ホエイたんぱく質

wheyprotein
ホエーたんぱく質 乳清タンパク濃縮物

ホエイたんぱく質とは、牛乳からカゼインや脂肪を取り除いた液体部分であるホエイに含まれるたんぱく質で、骨を丈夫にしたり、免疫機能を高める効果があります。ホエイたんぱく質は、低カロリー・低脂肪、さらに体内での吸収率が非常に良いため、丈夫な筋肉をつくる「理想のたんぱく質」と呼ばれています。

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ホエイたんぱく質とは

●基本情報
ホエイたんぱく質とは、牛乳からカゼイン[※1]や脂肪を取り除いた液体部分であるホエイに含まれるたんぱく質です。牛乳は2種類のたんぱく質に分けられ、牛乳からチーズをつくる際に、チーズとして固まるたんぱく質の約80%がカゼインで、残った搾り汁であるホエイに含まれる約20%がホエイたんぱく質です。
ホエイたんぱく質はラクトグロブリン[※2]、ラクトアルブミン[※3]、ラクトフェリンやカルシウムナトリウムなどを含みます。
ホエイたんぱく質は母乳に含まれており、母乳はカゼインが主成分の牛乳のたんぱく質とは構成が異なり、乳児に必要な栄養が凝縮されています。
ホエイたんぱく質は熱に弱いですが、水に溶ける性質を持ち、どのような液体にも適合できます。また、ホエイはヨーグルトの透明な上澄みとしても知られています。
ホエイたんぱく質は低カロリー・低脂肪、さらに数あるたんぱく質の中で、体内での吸収率が非常に良いため、丈夫な筋肉をつくる「理想のたんぱく質」と呼ばれています。ホエイたんぱく質は筋肉を酷使するボディービルダーやアスリートに人気があり、サプリメントなどに配合されています。
ホエイたんぱく質には、骨を丈夫にしたり、免疫機能を強化する効果もあります。

●ホエイたんぱく質の歴史
ホエイたんぱく質は1980年代まで、チーズを生成する過程に出る余りものとされ、ほとんどが捨てられていました。しかし、捨てられたホエイたんぱく質は豊富な栄養素を持つため、プランクトンが異常に繁殖し赤潮[※4]を発生させるなどの環境被害を発生させることもありました。
環境保護の法律が制定され、ホエイたんぱく質を活用しようと研究が進み、様々な健康効果が解明されるようになりました。
1990年代から、筋肉の強化を目的とした健康食品などにホエイたんぱく質が配合され、急速に普及しはじめました。現在、健康食品として販売されている多くのプロテインには、安価で品質の良いホエイたんぱく質が用いられています。

●ホエイたんぱく質を含む食品と摂取方法
ホエイたんぱく質はヨーグルトの上澄みなどに含まれますが、食品から摂取することは難しいため、サプリメントやプロテイン飲料から摂取する必要があります。
ホエイたんぱく質は筋肉を強化するための健康食品に配合され、また低脂肪で体内での吸収が早いためダイエット食品にも利用されています。
ホエイたんぱく質は体内での吸収率が非常に良く、1~2時間ほどで血中に取り込まれます。そのため、運動直後にホエイたんぱく質を摂取すると、筋肉の増強や疲労回復により効果的を発揮します。
ただし、一度に摂りすぎると過剰なエネルギーが脂肪に変換しやすくなるため注意が必要です。

●ホエイたんぱく質の過剰症
ホエイたんぱく質は、適切に摂取すれば基本的に副作用の心配はありません。
しかし大量に摂取すると、まれに吐き気やのどの渇き、食欲減退、疲労、頭痛などを引き起こす場合があります。また、牛乳アレルギーの方は摂取を控える必要があります。

●ホエイたんぱく質に含まれるラクトフェリンの働き
ホエイたんぱく質は、ラクトフェリンを多く含んでいます。
ラクトフェリンには、腸内のビフィズス菌などの善玉菌を増やす働きや、と結び付く性質により、鉄を栄養分として生存する細菌の増殖を抑制する働きがあるため、腸内環境を整える効果があります。
また、ラクトフェリンの強い抗菌効果が注目されており、胃ガンの原因にもなるピロリ菌や病原性大腸菌であるO-157などの腸内の悪玉菌などを減らす働きがあります。

