RNA(リボ核酸)

ribonucleic acid

RNA(リボ核酸)とは、DNAと共に遺伝物質であり核酸のひとつです。細胞の設計図をつくるDNAの指示のもと、たんぱく質をつくり出します。
RNAとDNAが協力することによって、細胞を構成するために不可欠で健康な体や、若々しい肌を保つために必要です。

LINEスタンププレゼント!お友達登録はこちら。配信期間2025/01/23

RNA(リボ核酸)とは

●基本情報
RNAは、DNAの指示をもとに、生物の細胞にとって重要な材料である、たんぱく質をつくり出す働きを持つ成分であり、核酸を構成している物質のひとつです。
人間の体を構成する約60兆個の細胞は、数ヵ月でほとんどすべての細胞が生まれ変わるといわれています。人間の体内では、常に細胞の生まれ変わりが行われており、健康を保つことができています。
このような生命活動のもとになる細胞の材料は、たんぱく質と核酸です。
たんぱく質は食品として摂り入れると、すぐに体の血や肉となるのではなく、酵素の働きによって消化・代謝され、アミノ酸へと分解されます。分解されたアミノ酸は、皮膚や爪、髪などさまざまな場所に必要に応じてたんぱく質に組み立て直されるのです。この組み立て作業を行うのが、RNAです。
全ての生物において複雑で非常に重要な仕組みといえます。

●RNAの歴史
1869年、スイスの生化学者ミーシェルが患者の包帯から膿を集め、白血球[※1]の中に含まれる高分子物質を細胞核[※2]の中から取り出しました。
その後、鮭の白子、ビール酵母、仔牛の胸腺からも同様の物質が発見され、1889年にそれが細胞核内の酸性物質であることから核酸と名付けられました。
1929年、フィーバス・レヴィーンがDNAを構成する糖はデオキシリボースで、核酸にはDNAとRNAの2種類が存在することを発見しました。

●DNAとRNA
核酸はDNAとRNAの2種類の物質から構成されており、その働きはそれぞれ異なっています。
DNAは、細胞核といわれる細胞の遺伝子情報の保存と伝達を行う部分に存在し、アミノ酸の組み合わせを決め、RNAにたんぱく質をつくり出す指令を行っています。
RNAは、DNAの情報に基づいてアミノ酸からたんぱく質を合成しています。つまり、RNAはDNAという遺伝情報に従って必要なたんぱく質を合成する大工の役割を担っています。

●RNAの働き
RNAは、細胞核の中でDNAからたんぱく質の情報を受け取り、細胞質へと運びます。そして、DNAからの情報をもとにたんぱく質を合成し、それぞれの部位に必要なたんぱく質を送り出しています。
人間の体の約20%はたんぱく質でできており、肌や髪、爪などをつくる材料となります。部位によって必要なたんぱく質の種類は異なっているため、DNAがRNAに指示するたんぱく質は約10万種類にものぼります。
DNAが指示を出し、RNAがたんぱく質をつくり出すことによって、体の様々な組織が構成されているのです。

●栄養素としてのRNA
RNAはDNAと協力して体をつくる重要な成分であるとともに、栄養素としても不可欠な成分です。
かつて、古い栄養学では、RNAはほかの栄養素から必要な分だけつくることができるので、食べ物から摂る必要はないと考えられており、栄養素として注目されることはほとんどありませんでした。
しかし、中高年の手術後患者の免疫力の低下に対して、点滴の輸液を通してDNAとRNAを含む核酸食を与えたところ、免疫力が下がりにくいことが明らかになったという日本の研究により、RNAは栄養素としての必要性が認められることとなったのです。

人間の体をつくっている細胞は、古い細胞が新しい細胞に生まれ変わる新陳代謝を繰り返しています。
DNAとRNAは、この新陳代謝を行う上で必要となる成分です。
体の部位によって新陳代謝のサイクルは異なっています。DNAとRNAの2つのうち、どちらか一方が不足してしまうことで、細胞の生まれ変わりである新陳代謝がうまく行われず、新しい細胞がつくり出されにくくなり、老化の促進につながると考えられています。
また、細胞は生物に必要なエネルギーを合成する所でもあり、新陳代謝のサイクルが乱れると、エネルギーを合成する力が低下し、体が疲れやすくなってしまいます。
健康で若々しい体を保つためには、DNAとRNAの存在がとても大切なのです。

