オレイン酸

oleic acid

オレイン酸は、一価不飽和脂肪酸に分類される油で、オリーブ油や、紅花油、ヒマワリ油などに多く含まれています。オレイン酸は高コレステロール、高エネルギーの食事が原因で過剰に増えた悪玉(LDL)コレステロールを抑制する効果があります。

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オレイン酸とは

●基本情報
オレイン酸は、一価不飽和脂肪酸に分類される油で、オリーブ油や、紅花油、ヒマワリ油などに多く含まれています。オレイン酸の名前は、オリーブの油から単離されたことに由来します。他の脂質に比べて酸化しにくいため、長期保存や加熱にも強いことが特徴です。
オレイン酸は高コレステロール、高エネルギーの食事が原因で過剰に増えた悪玉(LDL)コレステロールを抑制する効果があります。
オレイン酸はオリーブ油に多く含まれ、血管の健康を保ち、生活習慣病を予防するといわれています。また、人間の皮膚にも含まれており、化粧品の原料としても使われています。

●オレイン酸の歴史
1960年代に世界各国の食生活と病気に関する調査が行われた際に、地中海沿岸地方は他のヨーロッパの国々に比べて心臓疾患による死亡率が低いことがわかりました。この地方の食生活はオリーブ油をたくさん使用する習慣があることがわかり、オリーブ油の中の健康成分であるオレイン酸の効果が注目されるようになりました。

●オレイン酸を含む食品と摂取する際の注意点
オリーブ油はオレイン酸を70%以上含み、またひまわり油や紅花油、菜種油、落花生油、米ぬか油にも含まれます。さらに、オレイン酸は植物油以外にも牛脂や豚油など動物性の油にも含まれます。
また、オレイン酸はアーモンドやピーナッツにも含まれています。
ただし、アーモンドはカロリーが高いため、食べ過ぎないように気を付ける必要があります。
オレイン酸自体も脂質のため、過剰に摂取すると肥満のリスクが高まります。また、オレイン酸は牛脂や豚脂にも含まれますが、動物性脂肪は過剰に摂取するとコレステロールや中性脂肪を増加させます。
健康を維持するためにも、一価不飽和脂肪酸や動物性脂肪など、脂肪酸をバランス良く取り入れることが大切です。

オレイン酸の効果

●コレステロール値を下げる効果
オレイン酸は、善玉(HDL)コレステロールを減少させることなく、悪玉(LDL)コレステロールを減少させる効果があります。
動物性脂肪や乳製品には飽和脂肪酸やコレステロールが多く含まれます。こうした食品を摂り過ぎると、血中の悪玉(LDL)コレステロールが過剰に増加します。悪玉(LDL)コレステロールが増加し酸化すると、血管内壁にコレステロールが付着し、血管を塞ぎ、動脈硬化や高血圧、糖尿病などの生活習慣病を引き起こします。
また、オレイン酸は悪玉(LDL)コレステロールを減少させるだけでなく、悪玉(LDL)コレステロールによって血管内に置かれた過剰なコレステロールを回収する役割を持つ善玉(HDL)コレステロールを増加させる働きがあることも確認されています。【1】

●動脈硬化や心疾患を予防する効果
オレイン酸は、動脈硬化や心疾患に効果があるといわれています。
1950年代にアンセル・キース博士らによって、アメリカ、オランダ、フィンランド、ギリシャ、イタリア、旧
ユーゴスラビア、日本の7ヵ国において食生活と疾病に関する調査が行われたところ、ギリシャにおける心疾患の死亡者の占める割合が大変低いことがわかりました。
その要因をつかむべく、さらに調査が進められました。このとき、調査対象となったのは、ギリシャのクレタ島です。この島は、世界でも有数の長寿地域として知られており、オリーブ油の年間消費量がとても多いことがわかっています。
このことから、この島のオリーブ油を中心とする食生活が長寿に深く関わっているのではないかと考えられ、この地域の食生活と心疾患の発症率の関係を明らかにするために、心筋梗塞になったことがある人々を2つのグループに分け、オレイン酸を含むオリーブ油を中心とした食生活(地中海型食生活)と動物性脂肪の摂取が多いフランスの一般的な食生活とで、心筋梗塞の再発率を調査しました。
その結果、地中海型食生活のグループでは心筋梗塞の再発率が圧倒的に低いということがわかりました。これは1999年に発表されたリヨンスタディと呼ばれる研究です。この研究によりオリーブ油を中心とする地中海型食生活と心疾患発症率の関係性が明らかにされました。
このため、オリーブ油に含まれるオレイン酸には動脈硬化、心疾患を予防する効果があるということが示唆されています。【2】

●便秘を解消する効果
オレイン酸は、腸の働きを活発にさせるため、便秘を解消する効果があります。オレイン酸は小腸で消化吸収されにくく、腸に刺激を与えるといわれています。
そのため、オレイン酸には便秘を解消する効果があります。

オレイン酸は食事やサプリメントで摂取できます

オレイン酸を多く含む食品

○オリーブ油
○紅花油
○ひまわり油
○アーモンド
○ピーナツ

こんな方におすすめ

○コレステロール値が気になる方
○体型が気になる方
○生活習慣病を予防する効果
○便秘でお悩みの方

オレイン酸の研究情報

【1】無作為クロスオーバー研究の結果、オレイン酸を豊富に含んだ5週間に渡るベジタブルオイルの摂取は、血中の総コレステロールおよびLDLコレステロール値を減少させました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2333839

【2】食生活を主体とするライフスタイルと、ガンや心血管病(動脈硬化に基づく狭心症や心筋梗塞、脳血管障害を含む)などの疾病の関わりを明らかにするため、ギリシア、イタリア、旧ユーゴスラビアなどの地中海諸国、北ヨーロッパや米国、日本を研究対象にコホート研究を行いました。その結果、ギリシア、イタリアなどの地中海地域で、心血管病とある種のガンによる死亡率が最も低いということが分かりました。
http://www.cabdirect.org/abstracts/19841460563.html

参考文献

・中村丁次監修 最新版からだに効く栄養成分バイブル 主婦と生活社

・永川祐三著 最新版病気を治す栄養成分Book 主婦と生活社

・則岡孝子監修 栄養成分の事典 新星出版社

・中屋豊 よくわかる栄養学の基本としくみ 秀和システム

・上西一弘 栄養素の通になる第2版 女子栄養大学出版部

・井上正子監修 新しい栄養学と食のきほん事典 西東社

・松生 恒夫 新オリーブオイル健康法 講談社プラスアルファ新書

・吉田企世子 松田早苗 あたらしい栄養学 高橋書店

・Wardlaw GM, Snook JT. (1990) “Effect of diets high in butter, corn oil, or high-oleic acid sunflower oil on serum lipids and apolipoproteins in men.” Am J Clin Nutr. 1990 May;51(5):815-21.

・Keys, A. (1980) “Seven countries. A multivariate analysis of death and coronary heart disease.” Seven countries. A multivariate analysis of death and coronary heart disease. 1980 pp. xi + 381pp

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