レスベラトロールとは
レスベラトロールとは、サンタベリーやブドウなどに含まれるポリフェノールの一種です。
ポリフェノールとは、香料や色素として利用される植物成分の総称で、高い抗酸化力[※1]を持ちます。
中にはアントシアニンのように色素として食品に利用されるポリフェノールもあります。
レスベラトロールは化学構造の違いにより「トランス型」と「シス型」の2種類に分類されます。「トランス型」は新鮮な原材料から摂れる安定した分子構造を持ち、「シス型」は太陽光や熱、酸化などによって不安定な状態の分子構造を持ちます。
トランス型レスベラトロールは太陽光などの原因により、シス型に変化するといわれています。
サプリメントや化粧品には、体内で有効に働くトランス型のレスベラトロールが多く使用されています。
【1939年】北海道帝国大学(現北海道大学)の高岡道夫氏が、バイケイソウという有毒植物から、レゾルシノール[※2]構造を持つ抗酸化物質を発見したところから始まります。
レスベラトロール(Resveratrol)という名前は、レゾルシノール「Resorcinol」とバイケイソウの英名「Veratrum album」を組み合わせて、高岡氏が命名したといわれています。【1976年】
レスベラトロールは植物が紫外線などのストレスにさらされた時に自分の体を守り、生き続けるために生み出す防御成分「ファイトアレキシン」のひとつであることが報告されました。【1992年】
フランスの科学者セルジュ・ルノー博士が、脂肪の多い食事を日常的に食べているフランス人の心臓病死亡率が低いのは、大量にワインを飲んでいることが関係していることを発表しました。この発表により、研究者のワインに対する注目が高まり、世界中でワインブームが起こりました。その後、ワインにはレスベラトロールが含まれていることがわかり、心疾患予防に貢献しているのではないかと考えられるようになりました。【1999年】
マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授が、通常の栄養状態では眠っているのですが、飢餓状態に陥った時(極端なカロリー制限)に初めて活発になる遺伝子「サーチュイン遺伝子」の存在を突き止めました。その後に、すべての生物がこの遺伝子を持っていることがわかり、このサーチュイン遺伝子の活性化に関する研究が始まりました。
【2003年】
ハーバード大学のデービット・シンクレア博士の研究チームは、レスベラトロールが酵母菌のサーチュイン遺伝子に直接作用し、活性化させることを突き止めました。このレスベラトロールの作用により、酵母菌の寿命を70%伸ばすことに成功したのです。 酵母菌に対し、レスベラトロールは、サーチュイン遺伝子を活性化させる唯一の手段とされていた極端なカロリー制限と、ほぼ同様の長寿効果をもたらすことが明らかになりました。 【2006年】
マウスでもレスベラトロールの長寿効果を確かめる実験が行われ、レスベラトロールには、哺乳類でもカロリー制限なしでサーチュイン遺伝子を活性化させることが明らかになりました。これは有名な科学雑誌「Nature」でも論文が掲載され、全世界を驚かせ、レスベラトロールへの期待がますます高まりました。そして今なお、レスベラトロールは期待の成分として様々な研究が続けられており、サプリメントや化粧品に健康効果を期待して配合されるようになりました。
●レスベラトロールを多く含む食品
レスベラトロールを多く含む食品として、北欧[※3]・ラップランド[※4]の森に自生する真っ赤な果実サンタベリーが挙げられます。サンタベリーが自生する北欧では、夏の紫外線から自らを守るために、その果実にはファイトケミカルであるレスベラトロールを豊富に蓄えます。サンタベリーに含まれるレスベラトロールは、体内で働くトランス型レスベラトロールです。
また、地中海沿岸の湿った気候の地域で育つブドウにもレスベラトロールは含まれます。
病気から実(身)を守るためにレスベラトロールを皮に蓄えるのです。ブドウが原料である赤ワインにもレスベラトロールが含まれます。特に紫外線の多いボルドーやローヌなどの南フランス産のものは、レスベラトロールが多く含まれています。
赤ワインから摂れるレスベラトロールは、トランス型とシス型両方を含んでいることがわかっています。
他にもレスベラトロールはピーナッツの皮やアーモンド、ココアなどにも含まれています。
●レスベラトロール摂取における注意点
ワインの品種では、ピノ・ノワール、ネオビロ、メルローなどにレスベラトロールが多く含まれています。
適量(1日にグラス2~3杯)のワインは心臓病などのリスクを下げますが、飲みすぎは禁物です。
効果的にレスベラトロールを摂取するには、サプリメントの活用もひとつの手段とされています。
