えんどうとは
●基本情報
えんどうは、春から初夏にかけて収穫されるマメ科えんどう属の野菜です。えんどうは中央アジアから地中海沿岸が原産です。さやえんどうの主な産地は鹿児島県と和歌山県で、春から初夏が旬とされていますが、ハウス栽培などもあり、通年にわたり入手することができます。漢字で和名を「豌豆(えんどう)」と書きます。
えんどうは、必須アミノ酸であるリジンを多く含み、またビタミン類や食物繊維を豊富に含んでいます。食物繊維を多く含むため、便秘の方にもおすすめの食材です。
えんどうは様々な品種があり、若いさやを利用した「さやえんどう」、さやと実の両方を利用した「スナップえんどう」、実そのものを用いた「グリーンピース」があります。現在では、えんどうの若い芽や葉を摘んだものを「豆苗」と呼び、おひたしや炒めものとして活用されています。さらに、きぬさやを品種改良し、糖度が高くなった「さとうざや」という種類のものもあります。
●えんどうの歴史
えんどうの歴史は深く、古代エジプトの時代に副葬品とともに発掘されたえんどう豆の種子が発芽して、全世界に広まったと考えられています。日本に到来したのは10世紀の奈良時代で、遣唐使が中国より持ち帰ったといわれています。日本でえんどうが野菜として一般に普及したのは明治時代で、特に明治中期に「碓井」という品種が導入されてから急速に国内で広まりました。
●えんどうを摂取する際の注意点
皮にシワや傷のないものが良品です。表面につやがあり、粒の大きさが揃っているものを選ぶとよいです。ただし、えんどうに含まれるビタミンは水溶性のため、水にさらしたり茹でたりする際は時間をかけず、ビタミンが流れ出すのを予防することが大切です。
また、保存時は虫がつかないように袋に密封し、乾燥した冷暗所で保存する必要があります。
<豆知識>えんどうの栽培について
えんどうは、連作[※1]に弱いことで知られているため、同じ場所には5~6年つくらないようにしなければなりません。また、えんどうは酸性の土壌が苦手とされており、種まきの1週間前に、苦土石灰[※2]をまいて耕す必要があります。秋に種を早くまきすぎると、成長しすぎて冬に冷害を受けやすくなるため、注意が必要です。
[※1:連作とは、1つの土地に毎年同じ作物をつくり続けることです。]
[※2:苦土石灰とは、石灰質の肥料で、マグネシウムを含みます。]
えんどうの効果
●疲労回復効果
えんどうにはビタミンB群が豊富に含まれているため、疲労回復効果が期待できます。
中でもビタミンB1は、エネルギーを生み出すために必要となる代謝をスムーズに行えるようサポートする働きをします。ビタミンB1が不足するとエネルギーの代謝がうまくいきません。
えんどうは、ビタミンB1が含まれているため、疲労回復の効果があります。
●美肌効果
えんどうにはビタミンB群の他、ビタミンCが含まれており、ビタミンB2との相乗効果で美肌に導く効果があります。ビタミンCは美容効果が期待できるビタミンの代表的存在です。ビタミンCは、シミ・そばかすの原因となるメラニン色素を生み出すチロシナーゼ[※3]という酵素の働きを阻害し、透明感のある肌を維持する効果があるため美白効果が期待できます。
また、ビタミンCはコラーゲンの合成を助けて肌のしわを防いだり、傷ややけどの治りを良くします。
えんどうにはビタミンC、ビタミンB群、さらには抗酸化力の高いビタミンEが多く含まれ、美肌効果があります。
●動脈硬化を予防する効果
えんどうには、不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸やオレイン酸が含まれており、コレステロールを調整し血栓を予防することで動脈硬化を予防する効果があります。また、脳機能の維持改善効果のあるコリンにも、高血圧や動脈硬化を予防する効果があります。【1】【2】
[※3:チロシナーゼとは、アミノ酸であるチロシンを酸化して、メラニンをつくる酵素のことです。この酵素を阻害することにより、メラニンの生成をくいとめ美白効果が働きます。]
えんどうは食事やサプリメントで摂取できます
こんな方におすすめ
○疲れやすい方
○美肌を目指したい方
○便秘がちな方
えんどうの研究情報
【1】えんどうは、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカルなど多くの栄養素を含みます。多くの機能性が報告されており、胃腸保護作用、低GI食として糖尿病予防効果、抗酸化作用、高血圧予防効果が報告されています。また食物繊維が豊富で腸内環境を整えるのに役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22916813
【2】えんどう蛋白質加水分解物は、リノール酸酸化阻害作用ならびに金属キレート作用を持つほか、高い抗酸化作用を示すことから、動脈硬化予防効果や解毒効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20359226
参考文献
・則岡孝子 あなたに必要な成分と食べ物 河出書房新社
・五明紀春 食材健康大事典 時事通信社
・成瀬宇平 監修 食材図典 小学館
・荻野善之 野菜まるごと大図鑑 主婦の友社
・Dahl WJ, Foster LM, Tyler RT. 2012 “Review of the health benefits of peas (Pisum sativum L.).” Br J Nutr. 2012 Aug;108 Suppl 1:S3-10.
・Pownall TL, Udenigwe CC, Aluko RE. 2010 “Amino acid composition and antioxidant properties of pea seed ( Pisum sativum L.) enzymatic protein hydrolysate fractions.” J Agric Food Chem. 2010 Apr 28;58(8):4712-8.