セサミン

sesamin

セサミンは、ごまに含まれる抗酸化物質の一種で、肝臓の機能を高める働きがあります。二日酔いや悪酔いの予防に効果が期待できるだけでなく、酵素の働きをサポートすることで肝臓への負担を軽減し、ガンの予防にも効果が期待できます。コレステロール値や血圧を正常に保つ働きもあるといわれています。

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セサミンとは

●基本情報
セサミンは、ごまの種子に含まれるゴマリグナンというリグナン類の一種です。ゴマリグナンは、ごまの成分の約1%を占める脂溶性の抗酸化物質で、そのうち50~60%がセサミンであるといわれています。セサミンは胃腸では分解されず門脈[※1]で吸収されるため、肝臓に直接作用して、肝臓の働きを高める効果があるといわれています。アルコールの分解を促進して二日酔いや悪酔いを予防するだけでなく、アルコール代謝にかかわる酵素の働きを活発にすることで、肝臓への負担を軽減することが期待できます。また、セサミンの働きによって、肝臓で脂肪を利用しやすい形に変える酵素が活発化するため、コレステロール値の低下や血圧の低下も期待できます。また、α-リノレン酸をDHAに変える働きを促進してくれるともいわれています。善玉(HDL)コレステロールを増やし、悪玉(LDL)コレステロールを減らす働きがあるため、動脈硬化の予防にも効果が期待できます。
また、セサミンには高い抗酸化力があり、強力に活性酸素を取り除くことが期待できます。細胞の老化やガンの原因のひとつでもある過酸化脂質は、脂質の酸化が原因で発生します。そのため、セサミンの抗酸化作用はガン予防にも効果があるといわれています。セサミンは、ごまそのものだけでなくごま油などの加工食品からも摂ることができます

<豆知識>ゴマリグナンの種類と効果
セサミンを含むゴマリグナンは、ごまに含まれる抗酸化物質の総称です。セサミンの他に、セサミノールやセサモリン、セサモールなどがあります。ごまを炒ったりすったりすることによって化学変化が起こり、これらの成分に変わります。ゴマリグナンの中でも特に強い抗酸化作用が期待できるセサミノールは、ごまをそのまま食べるよりもごま油のほうが豊富に含まれており、かつ吸収も良いとされています。そのほかにも、疲労回復、肌や髪の美容、若返り、便秘などにも効果があるといわれています。

●セサミンを摂取する際の注意点
セサミンの1日の摂取目安量は10mgで、ごまでいうと3000粒分です。通常の食品から摂れる成分であるため、安全性は高いといわれています。アルコールの分解を助け、肝臓への負担を軽減することが期待できるセサミンですが、飲み過ぎは体に悪影響を与えてしまいます。お酒を飲める人でも、日本酒であれば1日1~2合までとし、肝障害を起こさないよう気を付ける必要があります。

[※1:門脈とは、脾臓や消化器から流れた血液を集めて肝臓へ運ぶ静脈、肝門脈のことです。]

セサミンの効果

●肝機能を高める効果
セサミンは肝臓に直接働きかけ、肝機能の向上に効果を発揮します。アルコール代謝に対する酵素の働きを高めるため、アルコール摂取時のアセトアルデヒドの急性毒性を軽減する作用があるといわれています。二日酔いや悪酔いを防ぐだけでなく、アルコールを解毒する際の肝臓への負担を軽減します。また、酵素の働きを促すことにより、脂肪を使われやすい形に変えるサポートもします。【1】【2】

●コレステロール値を下げる効果
セサミンには、善玉(HDL)コレステロールを増やし、悪玉(LDL)コレステロールを減らす働きがあるといわれています。セサミンを8週間摂取させると、総コレステロール値と悪玉(LDL)コレステロール値が低下したという研究があります。【1】【5】