サプリメントで摂取する場合、注意しなければならない原料は、イタドリ[※5]由来のものです。
イタドリ由来のレスベラトロールは安価であるため、アメリカなどではサプリメントとして多く出回っています。
日本では、イタドリ抽出物が医薬品として使用される成分本質(原材料)リストに掲載されているため、食品やサプリメントへの使用は禁止されています。
<豆知識>フランス人の日常食に隠された秘密
フランス人の一般的な食卓には、バターやチーズ、こってりとした肉などの料理と赤ワインが並べられます。
動物性脂肪の摂取量が多いにも関わらず、フランス人には動脈硬化の患者が少なく、心臓病の死亡率も低いという矛盾があります。これを「フレンチ・パラドックス(フランスの逆説)」といいます。
これは、フランス人が日常的に飲んでいる赤ワインに秘密があり、赤ワインに含まれているレスベラトロールなどのポリフェノールの効果によって動脈硬化が抑えられているからなのではないかと考えられています。
[※1:抗酸化力とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ力です。]
[※2:レゾルシノールとは、レゾルシンとも呼ばれている、有機化合物の一種です。防腐剤や殺菌剤などの原料に用いられています。]
[※3:北欧とは、ヨーロッパの中でも北部に位置している地域のことです。一般的には、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランドの5カ国を指します。]
[※4:ラップランドとは、フィンランド・スウェーデン・ノルウェーの北欧3国とロシアを含む北緯66度33分以北の北極圏エリアの総称です。]
[※5:イタドリとは、日本やその他のアジア地域原産の何年も枯れずに育つ植物です。イタドリの根は日本では昔から漢方薬の生薬として使われていた経緯があり、医薬品として扱わなければなりません。]
レスベラトロールの効果
◇食品やサプリメントで摂取した場合
●しわ・たるみの予防効果(肌の弾力を保つ効果)
しわやたるみのような皮膚の老化は、年齢とともに進みます。
その老化の要因には、遺伝的な要因によるものと、紫外線やストレス、生活習慣の乱れなどの生活環境によるものがあります。
しかし、この中でも特に大きな割合を占めるのが紫外線によるものであるといわれています。
紫外線があたり炎症が起こることによって、肌の弾力性に関与しているコラーゲン、エラスチンを分解するコラゲナーゼ[※8]、エラスターゼ[※9]、マトリックスメタロプロテアーゼ[※10]という酵素が活性化し、その結果として皮膚のしわやたるみが生じます。
レスベラトロールは非常に強い抗酸化力をもち、これらの酵素の活性を阻害する働きがあるとされており【1】【2】、しわやたるみなどの肌の老化の抑制に効果があると考えられます。
また、サンタベリー(リンゴンベリー)由来レスベラトロールを12 mg配合した食品を12週間連続で摂取したところ、摂取しなかった人と比較して、12週間後に、人の肌における肌弾性が上昇するという効果が確認されました。【3】
この結果から、レスベラトロールは肌の弾力や柔軟性(柔らかさ)を改善する効果が期待されます。
●肌の潤い・ハリの維持する効果
肌の組織には、水分の保持や柔軟性の維持のために働くヒアルロン酸が含まれています。
ヒアルロン酸はヒアルロニダーゼ[※7]という酵素によって分解されますが、レスベラトロールはヒアルロニダーゼの活性を抑える効果を持っており、肌の潤いや柔軟性の維持に役立つ効果が期待されています。
●肌のシミを予防する効果(美白効果)
肌のくすみやシミは、メラノサイトという色素細胞において、チロシナーゼという酵素によって作られるメラニンが原因です。
レスベラトロールはチロシナーゼの活性を阻害し、メラニンの生成を抑える効果があるとされているため、肌のシミを予防する効果があり、美白効果が期待されます【4】。
●血流を改善する効果
レスベラトロールは血管拡張物質NO(一酸化窒素)[※11]を増加させることで血管を拡張することが明らかとなっています。【5】
肌においても血行不良に陥ると酸素や栄養素が隅々までいきわたらず、さらに老廃物の排出もスムーズに行うことが難しくなるため、肌のくすみや乾燥につながります。そのため血管を拡張し、血流を改善することで、栄養や酸素を体中へ運びやすくなり、老廃物の除去がスムーズになると考えられ、体全体の若々しさへつながることが期待されます。
●メタボリックシンドロームを予防する効果
近年、食の欧米化が進み、脂肪分やたんぱく質の摂取が多くなっています。
脂肪の摂りすぎは、肥満や脂肪肝[※11]、動脈硬化などの生活習慣病の原因にもつながります。
