ビタミンB群

Vitamin B

ビタミンB群は、それぞれ助け合いながら、脳や神経、皮膚などを健康に保つビタミンです。
エネルギーをつくり出す代謝を助ける働きもあるため、人間の体には必要不可欠な栄養素です。
体に貯めておくことができないため、毎日食事から摂取する必要があります。

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ビタミンB群とは

●基本情報
ビタミン類は、発見した順にA、B、C…とアルファベット順に名前がつけられました。その後ビタミンBは何種類かに分類され、様々な意味が込められています。
ビタミンB群とは、ビタミンB1ビタミンB2ナイアシンパントテン酸ビタミンB6ビタミンB12葉酸ビオチンの8種の総称です。ビタミンB複合体とも呼ばれます。生体内では主に酵素を助ける補酵素として働きます。
ビタミンB群は水溶性ビタミンのため、体内で使われなかったビタミンB群は尿などから排泄されます。
体に貯めておくことができないため、毎日摂取する必要があります。
8種類のビタミンB群はそれぞれ性質や働きが異なります。ビタミンB群にはすべて数字の付いた別名があり、ナイアシンはビタミンB3、パントテン酸はビタミンB5、ビオチンはビタミンB7、葉酸はビタミンB9です。

●ビタミンB群の働き
ビタミンB群は、それぞれ助け合いながら、脳や神経、皮膚などを健康に保つビタミンです。
また、ビタミンB群は、炭水化物をはじめとする三大栄養素の代謝やエネルギーの産生を補助するはたらきもあります。肉体労働などエネルギーを大量に消費する人は意識してとる必要があります。

<ビタミンB1>
チアミン、サイアミン、アノイリンとも呼ばれます。
日本では1910年に鈴木梅太郎がこの物質を米糠から抽出し、1912年にオリザニンと命名したことでも知られる。
ビタミンB1は世界で最初に発見されたビタミンで、玄米小麦胚芽、オートミールなど未精製のものや、豚肉に多く含まれます。
「疲労回復のビタミン」とも呼ばれています。
代謝の過程で必要な酵素の働きを助ける補酵素となり、炭水化物 (糖質)の代謝を助けてエネルギーをつくり出す働きをします。
このため、白米を主食にしている日本人にとって重要な栄養素といえます。
また、脳の中枢神経や手足の末梢神経、筋肉の機能を正常に保つ働きがあります。

<ビタミンB2>リボフラビン
ビタミンB2はレバーや納豆に多く含まれるビタミンで、三大栄養素の代謝を促進してエネルギーをつくり出すことを助けます。
特に、脂質を燃焼させてエネルギー代謝や細胞の新陳代謝を促進し、皮膚や粘膜の機能維持や成長に関わります。
その働きから、「美容のビタミン」、「発育のビタミン」ともいわれています。

<ビタミンB6>ピリドキシン
ビタミンB6は、魚や肉などの動物性食品に豊富に含まれるビタミンです。たんぱく質の分解・合成を助け、皮膚や粘膜の健康維持に働きます。
アレルギー症状や発作を抑え、免疫機能を維持する効果や、脂質の代謝を助ける効果もあります。また神経伝達物質の合成にも関わり、精神状態の安定に役立ちます。
ホルモンのバランスを整える働きもあり、女性の味方となるビタミンです。
食品から摂取する以外に腸内細菌でも微量につくられます。

<ビタミンB12>コバラミン
ビタミンB12は、赤血球を生成する時に働く「造血のビタミン」と呼ばれています。
悪性貧血の予防や神経の働きに必要不可欠な栄養素で、DNA合成の調節や補酵素として様々な代謝に関わっています。
コバルトというミネラルを含むため、コバラミンとも呼ばれ、赤い色をしています。
基本的には動物性食品にしか含まれないので、菜食主義者 (ベジタリアン)は意識して摂取する必要があります。体内では肝臓に貯蔵されています。

<ナイアシン>ビタミンB3
ナイアシンは野菜などの植物性食品や肉・魚などに含まれ、人間の体内に最も多く存在するビタミンです。
糖質や脂質を燃やしてエネルギーをつくり出す時や、二日酔いの原因となるアルコールを分解する時に働きます。
また、皮膚や粘膜の健康維持を助けるほか、脳神経を正常に働かせる効果があります。
ナイアシンが欠乏すると、ペラグラという顔や手足が赤くなりカサカサになる皮膚病が起こります。

<パントテン酸>ビタミンB5
パントテン酸は、「広くどこにでもある」という名前の意味の通り、あらゆる食品に含まれるビタミンです。
腸内細菌の働きによって体内でも微量ですが合成することができます。
パントテン酸は、補酵素の構成成分となって様々な代謝に関わり、体内でエネルギーをつくり出したり、ストレスへの抵抗力をつけるために必要不可欠です。
また、動脈硬化を予防する効果も期待できます。全身の細胞で健康維持のために働く大切な栄養素です。

