ウコン

Turmeric
姜黄(きょうおう) ウッチン
Curcuma longa L

ウコンとは、クルクミンと呼ばれている黄色い色素を主成分とし、ミネラルや食物繊維を豊富に含んでいる根茎です。肝臓の機能を強化し、胆汁の分泌を促します。また食欲を増進させる効果や血流改善の効果なども持ち合わせています。
ウコンはカレーで使用されるスパイス「ターメリック」としても知られています。

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ウコンとは

●基本情報
ウコンとは、ショウガ科クルクマ属の多年草[※1]です。原産地は東インド地方で、アジアやアフリカ、中南米の熱帯から亜熱帯の高温多湿な地域にかけて広く自生しており、現在世界中に50種類ほどのウコンが見つかっています。
日本でウコンと名称がつくものには、春ウコン、秋ウコン、紫ウコン、黒ウコンの4種類があります。和名の鬱金(ウッチン)や英名のターメリック(turmeric)と呼ばれるものは秋ウコンを指しています。
ウコンは、ポリフェノールの一種である黄色い色素、クルクミンを多く含むことで知られており、これは古くからアジア料理の代表的な香辛料や着色料として利用されてきました。
一般的にウコンに含まれる色素クルクミンは着色料として、ウコン粉は香辛料として利用されています。
その他の利用方法として、伝統的な医療法であるアーユルヴェーダ[※2]やジャムー[※3]、また漢方としても広く利用されています。

●ウコンの歴史
ウコンは、原産地である東インド地方で紀元前970年頃から栽培が始まりました。
日本には中国から琉球へ16世紀頃の室町時代、現在の沖縄がまだ琉球王朝であったころに伝わってきたといわれています。当時の琉球では、王朝専売品として高貴薬や着物の染料、食品の着色料として使用されていた貴重品で、民間での栽培は許されていませんでした。
その後、1609年に琉球王朝が薩摩藩の支配下に入り、染料や生薬として全国的に流通するようになりました。

●ウコンの生産地
ウコンは中国やタイ、インドネシアでも栽培されていますが、最も多く栽培しているのはインドです。年間生産量は約35万tにものぼります。
ウコンは熱帯の植物のため、インドの中でも暑い南部で、主に栽培されています。インドでは、一年を通じて栽培可能ですが、雨季(7月~1月)と乾季(2月~6月)があり、雨季には畑が水浸しの状態になるため、乾季の6月に植え付け、2月~4月に収穫されます。
また、日本では沖縄や鹿児島などで栽培されており、沖縄はその中でも日本最大のウコンの生産地です。

●日本で知られている4種類のウコン
数あるウコンの中でも、日本で一般的にウコンと呼ばれているものは、春ウコン、秋ウコン、紫ウコン、黒ウコンが知られています。それぞれ特徴があり、その特徴に合った方法で利用されています。

・春ウコン:春から初夏にかけて赤い花を咲かせます。生薬名を姜黄(キョウオウ)といい、沖縄の西表島に自生しています。クルクミンを少量含み、精油成分やミネラルを多く含んでいます。豊富な食物繊維とミネラル、精油の働きによって、腸に適度な刺激を与えることから、おなかの調子を整えることに優れています。

・秋ウコン:初夏から秋にかけて白い花を咲かせます。日本では沖縄で広く栽培されており、根茎の断面がオレンジ色をしているのが特徴です。沖縄では鬱金(ウッチン)の愛称として親しまれています。
着物の染料やカレー粉、たくあんの色付けとしても利用されるほど、色素成分であるクルクミンを豊富に含んでいます。強い抗酸化力を持ち、肝臓の機能を強化したり、血管の健康を守る効果があります。

・紫ウコン:初夏にピンク色の花を咲かせます。日本では屋久島や沖縄で栽培されており、生薬名を莪朮(ガジュツ)といいます。根茎の断面が紫色をしていることから、紫ウコンと呼ばれるようになりました。クルクミンは含まれておらず、精油成分やミネラル、アントシアニンを含んでいるのが特徴です。古くから血行を良くする働きが知られています。

・黒ウコン:日本では沖縄で栽培されており、初夏に薄いピンク色の花を咲かせます。
ショウガ科バンウノン属の植物で、根茎の断面は濃い紫色をしており、クルクミンを少量含みます。ミネラルの一種であるセレンやポリフェノールの一種のアントシアニンも含んでおり、滋養強壮に良いとされています。

●ウコンに含まれる成分と性質
ウコンに含まれている成分で、最も有名なのがクルクミンです。
クルクミンはポリフェノールの一種で、カレー粉のスパイスであるターメリックに含まれる、黄色の色素のことをいいます。
ウコンのスパイスとしての用途は、料理の色付けです。香味はスパイスの中では弱く、辛みもほとんどありませんが、少しの土臭さを感じさせるほろ苦い味が特徴です。
鮮やかな黄色を有していることから、天然の着色料として食品に添加されるほか、着物などの衣料の染料としても利用されています。
アルカリ性溶液やエタノール[※4]には溶け、水には溶けにくいという性質を持っています。
また、その他の成分として、カンファー[※5]やシネオール[※6]、リンカルシウムマグネシウムなども含んでいます。

