ナノルテイン

nano lutein

ナノルテインは、緑黄色野菜などに多く含まれる黄色の天然色素であるルテインをナノ化(超微細化)することによって誕生した成分です。ナノ化(超微細化)により体内吸収量が高められ、健康効果の実感が期待されています。
ルテインは、目の中の水晶体や黄斑部などにもともと存在している成分で、強力な抗酸化作用を持っています。黄斑変性や白内障など加齢による目の病気に対する予防効果が期待されており、眼病の症状改善に働きかけます。

ナノルテインとは

●基本情報
ナノルテインとは、緑黄色野菜などに多く含まれる黄色の天然色素であるルテインをナノ化(超微細化)することによって誕生し、通常のルテインよりも体内吸収量を高めた成分です。ナノ化(超微細化)とは、ある成分をナノレベルまで細かくし、体に吸収しやすくする技術のことです。1ナノメートルは100万分の1ミリメートルでホットコーヒーの湯気レベルといわれています。
ルテインはカロテノイドの一種で、抗酸化作用[※1]を持つ黄色の天然色素です。
マリーゴールドなどの黄色の花弁やほうれん草、にんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜、植物の緑葉に多く含まれており、目の老化を引き起こす活性酸素[※2]を抑えたり、パソコンやスマートフォンなどから発せられる有害な青色の光や紫外線を吸収したりと、目を守る働きをします。

●ナノルテインとは
食事で摂った食べ物はさまざまな消化酵素によって消化されます。消化された食べ物は、腸で栄養素として吸収されて体全体に届けられます。
ルテインをナノ化したナノルテインは成分がナノレベルまで細かくなっており、その体内吸収量は一般的なルテインと比較して150%に高められています。そのため健康効果を実感しやすくなることが期待されます。
ルテインの働きで特に注目を集めているのが、強力な抗酸化作用です。
有害な光によって発生する活性酸素を除去し、過剰になることを防ぐ効果があります。
ルテインは光の害を受けやすい水晶体や黄斑部といった、人間の目の重要な部位に存在することで、目を有害な光や活性酸素から守り続けているのです。
>>ルテインについて詳しくはこちら

●ナノルテインの吸収
食材から摂るルテインはあまり吸収が良くないといわれています。そこで、ルテインの吸収をどうすれば高められるかについて研究し、開発されたのがナノルテインです。
ルテインは日本の眼科医も注目している成分で、目の健康を守るためにルテインのサプリメントをすすめる眼科も増えてきています。
さらに、アメリカで行われた大規模臨床試験(AREDS2)に基づくと、ルテインは、1日に10mg摂取することが望ましいといわれており、2004年に発表された論文では、1日あたり10mgのルテインを摂取し続けることで、年齢によって増加する目の病気予防につながるということが示唆されています。

日頃からルテインを十分に摂取している人は、網膜に存在するルテインの量も多いことが分かっています。網膜内のルテイン量は、食生活や生活環境に影響を受けるといわれており、継続して十分な量のルテインを摂取することが大切です。しかし、十分な量のルテインを野菜から摂取するには、にんじんでは10本以上、ほうれん草でも4株以上を食べる必要があり、毎日の食事から十分な量の緑黄色野菜を摂取することは難しくなっています。
こういった背景も一因となり、体内への吸収量を高めたナノルテインが開発されました。

また、ルテインをはじめとするカロテノイド類は、より吸収を高める秘訣があります。
ルテインを含めたカロテノイドは、脂溶性[※3]の成分であるため、より効率的にルテインを摂るには、脂質とともに摂ることをおすすめします。
脂質と一緒に摂ることでルテインが油に溶け込み、吸収が良くなると考えられています。

[※1:抗酸化作用とは、体内で発生した活性酸素を抑制する力のことです。]
[※2:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素です。体内で過度に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化の原因になるとされます。]
[※3:脂溶性とは、油に溶けやすい性質のことです。]

ナノルテインの働き

体内吸収量に着目したナノルテインは、健康効果をより実感できると期待されています。

●黄斑変性を予防する効果
ナノルテインのもとの成分であるルテインは、ゼアキサンチンとともに、活性酸素により起こる酸化のダメージから黄斑部を守ってくれる効果があるといわれています。
目の中心で多くの情報を受け、多くの光を受け止める黄斑部は、光によるダメージが集中する可能性があります。
ダメージを受けた黄斑部が変性する黄斑変性という病気は、加齢などが原因で視力が低下してしまう病気で、65歳以上の人が失明する大きな原因のひとつでもあると考えられています。近年、食習慣の欧米化などにより日本人の失明原因としても増加しています。
物体の大きさや色彩などが違って見えたり、さらには物がゆがんだり曲がったように見える症状が代表的です。
黄斑変性に対するルテインの効果を調べた研究では、被験者が長期間に渡り1日10mgのルテインをサプリメントで摂取し、症状が改善した事例もあります。
最近では、2007年からアメリカにて、4000人以上を対象とした6年間の大規模な臨床試験(AREDS2)が行われました。ルテインとゼアキサンチンを摂取していると、黄斑変性のリスクが低くなるというデータが得られており、ルテインの作用が調査によってわかってきています。
ルテインが持つ強力な抗酸化作用は、黄斑部のダメージを抑制し、黄斑変性を予防する効果につながっているのです。

