オオバコ

plantain
大葉子 カエルッパ スモウトリグサ 車前草 車前子  psyllium  

オオバコは、人が多く歩く場所に自生している植物で、世界各国に広く分布しています。オオバコ科の植物は、世界中で200近い種が知られています。オオバコはのどの痛みや咳を鎮める効果があることから、茎や葉をお茶などにして飲用されています。

オオバコとは

●基本情報
オオバコは、オオバコ科の植物で別名を車前草(シャゼンソウ)といいます。オオバコは水を吸収すると、糊のような粘液がでて、動物の足や人間の靴を介して種子が運ばれ、野草、空き地、路傍、登山道など人が多く歩く場所に自生しています。オオバコは、踏みつけられても生命力が強いため、世界各国に広く分布しています。日本のオオバコは高さ10~15cmで卵形の葉を持っています。花の咲く時期は4~9月です。
オオバコは古くから民間薬として使用されており、全草を煎じて服用すれば白内障や夜盲症、目の充血に良いとされています。
現在でもオオバコはのどの痛みや咳を鎮める効果があることから、茎や葉をお茶などにして飲用されています。

●オオバコの名前の由来
オオバコという名前は、葉が広く大きいことから名付けられたといわれています。そのほかオオバコは地方によってさまざまな呼び名があり、カエルッパ(蛙っ葉)、カエル葉などとも呼ばれています。この名前は火であぶることで膨らんだオオバコの姿がカエルの腹に似ていることからつけられた呼び名です。さらにオオバコは、子供たちが花の茎を絡ませて引き合い、その強度を競って遊ぶことから、スモトリバナ(相撲取り花)ともいわれています。

●漢方としてのオオバコ
オオバコは漢方としても有名で、漢の時代(紀元前206~)からその名がみられるほど歴史のある植物です。オオバコはシャゼンソウという名で生薬[※1]として日本薬局方[※2]に収載されています。オオバコの種子は咳を鎮める作用があり、葉は利尿作用があり、さらに肌の傷にも利用されていました。オオバコの種子は車前子(シャゼンシ)と呼ばれ、体に熱がこもる尿が出にくい時や、目の充血、目の痛みがある場合に使われる生薬です。

●オオバコを摂取する際の注意点
オオバコは子宮の緊張を増加させるといわれているため、妊娠中の方は摂取を控える必要があります。また、多量に摂取すると、下痢や急な血圧の低下を引き起こす可能性があります。また、オオバコは「寒性」の性質を持つため冷えを感じるときは用いない方が良いといわれています。

●オオバコの成分と効果
オオバコは種子や根、葉など全草に有効成分を含んでおり様々な効果を持ちます。種子の外皮には多糖類のプランタサンやフラボノイドのプランタジンを含み鎮咳効果があります。多く含まれる粘膜には、腸を刺激し便秘を解消する効果が期待されています。また、抗酸化作用[※3]のあるポリフェノールのタンニンは、活性酸素を除去してくれます。

[※1:生薬とは、天然に存在する薬効を持つ産物から、有効成分を精製することなく体質の改善を目的として用いる薬の総称です。]
[※2:日本薬局方とは、日本国内の医療における重要な医薬品の品質・強度・純度などについて定めた基準のことです。]
[※3:抗酸化作用とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ作用です。]

オオバコの効果

●のどの調子を整える効果
オオバコには消炎作用や保湿作用があるプランタジンという成分が含まれるため、のどの調子を整え、咳を抑える効果があります。さらにオオバコにはアウクビンという成分も含まれており、粘液の分泌を促進する作用や粘膜を修復する作用があります。そのため、のどの気道の粘膜の調子を整えます。

●腸内環境を整える効果
オオバコの種子は30%も粘液を含んでいるため、お腹の調子を整える効果があります。
オオバコの種子が腸内で膨張することで、腸内を拡張化させるため、整腸効果があります。また、腸のぜん動運動[※4]に作用するため、便秘に対する効果も期待されています。
過敏性腸症候群の患者に対して便秘や下痢の解消と腹痛の改善効果が見られました。【1】【3】