<豆知識>インドで身近なウコン
ウコンは、インドや中国、中央アジア地域では、2000年以上前から栽培・利用されてきました。
中でもインドでは、料理にスパイスを多用しますが、ウコンは主要なスパイスとして利用されています。料理のほとんどが黄色い色をしているほどウコンは多く利用されているのです。

[※1:多年草とは、茎の一部、地下茎、根などが枯れずに残り、複数年にわたって生存する草のことです。]
[※2:アーユルヴェーダとは、インドで古くから語り継がれている東洋医学の1つです。「予防医学」の考え方を重視し、世界保健機構(WHO)が正式に奨励している医学です。]
[※3:ジャムーとは、インドネシアに古来から伝わる民間医療法のことです。インドネシアのアーユルヴェーダとも呼ばれています。]
[※4:エタノールとは、最も身近に使用されているアルコールのひとつです。殺菌や消毒などに利用される他、自動車燃料としても使用されています。]
[※5:カンファーとは、神経の興奮作用、強心作用をもつ精油成分のことです。]
[※6:シネオールとは、健胃作用、殺菌、防腐作用に優れた効果を持つ物質です。]

ウコンの効果

●肝機能の向上・胆汁の分泌を促進する効果
ウコンは一般的に肝機能向上効果と胆汁分泌促進効果が知られています。
肝臓は、腹部の右上、ほぼ肋骨の下に位置しており、代謝、排出、解毒、体液の恒常性[※7]の維持などにおいて非常に重要な役割を担っている臓器です。特にアルコールを分解する力があるとして、一般的には知られています。
「沈黙の臓器」ともいわれており、損傷などがあった場合でも症状として現れにくいのが特徴です。症状として現れる頃には非常に悪化している場合が多くあります。
胆汁とは、肝臓で生成されるアルカリ性の液体のことをいいます。食品中の脂肪を乳化[※8]することで、脂肪の消化、吸収に役立ちます。
ウコンを摂取することにより、胆汁の分泌が促進され、肝臓の解毒作用が高まり、肝臓の機能が向上するといわれています。

●食欲増進効果
ウコンには胃の働きを活発にすることで食欲を増進させる効果もあるといわれています。消化不良の患者116名を対象にした試験において、ウコンを7日間摂取させたところ、症状が改善されたという結果も出ています。
また、胃液分泌を高め、胃粘膜を保護する働きもあるといわれています。【1】【2】

●血流を改善する効果
ウコンには、抗酸化作用を持つため、血中の悪玉(LDL)コレステロールの酸化[※9]を防ぎ、コレステロール値を下げ、血流を改善する効果があります。
また、このことにより動脈硬化を防いで、脳卒中や心臓病を予防する効果も期待されています。【4】

●免疫力を高める効果
ウコンには、炎症抑制効果や抗菌効果などがあり、免疫力を向上する効果もあるとされています。【5】【6】【7】

●腸内環境を整える効果
ウコンには食物繊維が豊富に含まれているため、腸内環境改善効果も期待されています。

●脳機能を活性化させる効果
ウコンに含まれるクルクミンには脳を健康に保つ効果が期待できます。
ウコンをスパイスとして利用する料理のひとつとして「カレー」が良く知られています。カレーを用いた最近の研究で、カレーを食べることで脳の一部が活性化され、IQが「7」あがったという結果が報告されました。被験者にカレーとコントロール食をそれぞれ摂取させた後にテストを行った結果、脳が活性化され、試験の課題をたくさん解くことができるようになりました。
また、その他の近年の研究では、ウコンに含まれるクルクミンは病気の原因となるたんぱく質の蓄積を予防し、アルツハイマー病予防に役立つという報告もあります。

[※7:恒常性とは、生物においてその内部環境を一定に保つ働きのことをいいます。]
[※8:乳化とは、水が油に溶けている、または油が水に微粒子となって溶けている状態のことをいいます。]
[※9:酸化とは、物質が酸素と化合し、電子を失うことをいいます。サビつきともいわれています。]

ウコンは食事やサプリメントで摂取できます

ウコンを含む食品

○カレー
○たくあん
○ピクルス

こんな方におすすめ

○お酒をよく飲む方
○生活習慣病を予防したい方
○血流を改善したい方
○食欲不振な方
○便秘でお悩みの方

ウコンの研究情報

【1】消化不良患者106名に、ウコンカプセル1日2g を7日間摂取させたところ、ウコン摂取群では約87% の患者に消化不良の改善が認められ、ウコンに消化不良改善作用が確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2699615

