ナノコエンザイムQ10

nano coenzyme Q10

コエンザイムQ10は酵素の働きを助ける補酵素でエネルギーを生み出すために必要な栄養素であり、強い抗酸化作用を持ちます。
ナノ(超微細化)コエンザイムQ10はコエンザイムQ10を超微細化した成分で、体内へすばやく行き渡りエネルギーを生み出します。

ナノコエンザイムQ10とは

●基本情報
ナノ(超微細化)コエンザイムQ10は、コエンザイムQ10を超微細化したものです。コエンザイムQ10は補酵素[※1]のひとつで、人間が生命活動を行う上で必要なエネルギーを生成するのに重要な役割を担っています。コエンザイムQ10はエネルギー生産が行われる、細胞のミトコンドリア[※2]に存在しており、特にエネルギーを多く消費する心臓の筋肉や骨格筋、肝臓、腎臓など、生命活動を維持するうえで欠かせない部位に多く分布しています。

また、コエンザイムQ10は強力な抗酸化力[※3]をもち、細胞膜[※4]を酸素から保護する働きや酸素の利用効率を高める働きがあります。活性酸素は生活習慣病予防や老化の原因のひとつとされています。

コエンザイムQ10は人間の体内にもともと存在し体内でも合成される成分ですが、その量は20歳代にピークを迎え、特に40代を超えたあたりから急激に減少するといわれています。コエンザイムQ10が体内から減少すると、エネルギーの産生が衰えるため疲れやすくなったり、免疫力の低下、肩こり、肌の老化現象にもつながることから、体内へ素早く行き渡るナノ(超微細化)コエンザイムQ10は健康を維持するため積極的に摂取したい成分といえます。

●ナノ(超微細化)コエンザイムQ10の歴史
コエンザイムQ10は1957年にアメリカのウィスコンシン大学のクレイン博士らによって牛の心臓細胞内のミトコンドリアから単離[※5]された脂溶性の補酵素で、クレイン博士らによりコエンザイムQ10と命名されました。翌年の1958年にはイギリスのモートンらがビタミンA欠乏ラットの肝臓から得られた物質がコエンザイムQ10と同一であることを報告し、キノンであることからユビキノンと名付けました。同年、カール・フォルカー教授によってコエンザイムQ10とユビキノンが同一成分であることが確認されるとともに、ビタミンと似た働きを持つビタミン様物質[※6]であることがわかったため、ビタミンQとも呼ばれるようになりました。また、このカール・フォルカーによってビタミンQの化学構造も解明されました。その後1970年代に入ると臨床試験[※7]用のコエンザイムQ10の生成技術が開発され、1980年代にはコエンザイムQ10の臨床研究が活発に行われるようになり、日本では心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの治療薬として使用されるようになりました。2001年には食品成分として認可されたことから、コエンザイムQ10はサプリメントにも幅広く利用されるようになり、現在ではナノレベルまで細かくしたナノ(超微細化)コエンザイムQ10もサプリメントの成分として利用されています。

[※1:補酵素とは、消化や代謝で働く酵素を助ける役割をするものです。]
[※2:ミトコンドリアとは、細胞内の構造のひとつで、生命活動に必要なエネルギーを作り出す役目を担っています。]
[※3:抗酸化力とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ力です。]
[※4:細胞膜とは、細胞の内外を隔てる膜のことです。細胞膜があることにより、細胞内部の環境を一定に保つことができます。また特定の物質以外侵入させないためのバリア機能もあります。]
[※5:単離とは、様々なものが混合している状態から、特定の要素のみを取り出すことです。]
[※6:ビタミン様物質とは、ビタミン類には含まれず、ビタミンと似た働きを持つ栄養素の総称です。]
[※7:臨床試験とは、厚生労働省による承認前の薬剤(医薬品候補)などを、実際に、患者や健康なヒトに投与することにより、安全性(副作用の有無、副作用の種類、程度、発現条件など)と有効性(効果、最適な投与量・投与方法)を確かめる目的で行われる試験のことです。]

ナノコエンザイムQ10の効果

●エネルギーを生成する効果
ナノ(超微細化)コエンザイムQ10は補酵素としてエネルギーの生成に必要な成分です。細胞のミトコンドリアには電子伝達系[※8]が存在し、そこで食事から摂った糖質、脂質、タンパク質に含まれる水素と、呼吸から取り入れた酸素が結合し水になる際に多くのエネルギーがつくられます。ミトコンドリアに存在するコエンザイムQ10は、このエネルギーを作るための化学反応において酵素の働きを助ける補酵素の役割を担っています。

●美肌効果
ナノ(超微細化)コエンザイムQ10には若々しい肌を保つとともに、しわやたるみなどを改善する効果があります。しわやたるみなどの肌の老化現象は、コラーゲンの減少によって引き起こされます。人間の体は、約15%がたんぱく質によって構成されており、その中の約30%を占めるのがコラーゲンです。コラーゲンは肌の弾力を保つ上で欠かせない成分で、約40%は皮膚に存在しています。コエンザイムQ10には、コラーゲンをつくり出す皮膚の細胞を活性化させる働きがある他、肌のターンオーバー[※8]を整える働きもあります。
また、ナノ(超微細化)コエンザイムQ10には抗酸化作用があることから、紫外線などのダメージから肌を守る働きがあります。

