れんこん

lotus root

れんこんはシャキシャキとした歯ごたえが特徴的な野菜で、穴が空いていることから先を見通せる縁起物として重宝されています。れんこんにはビタミンCやカルシウム、食物繊維などの有効成分が豊富に含まれています。
胃腸の働きを助けてくれたり、体を強くする働きがあるといわれています。

れんこんとは?

●基本情報
れんこんとは、スイレン科ハス属の蓮(はす)の肥大した地下茎(ちかけい)部分で、シャキシャキとした歯ごたえが特徴の野菜です。原産地には諸説ありますが、中国とエジプトが有力です。
れんこんは、蓮田(はすだ)と呼ばれる泥沼のような蓮を植える田で栽培されています。れんこんは水面に葉を出し、夏の時期に白または薄紅色の大きな花を咲かせます。そして冬の時期に、泥の中から肥大した地下茎を掘り出し食用としています。ハスの実も食用とされます。
れんこんには葉と葉柄、花柄をつなぐ穴が空いており、通気口として、外の空気を地下まで送り込んでいます。この穴があいていることかられんこんは「見通しがきく」として、お正月やお祝いの席で昔から縁起物として重宝されています。
れんこんは主に茨城県や徳島県、愛知県で生産されており、晩秋から冬にかけて旬を迎えます。

●れんこんの種類
れんこんには中国種と在来種の2つの種類があります。
中国種とは、明治時代初期に中国から導入したれんこんを改良したものです。現在市場に出回っているれんこんの多くはこの中国種です。金澄(かなすみ)やだるまと呼ばれている品種が多く栽培されています。
金澄は中国種と在来種のれんこんを交配させたもので金澄1号から金澄37号まであり、中でも金澄20号が多く普及しています。
在来種とは、江戸時代以前に日本に伝わり各地に根付いたれんこんを指します。中国種に比べると細長く少し茶色がかった色をしていて、粘質で柔らかく味が良いとされています。品種としては天王などがありますが、あまり流通はしていません。

●れんこんの歴史
蓮は奈良時代に仏教と一緒に日本へ伝来しました。当初は観賞用として利用されていましたが、平安時代には食用として知られていたといわれています。しかし現在出回っているれんこんは、明治時代に中国から伝わってきた品種が改良されたものです。あまり出回っていない在来種は、鎌倉時代に僧が中国から持ち帰った食用の蓮が土着したものであると考えられています。

●れんこんに含まれる成分と性質
れんこんにはビタミンCやカルシウム、マグネシウム、食物繊維が豊富に含まれています。
れんこんに含まれる特徴的な成分としてはペクチンやタンニンが挙げられます。
水溶性食物繊維の一種であるペクチンはれんこんを切った時の粘り成分で、ポリフェノールの一種であるタンニンはれんこんの黒ずみの原因となるアクの成分です。
れんこんに含まれているビタミンCやペクチンは水溶性で、水に溶けやすい性質を持っています。アク抜きや調理の時は、茹ですぎず歯ごたえが残るくらいを目安に短時間で行うようにすると効率的にこれらの成分を摂取することができます。
切ったれんこんを空気に触れる状態で置いておくと、れんこんに含まれているタンニンが酸化され黒ずみます。この黒ずみを防ぐためには酢が有効であるといわれており、れんこんを切った直後に酢水にさらすことで黒ずみを防ぐことができます。また、れんこんを茹でる時には、お湯に少しだけ酢をたらすと白く仕上げることができます。

れんこんの効果

れんこんには、ビタミンCやペクチン、タンニンをはじめとした様々な栄養素が含まれているため、以下のような健康に対する効果が期待できます。

●胃腸を健康に保つ効果
れんこんに含まれているペクチンには、胃腸を健康に保つ効果があるといわれています。
ペクチンは胃の粘膜保護作用があるほか、たんぱく質や脂肪の消化吸収を助ける作用があります。
さらに、タンニンには消炎・止血作用があり胃の炎症や潰瘍などを予防する効果が期待されています。
れんこんはストレスやトラブルで疲れた状態の胃腸の負担を軽減します。他にも滋養強壮効果があるともいわれています。

