小麦胚芽

wheat germ

小麦胚芽とは、小麦粒を構成する胚芽部分のことで粒全体の2%を占めます。小麦胚芽は、ビタミンやミネラルなどの栄養を豊富に含み、健康食品として注目されています。疲労回復や老化予防などの効果が期待されています。

LINEスタンププレゼント!お友達登録はこちら。配信期間2025/01/23

小麦胚芽とは

●基本情報
小麦胚芽とは、小麦の粒を構成する胚芽部分を指します。胚芽とは、植物の種子に含まれており、成長すると芽になる部分のことです。
小麦粒は外皮、胚乳、胚芽の3つの部分で構成されています。
粒の約83%を占める胚乳(はいにゅう)は、小麦粉に加工されています。主な成分は糖質やたんぱく質などであり、粒の中心部と周辺部では、成分の含有量に差があるといわれています。
そして、小麦粒の約15%を占める部分が外皮です。製粉工程の中で胚乳と分けられ、ふすま[※1]となって家畜の飼料などに利用されます。
そして、小麦粒の約2%を占める部分が小麦胚芽です。小麦胚芽には、脂質、たんぱく質、ミネラル、ビタミンなどさまざまな栄養素が豊富に含まれています。製粉工程で胚乳・外皮と分離され、主に健康食品などに利用されます。
小麦の中でも最も栄養素が多く含まれているのが、胚芽の部分である小麦胚芽だといわれています。小麦は本来栄養素がバランス良く含まれている食材ではありますが、小麦粉に加工する過程で外皮や胚芽が取り除かれてしまうため、栄養価が下がってしまいます。
そのため、小麦の胚芽部分を集めて食べやすくした小麦胚芽が健康食品として流通しています。

●小麦胚芽の歴史
小麦胚芽が含まれる小麦の原産地は西南アジアであり、1万年以上前には野生の小麦が採取され始めており、紀元前7000年頃には栽培が始まっていたと考えられています。
日本へ小麦が伝わったのは紀元前400~300年頃で、中国から朝鮮半島を経て伝えられました。その後、奈良時代には日本でも小麦が栽培されるようになりました。
近年では小麦胚芽の持つ豊富な栄養に注目が集まり、小麦を丸ごと粉にした全粒粉も販売されています。

●小麦胚芽の生産地
小麦胚芽が含まれる小麦は、アメリカやカナダ、フランス、ドイツ、ロシア、中国、インド、オーストラリアなどが主な生産国です。収穫は主に夏の時期に行われます。

●小麦胚芽に含まれる成分と性質
小麦粉に含まれている脂質は約1~2%とわずかな量ですが、小麦胚芽には約10%も含まれています。小麦胚芽には、細胞膜を構成する重要な成分であるリノール酸やリノレン酸といった必須脂肪酸にを含んでいます。
また、ビタミン類では、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンEが多く含まれています。
小麦胚芽に含まれるビタミンB1とビタミンB2の量は、精白米の約20~30倍ともいわれています。
さらに、カルシウム、鉄、マグネシウムなどのミネラルも豊富に含まれているほか、アルコールの一種であるオクタコサノールも含まれています。

[※1:ふすまとは、家畜の飼料の一種で、小麦の製粉過程で出される副産物のことです。良質のたんぱく質を多く含み,食物繊維も多く含まれています。]

小麦胚芽の効果

●疲労回復効果
疲労の原因のひとつとして、乳酸の蓄積があります。乳酸とは、人間がエネルギーをつくり出す過程であるクエン酸回路[※2]における燃えカスのようなもので、蓄積すると筋肉痛などの原因になります。小麦胚芽に含まれるビタミンB2には、乳酸を分解する働きがあるため、疲労回復への効果が期待されています。

●老化を防ぐ効果
小麦胚芽に含まれるビタミンEは、強力な抗酸化作用[※3]を持ち、老化の原因のひとつである細胞の酸化を防ぐことから「若返りのビタミン」と呼ばれています。
このビタミンEの働きにより、老化を遅らせる効果が期待されています。

●美肌効果
小麦胚芽に含まれるビタミンEは、血流の改善に役立つ成分であるため、全身に血液が供給されることで細胞の生まれ変わりである新陳代謝が活性化されます。それにより、肌の乾燥が改善されるほか、肌に色つややハリが出るといった美肌効果が期待できます。

●持久力を高める効果
小麦胚芽に含まれるオクタコサノールは、エネルギーが不足した際に肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲン[※4]をスムーズにエネルギーに変える働きがあるため、効率良くエネルギーを生み出すことができます。
このオクタコサノールの働きによって、持久力を高める効果が期待できます。【3】

[※2:クエン酸回路とは、体内に入った食物を燃焼させエネルギーをつくり出す、一連の流れのことです。]
[※3:抗酸化作用とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ作用です。]
[※4:グリコーゲンとは、糖がたくさんつながり、多糖類となった状態で肝臓や筋肉に貯蔵されている物質のことです。グリコーゲンはエネルギーが足りなくなった際にブドウ糖に変化するため、エネルギー源として大切な役割を持っています。]

小麦胚芽はこんな方におすすめ

○疲れやすい方
○いつまでも若々しくいたい方
○美肌を目指したい方
○スポーツをする方

小麦胚芽の研究情報

【1】 コムギふすまは経口摂取で、過敏性腸症候群に有効性が示されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12184518

【2】コムギふすまは血圧を下げる目的に対して、経口摂取で有効性が考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9193441

【3】濃縮小麦胚芽の摂取は、筋持久力を増加させる働きがあることが分かっています。
https://ci.nii.ac.jp/naid/110002322618

【4】食事・サプリメントによる抗酸化ビタミン(ビタミンC、ビタミンE、β‒カロテンなど)の摂取量と心血管疾患のリスクを調査した研究15件、計381,903名において、ビタミンE摂取量が多いグループは低いグループに比較して、心血管疾患のリスクが低下しました。このことより、ビタミンE をはじめとする抗酸化ビタミンが心血管疾患の予防に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18277182

もっと見る 閉じる

参考文献

・五訂増補 日本食品成分表

・五明紀春 食材健康大事典 時事通信社

・日経ヘルス サプリメント事典

・Parisi GC, Zilli M, Miani MP, Carrara M, Bottona E, Verdianelli G, Battaglia G, Desideri S, Faedo A, Marzolino C, Tonon A, Ermani M, Leandro G. (2002) “High-fiber diet supplementation in patients with irritable bowel syndrome (IBS): a multicenter, randomized, open trial comparison between wheat bran diet and partially hydrolyzed guar gum (PHGG).” Dig Dis Sci. 2002 Aug;47(8):1697-704.

・Van Horn L. (1997) “Fiber, lipids, and coronary heart disease. A statement for healthcare professionals from the Nutrition Committee, American Heart Association.” Circulation. 1997 Jun 17;95(12):2701-4.

・北川 薫、松岡 弘記、高橋 繁浩 (1986) “トレーニング時のスポーツ選手の体力に及ぼす濃縮小麦胚芽油の影響 : スポーツに関する研究” 体力科學 35(6), 541, 1986-12-01

・Ye Z, Song H. (2008) “Antioxidant vitamins intake and the risk of coronary heart disease: meta-analysis of cohort studies.” Eur J Cardiovasc Prev Rehabil. 2008 Feb;15(1):26-34.

もっと見る 閉じる

ページの先頭へ