ねぎ

welsh onion

ねぎは日本で古くから親しまれてきた野菜です。免疫力を高めるビタミンCや殺菌作用のあるネギオールといった成分を含み、風邪の予防・改善に効果的です。また、香り成分である硫化アリルには、ビタミンB1の吸収を助け、疲労回復、血行促進といった効果や働きがあります。

ねぎとは

●基本情報
ねぎは、ねぎ科ねぎ属の野菜です。原産地は中国西部。今では一年中手に入りますが、旬は冬です。寒い時期に、低温でゆっくり成長することで甘みと栄養価が増します。

●ねぎの歴史
ねぎの歴史は古く、紀元前から栽培されていました。原産地に関しては諸説ありますが、有力な説として中国西部が挙げられます。日本へは朝鮮半島を経て渡来したと、奈良時代に編纂(へんさん)された『日本書紀』に記述があります。

●ねぎの種類
食材としてのねぎは、利用部位によって、根深ねぎ(長ねぎ)、葉ねぎ(青ねぎ)と分けることができます。以前は関東では深根ねぎ、関西では葉ねぎと地域による好みが明確でしたが、最近では料理によって使い分けをします。また、赤ねぎという辛みが少なく、ポリフェノールを多く含んだものや、西洋料理で使われる洋種のねぎ、リーキ(別名、ポロねぎ)などがあります。

●ねぎの生産地
ねぎは日本各地で栽培されていますが、生産量が多いのは埼玉県、千葉県、茨城県の関東3県。中でも埼玉県草加市方面では古くからねぎが栽培されていました。ねぎの旬は冬ですが、秋から冬の間では必要に応じて収穫することができます。

●ねぎの選び方
ねぎを選ぶときには、まず緑の葉の部分と白い部分との境目に注目します。この境目がくっきりしており、葉先から根元まで全体的に張りがあるものを選びましょう。また、白い茎の部分がふかふかしているものは味が落ちてしまうので、弾力があるかどうかも触って確認してみましょう。

●ねぎの保存方法
ねぎを丸ごと保存する場合には新聞紙で丸ごと包んで、風通しの良い涼しい場所で保存します。冷蔵庫で保存する場合には長さを半分くらいに切り、乾燥を防ぐ為にポリ袋の中へ入れて野菜室へ。また、土の中に埋めたり、冷凍することで長期間の保存も可能です。

●ねぎに含まれる成分と性質
ねぎには、香りと辛みのもととなる硫化アリルをはじめ、β—カロテン、ビタミンC、カルシウム、カリウム、ネギオール、食物繊維などが含まれています。
香り、辛み成分である硫化アリルにはビタミンB1の吸収を高める働きがあります。また、この成分が胃の消化液の分泌を促し、食欲増進や消化促進、胃腸を健康にすることができます。さらに、辛みには体温を上昇させ発汗を促し、血行をよくする働きがあります。
白い茎の部分に含まれているネギオールには、抗菌作用があるのでウイルスに対する抵抗力を高めることができます。また、ビタミンCには免疫力を高める効果があるので風邪の予防におすすめです。
緑色の葉の部分に含まれるβ—カロテンは、体内でビタミンAに変換され、皮膚を正常に保つ働きがあります。

ねぎの効果

●疲労回復効果
硫化アリルはビタミンB1の吸収を高めます。ビタミンB1を豊富に含む豚肉と組み合わせれば、スタミナ補給だけでなく、睡眠改善や疲労回復などの効果が期待されます。

●血流を改善する効果
肩こりや冷え性の原因は血流の悪さです。ねぎに含まれる硫化アリルが血行をよくする働きにより、改善が期待され、またストレスの解消にも効果的です。【1】

●生活習慣病の予防・改善効果
硫化アリルにはさらに血液をきれいにして、血糖値を下げる働きがあります。なので、糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病の予防をすることができます。【2】【3】【6】

●胃の健康を保つ効果
香りや辛みのもとである硫化アリルは、胃の消化液の分泌を促します。そのため、食欲増進や消化促進、胃腸を健康にする効果があるといわれています。【4】