[※1:カゼインとは、牛乳の80%を占める栄養価の高いたんぱく質です。]
[※2:ラクトグロブリンとは、アミノ酸が結合したホエイたんぱく質に含まれるグロブリンの総称です。]
[※3:ラクトアルブミンとは、血清アルブミンなどから構成されるホエイたんぱく質に含まれる成分です。]
[※4:赤潮とは、プランクトンの異常繁殖により、海や川が変色する現象です。]

ホエイたんぱく質の効果

●筋肉を修復する効果
ホエイたんぱく質には、筋肉を修復する効果があります。
ホエイたんぱく質は、体内で合成することのできない必須アミノ酸を多く含んでいます。必須アミノ酸とは、人間の筋肉を構成するたんぱく質を生成する重要な成分です。
ホエイたんぱく質を摂取し、体力トレーニングを行うと脂肪や体重が減少し、体力および筋肉が増強されたということもわかっています。
さらにホエイたんぱく質は、たんぱく質の中で最も多くBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)を含んでいます。BCAAは運動時のスタミナ源となったり、筋肉の疲労回復に働きかける効果があります。
また、ホエイたんぱく質はグリコーゲンの合成、貯蔵に関わる酵素を活性化することで、運動時のエネルギー源であるグリコーゲンの貯蔵を促します。
エネルギー源であるグリコーゲンが不足すると、スタミナを維持できず、体に疲れが生じます。
ホエイたんぱく質を含むエサを摂取したラットは、同じ牛乳に含まれるたんぱく質であるカゼインを含むエサを摂取したラットよりもグリコーゲンの貯蔵が多いことが分かっています。

●骨の健康を保つ効果
ホエイたんぱく質には、骨をつくる細胞を増やし、骨を破壊する細胞の働きを調節するMBPという成分が含まれるため、骨の健康を保つ効果があります。
雪印メグミルク㈱が商標登録しているMBPは、「骨の健康が気になる方に適する」という内容で特定保健用食品(トクホ)[※5]の表示許可を持っています。
さらにホエイたんぱく質は、骨にカルシウムをつきやすくし、また骨からカルシウムが溶け出さないように防ぐ働きがあります。
このようにホエイたんぱく質には骨の健康を保つ効果があります。

●免疫力を高める効果
ホエイたんぱく質は、サルモネラ菌[※6]や肺炎レンサ球菌[※7]などの感染症に高い予防効果を発揮します。同じく牛乳に含まれるカゼインは腸で酵素により分解され、素早く体内で利用されますが、ホエイたんぱく質はカゼインよりも分解しにくい構造をしています。そのため、腸管で本体の機能はそのままに、カゼインよりも長く留まることができるため、異物の侵入を防ぐことができます。
また、ホエイたんぱく質は細胞を活性酸素[※8]の攻撃から守り、体内の免疫システムに働きかけるグルタチオンを増加させ、免疫機能を強化する効果があります。
加齢とともにグルタチオンが減少すると、アルツハイマー病の発症や老化の促進を招きます。グルタチオンは食品で摂取すると胃や腸からの吸収が悪いため、体内でグルタチオンを増加させるホエイたんぱく質が注目されています。
ホエイたんぱく質はグルタミンの材料となります。
グルタチオンは、ウイルスや細菌などの異物から体を守ってくれる効果があるため、インフルエンザウイルスに対抗する働きやアレルギー症状の予防・改善も期待されています。
ホエイたんぱく質は、グルタチオンやグルタミンの生成に関わるなど免疫機能を強化し、免疫力を高める効果があります。

[※5:特定保健用食品(トクホ)とは、特定の保健の目的が期待できることを表示した食品のことです。身体の生理学的機能などに影響を与える保健機能成分(関与成分)を含んでいます。その保健効果が当該食品を用いたヒト試験で科学的に検討され、適切な摂取量も設定されています。また、その有効性・安全性は個別商品ごとに国によって審査されています。]
[※6:サルモネラ菌とは、食中毒の病原菌の一種です。生肉、特に鶏肉と卵から感染することが多く、激しい腹痛や、下痢、発熱、嘔吐などの症状を引き起こします。]
[※7:肺炎レンサ球菌とは、中耳炎や髄膜炎などを引き起こす病原菌です。]
[※8:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。体内で過剰に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]

