シイタケ

shiitake

シイタケは日本を代表する栽培キノコで秋の味覚の代表格です。ビタミン類、ミネラル、食物繊維を豊富に含む低カロリー食品で血中コレステロール値の低下やウイルス性の病気に対して抗体を持つ免疫作用があり、風邪の予防にも役立ちます。

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シイタケとは

●基本情報
シイタケは日本でもっとも栽培の多いキシメジ科キノコ属のキノコです。日本、中国、韓国で食用に栽培されるほか、東南アジアの高山帯やニュージーランドにも分布しています。数あるキノコの中でも知名度、人気ともにトップクラスで食用として用いられます。旬は3月~5月、9月~11月です。
年間で生シイタケは約6~7万t、干しシイタケは約5000t生産され、生シイタケは群馬県、岩手県、徳島県などでの生産が多く、干しシイタケは大分県、宮崎県、岩手県、栃木県などでの生産が盛んです。
カロリーが低く免疫力を高める食材としてだしやお吸い物、炊き込みごはんやパスタ、ソテーなど様々な料理で活躍します。
シイタケはビタミン類、ミネラル、食物繊維などの栄養成分が豊富で、グアニル酸などのうま味成分を含んでいることが特徴です。

●シイタケの歴史
椎(シイ)の倒木などに発生したことから椎の茸(シイのきのこ)と書いて「シイタケ」という名前がつきました。江戸時代から原木に穴をあけて菌を植え付けるなどの栽培方法が始まりました。シイやクヌギなど広葉樹の原木に穴をあけ、そこに胞子が自然に着くのを根気よく待つという栽培方法が主です。その後、人工的に胞子を植え付けるようになり現在では年中栽培が可能となりました。

●シイタケの生態
自然界では主にシイやクヌギ、ナラなど広葉樹の枯れ木に発生します。
シイタケは短い円柱形の柄の先に笠を開きます。
枯れ木の側面に出ることも多いため柄は大きく曲がることもしばしばです。茎の色は白色で笠の表面は茶褐色、裏面は白色で細かい線の模様が特徴です。

●シイタケの栽培
シイタケを栽培するシイやクヌギ、ナラの原木を山で根元から切り倒します。シイタケ菌は生きている原木には活着しないためまず乾燥させます。そして乾燥後、ちょうど良い大きさ(約1m)に切りドリルで穴を開けシイタケ菌の蔓延した円柱状の木片を金づちで打ち込みます。
その後、菌の活着をスムーズにするため枝葉やネットで覆います。さらにシイタケ菌を木の内部まで浸透させるため組みかえシイタケ菌が蔓延したのちに湿度の高い林に移動し合掌に組みます。
そこから菌が育ち、シイタケが出てきます。その後は枯れるまで毎年収穫が可能です。原木栽培のシイタケは歯ごたえがありうま味が豊かで春と秋が旬です。

●シイタケの選び方
・笠の内側は白く変色していないものを選ぶ
・笠は肉厚で重量感があり内側に巻き込んでいるものが良い
・笠の表面にツヤがある
・茎は太く短めが良い
・全体的に色が黒ずんでいない
上記に当てはまるものを選ぶとよりおいしく食べることができます。

●シイタケの保存方法
シイタケは表面にうまみ成分があるため水洗いすると風味が落ちてしまいます。汚れが気になるときはペーパータオルで軽くふく程度にし、少しでも水気がついていると傷みやすいのですぐに使わないときは水分を避けて保存します。また傷みが早いのでできるだけ早く食べきる必要があります。使い残したらペーパータオルを敷いた保存容器に並べ、冷蔵庫の野菜室で保存すれば2~3日もちます。このとき裏側にあるひだを下にすると胞子が落ちてしまい、傷みが早くなるので注意が必要です。

●シイタケに含まれる成分と性質
シイタケのうま味成分のグアニル酸は加熱して食べるとうま味と香りが増加しおいしく食べることができます。またシイタケに含まれるエルゴステロール[※1]は日に当てるとビタミンDを生成しカルシウムの吸収を促進し骨を丈夫にするとともに骨粗しょう症の予防に役立ちます。生シイタケより紫外線にたくさん当たった干しシイタケはビタミンDが豊富で、しかも風味が凝縮されているためおいしく食べることができます。

<豆知識>三大うま味成分
シイタケは和食のダシの決め手です。日本人に親しまれてきた和食の中でも三大うま味成分と呼ばれるのが下記
の三種です。食事のダシの定番として世界共通語のうま味(Umami)という言葉を生み出し、日本人の味覚の素晴らしさを世に広めました。
・かつお節に含まれる「イノシン酸」
・昆布に含まれる「グルタミン酸」
・シイタケに含まれる「グアニル酸」

[※1:エルゴステロールとは、脂溶性物質のひとつで、紫外線を浴びるとビタミンDに変わります。]