しかし、レスベラトロールにはそんな高カロリーな食事による脂肪の摂りすぎに働きかける効果があることがわかっています。
遺伝性肥満マウスにレスベラトロールを添加したエサを与えるという実験では、血糖のコントロールや異脂肪血症(高脂血症)を改善することが確認され【6】、糖尿病の治療に有効である可能性が示されました。
また、マウスに高脂肪食とレスベラトロールを一緒に与えたところ、肝臓のコレステロールの蓄積が減少するという効果があることも確認されています。【7】さらに、豚に動脈硬化を発症させる餌と共にレスベラトロールを含むブドウエキスを与えたところ、動脈のしなやかさを維持することが分かりました。【8】
これらのことから、レスベラトロールには心臓病や糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病の予防効果があると考えられています。
◇化粧品などで塗布した場合
レスベラトロールは、その若々しさを保つ効果や抗酸化作用を期待され、化粧品にも配合されています。
化粧品で外側からの美しさの維持にも効果が期待されています。
●美肌効果
サプリメントや食品から摂取する場合と同様に、肌のハリを維持する効果、しわ・たるみの予防効果、肌のシミを予防する効果があると考えられています。肌のシミに関しては、ヒトの皮膚に紫外線をあてた後に、紫外線照射部位にレスベラトロールを塗布したとき、ダメージが減少し、色素沈着(シミ)が軽減したという報告があり、シミの予防に効果があると考えられます。【9】
●肌荒れ予防効果
レスベラトロールには抗炎症作用があります。これは、レスベラトロールが炎症を引き起こすNF-κBという転写因子の活性化を抑制する働きをもっているためです。NF-κBは紫外線や細菌の影響で活性化されますが、レスベラトロールはNF-κBの活性化を抑え、できものやかゆみ、発赤を抑える効果が期待されています。【10】
●ニキビ予防効果
レスベラトロールは、ニキビの発症・悪化にかかわるアクネ菌(P.acnes)[※13]の増殖を抑えることがわかっています。
アクネ菌は肌表面の皮脂を栄養として増殖します。アクネ菌によって産生されるリパーゼは皮膚の炎症反応を引き起こします。
レスベラトロールはアクネ菌に対して抗菌作用を発揮することが確認されており、抗炎症作用との相乗効果でニキビの発症と悪化を抑えることが期待されています。【11】
[※6:チロシナーゼとは、アミノ酸であるチロシンを酸化して、メラニンをつくる酵素で、この酵素を阻害することにより、メラニンの生成を食い止め美白効果が働きます。]
[※7:ヒアルロニダーゼとは、ヒアルロン酸を分解する酵素です。]
[※8:コラゲナーゼとは、コラーゲンを分解する酵素です。]
[※9:エラスターゼとは、エラスチンを分解する酵素です。]
[※10:マットリックスメタロプロテアーゼとは、コラーゲンやエラスチンなどを分解する酵素です。]
[※11:NO(一酸化窒素)とは、酸素と窒素からなる、無機化合物の一種です。血管内皮細胞から血液中に生産され、血管拡張作用や、血小板凝縮抑制作用などの働きを示します]
[※12:脂肪肝とは、食べ過ぎや飲みすぎによって肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった肝臓の肥満症ともいえる状態です。肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった脂肪肝は、動脈硬化をはじめとする様々な生活習慣病を引き起こす恐れがあります。]
[※13:アクネ菌とは、皮膚の毛包内(毛の根っこ部分)に生息する微生物のひとつです。誰でも持っている菌ですが、増殖するとにきびや吹き出物の原因となります。]
食事やサプリメントでも摂取できます
レスベラトロールを含む食品
○サンタベリー(リンゴンベリー)
○赤ワイン(ブドウ)
○ピーナッツの渋皮
○アーモンドの渋皮
○ココア(カカオ)
こんな方におすすめ
○シワやたるみのない美しい肌になりたい方
○肌のハリや弾力を保ちたい方
○見た目より若く見られたい方
○肥満を予防したい方
○生活習慣病を予防したい方
生活習慣病を防止する効果
レスベラトロールは、若々しさを保つカギになる成分として注目されつつあります。そのわけは、ヒトの体を作っている約60兆個もの細胞に遺伝子レベルからはたらきかけ、細胞の生まれ変わりを助ける働きがあるからです。レスベラトロールの働きによって、細胞の新陳代謝がスムーズに行われることで、年齢とともにあらわれるお肌の悩みへの効果が期待できます。また、長生き遺伝子と呼ばれる「サーチュイン遺伝子」を活性化させることができるとも言われており、若々しい体づくりに遺伝子レベルから働きかけてくれると期待されています。