●生活習慣病の予防・改善効果
オオバコにはコレステロール値や血糖値の降下作用があるといわれています。高血圧にも良いとされ、中国ではオオバコの種子を高血圧に用いており、種子のアルコール抽出物でイヌやネコの血圧を低下させたという報告があります。血液中のコレステロールが増加しすぎると、動脈硬化などの生活習慣病を引き起こします。臨床研究では血清コレステロール値、LDLコレステロール値、血中脂質の量を低下させることもわかっています。様々な効果があるため、生活習慣病を予防する効果が期待できます。【2】【4】【5】

その他、オオバコは生薬として眼病や婦人病に効果があるといわれています。

[※4:ぜん動運動とは、腸に入ってきた食べ物を排泄するために、内容物を移動させる腸の運動です。]

オオバコは食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○咳や痰でお悩みの方
○腸内環境を整えたい方
○生活習慣病を予防したい方

オオバコの研究情報

【1】プラセボ、オオバコ(7.2g/日)、オオバコ+センナ(6.5+1.5g/日)を1週間、被験者に飲用させた結果、オオバコとオオバコ+センナは、両方とも排便の頻度と便の重さが改善したことから、オオバコは便秘改善に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3565338

【2】血中LDLコレステロールが3.36~4.91mmol/Lの患者を対象に、5.1gのオオバコまたはプラセボを26週間飲用させた結果、オオバコ飲用群は、血中の総コレステロール、LDLコレステロール濃度がプラセボ群と比較して低下していたことから、オオバコは高脂血症ならびに動脈硬化予防に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10837282

【3】オオバコは下痢患者において、胃内容物排出速度を遅らせ、腸内通過時間を延長し、便の粘性を上げて硬さを改善することが分かりました。このことから、オオバコは下痢改善効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9459381

【4】オオバコに関する8つの研究結果から、メタ解析を行った結果、オオバコを1日あたり10.2g の量で8週間以上摂取することで、総コレステロールが4%、LDLコレステロールが7%減少したことから、オオバコは高脂血症予防効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10648260

【5】オオバコと大豆たんぱく質を併用することにより、収縮期および拡張期血圧がそれぞれ8 mmHgおよび2 mmHg低下したことから、オオバコは高血圧予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11641293

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参考文献

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・清水俊雄 機能性食品素材便覧 特定保健用食品からサプリメント・健康食品まで 薬事日報社

・五明紀春 食材健康大事典 時事通信社

・村上光太郎 食べる薬草事典 農文協

・独立行政法人国立栄養研究所 “「健康食品」の安全性・有効性情報 「健康食品」の素材情報データベース”

・Marlett JA, Li BU, Patrow CJ, Bass P. (1987) “Comparative laxation of psyllium with and without senna in an ambulatory constipated population.” Am J Gastroenterol. 1987 Apr;82(4):333-7.

​・Anderson JW, Davidson MH, Blonde L, Brown WV, Howard WJ, Ginsberg H, Allgood LD, Weingand KW. (2000) “Long-term cholesterol-lowering effects of psyllium as an adjunct to diet therapy in the treatment of hypercholesterolemia.” Am J Clin Nutr. 2000 Jun;71(6):1433-8.

​​・Washington N, Harris M, Mussellwhite A, Spiller RC. (1998) “Moderation of lactulose-induced diarrhea by psyllium: effects on motility and fermentation.” Am J Clin Nutr. 1998 Feb;67(2):317-21.

​​・Anderson JW, Allgood LD, Lawrence A, Altringer LA, Jerdack GR, Hengehold DA, Morel JG. (2000) “Cholesterol-lowering effects of psyllium intake adjunctive to diet therapy in men and women with hypercholesterolemia: meta-analysis of 8 controlled trials.” Am J Clin Nutr. 2000 Feb;71(2):472-9.

​・Burke V, Hodgson JM, Beilin LJ, Giangiulioi N, Rogers P, Puddey IB. (2001) “Dietary protein and soluble fiber reduce ambulatory blood pressure in treated hypertensives.” 

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