サイリウム

plantago psyllium
エダウチオオバコ

ヨーロッパから西アジアに見られる一年草です。花の開花時期は晩春から初夏で、生薬として用いる種皮の部分をサイリウムと呼び、利尿薬として用いられます。また水分をよく吸収するため、便をやわらかくして便秘を改善するはたらきをもち、おなかの調子を整えるのに役立ちます。

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サイリウムとは

●基本情報
サイリウムは、オオバコ科オオバコ属の一年草です。原産地はヨーロッパから西アジアで日本ではエダウチオオバコ(枝打ち大葉子)といわれます。草丈は50cmから70cmくらいで葉は線形で放射線状に数段ずつつきます。
最近はおもにヨーロッパからインドにかけて生育しています。
属名のPlantagoはラテン語で「足跡」という意味で、サイリウムの大きな葉から名付けられました。

●サイリウムの生育
サイリウムの属するオオバコ科は、茎が上に向かって伸びた後、その茎上に細い葉を出しています。その葉腋付近から多数の長い花柄を出し、その先に短い花穂を付けます。その花穂の上にオオバコ特有の雄しべが姿をみせます。

●サイリウムの特性
サイリウムは食物繊維が豊富で、水分を吸着し膨張することで、便秘を改善するはたらきをもっています。
サイリウムが腸内環境を改善し、コレステロール値を下げることが期待されます。

●サイリウムを摂取する際の注意点
サイリウムは摂取量上限値があります。
サイリウムの摂取量上限値は1日20gまで(種皮の場合は10g)です。摂りすぎると下痢や胃痛などが生じることがあることから、摂取の際は適切に使用することを心がけましょう。

またハーブや一部の医薬品と飲み合わせの問題があることが知られています。服薬中の方は、主治医やかかりつけの薬局・薬剤師と相談のうえ、サイリウムを摂取することが望ましい。

●サイリウムの特定保健用食品(トクホ)について
サイリウムの種皮を配合した特定保健用食品(トクホ)[※1]において「お腹の調子を整える食品」という旨の保健の効果の表示が許可されています。またサイリウム種皮由来の食物繊維が含まれている場合は「コレステロールが高めの方に適する食品」という保健の効果の表示が許可されています。

[※1:特定保健用食品(トクホ)とは、個々の製品ごとに消費者庁長官の許可を受けており、保健の効果(許可表示内容)を表示することができる食品です。ほかの食品と違うのは、からだの生理学的機能などに影響を与える成分を含んでいて、血圧や血中コレステロールなどを正常に保つことを助けたり、お腹の調子を整えるのに役立つなどの特定の保健の効果が科学的に証明されていることをあらわします。該当する商品には特定のマークが食品表示の横に掲載されます。]

サイリウムの効果

●おなかの調子を整える効果
サイリウムには、ビタミンAビタミンCビタミンKなどのビタミン類カルシウムミネラル、食物繊維が多く含まれています。これらが便秘の解消に役立ちます。
とくに食物繊維は植物などの細胞壁で構成され、人体では消化できません。エネルギーにならないため、かつては不要な成分だとされていました。主に植物や海藻、キノコなどの細胞壁を構成する成分で、水に溶けるかどうかで、水溶性と不溶性とに分類されます。
食物繊維は人間の消化酵素では分解されない成分です。しかし腸内菌の働きで一部が発酵、分解されることがわかってきました。第六の栄養素ともいわれる食物繊維が、サイリウムには配合されています。この食物繊維が便のかさを増やし、排便をスムーズにし、便秘解消に役立ちます。

●コレステロール値を下げる効果
サイリウムの種子・種皮に含まれる食物繊維により、コレステロール値を下げる効果が期待されます。軽度から中度の高コレステロール血症への効能や薬効が期待されます。【1】【2】【3】

サイリウムはこんな方におすすめ

○便秘でお悩みの方
○コレステロール値が気になる方
○排尿でお悩みの方

サイリウムの研究情報

【1】2型糖尿病患者にサイリウムを摂取させたところ、総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリドの量が減少したことから、サイリウムは生活習慣病予防に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9747644

【2】12人インスリン非依存性糖尿病患者を対象に、アカルボースとサイリウムと同時にパンを食べてもらったところ、GI値が低下したことから、サイリウムは糖尿病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9650328

【3】高コレステロール血症の患者にサイリウムを12週間摂取させたところ、総コレステロール、LDLコレステロールが減少したことから、サイリウムは生活習慣病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2099122

参考文献

・北川 勲 食品薬学(ハンドブック) 講談社

・食品衛生の窓 トクホ(特定保健用食品)

・吉田企世子 松田早苗 あたらしい栄養学 高橋書店

・Rodríguez-Morán M, Guerrero-Romero F, Lazcano-Burciaga G. (1998) “Lipid- and glucose-lowering efficacy of Plantago Psyllium in type II diabetes.” J Diabetes Complications. 1998 Sep-Oct;12(5):273-8.

・Frati Munari AC, Benítez Pinto W, Raúl Ariza Andraca C, Casarrubias M. (1998) “Lowering glycemic index of food by acarbose and Plantago psyllium mucilage.” Arch Med Res. 1998 Summer;29(2):137-41.

・Lerman Garber I, Lagunas M, Sienra Pérez JC, Ahumada Ayala M, Saldaña A, Cardoso Saldaña G, Posadas Romero C. (1990) “The effect of psyllium plantago in slightly to moderately hypercholesterolemic patients.” Arch Inst Cardiol Mex. 1990 Nov-Dec;60(6):535-9.

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