レスベラトロールは若々しさを保ち、健やかな毎日を送るために役立つ成分として期待されていますが、他にも多くの人にとって嬉しい効果があることが知られています。それが肥満を防止する効果です。かつての日本では、多くの人が野菜や魚を中心とした質素な食生活を送っていましたが、食の欧米化が進んでいると言われる現在の日本では、脂肪分やたんぱく質の摂取が増加しています。それに伴って、肥満や脂肪肝、動脈硬化といった生活習慣病に悩む人も増えています。
食の欧米化が進み脂肪分やたんぱく質の摂取が増えている日本とは異なり、昔から高脂肪の食事を摂っているのがフランス地方の人々です。しかし、フランス地方の人々は、血管系の疾患を発症する割合が低いという報告があります。このことは「フレンチパラドックス」としてよく知られており、研究が進められてきました。フランス地方の人々は、高脂肪の食事と一緒に、赤ワインを飲む習慣があります。そこに注目した研究の結果から、赤ワインに含まれる成分が、血管系の疾患の発症率を低下させているのではないかという見方がされています。その成分こそが、レスベラトロールではないかと考えられています。
レスベラトロールの研究の一環として、マウスにエサと一緒にレスベラトロールを含む赤ワインを与える研究が行われました。その研究では、赤ワインを与えたグループでは、脂肪細胞の蓄積が抑えられたという結果が得られ、赤ワインに含まれるレスベラトロールには脂肪の代謝を改善する働きがあることが示唆されました。脂肪の代謝が進み、体内の脂肪の粒が小さくなっていたのです。そのほかの研究でも、心臓病や糖尿病といった生活習慣病の予防効果が期待できる研究結果が報告されています。レスベラトロールを摂取することで、肥満やそれに起因する疾患を防ぐことができれば嬉しいですが、まずはバランスの取れた食事、規則正しい生活や適度な運動を心がけることが大切ですね。
多く含まれる食べ物
レスベラトロールは高い抗酸化力を持つポリフェノールの一種で、細胞の生まれ変わりを促進し、若々しさをサポートするアンチエイジング成分として注目されています。レスベラトロールには、美肌や長寿などへの効果が期待されるだけでなく、肥満防止や生活習慣病の予防にも役立つとして知られており、毎日をいきいきと過ごすために積極的に摂取したい成分の一つとして、多くの人々からの注目を集めています。
レスベラトロールは、ブドウに多く含まれていると言われていますが、それ以上に多くの量を含む果物があります。それが、北欧の森に自生する野生種のサンタベリーです。北欧の森の中で小さな赤い実をつけるサンタベリー。その実に含まれるレスベラトロールの量は、赤ワイン用のブドウとして栽培されるカベルネ・ソーヴィニヨンの2倍以上にもなることが明らかになっています。
北欧産野生種のサンタベリーと同じくらいレスベラトロールを豊富に含んでいるのが、ブドウです。ブドウにはさまざまな品種があるので、それぞれの品種によって含有量に差があるようです。ブドウをもとにして作られたワインにも、レスベラトロールは含まれており、とくに赤ワインに多く含まれています。また、研究によっては、ブドウの実や皮よりも、新芽やつるの部分により多く含まれるという説もあるようです。
ぶどうや赤ワインの他にも、ピーナッツの皮やアーモンド、ココアなどにもレスベラトロールは含まれています。しかしながら、レスベラトロールを摂るために、これまでに挙げた食べ物をたくさん摂取することは、現実的なことではありません。高品質なレスベラトロールを継続的に効率良く摂取するなら、サプリメントを利用することも良い選択肢といえるでしょう。
サンタベリーに含まれる成分の一つ
レスベラトロールは体内の若返りに関わる遺伝子を活性化させ、遺伝子レベルからのアンチエイジング効果が期待され、研究されている成分です。摂取することによって細胞の生まれ変わりを助けると言われており、長寿やアンチエイジング、肥満防止などへの効果が期待される研究結果が相次いで報告されています。
細胞の生まれ変わりを助け、さまざまな健康効果が期待されるレスベラトロールは、抗酸化物質としてその名を知られるポリフェノールの一種です。レスベラトロールはブドウや、イタドリといった植物に多く含まれると言われていますが、サンタベリーの実にも多く含まれていることが分かっています。
レスベラトロールを豊富に含む植物の一つであるサンタベリーとは、北欧の国フィンランドを中心に自生しているツツジ科の植物で、8月下旬から9月上旬にかけて、小さな赤い実をつけます。サンタベリーは、英語ではリンゴンベリー、日本語ではコケモモという名で知られています。マイナス30℃の寒さに耐えられると言われるほど、寒さに強い植物ですが、暑さには弱いという特徴もあります。また、日本でも多くの人々に親しまれているブルーベリーやビルベリーと同じベリー類でもあります。
