ムラサキキャベツ

レッドキャベツ 赤キャベツ 
red cabbage chou rouge Rotkokl

ムラサキキャベツには、緑色のキャベツよりも栄養成分が豊富に含まれています。中でも目に良い成分のアントシアニンが豊富に含まれています。見た色も鮮やかな紫色なのでサラダなどの料理の色どりとして利用されています。

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ムラサキキャベツとは?

●基本情報
ムラサキキャベツとは、アブラナ科アブラナ属に含まれるキャベツの仲間です。英語ではred cabbageと表記し、直訳すると赤キャベツとなります。しかし実際には赤色というよりも紫色に近い色をしているため、日本語ではムラサキキャベツといわれています。
ムラサキキャベツには豊富に栄養素が含まれており、特にビタミンCが豊富です。通常の緑色のキャベツは100g中に41mgのビタミンCが含まれているのに対し、ムラサキキャベツは68mgも含んでいます。さらに、ムラサキキャベツはミネラルの一種のカリウム、リン、亜鉛は通常のキャベツの1.5倍、銅は2倍も含んでいます。特に食物繊維がとても豊富なので彩りとしてだけではなく積極的に摂取したい食材です。
近年では、ムラサキキャベツとよく似たトレビス種が市場によく出回るようになって来ました。このトレビス種は「レッドレタス」と呼ばれておりやチコリーの仲間でムラサキキャベツとは違う野菜です。
トレビス種はムラサキキャベツに比べて葉が柔らかいのが特徴です。

●ムラサキキャベツの歴史
ムラサキキャベツは、南欧の海岸地域原産でしたが、現在では世界各地で栽培されています。日本に渡来したのは江戸時代で、当時はボタンナと呼ばれ観賞用とされていました。
その後明治時代ごろから食用とされるようになり、現在では広く普及しています。

●料理としてのムラサキキャベツ
ムラサキキャベツは、通常の緑色のキャベツに比べて栄養がとても豊富です。特に、ムラサキキャベツの紫色の部分には天然色素のアントシアニンが豊富に含まれています。アントシアニンに酸をかけると鮮やかな色になることからドレッシングなどに活用されています。また、食物繊維が豊富に含まれており肉厚で硬いことと、アントシアニンは葉の表面に豊富に含まれていることから断面の紫と白のコントラストを魅せるためにサラダにする際は千切りにして利用されることが多いです。
ムラサキキャベツはサラダのほかにも酢漬けにして食されることもあります。

●染料としてのムラサキキャベツ
ムラサキキャベツは着色料としても利用されています。これはムラサキキャベツに含まれる天然色素のアントシアニンが水溶性であるためです。水で抽出した色素は氷菓や炭酸飲料、漬物などに利用されています。

ムラサキキャベツの効果

●胃炎や胃潰瘍を予防する効果
ムラサキキャベツに含まれるビタミンU[※1]には、胃炎や胃潰瘍[※2]を改善、予防する効果があります。
私たちの胃は、胃の中にある粘膜によって胃酸[※3]から守られています。しかし、粘膜[※4]が傷ついてしまうと、胃は胃酸にさらされてしまい、ダメージを受けてしまいます。
これが胃炎や胃潰瘍の原因になります。
ビタミンUは、過剰な胃酸の分泌を抑制したり、傷ついた粘膜を修復、また粘膜の新陳代謝[※5]を活発にすることで丈夫な粘膜をつくる働きがあることから胃炎や胃潰瘍を改善、予防する効果があります。
またこのような働きから、ビタミンUは胃腸薬としても利用されています。

●生活習慣病を予防する効果
ムラサキキャベツにはアントシアニンをはじめとする様々な抗酸化力 [※6]のある成分が入っていることから、脂質異常症[※7]に対する肝臓への悪影響対しての改善効果があります。
また糖尿病のラットモデルにムラサキキャベツエキスを摂取させる実験を行ったところ、血中のグルコースレベルを下げ、さらに腎臓の機能を回復させたという研究結果があることから、生活習慣病を予防する効果がある食材として期待されています。【1】【2】【3】

●肌の調子を整える効果
ムラサキキャベツには、肌の調子を整える効果があります。これはムラサキキャベツにビタミンCが豊富に含まれているためです。人間が紫外線を浴びると、紫外線の刺激によりシミ、くすみの原因であるメラニン[※9]という黒色の色素が作られます。ムラサキキャベツに含まれているビタミンCはこのメラニン色素を作るのを阻害する効果があるため、肌の調子を整えるといわれています。またそのほかにも食物繊維を多く含んでいることから腸内環境を整える効果があるとも言われています。