シイタケの効果

●免疫力を高める効果
ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンD、食物繊維などを含み、動脈硬化・ガン・風邪の予防に効果があります。免疫力向上の効果があり、免疫をつかさどるリンパ細胞を活性化させる作用や風邪などウイルス性の病気に対して抵抗力をつける作用があるといわれています。
体の免疫力を高めてガンの増殖抑制をする成分であるβ-グルカンなどの多糖類も豊富です。
風邪をひいたときは長時間とろ火で煎じた干しシイタケのエキスを飲むとよいでしょう。【1】

●生活習慣病の予防・改善効果
シイタケに含まれるエリタデニンは活性酸素の働きを抑制するほか血圧や血中コレステロール値を下げる作用があり、高血圧・高脂血症・肥満などの生活習慣病を防ぐ効果があります。
カロリーがほとんどない食品ですので食事制限をされている人でも安心して食べることができ、シイタケを食べることで肥満や糖尿病を防ぐことにつながります。血行を良くし、新陳代謝をさかんにして老廃物を排出するため、肥満や糖尿病で悩む人の強い味方となる食品です。また食物繊維が豊富に含まれているため腸のぜん動運動を高めて便通を促します。【2】

●コレステロール値を下げる効果
シイタケ特有のエリタデニン[※2]はコレステロール値の上昇を抑制するので、肉料理の付け合わせにシイタケが使用されることが多くあります。このエリタデニンが血液中のコレステロールの代謝を促し、胆汁酸など他の物質へ変化するのを促進することがわかりました。シイタケを食べるとコレステロールが早く体外へ排出されます。その結果、コレステロール値の上昇を抑える効果が期待されるのです。【2】

[※2:エリタデニンとは、核酸が分解されてできる物質で、コレステロール値を調整する働きがあります。]

シイタケはこんな方におすすめ

○免疫力を向上させたい方
○生活習慣病を予防したい方
○コレステロール値が気になる方

シイタケの研究情報

【1】白人高齢者42名を対象に、しいたけ抽出物を2.5mg を4週間摂取させたところ、免疫細胞のB細胞ならびにNK細胞が増加しました。しいたけはβ-グルカンを豊富に含むことからも、免疫力向上作用が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22164761

【2】高脂肪食ラットを対象に、しいたけ粉末を7, 20, 60g/kg の6週間摂取させたところ、体重増加ならびに血中トリグリセリド、総脂肪量の増加が抑制されたことから、しいたけは生活習慣病予防効果、肥満予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22028957

【3】しいたけ抽出物は、歯の脱ミネラル化を抑制されたことから、しいたけは虫歯予防に有益であると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21941428

【4】マウスを対象に、しいたけ抽出物を5% 配合した餌を6週間摂取させたところ、肝線維症や炎症など脂肪肝の症状が緩和されたことから、しいたけは肝臓保護作用を有すると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21925564

【5】しいたけにはビタミンD2 が豊富に含まれています。特に紫外線に暴露させることで、ビタミンD2 の濃度が増えたことから、しいたけの機能性にも注目が集まっています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18442245

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参考文献

・Gaullier JM, Sleboda J, Ofjord ES, Ulvestad E, Nurminiemi M, Moe C, Tor A, Gudmundsen O. 2011 “Supplementation with a soluble β-glucan exported from Shiitake medicinal mushroom, Lentinus edodes (Berk.) singer mycelium: a crossover, placebo-controlled study in healthy elderly.” Int J Med Mushrooms. 2011;13(4):319-26.

・Handayani D, Chen J, Meyer BJ, Huang XF. 2011 ” Dietary Shiitake Mushroom (Lentinus edodes) Prevents Fat Deposition and Lowers Triglyceride in Rats Fed a High-Fat Diet.” J Obes. 2011;2011:258051.

・Zaura E, Buijs MJ, Hoogenkamp MA, Ciric L, Papetti A, Signoretto C, Stauder M, Lingstrom P, Pratten J, Spratt DA, Wilson M. 2011 “The effects of fractions from shiitake mushroom on composition and cariogenicity of dental plaque microcosms in an in vitro caries model.” J Biomed Biotechnol. 2011;2011:135034.

・則岡孝子 あなたに必要な栄養成分と食べ物 河出書房

・野菜まるごと大図鑑 主婦の友社

・吉田企世子 松田早苗 あたらしい栄養学 高橋書店

・中嶋洋子 栄養の教科書 新星出版

・Chandra LC, Smith BJ, Clarke SL, Marlow D, D’Offay JM, Kuvibidila SR. 2011 ” Differential effects of shiitake- and white button mushroom-supplemented diets on hepatic steatosis in C57BL/6 mice.” Food Chem Toxicol. 2011 Dec;49(12):3074-80.

・Ko JA, Lee BH, Lee JS, Park HJ. 2008 “Effect of UV-B exposure on the concentration of vitamin D2 in sliced shiitake mushroom (Lentinus edodes) and white button mushroom (Agaricus bisporus).” J Agric Food Chem. 2008 May 28;56(10):3671-4.

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