レスベラトロールを豊富に含むサンタベリーには、その他にも健康維持に役立つ、さまざまな成分が含まれています。サンタベリーに含まれる、レスベラトロール以外の代表的な成分としては、ビタミンEや食物繊維、マンガンなどが挙げられます。
健康のために大切な栄養素を豊富に含むサンタベリーですが、この赤い果実に含まれるレスベラトロールの量は、様々なベリー類の中でもトップクラスです。レスベラトロールをたっぷり含んだサンタベリーは、まさに若返りの果実といえるのです。
海外で主流のイタドリ由来のレスベラトロール
レスベラトロールはブドウや赤ワインに多く含まれる高い抗酸化作用を持ったポリフェノールの一種です。特有の働きとして若々しさをサポートし、ハリと潤いのある美肌を維持する効果や、肥満や生活習慣病の予防に役立つと言われ、さまざまな分野で研究が盛んに行われています。レスベラトロールを豊富に含む物として、これまではブドウや赤ワインが知られていましたが、北欧産野生種のサンタベリーには、あらゆる果物の中でトップクラスの量のレスベラトロールが含まれていることが分かっています。
レスベラトロールは普段の食事からたくさん摂ることはとても難しいので、サプリメントからのほうが効率良く摂ることができ、継続もしやすいと考えられています。日本では、レスベラトロールを豊富に含んだ北欧産野生種のサンタベリーや、ブドウなどからレスベラトロールを抽出したサプリメントが登場しており、多くの人々からの注目を集めつつあります。海外でも、日本と同じようにレスベラトロールが持つ働きへの期待が高まっており、サプリメントが注目されていますが、原料となる物に大きな違いがあります。
日本と違って、海外の市場で主流となっているのは、イタドリ由来のレスベラトロールです。イタドリとは、日本をはじめとした東アジアに広く分布するタデ科の多年生植物で、繁殖力が旺盛なことが特徴です。日本では山菜として食用にされたり、利尿作用や止血を目的とした民間薬としても使われています。イタドリにもレスベラトロールが含まれており、アメリカなどの海外ではイタドリ由来のレスベラトロールのサプリメントが数多く出回っています。
イタドリは繁殖力が旺盛な多年草植物であることもあって、イタドリ由来のレスベラトロールは手頃な価格で購入することができます。また、ワイン由来のレスベラトロールと混合した物も出回っているようです。海外市場で数多く出回るイタドリ由来のレスベラトロールが日本で流通していないのは、日本ではイタドリが医薬品の原材料と見なされており、サプリメントなどの食品への使用が禁止されているからです。毎日の健康維持のために活用するサプリメントは、やはり安全で信頼できる原料から作られるものを選びたいですね。日本で多く販売されているサプリメントの原料であるサンタベリーやブドウは、世界中で食経験もあり、安心できそうですね。
レスベラトロールの研究情報
【1】培養皮膚線維芽細胞において、レスベラトロールとN-アセチルシステイン(アミノ酸の一種)を投与すると、コラーゲン分解酵素の働きを抑制しました。このことにより、レスベラトロールはコラーゲンの分解を抑え、肌の老化予防に役立つと考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20595944
【2】培養皮膚細胞を24時間レスベラトロールに曝露し、その後の遺伝子の発現レベルを調査しました。その結果、炎症や皮膚の老化の指標となる遺伝子の発現、マトリックスメタロプロテアーゼ(コラーゲンやエラスチンを分解する酵素)の発現が抑えられました。これらのことから、レスベラトロールの持つ抗酸化作用により、肌の老化を防ぎ、肌の健康を維持・向上させる効果があると考えられます。
http://urx.space/9VtQX
【3】リンゴンベリー由来レスベラトロールを12mg配合した食品を12週間連続で摂取したところ、摂取しなかった人(疑似食品摂取群)と比較して12週間後にヒトの肌における肌弾性が上昇するという効果が確認されました。
【4】ヒトメラノサイトの初代培養細胞にレスベラトロールを添加したところ、チロシナーゼの働きを阻害し、メラニンの形成を抑えることが確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17460731
【5】豚の網膜の細動脈にレスベラトロールを投与すると、血管拡張作用が確認されました。レスベラトロールは、血管内皮細胞に働きかけ、血管拡張物質NO(一酸化窒素)を増加させ、また、血管平滑筋に直接働きかけ血管を拡張させることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17724212