食事やサプリメントで摂取できます

ホエイたんぱく質を含む食品

○ヨーグルトの上澄み

こんな方におすすめ

○筋肉を強化したい方
○スポーツをする方
○骨を強くしたい方
○免疫力を向上させたい方

ホエイたんぱく質の研究情報

【1】33名の健康な男性(73±2歳)を無作為に11名ずつ3グループに分け、L-[1-13C]フェニルアラニンで標識されたホエイタンパク質をそれぞれ10 g、20 g、35 g摂取させました。それぞれのグループでのホエイタンパク質の素早い消化・吸収が確認され、また、全身のタンパク質のバランスが改善されました。どちらも35 gの摂取において最も高い値が示されました。このことから、健康な男性において、35 gのホエイタンパク質摂取は、より高いアミノ酸吸収および筋タンパク質のデノボ合成を促進する効果があることが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22338070

【2】ホエイタンパク質0.02 mg/mlまたは0.1 mg/mlを骨芽細胞とともに培地に加えたところ、ホエイタンパク質は骨芽細胞の増殖および分化を促進しました。また、培地におけるオステオカルシン濃度とインスリン様成長因子1が増加しました。さらに、リアルタイム逆転写PCR法により、破骨細胞分化阻害因子の発現が増加したことが示されました。なお、0.1 mg/mlホエイタンパク質の培地に有意な影響が見られました。このことから、ホエイタンパク質の活性成分が骨芽細胞を活性化することにより、骨の形成および骨粗しょう症の治療に役立つ可能性が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19528578

【3】生後直後のラットに母乳の代わりに牛乳濃縮ホエイタンパク質を摂取させ、効果を調査しました。生後間もないラットの粘膜の細胞は通常と同じ組成を示しました。ところが、ホエイタンパク質の投与1日後、上皮と粘膜層の両方においてナチュラルキラー細胞の割合が高まり、腸の上皮細胞のCD8alphaalpha+抗体の増加が確認されました。これらの結果から、牛乳濃縮ホエイタンパク質は乳児期における粘膜性の先天性免疫を高める効果を持つことが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17922966

【4】ラットを無作為に8匹ずつ12グループに分け、試験しました。ラットに与える飼料中のタンパク質を普通のタンパク質10%のグループとホエイタンパク質45%のグループに分け、さらに筋力トレーニングの有無や、試験期間が1、2または3ヶ月間などの条件を組み合わせました。ホエイタンパク質摂取および筋力トレーニングを行ったグループは総コレステロール、HDLコレステロールおよびトリアシルグリセロールの血漿中濃度、食事摂取量、体重および体組成に有意に改善しました。さらに、ホエイタンパク質摂取は腎臓重量、尿量、尿の酸度およびカルシウムの尿中排出を大幅に増加させ、クエン酸の排出を減少させました。結論として、ホエイタンパク質摂取および筋力トレーニングは腎臓の健康状態と代謝機能を改善することが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21059282

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参考文献

・田中平三 健康食品のすべて-ナチュラルメディシンデータベース- 同文書院

・原山 建郎 著 久郷 晴彦監修 最新・最強のサプリメント大事典 昭文社

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・独立行政法人国立栄養研究所 “「健康食品」の安全性・有効性情報 「健康食品」の素材情報データベース”

・Pennings B, Groen B, de Lange A, Gijsen AP, Zorenc AH, Senden JM, van Loon LJ. 2012 “Amino acid absorption and subsequent muscle protein accretion following graded intakes of whey protein in elderly men.” Am J Physiol Endocrinol Metab. 2012 Apr;302(8): E992-9.

・Xu R. 2009 “Effect of whey protein on the proliferation and differentiation of osteoblasts.” J Dairy Sci. 2009 Jul;92(7): 3014-8.

・Pérez-Cano FJ, Marín-Gallén S, Castell M, Rodríguez-Palmero M, Rivero M, Franch A, Castellote C. 2007 “Bovine whey protein concentrate supplementation modulates maturation of immune system in suckling rats.” Br J Nutr. 2007 Oct;98 Suppl 1:S80-4.

・Aparicio VA, Nebot E, Porres JM, Ortega FB, Heredia JM, López-Jurado M, Ramírez PA. 2011 “Effects of high-whey-protein intake and resistance training on renal, bone and metabolic parameters in rats.” Br J Nutr. 2011 Mar;105(6): 836-45.

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