●高血圧を予防する効果
抗酸化作用が高いセサミンには、高血圧を予防する働きがあるといわれており、生活習慣病の予防に役立つと期待されています。【1】【3】【4】

●ガンを予防および抑制する効果
セサミンが持つ高い抗酸化作用や肝臓への負担を軽減させる働きにより、肝臓ガンの予防が期待できます。
ガンや老化の原因のひとつとして過酸化脂質があげられます。過酸化脂質とはコレステロールや中性脂肪などの脂質が活性酸素によって酸化された物質の総称で、過酸化脂質が増えると細胞が破壊され、活性酸素の影響でDNAが傷つけられるため、異常な細胞やガン細胞を形成することにつながり、細胞の死を早めるとされています。セサミンは過酸化脂質生成抑制作用があり、ガンなどの疾病を予防する効果が期待されています。

セサミンは食事やサプリメントで摂取できます

セサミンを含む食品

○ごま
○ごま油

こんな方におすすめ

○お酒をよく飲む方
○肝臓の健康を保ちたい方
○コレステロール値が気になる方
○血圧が高い方

セサミンの研究情報

【1】ごまの機能性成分セサミンは、近年の研究により、コレステロール低下作用、抗高血圧作用、肝臓保護作用、アルコール代謝促進作用、肝臓がん予防作用、乳がん発生抑制作用、免疫賦活作用など多くの機能を有することが報告されており、セサミンに対する高い機能性が期待されています。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002880367

【2】アルコール性肝障害ラット(血中コレステロール上昇、脂質酸化、GOT、GPTの上昇)を対象に、セサミンを0.2% 含有する餌を8週間飲用させたところ、これらの異常が緩和されたことから、セサミンは肝臓保護作用を持つと考えられています。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003168813

【3】高血圧モデルラットを対象に、セサミンを1% 含有する餌を摂取させたところ、血圧上昇ならびに心肥大、血管肥厚の緩和が見られたことから、セサミンは高血圧予防効果ならびに心臓保護作用が期待されています。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002789589

【4】軽度高血圧症患者を対象に、セサミンを1日あたり60mgの量で4週間摂取させたところ、セサミン投与によって収縮期血圧3.5mmHg、拡張期血圧1.9mmHg 減少したことから、セサミンは高血圧予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19352068

【5】高コレステロール血症患者 を対象に、セサミンを1日あたり32.4 mg の量で4週間摂取させ、その後1日あたり64.8mg の量で4週間、計8週間摂取させたところ、総コレステロール値およびLDLコレステロール値に改善が見られたことから、セサミンは高脂血症予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8724120

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参考文献

・宮内祥行 発行 日経ヘルスサプリメント事典第4版 日経BP社

・永川祐三 著 最新版病気を治す栄養成分Book 主婦と生活社

・黒川裕二 発行 最新改定版からだに効く栄養成分バイブル 主婦と生活社

・本多京子 根本幸夫 伊田喜光 田口進 監修 食の医学館 小学館

・中村丁次 監修 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版

・木曽 良信 (2005) “セサミンの抗酸化作用(ビタミン・パイオファクターの新展開 : 健康と食)” ビタミン 79(1), 23-26, 2005-01-25

・加賀谷 みえ子、飯塚 佳恵、大澤 俊彦、山下 かなへ (1999) “アルコール性脂肪肝に及ぼすゴマリグナン物質の予防効果” 日本家政学会誌 50(8), 807-812, 1999-08-15

・松村 靖夫、喜多 紗斗美、森本 史郎、秋元 健吾、田中 隆治 (1995) “ラット実験的高血圧モデルに対するセサミンの予防効果 : 動物” 日本農藝化學會誌 69(臨時増刊), 159, 1995-07-05

・Miyawaki T, Aono H, Toyoda-Ono Y, Maeda H, Kiso Y, Moriyama K. (2009) “Antihypertensive effects of sesamin in humans.” J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2009 Feb;55(1):87-91.

・Hirata F, Fujita K, Ishikura Y, Hosoda K, Ishikawa T, Nakamura H. (1996) “Hypocholesterolemic effect of sesame lignan in humans.” Atherosclerosis. 1996 Apr 26;122(1):135-36.

・Kiso Y. (2004) “Antioxidative roles of sesamin, a functional lignan in sesame seed, and it’s effect on lipid- and alcohol-metabolism in the liver: a DNA microarray study.” Biofactors. 2004;21(1-4):191-6.

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