ゼアキサンチン

zeaxanthin

ゼアキサンチンは、緑黄色野菜に多く含まれているカロテノイドの一種です。
強力な抗酸化作用を持ち、人間の体内ではルテインとともに目の黄斑部に存在しているため、黄斑変性症や白内障の予防に対する効果が期待されています。

ゼアキサンチンとは

●基本情報
ゼアキサンチンとはカロテノイドの一種で、橙色から黄色を示す脂溶性[※1]の色素成分です。
カロテノイドとは自然界に600種類以上存在する赤色から黄色の天然色素の総称であり、β-カロテンなどのカロテン類と、ルテインやゼアキサンチンなどのキサントフィル類に分類されます。
ゼアキサンチンはキサントフィル類に属しており、パプリカほうれん草などの緑黄色野菜や、とうもろこしパパイヤ、乾燥したスピルリナなどに豊富に含まれています。
ゼアキサンチン(zeaxanthin)という名前の由来は、ゼアキサンチンを豊富に含んだ、とうもろこしの学名ジーメイズ(zea mays)に由来しているといわれています。
ゼアキサンチンは人間の体内において、目の黄斑部や水晶体などにルテインとともに存在しており、600種類以上存在するカロテノイドの内、網膜の黄斑部に存在しているカロテノイドは、ゼアキサンチンとルテインだけだといわれています。

●ゼアキサンチンの働き
ゼアキサンチンは、強力な抗酸化作用[※2]を持つ成分であり、人間の体内においてはルテインとともに黄斑部に存在することで、目の健康維持に深く関与しています。
黄斑部とは、網膜の中心部であり、直径2mm、厚さ0.2mmほどの非常に小さな部位です。
目をカメラで例えると、黄斑部はフィルムの役割を担っている部分であり、外界から入射してきた光が角膜と水晶体を通して屈折した後、像を結ぶ場所となっています。
黄斑部は眼球で最も光が集まる部分であり、視力を支えている非常に重要な部位です。
ゼアキサンチンの持つ抗酸化作用は、黄斑部を光のダメージから守る働きがあります。
光には、紫外線を含む日光や蛍光灯、パソコン、テレビなどから発せられる青色の光(ブルーライト)があり、それらは活性酸素[※3]を発生させる一因となります。
特に青色の光(ブルーライト)は、光の波長が短く、力の強い光であるといわれており、目に与えるダメージも強大であるため、光の集まりやすい黄斑部は、活性酸素が増加しやすい部分であるといえます。
ゼアキサンチンはルテインとともに、黄斑部を活性酸素から守る働きがあります。
ゼアキサンチンは、数ある活性酸素の中でも特に細胞に対する攻撃性が強い一重項酸素に対して、非常に強い抗酸化作用を持つことが分かっています。
また、ゼアキサンチンは紫外線や有害な青色の光(ブルーライト)を吸収する働きも持っており、目の健康維持には不可欠な栄養素として、ゼアキサンチンの必要性を重視する見方が強まっています。

●ゼアキサンチンの摂取方法
ゼアキサンチンはもともと人間の体内に存在する成分ですが、体内で合成することはできません。
しかし、ゼアキサンチンは黄斑部がダメージを受けることによってどんどん消費されていきます。
黄斑変性症や白内障のような、加齢によって起こり得る眼病は、ルテインやゼアキサンチンが体内から不足することも一因になると考えられており、ゼアキサンチンは食品やサプリメントなどから積極的に補う必要がある成分です。
ゼアキサンチンは脂溶性の成分であるため、緑黄色野菜から摂取する場合には、調理の際に油を使用するとゼアキサンチンが油に溶け込み、体内への吸収が良くなると考えられています。
また、ゼアキサンチンは活性酸素を除去すると自身が酸化してしまいますが、ビタミンCなどの水溶性[※4]の抗酸化物質を一緒に摂取することで、一度失われた効果が戻ることが明らかとなっています。

