サラダバーネット

salad burnet Garden burnet オランダワレモコウ Sanguisorba minor

サラダバーネットとは、「ベジタリアンのハーブ」とも呼ばれるバラ科ワレモコウ属のハーブです。葉にはタンニンやビタミンAが含まれているため、日焼けや炎症を抑えたり、傷口の止血などに使用されます。また、サラダやスープ、葉を煎じてお茶としても食されています。

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サラダバーネットとは?

●基本情報
サラダバーネットは、バラ科ワレモコウ属の多年草植物です。ヨーロッパ~温帯アジアが原産で、ヨーロッパでは、古くからハーブガーデンには欠かせないハーブとして親しまれてきました。サラダバーネットの葉は、キュウリに似た香りがすることから「ベジタリアンのハーブ」とも呼ばれています。

●歴史
サラダバーネットは、もともとアメリカに移住した清教徒たちが、ニューイングランド地方に持ち込んだハーブです。ヨーロッパでは古くからハーブガーデンを作ることが盛んに行なわれており、1625年にイギリスの哲学者フランシス・ベーコンが庭園について書いたものには、「踏みつぶすと空中に芳香を放ってとても楽しくなるものに3つある」としてサラダバーネット、ワイルドタイム、ウォーターミントを挙げています。また、イギリスの植物学者ジョン・ジェラードは「サラダバーネットを食べると陽気になれる。ワインに入れると飲み口がいっそう上品でさわやかになる」と言っています。

●サラダバーネットの利用

・料理
サラダバーネットはキュウリに似た風味があるためやわらかい若葉をサラダやスープに散らしたり、葉を刻んでバターやクリームチーズに混ぜこんで使用します。また、冷たい飲み物に添えて香りづけとしても使用できます。
また、若葉をお酢に漬けてハーブビネガーにすることもできます。

・薬
サラダバーネットがもつ収れん作用[※1]を利用して傷口の止血や日焼けした肌の炎症を抑制する薬としても使用されます。

・観賞用
サラダバーネットは、初夏になると暗赤色の球状の花が咲きます。この花をドライフラワーや生け花にして鑑賞用として使われます。

[※1:収れん作用とは、たんぱく質を変成させて、組織や血管を縮める作用のことを指します。]

サラダバーネットの効果

●粘膜や皮膚を健康に保つ効果
サラダバーネットに含まれるビタミンAは、皮膚、目の角膜や粘膜[※2]、口、鼻、のど、胃腸、肺、気管支、膀胱、子宮などを覆う粘膜を健康に保つ働きがあります。皮膚の粘膜は病原菌などの侵入を防ぐバリアの役割をしていて、正しく機能することでウイルスなどの外敵から体を守り、感染症を予防して、体全体の免疫力を高めることに役立ちます。【1】【2】【3】

●肌を引き締める効果
サラダバーネットに含まれるタンニンには、たんぱく質を変性させることにより、組織や血管を縮める収れん作用があります。肌でいうと、開いた毛穴や皮脂腺などを引き締める効果があるため化粧品に配合することで肌を引き締め、毛穴を目立ちにくくする効果や汗を抑える効果を発揮します。●止血する効果
サラダバーネットに含まれるタンニンには、止血する効果があります。ヨーロッパでは、優れた止血作用があることから古くから有用な薬草として用いられ、観賞用としても楽しまれていました。そのため、サラダバーネットの別名Sanguisorba はラテン語の「sanguis(血)+sorbere(吸収する)」が由来といわれています。

●炎症を抑制する効果
サラダバーネットには炎症を抑制する効果があります。サラダバーネットの葉の浸出液を日焼けや炎症を起こした肌にあてて使用します。日焼けは、太陽の光に含まれる紫外線が原因で起こります。 紫外線を浴びすぎると、細胞が傷ついてしまいます。それを防ぐために皮膚の表面でメラニン色素[※3]が作られ、紫外線を吸収したり、散乱させたりして細胞を守る働きをします。日焼けをすると肌が黒くなって見えるのは、メラニン色素が黒みがかった茶色をしているためです。サラダバーネットに含まれるタンニンには、このメラニン色素を産生する細胞の増殖を抑制する働きがあるため、皮膚の保護や炎症を抑制する効果があるいわれています。

[※2:粘膜とは、消化管・呼吸器・排出器・生殖器などの内壁で、常に粘液で湿っている部分のことを指します。]
[※3:メラニン色素とは、シミの原因になるものです。メラニン色素の蓄積によってシミは形成されます。]

こんな方におすすめ

○火傷や傷のダメージを抑えたい方
○炎症や痛みを抑えたい方
○肌のハリや弾力を保ちたい方

サラダバーネットの研究情報

【1】プナルバシャで伝統医薬として使われてきたサラダバーネットの抗腫瘍効果をラットの胃潰瘍モデルを用いて試験したところ、改善効果が認められたことから、サラダバーネットには胃粘膜保護作用が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16085377

【2】イベリア半島で育つ薬用植物であるサラダバーネットを使い、抗HIV活性をヒトリンパ球のMT-2細胞株を使い試験を行ったところ50μg/mLにおいてその効果を示したことから、サラダバーネットには抗菌、抗ウィルス作用が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11483387

【3】イベリア半島のサラダバーネットの水抽出物を使い、抗ウイルス活性(HSV-1・VSV・1型ポリオウイルス)を試験したところ、50-125μg/mLでその効果が認められたことから、サラダバーネットには抗ウィルス作用が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11113996

【4】サラダバーネットのエタノール抽出物を精製し、その主成分であるケルセチン-3-グルコシドを同定した。そして、その主成分を使った乳がん細胞株の増殖抑制試験を行ったところその効果が認められました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22348918

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参考文献

・ハーブスパイス館 田部井満男 小学館

・Gürbüz I, Ozkan AM, Yesilada E, Kutsal O. (2005) “Anti-ulcerogenic activity of some plants used in folk medicine of Pinarbasi (Kayseri, Turkey).” J Ethnopharmacol. 2005 Oct 3;101(1-3):313-8.

・Bedoya LM, Sanchez-Palomino S, Abad MJ, Bermejo P, Alcami J. (2001) “Anti-HIV activity of medicinal plant extracts.” J Ethnopharmacol. 2001 Sep;77(1):113-6.

・Abad MJ, Guerra JA, Bermejo P, Irurzun A, Carrasco L. (2000) “Search for antiviral activity in higher plant extracts.” Phytother Res. 2000 Dec;14(8):604-7.

・Cuccioloni M, Bonfili L, Mozzicafreddo M, Cecarini V, Eleuteri AM, Angeletti M. (2012) “Sanguisorba minor extract suppresses plasmin-mediated mechanisms of cancer cell migration.” Biochim Biophys Acta. 2012 Jul;1820(7):1027-34.

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