●風邪の症状を緩和する効果
ねぎには免疫力を高めるビタミンCが含まれています。さらに、ねぎの白い部分には殺菌作用のあるネギオール、緑の葉の部分には粘膜を丈夫にするβ—カロテンが含まれているので、風邪に効果的です。風邪をひいたときにねぎ湯を飲むという民間療法はとても理にかなっているのです。【5】

ねぎは食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○肩こりや冷え性でお困りの方
○疲労を回復したい方
○生活習慣病を予防したいの方
○風邪をひいた方

ねぎの研究情報

【1】ラットを対象に、ねぎを2g/kg を2日間投与したところ、血小板凝集抑制および血圧低下効果が見られたことから、ねぎは血流改善効果および高血圧予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10613763

【2】高血圧高脂血症ラットを対象に、ねぎを含む餌を4週間摂取させたところ、血圧上昇ならびにアンジオテンシンⅡの増加が抑制されたことから、ねぎは高血圧予防効果ならびに抗酸化作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16041136

【3】糖尿病マウスを対象に、ねぎ抽出物を含む餌を7週間摂取させたところ、血糖値上昇および糖化ヘモグロビンの増加が抑制されたことから、ねぎは糖尿病予防効果を持つと考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21286406

【4】ねぎに含まれる機能性成分フルクタンは、A型インフルエンザの感染を予防しました。合わせて、ねぎに含まれる多糖類は免疫力向上作用を持つことから、ねぎは風邪予防およびインフルエンザ予防効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23442670

【5】ねぎ属野菜の摂取と胃がんリスクの調査を行ったところ、ねぎ属野菜を1日当たり20g 摂取することで、胃がんの発症リスクを軽減することがわかっています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21473867

【6】高脂血症ラットを対象に、ねぎを摂取させたところ、血中コレステロールの増加や肝臓のトリアシルグリセロールの増加が緩和されたことから、ねぎは高脂血症予防効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20139615

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参考文献

・五明紀春、古川知子著 食材健康大辞典—502品目1590種まいにちを楽しむ 時事通信出版局

・則岡貴子著 ひと目でわかる あなたに必要な栄養成分と食べ物 河出書房新社

・野菜まるごと大図鑑—知る! 食べる! 育てる 主婦の友社

・佐藤秀美著 イキイキ野菜図鑑—あらゆる食材の栄養・目利き・旬や保存法を、幅広く紹介! 日本文芸社

・Chen JH, Chen HI, Tsai SJ, Jen CJ. 2000 “Chronic consumption of raw but not boiled Welsh onion juice inhibits rat platelet function.” J Nutr. 2000 Jan;130(1):34-7.

・Yamamoto Y, Aoyama S, Hamaguchi N, Rhi GS. 2005 “Antioxidative and antihypertensive effects of Welsh onion on rats fed with a high-fat high-sucrose diet.” Biosci Biotechnol Biochem. 2005 Jul;69(7):1311-7.

・Kang MJ, Kim JH, Choi HN, Kim MJ, Han JH, Lee JH, Kim JI.2010 “Hypoglycemic effects of Welsh onion in an animal model of diabetes mellitus.” Nutr Res Pract. 2010 Dec;4(6):486-91.

・Lee JB, Miyake S, Umetsu R, Hayashi K, Chijimatsu T, Hayashi T.2012 “Anti-influenza A virus effects of fructan from Welsh onion (Allium fistulosum L.).” Food Chem. 2012 Oct 15;134(4):2164-8.

・Zhou Y, Zhuang W, Hu W, Liu GJ, Wu TX, Wu XT. 2011 “Consumption of large amounts of Allium vegetables reduces risk for gastric cancer in a meta-analysis.” Gastroenterology. 2011 Jul;141(1):80-9.

・Yamamoto Y, Yasuoka A. 2010 “Welsh onion attenuates hyperlipidemia in rats fed on high-fat high-sucrose diet.” Biosci Biotechnol Biochem. 2010;74(2):402-4.

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