●体内のRNA
RNAは記憶力を保つための栄養素であるため、脳にはRNAが多く存在しています。また、脳にある神経細胞の数は増えないため、細胞分裂に必要なDNAではなくたんぱく質を合成するRNAが必要とされるのです。

DNAとRNAの合成には、「デノボ合成」と「サルベージ合成」の2種類の方法があります。
デノボ合成は、おもに肝臓でアミノ酸などから合成する方法、サルベージ合成は、食べ物から摂取したDNAとRNAから合成する方法です。
デノボ合成でDNAとRNAが盛んにつくられるのは20歳位までだといわれています。なぜなら、肝臓の機能が衰えてしまうからです。
回復力の低下や肌の衰え(シミやそばかす)などの体の変化は、肝機能の衰えによりDNAとRNAがつくられる力が弱くなってしまうことが原因です。これにより細胞が生まれ変わる周期が徐々に狂ってしまうのです。

●RNAを補う方法
RNAは核酸を多く含む食品に豊富に含まれているため、日々の食事で動物や植物、魚介類に含まれている核酸を摂取することができますが、十分な量を補うことは難しいといわれています。
また、核酸を多く含む食品の中にはコレステロールが多いものもあり、サプリメントなどの補助食品で補うことが効率的と考えられます。
特にRNAが多く含まれる食品がビール酵母であり、いわしの93倍の核酸を含んでいるといわれており、ビール酵母から抽出されたエキスが多くの補助食品の原料として用いられています。

[※1:白血球とは、血液に含まれる細胞のひとつです。体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する役割があります。]
[※2:細胞核とは、細胞の中心にあり、球状の形をしている組織です。遺伝情報を持つDNAが存在する場所です。]

RNA(リボ核酸)の効果

●肌の老化を予防する効果
皮膚は、細胞分裂が非常に活発であり、より多くのRNAを必要とします。
皮膚はシミやしわなどの老化が目立ちやすい部分であるため、このような老化現象は女性の多くが抱える悩みとなっています。
皮膚では次々と新しい細胞がつくられていますが、その一方で古い細胞はアカとなって剥がれ落ちていきます。このサイクルをターンオーバーと呼び、通常では28日間で細胞が生まれ変わるといわれています。
しかし、肌の曲がり角といわれる20歳前後を過ぎると、DNAとRNAの量が不足し、新陳代謝が衰え、ターンオーバーのサイクルが乱れてしまいます。その結果、古い角質が肌の表面に蓄積されたままになるため、肌荒れが引き起こされやすくなり、肌の老化にもつながります。
また、紫外線から肌を守るメラニン色素が、新陳代謝の衰えにより、皮膚の中に残りやすくなってしまい、日焼けによるシミやそばかすができやすくなります。
RNAは、コラーゲンやエラスチンの合成に直接関与し、細胞の新陳代謝を活発にさせることによって、肌の老化現象を防ぐ効果があります。

●疲れにくい体をつくる効果
年齢とともに疲労回復に時間がかかる・疲れやすくなるのは、体内のRNAが不足し、新陳代謝が衰えてしまうことが大きな原因です。
DNAとRNAを補うことによって細胞の生まれ変わりを活性化させ、疲れが溜まりにくい体をつくることができます。

また、ストレスや過度な飲酒・喫煙、紫外線などによって発生する活性酸素[※3]が細胞にダメージを与え、その結果、細胞が弱ってしまい、疲れやすくなるといわれています。
DNAとRNAは、この活性酸素から体を守るために必要な抗酸化力[※4]を高めることができます。
現代人の生活環境は、活性酸素が発生する原因であるストレスや紫外線と深く関わっているため、RNAを補うことによって、疲れにくい健康な体を保つことができます。

●脳の働きを活発にする効果
脳に必要な栄養素であるRNAを十分補うことで、脳の細胞の老化現象を抑えることができます。
実際に、RNAが多く含まれるビール酵母を高齢者に与えたところ、記憶力が増した・認知症[※5]が回復したという結果も報告されています。
つまり、RNAを補給することによって、脳が活動するためのエネルギーが増え、脳の働きを活発にする効果があるといえます。【4】【5】