<豆知識>ゼアキサンチンとルテインの関係
ゼアキサンチンとルテインは構造が似ている成分で、ルテインは生体内で代謝[※5]によって必要量のゼアキサンチンにつくり変えられます。
ゼアキサンチンは、ルテインの構造異性体[※6]であり、黄斑部でゼアキサンチンと同様の働きを示すといわれている成分です。
ルテインがメソゼアキサンチンに変換されることから、ゼアキサンチンはルテインと同じ働きを持つと考えられていましたが、近年、ゼアキサンチンとルテインは存在している場所が少し異なることが明らかとなり、両者が持つ働きが異なっている可能性も考えられています。

[※1:脂溶性とは、油に溶けやすい性質のことです。]
[※2:抗酸化作用とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ作用です。]
[※3:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素です。体内で過度に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化の原因になるとされます。]
[※4:水溶性とは、水に溶けやすい性質のことです。]
[※5:代謝とは、生体内で物質が次々と化学的に変化して入れ替わることです。また、それに伴ってエネルギーが出入りすることを指します。]
[※6:構造異性体とは、異性体の一種です。分子式は同じですが、構造が異なる成分同士のことを指します。]

ゼアキサンチンの効果

●黄斑変性症を予防する効果
ゼアキサンチンはルテインとともに働くことで、黄斑変性症を予防する効果があるといわれています。
黄斑変性症とは、加齢や活性酸素などの原因で視力が低下してしまう病気で、65歳以上の人が失明する大きな原因のひとつでもあると考えられています。
黄斑部には、光を受け止めるための細胞が何百個も存在していて、その多くの細胞が光を直接受け止めていますが、光を多く受け止めるということは、その分酸化しやすいことを示します。
光によってダメージを受けた黄斑部は変性し、物体の大きさや色彩などが違って見えたり、さらには物が動いたり曲がったように見えるようになります。症状が悪化すると、視野の中心に黒い点が現れるようになり、やがて失明状態になります。
ゼアキサンチンが持つ強力な抗酸化作用は、黄斑部で発生した活性酸素によるダメージを抑制します。
また、紫外線や青色の光(ブルーライト)を吸収する働きを持つため、黄斑変性症を予防する効果につながっているのです。
なお、黄斑部にはゼアキサンチンとともにルテインが存在していますが、ゼアキサンチンは黄斑部の中心部に存在し、ルテインは黄斑の周辺部に存在しています。
両者の存在部位が異なることから、黄斑部の中心部に存在しているゼアキサンチンの方が、より黄斑変性症の予防に効果的である可能性が2003年に行われた研究により示唆されています。
また、脂質の酸化を防止する作用については、ゼアキサンチンが他のカロテノイドよりも優れていることが報告されており、特に体内における酸化に関与しているペルオキシ亜硝酸塩[※7]という物質に対する防御作用も確認されています。
1994年には、ハーバード大学のセッドン博士によって、黄斑変性症の患者356名、その他の眼科患者520名を対象に食事調査が行われました。この調査によると、ゼアキサンチンとルテインを多量に摂取していた患者と、少量摂取していた、または摂取していなかった患者とでは黄斑変性症の罹患率に43%もの差があったと報告されています。この結果を受けて、ゼアキサンチンの1日の摂取量は6mgが適量であるとされました。
また、最近の研究では、2007年にアメリカにて、4000人以上を対象とした6年間の大規模な試験の結果でゼアキサンチンとルテインを摂取していると、黄斑変性症のリスクが低くなるというデータが得られています。【1】【2】【3】【4】【13】

●白内障を予防する効果
ゼアキサンチンは、白内障の予防に効果的であるといわれています。
白内障とは、水晶体が活性酸素によって白く濁って徐々に見えづらくなってしまう病気です。
水晶体は赤ちゃんの頃はきれいな透明ですが、加齢や光のダメージなどによって酸化を起こすことで、周辺部から水晶体の中心部に向かって、徐々に白濁していきます。そして、一度白くなった部分は、二度ともとの透明な状態には戻りません。
カメラで例えると、レンズに汚れや濁りが存在する場合、写りが悪くなります。同様に、白内障の進行とともに視界のかすみや視力の低下が症状として現れてくるのです。
病気の自覚症状や進行速度には個人差がありますが、顕微鏡を通して水晶体を検査すると、40歳を過ぎた頃から誰にでも水晶体に濁りが生じるといわれています。60歳代では約70%、80歳代では、ほぼ全ての人にその症状が現れ、白内障は世界の失明原因の第1位であるといわれています。
ゼアキサンチンは強力な抗酸化作用を持つため、活性酸素による水晶体の酸化に対しても有効であると考えられています。
なお、ゼアキサンチンやルテインを豊富に含む緑黄色野菜の摂取頻度が高まると、それに比例して白内障発症のリスクが抑えられることも明らかとなっています。【5】【7】