●目の健康に働きかける効果
ムラサキキャベツの鮮やかな色は、アントシアニンによるものです。アントシアニンはブルーベリーやナスなどに含まれている青紫色の天然色素で、目に良いことが知られています。しかしアントシアニンは水溶性[※10]のため、ムラサキキャベツから積極的に摂取する場合は煮たりせずに生で食べることが大切です。

●血液を凝固させ止血する効果
ムラサキキャベツにはビタミンKが豊富に含まれています。このビタミンKには血液を凝固[※8]させる効果や出血した際に止血する効果があるといわれています。

●骨の健康を保つ効果
ムラサキキャベツに豊富に含まれているビタミンKは骨を形成するために重要な役割を持つため、骨の健康を保つ効果があります。

[※1:ビタミンUとは、ビタミン様物質と呼ばれる、ビタミンと似た働きを行う物質)の一種で、「U」は、ulcus(潰瘍)の言葉の頭文字を取ったもので、潰瘍を防ぐビタミンという意味があります。]
[※2:胃潰瘍とは、胃の保護をする粘膜が胃液によって溶かされ、吐き気や腹痛を引き起こすことです。]
[※3:胃酸とは、胃液に含まれる強い酸性の消化液のことです。]
[※4:粘膜とは、消化管・呼吸器・排出器・生殖器などの内壁で、常に粘液で湿っている部分のことを指します。]
[※5:新陳代謝とは、古い細胞や傷ついた細胞が、新しい細胞へ生まれ変わることを指します。]
[※6:抗酸化力とはたんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ力です。]
[※7:脂質異常症とは血液中のコレステロール値や中性脂肪が高い状態を表します。高脂血症ともいわれています。]
[※8:メラニン色素とは、シミの原因になるものです。メラニン色素の蓄積によってシミは形成されます。]
[※9:水溶性とは、水に溶ける性質のこと。]
[※10:凝固とは、出血を止めるために体が血液を凝固させる働きのことです。]

こんな方におすすめ

○脂っこい食事が多い方
○ついつい食べ過ぎてしまう方
○胃の健康を保ちたい方
○胃もたれを予防したい方
○消化を促進したい方
○美肌を目指したい方
○シミ、そばかすが気になる方
○肌のハリや弾力を保ちたい方
○腸内環境を整えたい方
○ピントが合いにくい方
○目の健康を維持したい方
○目の疲れが気になる方

ムラサキキャベツの研究情報

【1】ムラサキキャベツにはアントシアニンや数々の抗酸化化合物が入っていることが知られています。抗コレステロール食を食べさせたラットを使い、ムラサキキャベツの抽出物を摂取させその影響について調査した結果、脂質異常症に対する肝臓への悪影響対して改善効果が認められました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24467544

【2】酸化ストレスからの活性酸素種はアテローム性動脈硬化症や心臓の冠動脈の疾患を引き起こすとされています。アントシアニンが多く入っているムラサキキャベツの抽出物をラットに摂取させることで、高コレステロール血症や肝臓や心臓の酸化ストレスに対して保護効果があることが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22228433

【3】糖尿病ラットモデルを使い、60日間ムラサキキャベツエキスを摂取させた結果、血中のグルコースレベルを下げ、さらに腎臓の機能を回復させ、さらに体重の減少効果が認められました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18830445

参考文献

・2008改訂新版 健康・栄養食品事典 林輝明 吉川雅之 東洋医学舎

・杉田浩一 平宏和 田島眞 安井明美 日本食品大事典 医歯薬出版株式会社

・東洋医学舎 機能性食品情報事典 第2版 2005~06年版

・小学館 新版 食材図典 生鮮食材篇

・Al-Dosari MS. (2014) “Red cabbage (Brassica oleracea L.) mediates redox-sensitive amelioration of dyslipidemia and hepatic injury induced by exogenous cholesterol administration.” Am J Chin Med. 2014;42(1):189-206.

・Sankhari JM, Thounaojam MC, Jadeja RN, Devkar RV, Ramachandran AV. (2012) “Anthocyanin-rich red cabbage (Brassica oleracea L.) extract attenuates cardiac and hepatic oxidative stress in rats fed an atherogenic diet.” J Sci Food Agric. 2012 Jun;92(8):1688-93.

・Kataya HA, Hamza AA. (2008) “Red Cabbage (Brassica oleracea) Ameliorates Diabetic Nephropathy in Rats.” Evid Based Complement Alternat Med. 2008 Sep;5(3):281-7.    

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