●白内障を予防・改善する効果
ナノルテインのもとの成分であるルテインは、白内障の予防に効果的です。
白内障とは、水晶体のたんぱく質が活性酸素によって変性し、白く濁るため徐々に見えづらくなってきてしまう病気です。
水晶体は赤ちゃんの頃はきれいな透明ですが、加齢や光のダメージなどによるたんぱく質の変性で、白濁が進みます。一度白くなった部分は、もとの透明な状態に戻ることはできません。
白内障は進行とともに視界のかすみや視力の低下が症状として現れてきます。病気の自覚症状や進行速度には個人差がありますが、60歳代では70%、80歳代では、ほぼ全ての人にその症状が現れ、白内障は世界の失明原因の第1位であるといわれています。
白内障の完全な治療には手術が必要で、白く濁った水晶体の代わりに透明な人工のレンズを目の中に入れ、視界をクリアにすることができます。
ルテインは、目に入ってくる光の中でも特に有害な光線を吸収してくれるため、積極的なルテインの摂取は、白内障の予防にも効果があるといわれているのです。

●炎症を抑制する効果
ナノルテインのもとの成分であるルテインは、抗酸化作用に加えて抗炎症作用も持つことが明らかとなっており、ルテインの持つ抗炎症作用はぶどう膜炎などの眼病予防に効果的であるといわれています。
ぶどう膜炎とは、ぶどう膜に起きる炎症の総称です。ぶどう膜とは、目の中の虹彩[※4]、毛様体[※5]、脈絡膜[※6]と、それに隣接する組織を指します。
ルテインの持つ抗炎症作用は、炎症を引き起こす因子の働きを抑えることで、ぶどう膜で発生した炎症を抑制し、ぶどう膜炎が発症するリスクを低減させる可能性が期待できます。

[※4:虹彩とは、茶目に相当する部分のことです。目の中に入る光の量を調節する働きを行っています。]
[※5:毛様体とは、目のピント調節を司る部分のことです。また、毛様体でつくられる房水という液体によって、目の内圧は一定に保たれています。]
[※6:脈絡膜とは、最も血管が多く、色素に富んだ組織のことです。目に栄養を与え、保護する役割も担っています。]

ルテインの研究情報

【1】ルテインやゼアキサンチンは、紫外線や青色光による網膜色素上皮細胞の炎症反応を調節することによって、加齢黄斑変性などのリスクを抑えることに役立ちます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22732187

【2】強度近視のヒトを除いて、日本人では、ルテインを摂取することで、黄斑色素濃度が上昇することがわかり、またゼアキサンチンと併用することで、より一層そのはたらきが強くなることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22699751

【3】メソゼアキサンチンとルテインとゼアキサンチンの3種のカロテノイドを摂取することで、黄斑色素濃度を改善することが確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22652809

【4】ルテインは高い抗酸化力を持っており、高コレステロールの食事を与えても、肝臓の機能を維持し、眼球を酸化ストレスから守ることが確認されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22586499

【5】ルテインは青色光から目を守るといわれてきました。また、体内の炎症に関わる因子であるiNOSやCOX2、TNF-αの発現を抑制することにより、加齢黄斑変性(AMD)などの加齢性疾患を予防すると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22465791

【6】ルテインやゼアキサンチンは、サプリメントや食品とともに、眼の黄斑色素濃度の改善に役に立つことが確認できました。特に黄斑色素濃度が低いヒトでは、より良さを実感できると考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22313522

【7】ルテインは抗炎症作用を持つことにより、視機能を維持することに役立ちます。
炎症によるダメージから目のロドプシンやシナプトファイシンなどの視機能に重要なタンパク質を保護するはたらきによるものと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22211688

【8】ルテインとゼアキサンチンを摂取することで、活性酸素から水晶体を保護し、加齢性白内障に対するリスクを減らす可能性があることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22194644

【9】ルテインは、薬物による肝臓へのダメージを軽減させます。このことによって、肝臓に対する良い働きが期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22138568

【10】アルツハイマー患者では赤血球のカロテノイドが低下します。とくに赤血球中のルテイン濃度の低下が顕著であり、ルテインの低下による過酸化脂質が増えることが、病気の原因となっているという見解が示されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22045492

【11】ルテインを摂ることにより、ぶどう膜炎による過酸化脂質の一つ、MDAの上昇を抑制するとともに、SOD活性を維持することができます。このことから、ルテインは目の病気の予防に役立つということがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22040935

【12】ルテインを摂取することで、脳虚血による細胞死や炎症のシグナルであるCOX-2などの生成を抑制し、神経細胞へのダメージを軽減すると考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22024715

【13】喫煙、BMI値、HDLコレステロール値などと、カロテノイドのレベルは関係していることが分かっています。ルテインとゼアキサンチンの血漿レベルはナチュラルキラー細胞の割合と関連がありました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17134954

【14】ルテインは目の組織では水晶体と網膜黄斑部に多く存在することが知られています。
特に、ルテインの摂取量と白内障の発症率に関係があり、摂取量が少ないほど、発症率が高いことが知られています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15640510

【15】卵を摂ることにより、ルテイン量の増加が確認されました。また、HDLコレステロール, LDLコレステロールと血漿ルテインとの関係も確認されました。卵を摂ることによってルテイン量の増加と、BMIやウエスト周囲径の減少にも関係が認められました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17374661

【16】ルテインやゼアキサンチンなどの黄斑色素は青色光に対するフィルターとしての作用があり、活性酸素や過酸化脂質を補足することで抗酸化作用により、目の健康を守ることがわかっています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15604618

【17】高用量のルテインサプリメントを定期的に使用してきた高齢者ドナーでは黄斑部カロテノイドが高いことがわかっています。
これはルテインサプリメントを長期間に摂取してきたことによると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17251448

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参考文献

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