チアシード

チア、Chia、Salvia hispanica

チアシードとは、シソ科の植物であるチアの種子です。色は黒褐色をしており水分を含むと周囲にゼリー状の膜を形成するのが特徴です。また食物繊維やオメガ3脂肪酸を多く含むことから腸内環境を整えるほか、様々な健康機能が期待されています。

チアシードとは?

●基本情報
チアシードは、メキシコ原産のシソ科ミント属サルビアの植物の種子です。チアシードの学名はSalvia hispanicaと言い、種名のSalviaは「save」の「救う」を意味しています。このチアシードは1mmほどの大きさの黒褐色の種子で吸水性を持っており、水分を含むと周りにゼリー状の膜を生成し膨張します。このことからチアシードは胃腸内で水分を含んで膨張するので膨満感を得やすいと言われています。チアシードには不溶性食物繊維[※1]が含まれるため整腸作用があると言われています。そのほかにも、チアシードは必須脂肪酸[※2]のα-リノレン酸が豊富に含まれているため、生活習慣病[※3]の予防にも有益であると言われています。またカルシウム鉄分亜鉛マグネシウムなどのミネラルを豊富に含んでおり、骨粗しょう症[※4]や味覚障害、免疫力の向上にも効果的と言われています。このような様々な健康成分がバランスよく配合されているチアシードは近年アメリカを中心に使用されるようになり、飲み物などに入れて飲まれています。そのため需要がとても多くなり、現在では主に南米で栽培されるようになりました。

●チアシードの歴史
チアシードは中央メキシコでは、紀元前1000年頃から古代マヤ・アステカではとうもろこし、豆類などともに主要食物として摂取されていました。そのため、メキシコの先住民族には心臓病、高血圧、糖尿病[※5]が少なかったとの伝承があったといわれていますが、16世紀にスペインの征服により、この食文化は途絶えました。しかし近年、チアシードは栄養バランスに優れているほか、ミネラルが豊富に含まれていることがわかったため、アメリカを中心として世界中で需要が増え、南米を中心に有機栽培が行われるようになったといわれています。

[※1:不溶性食物繊維とは、便のかさを増やして、腸を内側から刺激し、腸の動きを活発させる働きのある食物繊維のことです。飲み込んだ時の形をほとんど変えず、消化・吸収されずに腸まで移動します。]
[※2:必須脂肪酸とは、体内で他の脂肪酸から合成できないために食品から摂取する必要がある脂肪酸のことをいいます。]
[※3:生活習慣病とは、病気の発症に、日頃の生活習慣が深く関わっているとされる病気の総称です。糖尿病、脳卒中、脂質異常症、心臓病、高血圧、肥満などが挙げられます。]
[※4:骨粗しょう症とは、骨からカルシウムが極度に減少することで、骨の内部がスカスカになった症状であり、非常に骨折しやすくなることで知られています。高齢者に多い症状で、日本では約1000万人の患者がいるといわれており、高齢者が寝たきりになる原因のひとつです。]
[※5:糖尿病とは、インスリンの不足などによって糖代謝がうまくいかなくなる病気です。もともとインスリンが不足している場合と、年齢や生活習慣によってインスリンが不足していく場合があります。]

チアシードの効果

●腸内環境と整える効果
チアシードには腸内環境を整える効果があるといわれています。腸内には善玉菌[※6]や悪玉菌[※7]などが存在していますが、善玉菌や善玉菌のえさとなるような成分を摂取しなければ腸内バランスが崩れて体全体に変調をきたしてしまいます。 チアシードには豊富に食物繊維が含まれており、特に不溶性の食物繊維が豊富に含まれております。不溶性食物繊維には、腸内環境を整える効果があるといわれています。このため食物繊維が豊富なチアシードは、腸内環境を整える効果を持つと期待されています。