●免疫力を高める効果
れんこんに含まれているビタミンCには、免疫力を高める作用があります。免疫力とは、細菌やウイルスなどから身を守る能力のことです。ビタミンCは、体内に入ってきた細菌やウイルスなどを攻撃する白血球の働きを助けるとともに、自らも細菌やウイルスと闘い免疫力を高めます。
また、ビタミンCはコラーゲンの生成に不可欠な栄養素です。コラーゲンが生成されることで、皮膚や骨、血管が丈夫になり、免疫力が高まります。

●ストレスへの抵抗力を高める効果
不安や緊張といった精神的なストレスはもちろん、紫外線やタバコ、疲労、睡眠不足などが原因となってもストレスを感じることがあります。人間はストレスを感じると体内でビタミンCを大量に消費します。体内のビタミンCが不足すると、ストレスに弱くなり、心身の不調にもつながります。
ビタミンCを摂取し、体内のビタミンC不足を解消することでストレスが軽減されます。【1】【2】

●肌荒れを予防する効果
れんこんに含まれているビタミンC量はレモン汁に匹敵するほどです。ビタミンCは肌のハリを保つ働きを担っているコラーゲンの産生を助ける働きや、シミやそばかすを予防する働きを持ち、若々しく美しい肌の維持に必要な成分であると考えられています。
また、れんこんのビタミンCは豊富なでんぷん質に守られているため、熱に壊されにくいという特徴があります。
ビタミンCは美肌ビタミンとも呼ばれており、シミの原因となるメラニン色素の生成を防ぐ働きもあります。

●生活習慣病を予防する効果
れんこんには食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は、血液中のコレステロール値を下げる働きがあるため、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の予防に効果があると期待されています。【1】

●便秘を改善する効果
便秘とは便の水分が減り硬くなり、便が1週間近く排出できない状態のことをいいます。便秘は慢性的なものですが腹痛や頭痛、食欲不振などの症状が現れる場合もあります。
れんこんに含まれている食物繊維が腸内で水分を吸収して膨らみ、腸管を刺激して腸のぜん動運動[※1]を高めることで便の排出が促されます。

[※1:ぜん動運動とは、腸に入ってきた食べ物を排泄するための腸の運動のことです。]

れんこんは食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

◎胃腸を健康に保ちたい方
◎風邪をひきやすい方
◎ストレスを感じている方
◎いつまでも若々しくいたい方
◎動脈硬化でお悩みの方
◎高血圧でお悩みの方
◎便秘でお悩みの方

れんこんの研究情報

【1】れんこんは根や葉、果実(ハスの実)と栄養を豊富に含んでいます。レンコンにはビタミンやフラボノイドやアルカロイドを豊富に含んでおり、様々な健康機能を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19298686

【2】れんこんは抗酸化作用を持つことが知られています。肝臓障害マウスに、レンコンを摂取させると、肝臓内の抗酸化酵素SODやカタラーゼの働きが活性化され、体内の酸化ストレスが低下したことから、れんこんは酸化ストレスから体を守る働きを持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16239089

参考文献

・Mukherjee PK, Mukherjee D, Maji AK, Rai S, Heinrich M (2009) “The sacred lotus (Nelumbo nucifera) – phytochemical and therapeutic profile.” J Pharm Pharmacol. 2009 Apr;61(4):407-22.

・Rai S, Wahile A, Mukherjee K, Saha BP, Mukherjee PK. (2006) “Antioxidant activity of Nelumbo nucifera (sacred lotus) seeds.” J Ethnopharmacol. 2006 Apr 6;104(3):322-7. Epub 2005 Oct 18.

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