グーグルとは?
●基本情報
グーグルはカンラン科ミルラノキ属の植物でハーブの一種です。中近東からインド、バングラディッシュ、パキスタン近縁に自生しています。その樹脂は古くからインドの伝統医学アーユルヴェーダに用いられており、その歴史は3000年にもおよぶといわれています。高脂血症や動脈硬化[※1]、抗炎症作用、殺菌作用等様々な症状に効果的とされています。インドで長く親しまれてきたほか、近年アメリカなどでサプリメントとしても販売され、注目されています。
●グーグルの歴史
グーグルは古くから樹脂が薬として用いられてきました。その歴史は3000年ともいわれ、インドの伝統医学アーユルヴェーダにおいてとても重要なハーブとされています。グーグルはインドの言語サンスクリット語で「病気から守るもの」という意味を持つなど、インドでは伝承的にその有効性が知られてきた素材です。
●グーグルの機能性成分
近年グーグルの機能性成分の解明が進み、機能性成分として植物ステロール[※2]の一種グーグルステロンが発見されました。植物ステロールは植物の細胞を構成する成分のひとつで、広く植物に含まれています。豆類や穀類の胚芽に多く含まれることが特徴です。植物ステロールとコレステロールはどちらも脂質の一種ですが、植物ステロールは植物の細胞膜構成成分であり、コレステロールは動物の細胞膜構成成分です。コレステロールは体内で吸収されることに対し、植物ステロールはほとんど吸収されません。
●グーグルを摂取する際の注意点
グーグルの機能性成分グーグルステロンは性ホルモンに似た作用を持っています。そのため、妊娠中の方やホルモン治療を受けられている方は、グーグルの摂取が禁止されています。またセントジョーンズワートや高脂血症の治療薬を飲用されておられる方は、グーグルを飲用の際には、主治医にご相談いただくことをおすすめいたします。
[※1:動脈硬化とは、動脈にコレステロールや脂質がたまって弾力性や柔軟性がなくなった状態のことです。血液がうまく流れなくなることで心臓や血管などの様々な病気の原因となります。]
[※2:ステロールとは、植物由来の有効成分です。動物性食品に含まれるコレステロールによく似た化学構造をしており、健康維持に効果的な働きを持っています。]
グーグルの効果
●生活習慣病の予防・改善効果
グーグルには植物ステロールの一種、グーグルステロンが含まれています。
植物ステロールには血液中のコレステロール値を抑える働きがあります。その結果、動脈硬化や心筋梗塞、高コレステロール血症などの生活習慣病を予防するとされています。
コレステロールは小腸で胆汁酸からなるミセルに包まれて体に吸収されます。植物ステロールはコレステロールがこのミセルに入り込むことを抑えることで体へのコレステロールの吸収を抑えてくれます。
植物ステロールのグーグルステロンにも同様の作用を持っており、高脂血症など生活習慣病の予防に役立ちます。【1】【4】●美肌効果
グーグルは抗菌作用を持っています。特にニキビの原因菌のひとつ、アクネ菌の増殖を抑えるはたらきをもっています。またグーグルに含まれている成分トリヘプタインは、エラスチンの分解を抑制するはたらきをもっており、ニキビの予防や美肌効果が期待されています。【2】●炎症や痛みを抑制する効果
グーグルに含まれているグーグルステロンは炎症促進物質の働きを抑制する働きを持っています。
グーグルは、関節炎の予防や皮膚炎の予防に有益であると考えられています。【3】
●関節痛の症状を緩和する効果
グーグルは抗炎症作用を持っており、関節痛の予防に役立つと考えられています。【5】
グーグルはこんな方におすすめ
○生活習慣病を予防したい方
○美肌を目指したい方
○関節痛を緩和したい方
グーグルの研究情報
【1】グーグルとその成分の一つであるグーグルステロンは、LDLコレステロールの酸化を抑制する働きがあること、また脂質過酸化を抑制する働きがあることが分かりました。そのため、アテローム硬化症に対し、有効である可能性が考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15019533
【2】ググルトリヘプタノイン(GU-TC7)は、皮膚細胞(CCL-110)の線維をエラスターゼの発現を抑制することから、グーグルは美肌効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22084831
【3】グーグルからの抽出物は、脂質過酸化を抑制し、また、シクロオキシゲナーゼを抑制することで、抗炎症作用を有することが分かりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17191820
【4】グーグルから抽出したグーグルステロンを飲用した糖尿病誘発マウスの血糖値、高脂質血しょうを抑制しました。また、PPARγの活性化を促しました。また、マウス線維芽細胞3T3-L1細胞がグーグルステロンを加えた結果、脂肪細胞に分化することを防ぎました。このことから、グーグルステロンは、Ⅱ型糖尿病に対し、有効である可能性が考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19635521
【5】変形性関節症患者の方30名にグーグル抽出物を500㎎×3回/日を1カ月間飲用した結果、WOMAC指標を有意に改善したことがわかりました。このことからグーグル抽出物は、変形性関節症の症状減少する働きがあることが考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12776478
参考文献
・A・シェヴァリエ 世界薬用植物百科事典 誠文堂新光社
・田中平三 健康食品のすべて-ナチュラルメディシンデータベース- 同文書院
・Wang X, Greilberger J, Ledinski G, Kager G, Paigen B, Jürgens G. (2004) “The hypolipidemic natural product Commiphora mukul and its component guggulsterone inhibit oxidative modification of LDL.” Atherosclerosis. 2004 Feb;172(2):239-46.
・Ramachandran C, Quirin KW, Resek A, Melnick SJ. (2012) “Protective and restorative effects of a Commiphora mukul gum resin and triheptanoin preparation on the CCL-110 skin fibroblast cell line.” Int J Cosmet Sci. 2012 Apr;34(2):155-60. doi: 10.1111/j.1468-2494.2011.00695.x. Epub 2011 Dec 6.
・Francis JA, Raja SN, Nair MG. (2004) “Bioactive terpenoids and guggulusteroids from Commiphora mukul gum resin of potential anti-inflammatory interest.” Chem Biodivers. 2004 Nov;1(11):1842-53.
・Sharma B, Salunke R, Srivastava S, Majumder C, Roy P. (2009) “Effects of guggulsterone isolated from Commiphora mukul in high fat diet induced diabetic rats.” Food Chem Toxicol. 2009 Oct;47(10):2631-9.
・Singh BB, Mishra LC, Vinjamury SP, Aquilina N, Singh VJ, Shepard N. (2003) “The effectiveness of Commiphora mukul for osteoarthritis of the knee: an outcomes study” Altern Ther Health Med. 2003 May-Jun;9(3):74-9.