【2】消化不良患者45名(男性24名女性21名、年齢:16~60歳)に、ウコンを1日1.5g を12週間摂取させたところ、25名の潰瘍患者の4週間、8週間、12週間後の検査では各48、72、76%の患者で潰瘍が消失しており、また20名のびらん、胃炎、消化不良患者では1日3g を4週間摂取させたところ、腹痛などの症状の改善が認められたことから、ウコンの健胃作用が確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11485087

【3】Ⅱ型糖尿病患者では、糖尿病によってAGE(最終糖化産物)受容体が活性化することで、肝臓線維化が進むが、ウコンに含まれるクルクミンはAGE受容体の働きを抑制し、また抗酸化酵素のグルタチオンやペルオキシソームの働きを活性化させることで、Ⅱ型糖尿病患者での肝臓への保護作用が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22452372

【4】ウコンの有効成分であるクルクミンには、マクロファージにおける酸化LDL(悪玉コレステロール)の取り込みを阻害するとともに、大動脈のコレステロールを排出する組織ABCA1及びABCG1のはたらきを促進することによる、動脈硬化抑制作用が確認されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22648616

【5】炎症性大腸炎マウスにおいて、クルクミンとアミノグアニジンを摂取させると、
活性酸素の発生および、白血球細胞好中球の活性化が抑制され、肝臓や直腸での抗炎症作用が確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22036766

【6】γ線(放射線)を照射されたラットでは、抗酸化酵素SODやペルオキシダーゼの活性が低下し、炎症関連物質が上昇しましたが、ウコンを摂取させると、抗酸化酵素の低下を抑制し炎症関連物質の産生を抑制することで、抗炎症作用や免疫機能を維持しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22432737

【7】高コレステロール血症マウスに、ウコンを体重当たり 100 mg/kg, 300mg/kg を摂取させると、抗酸化酵素SODやペルオキシダーゼ の低下を抑制し、ヒートショックタンパク質の増加を抑制し、炎症関連物質casp3 を抑制することがわかりました。そのためウコンは抗酸化力の維持と、抗炎症作用を示しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22273152

【8】ウコン含有タンパク質「タルメリン」には、糖分吸収関連酵素α-グルコシダーゼの活性を抑制する働きがあります。このためウコンは抗糖尿病予防作用を示します。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21972920

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参考文献

・サプリメント辞典 発行:株式会社平凡社 著者:蒲原 聖可

・機能性食品ガイド 発行:株式会社講談社 著者:吉川敏一 辻智子

・ウコンの薬効 発行:株式会社ヘルス研究所 著者:今西義則

・Thamlikitkul V, Bunyapraphatsara N, Dechatiwongse T, Theerapong S, Chantrakul C, Thanaveerasuwan T, Nimitnon S, Boonroj P, Punkrut W, Gingsungneon V, et al. 1989 “Randomized double blind study of Curcuma domestica Val. for dyspepsia.” J Med Assoc Thai. 1989 Nov;72(11):613-20.

・Prucksunand C, Indrasukhsri B, Leethochawalit M, Hungspreugs K. 2001 “Phase II clinical trial on effect of the long turmeric (Curcuma longa Linn) on healing of peptic ulcer.” Southeast Asian J Trop Med Public Health. 2001 Mar;32(1):208-15.

・Stefanska B. 2012 “Curcumin ameliorates hepatic fibrosis in type 2 diabetes mellitus-insights into its mechanisms of action.” Br J Pharmacol. 2012 Mar 27.

・Zhao JF, Ching LC, Huang YC, Chen CY, Chiang AN, Kou YR, Shyue SK, Lee TS. 2012 “Molecular mechanism of curcumin on the suppression of cholesterol accumulation in macrophage foam cells and atherosclerosis.” Mol Nutr Food Res. 2012 May;56(5):691-701.

・Mouzaoui S, Rahim I, Djerdjouri B. 2012 “Aminoguanidine and curcumin attenuated tumor necrosis factor (TNF)-α-induced oxidative stress, colitis and hepatotoxicity in mice.” Int Immunopharmacol. 2012 Jan;12(1):302-11.

・Nada AS, Hawas AM, Amin Nel-D, Elnashar MM, Abd Elmageed ZY. 2012 “Radioprotective effect of Curcuma longa extract on γ-irradiation-induced oxidative stress in rats.” Can J Physiol Pharmacol. 2012 Apr;90(4):415-23.

・Kam TS, Wong CY, Kwan PL, Fat-Yiu W, Chiu SM, Chan SW, Yuen KS, Chan R. 2011 “Effects and mechanism of turmeric vasorelaxation of the thoracic aorta in hypercholesterolemic rats.” AJ Med Food. 2012 Feb;15(2):190-9.

・Lekshmi PC, Arimboor R, Raghu KG, Menon AN. 2011 “Turmerin, the antioxidant protein from turmeric (Curcuma longa) exhibits antihyperglycaemic effects.” Nat Prod Res. 2011 Oct 6.

・最新・最強のサプリメント大辞典 発行:昭文社 発行者:黒田茂夫
・The Complete German Commission E Monographs

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