
体の中にある脂肪細胞は、肥大化していない時はホルモンのひとつであるアディポネクチンを分泌しています。アディポネクチンはインスリン[※1]の働きを良くするため血糖値を下げる効果があります。またアフリカンマンゴノキには糖質が吸収されるために必要な消化酵素であるアミラーゼの働きを阻害する働きがあるため、急激な血糖値の上昇を抑えることができます。
アフリカンマンゴノキは、これらの働きにより糖尿病を予防する効果があると考えられています。
また、アフリカンマンゴノキにはアディポネクチンの分泌量を増加させる働きがあるため、レプチンの働きが促進され、脂肪細胞の代謝を活発にする働きもあります。
さらに、アフリカンマンゴノキには血管を広げる働きもあるため、高血圧や動脈硬化を予防する効果も期待されています。【1】【3】【4】

[※1:インスリンとは、血糖値をコントロールする作用を持ったホルモンです。]

アフリカンマンゴノキは食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○スリムな体型を目指したい方
○ついつい食べ過ぎてしまう方
○生活習慣病を予防したい方

アフリカンマンゴノキの研究情報

【1】102名の過剰体重者(BMI25以上)に対し、アフリカンマンゴノキ(IGOB)150mgまたはプラセボを4~10週間与え、身体計測、代謝パラメーター(脂質、グルコース)を測定しました。その結果、LDLコレステロール、血中グルコース、C反応性タンパク質、アディポネクチン、レプチンがプラセボと比較し、有意に改善されました。このことから、IGOBは、肥満を抑える働きがある可能性が考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19254366

【2】6種類の病原菌(4種類:細菌、2種類:真菌)に対して100、50、25mg/mlの濃度でアフリカンマンゴノキの葉・茎抽出物を投与した結果、どの抽出物も抗菌活性を有し、その中でも100mg/ml アフリカンマンゴノキ茎の抽出物が最も抗真菌活性を有することがわかりました。このことから、アフリカンマンゴノキは抗菌作用を有することがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18939394

【3】アフリカンマンゴノキとCissus quadrangularisの10週間の併用飲用は、肥満パラメーター(血漿コレステロール、LDLコレステロール、血糖、腹囲、体重、体脂肪)を改善したとの報告があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18377661

【4】アフリカンマンゴノキ種子の体重および血中の脂質に対する作用について調査しました。28名に1.05gのアフリカンマンゴノキ(IG)、またはプラセボを1日3回摂取させました。IG投与群は、プラセボに比べ体重、コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリドが有意に減少し、HDLコレステロールは有意に上昇しました。このことから、IGは、体重を減少させるのに良い素材であることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15916709

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参考文献

・Ngondi JL, Etoundi BC, Nyangono CB, Mbofung CM, Oben JE. (2009) “IGOB131, a novel seed extract of the West African plant Irvingia gabonensis, significantly reduces body weight and improves metabolic parameters in overweight humans in a randomized double-blind placebo controlled investigation.” Lipids Health Dis. 2009 Mar 2;8:7.

・Fadare DA, Ajaiyeoba EO. (2008) “Phytochemical and antimicrobial activities of the wild mango-Irvingia gabonensis extracts and fractions.” Afr J Med Med Sci. 2008 Jun;37(2):119-24.

・Oben JE, Ngondi JL, Momo CN, Agbor GA, Sobgui CS. (2008) “The use of a Cissus quadrangularis/Irvingia gabonensis combination in the management of weight loss: a double-blind placebo-controlled study.” Lipids Health Dis. 2008 Mar 31;7:12.

・Ngondi JL, Oben JE, Minka SR. (2005) “The effect of Irvingia gabonensis seeds on body weight and blood lipids of obese subjects in Cameroon.” Lipids Health Dis. 2005 May 25;4:12.

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