●骨粗しょう症を予防する効果
骨粗しょう症は、各部位の骨の密度が減少し骨がもろくなり骨折しやすくなる病気で、閉経後の女性や高齢の人に多いとされています。骨粗しょう症で骨量が少なくなり大腿骨などを骨折すると、日常生活に支障をきたすことが多くなるので早期診断が重要と言われています。骨粗しょう症の原因の一つとしてカルシウム不足があげられます。 チアシードにはカルシウムが豊富に含まれていることから、チアシードを摂取することで骨粗しょう症の予防に役立つのではないかと考えられています。

●生活習慣病の予防・改善効果
チアシードには不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸が豊富に含まれています。 α-リノレン酸は、魚油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)などと同様にω-3脂肪酸に分類されます。特にα-リノレン酸はDHAやEPAを体内で合成するために必要になります。しかし、α-リノレン酸は人間の体ではつくることができないため、食品から摂取する必要がある必須脂肪酸に指定されています。これらω-3が不足すると、生活習慣病のほか、脳や神経、皮膚などに異常が現れるといわれています。 チアシードはα-リノレン酸を豊富に含むことから、生活習慣病の予防に役立つのではないかと考えられています。

●美肌効果
人間は腸から栄養を吸収するため、腸内環境が悪くなり悪玉菌が増加すると肌が荒れたり、吹き出物が出るようになるといわれています。チアシードには不溶性食物繊維が豊富に含まれているため、腸内環境を整える効果があるとされることから、肌の調子を整える効果があると考えられています。

[※6:善玉菌とは、人間の腸内に住む細菌の一種です。健康に役立つ働きを行っており、もともと大腸に住んでいる腸内ビフィズス菌や乳酸菌、腸球菌などが善玉菌といわれます。]
[※7:悪玉菌とは、ヒトの腸内に住む細菌の一種です。増えすぎると体に悪い影響を及ぼすと考えられており、ウェルシュ菌、ブドウ球菌、緑膿菌などが悪玉菌といわれます。] ​

こんな方におすすめ

○美肌を目指したい方
〇スリムな体型を目指したい方
〇肥満を防ぎたい方
〇ついつい食べ過ぎてしまう方
〇血圧が高い方
〇糖尿病を予防したい方
〇血流を改善したい方

チアシードの研究情報

【1】過食肥満ラットにチアオイルとチアシードを飲ませ時のヒートショックプロテインと関連するパラメータについて実験を行いました。チアオイルとチアシードオイルともにインスリン耐性とグルコース耐性に対して改善を示しました。この結果、過食肥満ラットに対して肥満によって引き起こされるグルコース不耐性や酸化ストレスに対しての改善効果が期待できます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25837222

【2】チアシードの粉を飲んだ時の血圧と心血管代謝とについて調査しました。チアシードの粉を35g、12週間摂取した時に、プラセボ群には血圧の変化はなかったが、摂取群の平均血圧は下がっていました。このことは高血圧の患者に対して血圧を下げる効果が期待できます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25403867

【3】チアシードを健常人が摂取した時の食後の血糖を影響について試験を行いました。結果、血中グルコースレベルを減少させる効果が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23778782

参考文献

・東洋医学舎 健康・栄養食品事典 機能性食品・特定保健用食品 林輝明 吉川雅之

・Marineli Rda S, Moura CS, Moraes ÉA, Lenquiste SA, Lollo PC, Morato PN, Amaya-Farfan J, Maróstica MR Jr. (2015) “Chia (Salvia hispanica L.) enhances HSP, PGC-1α expressions and improves glucose tolerance in diet-induced obese rats.” Nutrition. 2015 May;31(5):740-8.

・Toscano LT, da Silva CS, Toscano LT, de Almeida AE, Santos Ada C, Silva AS. (2014) “Chia flour supplementation reduces blood pressure in hypertensive subjects.” Plant Foods Hum Nutr. 2014 Dec;69(4):392-8.

・Ho H, Lee AS, Jovanovski E, Jenkins AL, Desouza R, Vuksan V. (2013) “Effect of whole and ground Salba seeds (Salvia Hispanica L.) on postprandial glycemia in healthy volunteers: a randomized controlled, dose-response trial.” Eur J Clin Nutr. 2013 Jul;67(7):786-8.

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