サラシア

salacia
サラシア・レティキュラータ コタラヒムブツ コタラヒム

サラシアはインドの伝統医学「アーユルヴェーダ」でも使用されてきた歴史を持つ、インドやスリランカなど熱帯地方に自生する、ニシキギ科サラシア属の植物の総称です。糖尿病予防や脂肪燃焼効果、美肌づくりに期待されるつる性低木の植物で、生活習慣病予防の強い味方です。

サラシアとは

●基本情報
サラシアは、インドやスリランカなど雨の多い亜熱帯の森林に自生するニシキギ科サラシア属のつる性低木です。これまでに約120種類以上のサラシアが見つかっており、淡いグレーまたはオレンジ色の実をつけます。
薬として利用されるもののほかに、建材として利用されるものや果実を食用にするものがあり、中でも天然薬効成分のあるものとして注目されているのは、サラシアレチキュラータ、サラシアオブロンガ、サラシアキネンシスなどがあります。
いずれも古くから糖尿病をはじめとして、自生地の周辺で様々な病気の治療に利用され「奇跡の植物」として現地の人々に珍重されてきました。
主に実を食べたり根や幹の抽出エキスが飲用されています。
サラシア属を総称して「サラシア」と呼んでいますが、現在国内では「サラシア」という名称以外にも「サラシノール」、「コタラヒムブツ」などの名称で呼ばれることがあります。

●サラシアの歴史
サラシアはスリランカ原産です。サラシア生息地としては、スリランカやインドのほか、中国やタイ、インドネシアがあげられ、昔から有用植物として重宝されており、健康のために飲み継がれてきました。

●サラシアの用途
アーユルヴェーダというインドの伝統医学では、このつる性サラシア属の植物がリウマチ、耳の疾患、ぜんそく、月経不順、湿疹、淋病[※1]、口渇、糖尿病の薬として、あるいは殺菌力に優れた防腐剤などに有効であるとして用いられてきました。
中でも糖尿病に効く薬草として用いられてきましたが、最近の研究でサラシアにサラシノールという血糖値の上昇を防ぐ成分が見つかり、長い歴史と臨床経験をもつアーユルヴェーダ医学の一端が科学的にも解明されたことになります。
また中国の伝統医学「中医学」など各国の伝統医学でもサラシアは用いられてきました。中医学の薬物書にはサラシアの根は「リウマチ性関節炎、腰痛の疲労、体力の虚脱、無力を治す」と紹介されています。

●サラシアの飲用方法
薬用として糖尿病の予防や治療に使われるサラシアは、実を食べたり根や茎を利用します。今まではその根や茎を砕いて煎じて飲む方法が一般的でしたが、スリランカの王族はサラシアの根や幹をくりぬいてコップをつくり、その中に水や酒を入れて飲むことで糖尿病の予防と治療に役立ててきたという謂れがあります。

[※1:淋病とは、淋菌の感染により起こる感染症のことです。]

サラシアの効果

サラシアは、糖質をブドウ糖に分解する酵素の働きを妨げるので糖尿病を防ぐとともに、脂肪燃焼の効果、美肌効果が期待されます。

●糖尿病を予防する効果
サラシアは、糖分を分解する酵素の働きを阻害して、食品中の余分な糖分が吸収されないようにします。
食べ物に含まれる糖質は、小腸で酵素によってブドウ糖に分解されます。ブドウ糖が腸管から吸収されて血液中に入ると、それを感知した膵臓からブドウ糖の細胞への取り込みを促したり、余分なブドウ糖を体脂肪として蓄積するように働くインスリンが放出されます。
食べ過ぎや糖質の摂り過ぎはインスリンの処理能力に大きな負担をかけて過度の肥満や血糖値のコントロールを失わせることから、糖尿病を引き起こす原因になります。
しかしサラシアには、糖質をブドウ糖に分解する酵素の働きを妨げるので、糖尿病を防ぐことが大いに期待されます。
しかも様々な研究から糖尿病患者の血糖値改善効果、体重減少効果は確認されています。
サラシアの持つ糖尿病を予防する働きは、サラシアに含まれるサラシノールとコタノールという成分によるものであるという研究報告もなされています。
1日にサラシア抽出物240mgをめどに食前に摂取すると良く、糖分の吸収を抑えてくれるので食後の血糖値上昇を防ぐために有効であるといえます。【1】【2】【3】