●心疾患を予防する効果
ナノ(超微細化)コエンザイムQ10には心疾患を予防する効果があります。人間の体内では、心臓が特に多くのエネルギーを必要とするといわれています。そのため、心臓に存在するコエンザイムQ10は、他の器官に比べ約2倍と高濃度に含まれているといわれています。心疾患を持つ患者がコエンザイムQ10を摂取することで、運動機能や生活の質や快適性が改善されたとの研究報告もあります。

[※8:電子伝達系とは、生体の酸化還元の過程で、酸化還元酵素を介して電子の受け渡しが一定の順序で進行する系およびその酵素系です。]
[※9:ターンオーバーとは、肌が生まれ変わる周期のことです。ターンオーバーは20歳頃までは28日前後で生まれ変わるといわれていますが、ターンオーバーは年齢とともに遅れていき、40歳を過ぎると40日以上かかるようになります。年齢とともに肌の透明感やハリが失われる原因のひとつです。]

こんな方におすすめ

○疲労を回復したい方
○美肌を目指したい方
○いつまでも若々しくいたい方
○生活習慣病を予防したい方
○免疫力を向上させたい方

コエンザイムQ10の研究情報

【1】コエンザイムQ10 は体のいたるところに存在しますが、20歳前後をピークに減少します。特に心臓や腎臓での減少が激しく、コエンザイムQ10 を摂取することの必要性が求められています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2779364

【2】コエンザイムQ10 はビタミンE とともに存在していると、まずコエンザイムQ10 から消費され、完全に使用された後、ビタミンE が使用されるため、コエンザイムQ10にはビタミンE を保護する働きが示されています。またコエンザイムQ10 は酸化型ビタミンE を再度還元し、ビタミンE に戻す働きもあります。この働きにより、コエンザイムQ10 にはビタミンE の抗酸化力をサポートする働きがあります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2097322

【3】本態性高血圧患者においてコエンザイムQ10 を摂取させた研究(3件、96名)では、1日100-120mg のコエンザイムQ10 を摂取させると、収縮期血圧と拡張期血圧をともに低下させました。このことより、コエンザイムQ10 に高血圧予防効果が期待されます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19821418

【4】うっ血性心不全患者79名において、コエンザイムQ10 を1日100mg 、3カ月間を摂取したところ、最大運動能力が増大し、また生活の質の指標であるQOL も改善が見られました。これらの結果より、コエンザイムQ10 に心疾患患者の運動能力改善に役立つことが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9420639

【5】心不全患者2664名において、コエンザイムQ10 を100mg 、3カ月間摂取したところ、チアノーゼや浮腫、肺浮腫、肝臓障害、呼吸困難、動悸、発汗、不眠、めまいなどの改善が見られました。またこれらの症状改善がもとで、生活の質や快適さの指標であるQOL が改善したことも確認できました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7752841

【6】狭心症患者12名において、コエンザイムQ10 を1日150 mg を4週間摂取したところ、狭心症の頻度を抑えることができました。コエンザイムQ10 摂取後の血中コエンザイムQ10 の濃度が上昇しており、この結果よりコエンザイムQ10 が狭心症の予防や治療に役立つことが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3927692

【7】心不全患者39名において、コエンザイムQ10 を1日150mg 、3カ月間摂取させたところ、運動能力において改善が見られました。この結果より、心不全患者における運動能力改善作用が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18705154

【8】収縮期高血圧患者83名において、コエンザイムQ10 を1日60mg 、12週間摂取したところ収縮期血圧が低下しました。この結果より、コエンザイムQ10 が高血圧予防効果が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11780680

【9】コエンザイムQ10 を用いた血管内皮細胞における効果を調査した研究(5件、194名)において、血流に比例した血管拡張作用が認められました。今回の研究により、コエンザイムQ10 は血管拡張作用を有し、高血圧の予防に役立つと示唆されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22088605

【10】Ⅱ型糖尿病及び脂肪血症患者74名に、コエンザイムQ10 を1日200mg を摂取させたところ、血中のコエンザイムQ10 の濃度が3倍に増加し、収縮期血圧ならびに糖尿病の指標となる糖化ヘモグロビンが減少しました。これらの結果より、コエンザイムQ10にはⅡ型糖尿病患者における高血圧や高血糖を予防する働きが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12428181

【11】初期パーキンソン病患者80名において、コエンザイムQ10 を1200mg 、16カ月間摂取させたところ、パーキンソン病による脳機能低下を抑制されることが確認されました。
この結果より、コエンザイムQ10 にパーキンソン病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12374491

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参考文献

・中村丁次監修 最新版からだに効く栄養成分バイブル 主婦と生活社

・中嶋洋子 完全図解版 食べ物栄養事典 主婦の友社

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