[※7:ペルオキシ亜硝酸塩とは、活性酸素と反応して生じる物質のひとつです。DNAを損傷し、突然変異やガンを誘発する作用を持ちます。]

食事やサプリメントで摂取できます

ゼアキサンチンを含む食品

○パプリカ、ほうれん草などの緑黄色野菜
○とうもろこし
○パパイヤ
○マンゴー
○スピルリナ

こんな方におすすめ

○黄斑変性症を予防したい方
○白内障を予防したい方

ゼアキサンチンの研究情報

【1】ルテインやゼアキサンチンは、紫外線や青色光による網膜色素上皮細胞の炎症反応を調節することによって、AMDなどのリスクを抑えることに役立ちます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22732187

【2】強度近視のヒトを除いて、日本人では、ルテインを摂取することで、黄斑色素濃度が上昇することがわかり、またゼアキサンチンと併用することで、より一層そのはたらきが強くなることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22699751

【3】メソゼアキサンチンとルテインとゼアキサンチンの3種のカロテノイドを摂取することで、黄斑色素濃度を改善することが確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22652809

【4】ルテインやゼアキサンチンは、サプリメントや食品として摂取することで、眼の黄斑色素濃度の改善に役に立つことが確認できました。とくに黄斑色素濃度が低いヒトにとって、より良さを実感できると考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22313522

【5】ルテインとゼアキサンチンを摂取することで、活性酸素から水晶体を保護し、加齢性白内障に対するリスクを減らす可能性があることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22194644

【6】喫煙、BMI値、HDLコレステロール値などと、カロテノイドのレベルは関係していることが分かっています。その中でルテインとゼアキサンチンの血漿レベルは、ナチュラルキラー細胞の割合と関連がありました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17134954

【7】ルテインは目の組織では水晶体と網膜黄斑部に多く存在することが知られています。
特に、ルテインの摂取量と白内障の発症率には関係があり、摂取量が少ないほど発症率が高いことが知られています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15640510

【8】ルテインやゼアキサンチンなどの黄斑色素は青色光に対するフィルターとしての作用があり、活性酸素や過酸化脂質を補足することで抗酸化作用を発揮し、目の健康を守ることがわかっています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15604618

【9】紫外線を浴びることによる白血球細胞の増加が、ルテインとゼアキサンチンを摂ることで緩和されました。合わせて紫外線による皮膚がんを抑制し、光による老化を防ぐ働きが確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17717424

【10】ルテインを摂取することにより紫外線照射による皮膚の脂質過酸化を抑制し、また光保護作用を示しました。この働きは、局所にルテインを塗布した場合よりも、長期飲用した場合のほうが健康効果は高いものでした。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17446716

【11】糖尿病網膜症患者では、体内でビタミンAに変換されないリコピンやルテイン・ゼアキサンチンが、ビタミンAに変換されるα-カロテンやβ-カロテン、β-クリプトキサンチンと比較して、低い濃度となっていました。特にこのバランスが変化することが、糖尿病性網膜症のリスクを高めるといわれており、ルテインやゼアキサンチンの重要性が示唆されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18554424

【12】糖尿病ラットにゼアキサンチンを摂取させると、糖尿病網膜症により引き起こされる新生血管が抑制されました。この結果より、ゼアキサンチンが糖尿病網膜症予防に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18385086

【13】黄斑変性症の患者356名とその他の患者との食事を比較してみると、ルテインとゼアキサンチンを多く摂取した患者では、黄斑変性症のリスクが43% ほど軽減されることがわかりました。このことからも、食事からゼアキサンチンを摂ることの大切さが確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7933422

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参考文献

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・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

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