[※3:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力をもった酸素のこと。紫外線やストレスなどにより体内で過剰に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]
[※4:抗酸化力とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ力です。]
[※5:認知症とは、アルツハイマー病とも呼ばれ、物忘れが激しくなる・理解力や判断力が低下する・以前熱中していたことに興味を示さなくなるといった症状が挙げられます。]

RNAは食事やサプリメントで摂取できます

RNA(リボ核酸)を含む食品

○ビール酵母
○ちりめんじゃこ
○いりこ
○のり

こんな方におすすめ

○美肌を目指したい方
○疲れやすい方
○記憶力が気になる方

RNA(リボ核酸)の研究情報

【1】上部消化管悪性腫瘍のため手術を行った患者77名に、アルギニン・RNA・ω-3 を摂取させると、感染症や創傷などの合併症の発症率が低下し、あわせて早く回復し退院できました。RNAを含む食事が、手術のケアに役立つことが示唆されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1377838

【2】上部消化管疾患により手術を受けた患者に、早期術後栄養として、アルギニン、ω-3 不飽和脂肪酸と核酸を摂取させたところ、体内での免疫機能を司る、免疫グロブリンや白血球B細胞が早期に回復しました。このことから、術後の早期栄養として核酸の摂取の有用性が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7536138

【3】早産児において、生後3ヵ月間に栄養素として核酸を摂らせたところ、免疫機能を持つ免疫グロブリンである IgA 及び IgMの増加がみられました。早産児の免疫機能を向上させるために、出生後早期の栄養補給として核酸の効果が確認されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10475592

【4】食事制限をしたマウスの脳内では、3つのRNA(mmu-miR-181a-1*, mmu-miR-30e and mmu-miR-34a) が活性化されることでガン化や細胞死に関連のある物質Bcl を抑制し、脳神経細胞へのダメージが抑制されます。このことから、脳神経の維持には食事制限とそれにともなう3種のRNAの関係が示唆されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21415464

【5】高脂肪食を摂取したマウスの脳内では、エネルギー産生関連タンパク質及びRNA(Arl8B) のはたらきが低下していました。このRNAは神経細胞の成長と伸長に関与していることから、RNAが脳の機能性に関係があることが確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16861820

もっと見る 閉じる

参考文献

・森重福美 核酸の効用 ヘルス研究所

・松永政司、宇住晃治 DNA核酸の栄養学 ヘルス研究所

・山口武津雄 核酸食で老化を防止する-今新しくわかった若返り法- ヘルス研究所

・Daly JM, Lieberman MD, Goldfine J, Shou J, Weintraub F, Rosato EF, Lavin P. 1992 “Enteral nutrition with supplemental arginine, RNA, and omega-3 fatty acids in patients after operation: immunologic, metabolic, and clinical outcome.” Surgery. 1992 Jul;112(1):56-67.

・Kemen M, Senkal M, Homann HH, Mumme A, Dauphin AK, Baier J, Windeler J, Neumann H, Zumtobel V. 1995 “Early postoperative enteral nutrition with arginine-omega-3 fatty acids and ribonucleic acid-supplemented diet versus placebo in cancer patients: an immunologic evaluation of Impact.” Crit Care Med. 1995 Apr;23(4):652-9.

・Navarro J, Maldonado J, Narbona E, Ruiz-Bravo A, García Salmerón JL, Molina JA, Gil A. 1999 “Influence of dietary nucleotides on plasma immunoglobulin levels and lymphocyte subsets of preterm infants.” Biofactors. 1999;10(1):67-76.

・Khanna A, Muthusamy S, Liang R, Sarojini H, Wang E. 2011 “Gain of survival signaling by down-regulation of three key miRNAs in brain of calorie-restricted mice.” Aging (Albany NY). 2011 Mar;3(3):223-36.

・Haraguchi T, Yanaka N, Nogusa Y, Sumiyoshi N, Eguchi Y, Kato N. 2006 “Expression of ADP-ribosylation factor-like protein 8B mRNA in the brain is down-regulated in mice fed a high-fat diet.” Biosci Biotechnol Biochem. 2006 Jul;70(7):1798-802.

・松永政司、宇住晃治 難病克服・若さを保つ核酸 ふるさと文庫

もっと見る 閉じる

ページの先頭へ