<葉酸>プテロイルグルタミン酸、ビタミンB9
葉酸は、レバーや葉野菜などに多く含まれるビタミンで、貧血を予防する物質として発見されました。
細胞の生まれ変わりや、新しい赤血球をつくり出すために欠かせない栄養素です。特に、細胞増殖が盛んに行われる胎児には健康に育つために必要な成分です。
葉酸不足は貧血の原因になったり、妊娠初期の場合、胎児の神経管閉鎖障害の危険性が高まります。

<ビオチン>ビタミンB7
ビオチンとは、レバーなどの食品に多く含まれるほか、人間の腸内で善玉菌によってつくり出すこともできるビタミンです。
三大栄養素である炭水化物 (糖質)、脂質、たんぱく質の代謝の過程で、酵素の働きを助ける補酵素としての役割を担っています。
この働きにより、皮膚や髪の毛を健康に保ったり、筋肉痛をやわらげたりする効果があります。また、アトピー性皮膚炎の改善にも役立ちます。
ビタミンB群には、8種類のビタミンが存在します。それぞれ以下のような働きをもち、助け合いながら、脳や神経、皮膚などを健康に保ちます。

ビタミンB群の効果

<ビタミンB1>
●疲労回復効果
ビタミンB1は、炭水化物 (糖質)の代謝過程で必要な酵素の働きを助ける補酵素となって働きます。
炭水化物 (糖質)は体内で消化されてブドウ糖に分解され、エネルギー物質の材料となります。ビタミンB1からつくられる補酵素は、ブドウ糖から段階を経てエネルギーに変わる時に必要なため、ビタミンB1がないとエネルギーを十分につくり出すことができません。その上、ブドウ糖をエネルギーに変える途中でつくられる、ピルビン酸や乳酸という疲労物質が体内に溜まり疲れやすくなります。そして、エネルギーが足りなくなるためエネルギーを必要とする臓器で障害が起こります。
また、ビタミンB1からつくられる補酵素は、たんぱく質やアルコールを分解してエネルギーに変える時にも関わっています。

<ビタミンB2、ビタミンB6>
●成長を促進する効果
三大栄養素である炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質は、体内で消化・分解され、吸収されてエネルギーに変えられます。ビタミンB2は、特に脂質の代謝において、エネルギーをつくり出す時に必要な補酵素として非常に重要な働きをしています。
ビタミンB2は、小腸で吸収され、血液によって肝臓・心臓・腎臓などに運ばれた後、たんぱく質と結びついた形のFMN (フラビンモノヌクレオチド)・FAD (フラビンアデニンジヌクレオチド)に変換されます。そしてさらに、水素を受け取ってFMNH2とFADH2になることにより補酵素として働きます。エネルギーを消費する程、この補酵素が使われるため、ビタミンB2の必要量も多くなります。
ビタミンB2が不足すると、脂質の代謝がうまくいかず肌荒れや髪のトラブルが起こります。

ビタミンB6はたんぱく質の代謝に欠かせない栄養素です。
肉や魚、などのたんぱく質は、体内でアミノ酸に分解され、吸収されたのち、人間の体に必要なたんぱく質に再合成されます。ビタミンB6をしっかりと摂ることで、たんぱく質の代謝がうまく進むため、丈夫で健康な皮膚や粘膜、髪、歯、爪をつくることができ、成長を促進します。
また、アミノ酸からエネルギーをつくり出す過程でもビタミンB6が働きます。

<ビタミンB12>
●貧血を予防する効果
ビタミンB12は、細胞が分裂する時に必要不可欠な補酵素で、葉酸と協力して血液中の赤血球をつくるための細胞分裂を助ける働きをしています。赤血球は約4ヵ月で寿命が尽きるため、骨髄で常に新しい赤血球がつくられているのです。また、ビタミンB12は、赤血球と結合し酸素を運ぶ役割をしているヘモグロビンの合成を助ける効果もあります。
ビタミンB12が不足し赤血球をつくるための細胞分裂や増殖がうまくいかなくなると、巨赤芽球性貧血という貧血が起こります。巨赤芽球性貧血は、赤血球のもととなる赤芽球 [※1]が異常に巨大化して (巨赤芽球)赤血球まで成熟できずに死んでしまい正常な赤血球が減ることによって起こるため、ビタミンB12を摂取することが貧血の予防に役立ちます。

