テルペン

terpene

テルペンとは、植物の精油成分に含まれる成分です。
特有の香りや苦みをもち、リラックスをさせる働きや血圧を下げる働きがあります。アロマセラピーや香水に多く利用されている身近な成分です。

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テルペンとは

●基本情報
テルペンはイソプレン[※1]を構成単位とする炭化水素[※2]で、植物の精油成分に多く含まれています。
テルペンとは、もともと精油の中から大量に見つかった炭素10個の化合物に与えられた名称のため、炭素10個を基準として構造が分けられています。

●テルペンの種類
テルペンは2つ以上のイソプレンから構成されており、イソプレン単位の数に応じて、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、セスタテルペン、トリテルペンなどと呼ばれるものがあります。

・モノテルペン
イソプレンが2つ結合したものです。モノテルペンは芳香性の成分で、バラや柑橘類のような芳香を持ちます。自然界に400種類ほどが知られており、アロマセラピーや香水などに利用されます。
一般的にテルペンといえば、モノテルペンのことをさします。
有名なものとしては、ゲラニオールやメントール、ピネン、リモネン、カンファー(樟脳)などがあります。
レモンなど柑橘類に含まれる香気成分であるリモネンは、溶剤や接着剤原料などとしても利用されています。
爽やかな芳香を持つメントールは、菓子や医薬品に清涼剤として用いられています。
森林浴効果をもたらすピネンは、植物にとっては外敵を防ぎ自身の体を守るための物質であると考えられています。
シネオールはユーカリ属の植物に含まれており、すっきりとした香りと味を持っているため食品添加物・香料・化粧品に利用されています。

・セスキテルペン
イソプレンが3つ結合したものです。
非常に種類が多く3000種類以上存在するといわれていますが、香料として重要なものはおよそ20種類です。
エレメン、カジノール、カジネン、ファルネソール、ネロリドール、クローブ、サントニンなどがあります。

・ジテルペン
イソプレンが4つ結合したものです。
ゲラニオール、フィトール、アビエチン酸、タキソールがあります。

・セスタテルペン
イソプレンが5つ結合したものです。
主に菌類、地衣類[※3]などの植物や昆虫、海綿[※4]などの動物に含まれています。
ゲラニルファルネソールなどが存在します。

・トリテルペン
イソプレンが6つ結合したものです。
植物界に100種程度が確認され分布します。キノコ、高麗人参類に含有される成分として抗がん作用などの生理活性が見出されています。
スクアレン 深海鮫の肝油に多量に含まれますが植物にも含んでいます。
リモニン、ウルソール酸、スクワレン、ホパン、ベチュリン酸(ベツリン酸)などがあります。

[※1:イソプレンとは、炭素5つと二重構造2つをもつ炭化水素のことです。]
[※2:炭化水素とは、炭素原子と水素原子だけでできた化合物の総称です。]
[※3:地衣類とは、菌類と藻類の共生体で、単一の生物のようにみえるものの総称です。]
[※4:海綿とは、動物に分類される一種で、壺や樹枝の形状をしており、岩や海藻などに固着して生活している生物です。]

テルペンの効果

●リラックス効果
​​モノテルペンの香り成分にはリラックス作用があります。
レモンやオレンジなどの皮をむいたときにすっきりとした気分になるのは、テルペンの一種であるリモネンの香気成分が呼吸から体内に入り、脳内でリラックス時に発生するα波が出るためであるといわれています。
テルペン類の香りはアロマテラピー、香水などに広く使われています。その香り成分が神経系や免疫系などに働きかけ、ストレスの解消や心身のリラックスに効果があるといわれています。
このように、テルペンには気持ちを落ち着かせリラックスさせる効果があります。【1】

●高血圧を予防する効果
木の種類には、住んでいる人を心地良くさせるものがあります。これは、黄の香りの中に含まれるテルペンの香りのおかげであるといわれています。実験によって、スギの香りで、人がリラックス状態に導かれることが分かりました。スギのにおいを嗅いで、血圧、血流量を測るもので、スギの香りによってリラックスでき、血圧と血流量が下がりました。【2】

●炎症を抑制する効果
テルペン類に含まれるジンゲロールは、炎症や痛みを鎮める強力な鎮痛作用を持ちます。さらに、ヒスタミンの放出を抑制して、アレルギー症状を緩和する働きもあります。【3】【4】

テルペンは食事やサプリメントで摂取できます

テルペンを多く含む食品

○ゆず
○オレンジ
○ライム

こんな方におすすめ

○リラックスしたい方
○血圧が気になる方
○炎症や痛みを抑えたい方

テルペンの研究情報

【1】マウスを対象に、テルペンの一種であるリモネンなど精油成分の機能を検討したところ、リモネンは安眠作用ならびに抗不安作用および鎮静作用が見られたことから、テルペンはリラックス作用ならびに抗うつ作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12587690

【2】高齢者24名を対象に、都会生活と森林浴を交互に1週間ずつ経験する生活習慣で比較したところ、森林浴時には血圧上昇関連物質レニンアンジオテンシン系が抑制され、血圧上昇が緩和されました。森林浴、とくに森の香りにはテルペンが関与していることから、テルペンが高血圧予防効果に役立つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22948092

【3】カジュツの主成分であるセスキテルペンの一種デヒドロクルジオンは抗炎症作用を持つことが報告されていることから、テルペンは抗炎症効果を持つと期待されています。
https://ci.nii.ac.jp/naid/110007408642

【4】テルペンの一種ジンゲロールは、炎症性メディエーター(一酸化窒素およびプロスタグランジンE(2))の生産を抑制するはたらきを持つことから、テルペンは抗炎症性作用を有すると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19833188

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参考文献

・中嶋 洋子 著、阿部 芳子、蒲原 聖可監修 完全図解版 食べ物栄養事典 主婦の友社

・三上杏平 カラーグラフで読む精油の機能と効用 フレグランスジャーナル社

・do Vale TG, Furtado EC, Santos JG Jr, Viana GS. (2002) “Central effects of citral, myrcene and limonene, constituents of essential oil chemotypes from Lippia alba (Mill.) n.e. Brown.” Phytomedicine. 2002 Dec;9(8):709-14.

・Mao GX, Cao YB, Lan XG, He ZH, Chen ZM, Wang YZ, Hu XL, Lv YD, Wang GF, Yan J. (2012) “Therapeutic effect of forest bathing on human hypertension in the elderly.” J Cardiol. 2012 Dec;60(6):495-502.

・吉岡 俊正、藤井 恵美子、遠藤 政彦、和田 圭司、徳永 友喜子、柴 直整、蓬生 博史、澁谷 博孝、木村 肇 (1999) “ガジュツのセスキテルペン成分デヒドロクルジオンの抗炎症作用” 福山大学薬学部研究年報 17, 61, 1999

・Dugasani S, Pichika MR, Nadarajah VD, Balijepalli MK, Tandra S, Korlakunta JN.(2010) “Comparative antioxidant and anti-inflammatory effects of [6]-gingerol, [8]-gingerol, [10]-gingerol and [6]-shogaol.” J Ethnopharmacol. 2010 Feb 3;127(2):515-20

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