ひえ

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ひえとはやせた土地でも育ち、飢饉の時に多くの人を救ったミネラルと食物繊維が非常に豊富な雑穀です。グレーがかかった白い実で白米に混ぜる以外に昔はみそ、しょうゆ、焼酎などの原料に利用されてきました。白米に比べて、食物繊維やマグネシウム、鉄分やカリウムが豊富に含まれていることが特徴です。

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ひえとは

●基本情報
ひえとは、縄文時代から食べられている日本で最も古い雑穀でイネ科の穀類です。
日本ではうるち種がよく栽培されています。
やせた土地や気候が寒冷な土地でも育ち、名前は「冷えに耐える」という性質が由来しています。
冷害や干ばつ、酸性土壌や塩害にも強く、やせた土地でもしっかりと育ち、あくが強いため30~40年は保存できる優れものです。
色は白っぽく、いびつな形をしていて、大きさは1~1.5mmくらいです。
ほかの雑穀や穀類と比較すると亜鉛食物繊維の量が多いことが特徴的です。カリウムも多いため、ミネラルの補給に最適です。栄養価は高いですが、粘り気がなく、ぱらぱらとした食感ですが、食べ続けるとぼそぼそしています。
近年は食物アレルギー対策の雑穀として人気があり、栄養価も高く、ミネラルや食物繊維が豊富な点に関心が集まっています。
精白して米と一緒に炊いたり、粉にしてお菓子に加工することが一般的です。
アクが強いためひえは虫がつきにくく、長期保存が可能です。またひえ単独で炊くにはアク抜きが必要です。

●ひえの特徴
ひえはグレーがかかった白い実で、白米に混ぜる以外に、昔はみそやしょうゆ、焼酎などの原料に利用されていました。
白米に比べて、食物繊維は約8倍、マグネシウムは約5倍と多く含まれており、鉄分についても約2倍、カリウムは約3倍含まれており、栄養が豊富に含まれていることがわかります。

●ひえの日本での利用
ひえが栽培化されたのは、日本列島を含む東南アジア領域といわれています。日本列島、朝鮮半島、中国東北部といった東南アジアを中心に栽培されています。
日本ではかつて主食穀物として食べられていましたが、昭和時代に米の増産に成功したことで消費と栽培が年々減少しています。現代の日本ではダイエット食品や小鳥のえさなど飼料用としての利用があります。最近は食物繊維やミネラルが豊富なことから健康食品としても見直されているのです。
また、増加しつつある米や小麦に対する食物アレルギーをもつ人のための主食穀物としての需要も期待されています。

●ひえの炊き方
ひえやあわなどは雑穀と呼ばれ、白米に混ぜて炊くことがおすすめです。ひえは栄養素がたっぷり詰まった胚芽や皮の部分をそのまま残して使用します。そのため、精白米では失われてしまうビタミンやミネラルを豊富に含みます。雑穀はそのまま食べるとアクやクセが強いことが難点ですが、白米を炊くときに混ぜる方法なら手軽に摂取することができます。

●ひえの調理法
日本における主食としての調理法は「ごはん系」「おかゆ系」「しとぎねりもち系」の3系統が主流です。
・ごはん系  そのまま単独で炊飯する他に、米や他の雑穀と混炊するほか、コンブや大根を混ぜて炊きます。ただ、粘りが無くモソモソした舌触りなので、喉につかえやすいです。そこで食べやすくするために味噌汁をかけるか、摩り下ろしたヤマノイモをかけるなどの工夫が必要です。
・おかゆ系 そのまま粥に炊きます。他に、おからを入れて粥に炊く方法もあります。
・しとぎねりもち系 精白したヒエを製粉し、水で練ったものを囲炉裏の灰に埋め、焼いて食べる調理法です。
・その他 マタギの携行食としての「つつくるみ」など、いくつか特殊な調理法が知られます。

ひえの効果

●腸内環境を整える効果
ひえには食物繊維が多く含まれています。食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つに分けられ、ひえに多く含まれる食物繊維は不溶性食物繊維です。また不溶性食物繊維は腸の働きを活発にさせ、腸内環境を整えるという効果・効能があります。消化吸収を受けず腸まで届き、便のかさを増やすことで腸のぜん動運動を活発にするのです。これにより、腸から便を押し出す働きが生まれ、便秘を解消します。【2】

●細胞の機能を維持する効果
ひえには食物繊維と並んで、ミネラルも多く含まれています。ミネラルの中でも特に多く含まれているのが亜鉛です。亜鉛は細胞全体の生まれ変わりのために必須の成分です。細胞の生まれ変わりにより、皮膚や骨の新陳代謝を活発にして、発育を促します。若々しい体を保つために大切な成分です。不足すると味覚や視覚などに異常をきたす場合があります。【3】

●美肌効果
ひえは不溶性食物繊維を多く含んでいることから腸の中をきれいにします。それにより肌荒れやにきびなど美容面でのお悩みにも働きかけます。にきびや肌荒れの原因のひとつに便秘があげられますので、ひえを摂ることで腸からの健康をサポートすることができ、それが美肌効果につながります。

ひえはこんな方におすすめ

○腸内環境を整えたい方
○いつまでも若々しくいたい方
○美肌を目指したい方

ひえの研究情報

【1】リノール酸由来の過酸化脂質の生成に対してひえ抽出液が比較的強い活性を示すことがわかりました。さらに冷水抽出液の方がメタノール抽出液より強い活性を示したことがわかりました。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007007534

【2】成人男女20,630名において、性別や摂取栄養素、ライフスタイルと排便回数との関係を調査した結果、食物繊維の摂取量が多い人ほど、排便回数が多いことが確認され、食物繊維に腸環境を整えるはたらきが確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14972075

【3】偏食小児20名を対象にした二重盲検プラセボ比較試験で、亜鉛キレートを1日に体重1kgに対し1mg 、3カ月間摂取させたところ、プラセボ摂取群に比べて亜鉛摂取群では偏食の有意な改善が認められたことから、亜鉛は味覚を正常に保ち、食欲増進作用を持つことが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14978550

参考文献

・岡井(東) 紀代香、石田 絵美、中村 裕美子、藤原 みさと、岡井 康二 (2008) “日本産伝統雑穀類の抗酸化活性とラジカル消去活性” 産業医科大学雑誌 30(4), 375-389, 2008-12-01

・Sanjoaquin MA, Appleby PN, Spencer EA, Key TJ. (2004) “Nutrition and lifestyle in relation to bowel movement frequency: a cross-sectional study of 20630 men and women in EPIC-Oxford.” Public Health Nutr. 2004 Feb;7(1):77-83.

・Campos D Jr, Veras Neto MC, Silva Filho VL, Leite MF, Holanda MB, Cunha NF. (2004) “[Zinc supplementation may recover taste for salt meals].” J Pediatr (Rio J). 2004 Jan-Feb;80(1):55-9.

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