【6】C57BL/KsJ-db/dbの遺伝性肥満マウスに、レスベラトロール(0.005%および0.02%, w/w)を添加したエサを6週間与えました。レスベラトロールを数回与えると、血中グルコースや血漿遊離脂肪酸などの濃度が低下し、AMPプロテインキナーゼが活性化されました。さらに肝臓の解糖系遺伝子の発現と骨格筋グリコーゲン合成酵素たんぱく質の活性を有意に高めました。レスベラトロールは血糖コントロールや異脂肪血症を改善し、糖尿病治療薬としての可能性があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22715031
【7】マウスに高脂肪食と共にレスベラトロール200 mg/kg を摂取させると、体重の増加や肝臓のコレステロールの蓄積が抑制されました。レスベラトロールは肝臓の酵素である7α‐ヒドロキシラーゼを活性化させるため、高脂肪食による脂質異常を抑制する効果があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22607622
【8】豚に動脈硬化を発症させるエサと共にレスベラトロールを含むブドウエキスを摂らせると、脂肪の蓄積が軽減し、動脈のしなやかさが維持されました。レスベラトロールには動脈硬化を予防する効果が期待できます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22594392
【9】紫外線により日焼けした肌は、紅斑を生じますが、レスベラトロールを塗布することにより、日焼けした細胞の増加を抑制し、紅斑の面積を減少させたことから、レスベラトロールの塗布による皮膚への紫外線保護作用が確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22221158
【10】ヒトの表皮角化細胞にレスベラトロールを添加したところ、炎症に関係するNF-κBという転写因子の活性化を抑えることが確認されました。このことから、レスベラトロールは肌の炎症を抑える可能性が示されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12659672
【11】ニキビを持つ20名の若者(18~23歳)に対して、レスベラトロール入りのゲル化粧品を塗布したところ、すべての被験者において、ニキビが改善されることが確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21348544
【12】高脂肪・高コレステロールの餌を食べさせた豚27頭に餌と共に赤ワインまたはウォッカを7週間摂らせたところ、赤ワインを摂取した豚では、SOD酵素などの抗酸化酵素の酸化が抑制された他、血圧上昇に関係する毛細血管の内皮細胞の働きが緩和されました。これは赤ワインに含まれるレスベラトロールなどのポリフェノールが内皮機能障害を改善し、心臓保護効果を持つためと考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22748601
【13】糖尿病腎症マウスにレスベラトロールを与えることで代謝関連物質 FoxO1活性が有意に高まり、抗酸化酵素SOD活性を上昇させ、Ⅳ型コラーゲンの部分変異を抑制しました。レスベラトロールに腎臓病に対する保護作用が確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22733486
【14】肺炎マウスにレスベラトロール100 mg/kg を摂取させると、肺血管透過性と炎症の抑制、浸潤細胞の減少、白血球細胞T細胞の活性化を抑制することがわかり、レスベラトロールには肺炎症を予防する働きがあることが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22646800
【15】豚水晶体上皮細胞において、レスベラトロールを25μM 投与すると、水晶体での活性酸素の減少と、水晶体の細胞老化の指標であるSA-β-ガラクドシダーゼの上昇を抑制する結果が得られました。そのためレスベラトロールは白内障の予防に役立つと考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21345980
参考文献
・植物栄養素DBフィトス 監修 最新医療が明かす長寿遺伝子活性成分 レスベラトロールの秘密 株式会社カンゼン
・坪田一男 監修 レスベラトロールの基礎と応用 シーエムシー出版
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