ファセオラミンとは
●基本情報
ファセオラミンは、白インゲン豆抽出物に含まれる成分のひとつです。
白インゲン豆には、ファセオラミンの他にも、カルシウムや鉄、カリウム、食物繊維が豊富に含まれています。また、白インゲン豆は大福豆や白花豆とも呼ばれます。
●ファセオラミンの歴史
1940年代、豆や小麦に等質分解酵素の働きを抑制する作用が発見され、研究が盛んになりました。この研究により、インゲン豆から酵素抑制素材を分離することができるようになりました。そこで誕生したのが、白インゲン豆を原料とするファセオラミンです。
●ファセオラミンの働き
ファセオラミンには、食べ物がエネルギーとして体内に取りこまれることを阻害する働きがあります。
食べ物から摂ったデンプン質やグリコーゲンといった糖質・たんぱく質は、すい臓から分泌されるα-アミラーゼという消化酵素の働きによって、ブドウ糖に分解され、小腸の粘膜で吸収されます。しかし、ファセオラミンがα-アミラーゼの働きを阻害し、ブドウ糖の吸収を穏やかにします。そして、吸収しきれなかったブドウ糖は体外へ排出されていきます。このような作用から、肥満の改善とともに、糖尿病や脂質異常症[※1]改善にも効果があると期待されています。
●ファセオラミンの摂取方法
白インゲン豆は、充分に熱を通してから食べるのは、食品安全上問題はありません。しかし、生や加熱が不十分なものを食べると、嘔吐や下痢、胃痛といった症状を引き起こすことがあります。これらの原因は、白インゲン豆に含まれるレクチンというたんぱく質によるものです。調理する場合には、水に充分浸してから、沸騰状態のお湯で10分以上煮るようにしてください。また、安全が確認されていないため、妊娠中や授乳中の女性の方は、摂取すべきではありません。
[※1:血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪が、多過ぎる病気のことです。]
ファセオラミンの効果
●ダイエット効果
ファセオラミンには、炭水化物の消化酵素の働きを抑制し、糖を吸収されにくくする効果があります。
白インゲン豆の抽出エキスを1日に445mg、1ヵ月のみ続けた結果、体重が4%、体脂肪量が約10%減ったという報告もあります。【1】【2】
●糖尿病を予防する効果
ごはんやパン、麺類といった炭水化物が多い食事をする場合には、食前、又は食事中にファセオラミンを摂取するのが効果的です。血糖値の上昇を抑制し、糖尿病を予防します。
食事やサプリメントで摂取できます
ファセオラミンを含む食品
○白インゲン豆
こんな方におすすめ
○ダイエットをしたい方
○糖尿病を予防したい方
○炭水化物を多く摂りがちな方
ファセオラミンの研究情報
【1】過体重および肥満 (BMI25以上) の男女52名を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、ファセオラミンを多く含むインゲン豆抽出物150 mgとイナゴマメ抽出物25 mgを配合した食事を3ヶ月摂取させたところ、血中コレステロール値が低下し、また9ヶ月継続摂取した結果、LDLコレステロールが低下したことから、ファセオラミンは肥満予防に役立つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12297207
【2】過体重の人60名を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、ファセオラミンを多く含むインゲン豆抽出物445 mg/日を30日間、炭水化物豊富な食事の前に摂取させたところ、体重、BMI、脂肪量、脂肪組織厚、ウエスト/ヒップ/大腿周の減少したことから、ファセオラミンは肥満予防に役立つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17299581
参考文献
・日経ヘルス編集 サプリメント事典 第4版 日経BP社
・Birketvedt GS, Travis A, Langbakk B, Florholmen JR. (2002) “Dietary supplementation with bean extract improves lipid profile in overweight and obese subjects.” Nutrition. 2002 Sep;18(9):729-33.
・Celleno L, Tolaini MV, D’Amore A, Perricone NV, Preuss HG. (2007) “A Dietary supplement containing standardized Phaseolus vulgaris extract influences body composition of overweight men and women.” Int J Med Sci. 2007 Jan 24;4(1):45-52