オレウロペインとは
●基本情報
オレウロペインは、オリーブの葉から抽出されたエキスに含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化力[※1]が大変高く、コレステロールが体内で酸化することを防ぎます。その他にも、抗菌・抗ウイルス作用があり、体を病原菌から守ったり、体内の免疫機能を活発にする働きがあります。オレウロペインは水が加わるとヒドロキシチロソールという成分に分解され、分解されたヒドロキシチロソールは抗酸化力の高い成分として知られており、肌のシミなどのもととなるメラニン色素[※3]の生成を抑えてくれるといわれています。
●オレウロペインの歴史
オレウロペインは、オリーブの葉から抽出される成分で、1908年に初めて単離[※2]されたといわれています。オレウロペインが含まれるオリーブ油は、ヨーロッパでは食品の栄養・健康表示を評価している欧州食品安全庁(EFSA)に効果が初めて認定された食品です。オレウロペインはビタミンEに匹敵するほどの抗酸化力を有しているといわれています。
欧州食品安全庁(EFSA)では、食品と栄養素と健康の関係について表示がある健康強調表示(ヘルスクレーム)という規制があります。ヘルスクレームとは、食品や栄養素において健康への働きが科学的に証明されたものだけに認定されるものです。
●オレウロペインを含むオリーブの葉およびオリーブ油について
オリーブの葉には、オレウロペインの他に鉄分やカルシウム、ビタミンEを豊富に含有しています。
また、オリーブ油は、モクセイ科オリーブ属の常緑樹であるオリーブの木に実る果実から採れる油のことで、スペイン、イタリア、ギリシャなどの地中海沿岸の地域で生産されています。日本ではオリーブの生産量の約95%のシェアを小豆島が占めています。
オリーブ油には、コレステロール値を下げる効果や動脈硬化を予防する効果があります。
●オレウロペインを摂取する際の注意点
オレウロペインにはオリーブの葉以外にも「イボタ」という植物にも含有されています。「イボタ」は食用ではなく、毒性を有します。毒性の原因はオレウロペインといわれています。オレウロペインそのものでは毒性は有していませんが、他の成分と化合すると、毒性を持つものに変化する場合があります。
[※1:抗酸化力とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ力です。]
[※2:単離とは、様々なものが混合している状態から、特定の要素のみを取り出すことです。]
[※3:メラニン色素とは、シミの原因になるものです。メラニン色素の蓄積によってシミは形成されます。]
オレウロペインの効果
●動脈硬化を予防する効果
オレウロペインは、高い抗酸化作用を持っており、血液中のコレステロールの酸化を防ぎ、血圧やコレステロール値を降下させるといわれています。コレステロールが酸化すると、動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳梗塞の危険性を高め、生活習慣病を引き起こすといわれています。
オレウロペインを用いた実験結果も報告されています。
心疾患を持つウサギに、オレウロペインを3~6週間摂取させると血管のつまりが抑えられ、コレステロール値も改善したと報告があります。
オレウロペインは、血中コレステロールの酸化を抑制し、生活習慣病の原因となる動脈硬化を予防する効果があります。【1】【4】【5】
●美肌効果
オレウロペインには高い抗酸化力があり、肌のシミなどのもととなるメラニンの生成を抑えてくれるといわれています。さらには、オレウロペインは肌のハリを生み出すコラーゲンの生成を促すといわれています。【2】
●抗菌効果
オレウロペインには、抗菌効果があります。【3】
オレウロペインは、人間の体を病原菌から守ったり、体内の免疫機能を活発にする働きがあります。オレウロペインは細菌が増殖することを抑制し、さらに免疫細胞を刺激することで免疫反応を活発化させ、抵抗力を向上させます。
食事やサプリメントで摂取できます
オレウロペインを含む食品
○オリーブ油
○エキストラバージン油
こんな方におすすめ
○コレステロール値が気になる方
○美肌を目指したい方
○免疫力を高めたい方
オレウロペインの研究情報
【1】オレウロペインを含むオリーブをふんだんに使う地中海地域の食習慣が、冠状動脈性心臓病やガンの罹患率を低下に寄与すると考えられていることから、オリーブならびにオレウロペインは動脈硬化ならびに循環器系疾患の予防に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7754982
【2】オレウロペインを含むオリーブの葉抽出物は、紫外線によって誘発される酸化ストレスおよびメラニン合成阻害作用を有することから、オリーブおよびオレウロペインは美白効果が期待されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaam/5/7/5_7_78/_article
【3】オレウロペインを含むオリーブの葉抽出物は、ヘリコバクター・ピロリ菌、カンピロバクター・ジェジュニ菌、黄色ブドウ球菌、MRSAに対して発育阻害を示すことから、オリーブおよびオレウロペインはすぐれた抗菌作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19135874
【4】オレウロペインを含むオリーブの葉抽出物は、褐色細胞を活性化させ、アドレナリン、ノルアドレナリンの分泌を促進させ、血中コレステロールが減少したことから、オリーブおよびオレウロペインは高脂血症予防、肥満予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19001767
【5】高コレステロール血症で心疾患のあるウサギを対象に、オレウロペインを含むオリーブの葉抽出物を10 mgまたは20mg、3または6週間摂取させた結果、対照群と比較して、心筋梗塞面積を減少させ、再灌流による酸化ダメージを減少させ、血中の総コレステロール値、トリグリセリド値を減少させました。オリーブおよびオレウロペインは高脂血症および循環器疾患予防効果を持つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16857843
参考文献
・Keys A. (1995) “Mediterranean diet and public health: personal reflections.” Am J Clin Nutr. 1995 Jun;61(6 Suppl):1321S-1323S.
・Kaneko Izuru、Chiba Tomohiro、Hayamizu Kohsuke、Tsuji Tomoko (2008) “Effect of a Supplement Containing Olive Leaf Extract against Ultraviolet Light-Induced Tanning: A Double-Blind Placebo-Controlled Study” ANTI-AGING MEDICINE 5(7), 78-81, 2008
・Sudjana AN, D’Orazio C, Ryan V, Rasool N, Ng J, Islam N, Riley TV, Hammer KA. (2009) “Antimicrobial activity of commercial Olea europaea (olive) leaf extract.” Int J Antimicrob Agents. 2009 May;33(5):461-3
・Oi-Kano Y, Kawada T, Watanabe T, Koyama F, Watanabe K, Senbongi R, Iwai K. (2008) “Oleuropein, a phenolic compound in extra virgin olive oil, increases uncoupling protein 1 content in brown adipose tissue and enhances noradrenaline and adrenaline secretions in rats.” J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2008 Oct;54(5):363-70.
・Andreadou I, Iliodromitis EK, Mikros E, Constantinou M, Agalias A, Magiatis P, Skaltsounis AL, Kamber E, Tsantili-Kakoulidou A, Kremastinos DT. (2006) “The olive constituent oleuropein exhibits anti-ischemic, antioxidative, and hypolipidemic effects in anesthetized rabbits.” J Nutr. 2006 Aug;136(8):2213-9.