●脂肪燃焼を促す効果
サラシアは腸で脂肪代謝酵素を阻害し脂肪の吸収を抑える働きがあります。また体内の脂肪細胞に溜まっている脂肪の分解を促す働きも報告されています。
これはサラシアの持つポリフェノール類やテルペノイド類の働きによるものといわれています。
また脂肪の吸収を抑える働きや蓄積された脂肪の分解を促す働きもあることから脂肪燃焼の効果が期待されます。

●美肌効果
腸内環境が悪化して悪玉菌が増加すると、悪玉菌がたんぱく質を分解する際に出す有害物質も増加します。便秘で有害物質が外に出にくくなると、大腸の毛細血管を通じて血液に溶け込んで全身をめぐり、さまざまなトラブルを引き起こします。
腸内環境が悪いと人間の肌にニキビや吹き出物ができたり、シミが沈着しやすくなったり、皮膚炎を引き起こすこともあり、腸内環境は肌に大きく影響するといわれています。
しかし、サラシアを摂取することで腸内環境が悪い原因となる悪玉菌を減らして便通を整え、肌トラブル改善につながります。
また活性酸素もシミやしわの原因になりますが、サラシアに含まれる抗酸化成分が活性酸素をすみやかに消去し肌のサビつきをブロックします。
そのため腸内環境の改善とともにサラシア自体の抗酸化作用で美肌効果が期待されます。

サラシアはこんな方におすすめ

○糖尿病を予防したい方
○肥満を防ぎたい方
○美肌を目指したい方

サラシアの研究情報

【1】II型糖尿病患者66名を対象に、サラシア抽出液を240mg もしくは480mg を摂取させたところ、食後180分の血糖値とインスリン値のピーク値とAUCが低下したことから、サラシアは糖尿病予防効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17616771

【2】健常者39名を対象に、炭水化物150g を含む高炭水化物食を3日間摂取させた後、試験食と一緒にサラシア抽出物を1,000mg 摂取させたところ、90分後の血糖値と120分後の血清インスリン値及び0~120分間の血清インスリンのAUCが低下したことから、サラシアには糖尿病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15635348

【3】サラシアには、ポリフェノール成分としてマンギフェリンとカテキン3種類とカテキン二量体が2種類含まれており、消化酵素スクラーゼ、マルターゼやαーアミラーゼを抑制する。特にマンギフェリンはスクラーゼを阻害する働きが高く、糖尿病予防効果が期待されます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11360491

【4】薬物誘発炎症ラットを対象に、サラシア抽出物を体重1kg当たり1g の量で投与したところ、炎症の軽減が確認されたことから、サラシアが抗炎症作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9174976

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参考文献

・原山建朗 最新・最強のサプリメント大事典 昭文社

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・Williams JA, Choe YS, Noss MJ, Baumgartner CJ, Mustad VA. 2007 “Extract of Salacia oblonga lowers acute glycemia in patients with type 2 diabetes.” Am J Clin Nutr. 2007 Jul;86(1):124-30.

・Heacock PM, Hertzler SR, Williams JA, Wolf BW. 2005 “Effects of a medical food containing an herbal alpha-glucosidase inhibitor on postprandial glycemia and insulinemia in healthy adults.” J Am Diet Assoc. 2005 Jan;105(1):65-71.

・Yoshikawa M, Nishida N, Shimoda H, Takada M, Kawahara Y, Matsuda H. 2001 “Polyphenol constituents from Salacia species: quantitative analysis of mangiferin with alpha-glucosidase and aldose reductase inhibitory activities.” Yakugaku Zasshi. 2001 May;121(5):371-8.

・Ismail TS, Gopalakrishnan S, Begum VH, Elango V. 1997 “Anti-inflammatory activity of Salacia oblonga Wall. and Azima tetracantha Lam.” J Ethnopharmacol. 1997 Apr;56(2):145-52.

・Collene AL, Hertzler SR, Williams JA, Wolf BW. 2005 “Effects of a nutritional supplement containing Salacia oblonga extract and insulinogenic amino acids on postprandial glycemia, insulinemia, and breath hydrogen responses in healthy adults.” Nutrition. 2005 Jul-Aug;21(7-8):848-54.

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