<ナイアシン>
●粘膜や皮膚を健康に保つ効果
ナイアシンは、食品から摂取した糖質や脂質を燃やしてエネルギーに変える時に必要な物質です。体がエネルギーを生み出す働きの60~70%にナイアシンが関わっています。ナイアシンは他の物質と結びついて、三大栄養素からエネルギーをつくるために必要な酵素を助ける補酵素として働きます。このナイアシンからつくられる補酵素を必要とする体内の酵素は400種類以上もあり、人間の体で働く酵素の約2割を占めています。
こうしてナイアシンは、エネルギーをつくり出すことを促し、そのエネルギーを使うことで細胞や内臓が活動したり、体温を保ったり、体を動かすことができます。
そのほか、ビタミンEビタミンCなどの抗酸化力を持つビタミンが作用するときにも関わります。

<パントテン酸>
●エネルギーを生成する効果
パントテン酸は、三大栄養素である炭水化物 (糖質)、たんぱく質、脂質の代謝を助け、エネルギーをつくり出す手伝いをしています。
パントテン酸は、ビタミンB1とともに糖の代謝の中心的な役割を担ったり、ビタミンB2とともに脂質代謝に関わります。体内でコエンザイムAという補酵素の構成成分となり、エネルギー代謝の過程で働く100種以上の酵素の働きを助けています。
また、パントテン酸は脂肪酸と結合し、代謝に関わるアセチルCoAをつくったり、脂肪酸の合成と分解に関わるアシルCoA をつくる働きがあります。

<葉酸>
●妊娠中の方など女性の健康を保つ効果
葉酸は、細胞の遺伝情報が詰まったDNAを合成する時に必要な酵素の働きを助ける補酵素として働きます。DNAが正常に合成されることによって、細胞はその遺伝情報をコピーしながら分裂して増え、新陳代謝や十分な成長を果たすことができます。
細胞増殖が盛んな胎児が発育する妊娠中や、乳児を育てる授乳中には必要不可欠です。特に、妊娠初期に葉酸を十分に摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害という先天異常のリスクを軽減する効果があります。

<ビオチン>
●血糖値を下げる効果
ビオチンは、補酵素として糖の代謝に関わっています。
炭水化物 (糖質)を分解してできるブドウ糖を燃やし、エネルギーをつくり出す過程では、必ず燃えカスとして疲労物質である乳酸が発生します。そこで体内では、乳酸を肝臓に運び、乳酸から再びブドウ糖をつくり出してリサイクルしています。この働きを糖新生といい、ビオチンは糖新生の過程で働く酵素を助ける補酵素として、糖の代謝を助けています。また、ブドウ糖は体内で乳酸からだけでなく、アミノ酸や脂肪酸 [※2]からもつくられており、ビオチンはこの過程でも補酵素として働いています。
ビオチンは糖の代謝に関わり血糖値を調節することから、高血糖を改善する作用も報告されています。

[※1:赤芽球とは、骨髄の中に存在する血液細胞のことです。赤芽球が細胞分裂を繰り返すことによって赤血球となります。]
[※2:脂肪酸とは、炭素、水素、酸素から成る油脂や蝋(ろう)、脂質などの構成成分です。脂肪酸とグリセリンが結び付いて脂質が構成されます。]

食事やサプリメントで摂取できます

ビタミンB群を多く含む食品

<ビタミンB1>
穀類の胚芽、豚肉、レバー、豆類など
<ビタミンB2>
レバー、卵、大豆、乳製品、葉菜類など
<ビタミンB6>
かつお、まぐろなどの魚類、レバー、肉など
<ビタミンB12>
魚介類やレバーなど
<ナイアシン>
魚類(かつお・ぶり・さばなど)、豆類や果実類など
<パントテン酸>
牛乳、卵
<葉酸>
ほうれん草などの緑黄色野菜、小麦、マッシュルーム、酵母、レバーなど

こんな方におすすめ

○疲労がとれにくい方
○体の成長を促進したい方
○貧血を予防したい方
○粘膜や皮膚を健康に保ちたい方
○エネルギー不足の方
○妊娠中・授乳中の方
○血糖値を下げたい方

参考文献

・食の医学館 本多京子 監修 小学館

・機能性食品素材便覧 特定保健用食品からサプリメント・健康食品まで 清水俊雄 薬事日報社

・基礎栄養学 改訂第2版 奥恒行 南江堂

・最新版 からだに効く栄養成分バイブル  中村丁次監修 主婦と生活社

・栄養素の通になる 第2版  上西一弘 女子栄養大学出版部

・栄養成分の事典 則岡孝子監修 新星出版社

・最新・最強のサプリメント大事典 原山建朗 昭文社

・栄養の教科書 中嶋洋子 新星出版社

・新しい栄養学と食のきほん事典 井上正子 西東社

・安全においしく食べるためのあたらしい栄養学 吉田企世子 高橋書店

・よくわかる栄養学の基本としくみ 中嶋豊 秀和システム

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