メラノイジン

melanoidin

メラノイジンは、メイラード反応でつくられる物質で、味噌やしょう油の色になっている食品中の褐色成分です。食べ物を加熱した際などにつくられる物質で、抗酸化作用を持ち、血管内の健康を守る効果や整腸効果が知られ注目されている成分です。

メラノイジンとは

●基本情報
メラノイジンは、トーストを焼いたり、タマネギを炒めたり砂糖を鍋で焦がした時にアミノ酸と糖質が結合してできる褐色の物質です。メラノイジンができる過程をメイラード反応といい、長時間の加工行程があるしょうゆや味噌もメイラード反応によってメラノイジンをつくり出します。メラノイジンは食品の風味や味わいに関わる要素で、抗酸化作用[※1]や便秘予防効果を持つ一方、多くつくられすぎると食品の風味を損なうため、食品の加工後の品質低下の指標としても使われます。

●メラノイジンの歴史
メラノイジンをつくり出すメイラード反応とは、化学の分野ではアミノカルボニル反応といい、ルイ・カミーユ・メイヤール氏によって20世紀中に発見されました。
しかし、メイラード反応によって生成されるメラノイジンは、糖とアミノ酸が反応してできる食品の風味物質として味噌やしょう油、ビールの製造に欠かせないものとして私たちの食生活に古くから関わっていました。近年、メラノイジンが単なる風味の要素ではなく、抗酸化作用や腸内環境を整える効果があることが研究により明らかにされており、栄養成分として注目されています。

●メラノイジンの働き
メラノイジンは優れた抗酸化作用を持ち、脂質の酸化を防いで動脈硬化を予防します。コレステロール値を下げ血糖値を正常に保つ働きもあり、脂質異常症や糖尿病の予防効果もあると考えられています。腸内環境を整え、便秘の予防にも有効です。

<豆知識>体内で起こるメイラード反応
メイラード反応は体内でも起こることが知られており、その場合「糖化」と呼ばれます。糖化とは、体の中でたんぱく質と糖が結びつき、糖化最終産物 AGEs(エージーイー)を産生する現象のことをいいます。AGEsは、体内でコラーゲンなどのたんぱく質と結合し、その結果、それらは異物と判断されます。AGEsを分解しようとコラーゲンやエラスチンの分解酵素であるコラーゲナーゼやエラスターゼの分泌量が増え、AGEsだけでなく、正常なコラーゲンやエラスチンまで分解するように働いてしまうため、この現象が皮膚で起こると、シワやたるみの原因となります。
摂取によって体に良い効果をもたらすメラノイジンですが、体内ではこの反応が起きないよう予防が必要です。

[※1:抗酸化作用とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ作用です。]

メラノイジンの効果

●細胞を若々しく保つ効果
メラノイジンは抗酸化作用を持ち、細胞のDNAが活性酸素によってダメージを受けることを防ぐ働きがあります。メラノイジンは活性酸素の中でも特に一酸化窒素(NO)の活性を抑えます。つまり、DNAが酸化によって壊されるのを防ぎます。DNAは活性酸素によってダメージを受けると老化や生活習慣病を引き起こすといわれているため、予防が大切です。【1】【2】【3】

●血流を改善する効果
メラノイジンの抗酸化作用は脂質の酸化を防いだり、コレステロール値を抑える働きがあります。メラノイジンは、血管を若々しく保ち、ドロドロ血を防いで動脈硬化や高脂血症を予防する働きがあります。また、食後の血糖値の急な上昇を防ぎ正常に保つ効果もあるため、糖尿病の予防効果も期待できます。

●便秘を解消する効果
メラノイジンが食物繊維と似た効果を持つといわれ、腸内環境を整えて便秘の解消に役立つとの報告があります。
便秘は、体内で不要なものが排出されない状態のことをいいます。腸内環境の悪化は肌に吹き出物ができたり、免疫力が低下し病気にかかりやすくなったりといった様々な不調を体全体にもたらします。腸は「体の根っこ」とも言われ、健康にとって非常に大切な部位です。便秘の予防によって万病の予防効果が期待できます。

メラノイジンは食事やサプリメントで摂取できます

メラノイジンを含む食品

○しょう油
○味噌
○ビール

こんな方におすすめ

○いつまでも若々しくいたい方
○コレステロール値が気になる方
○糖尿病を予防したい方
○血流を改善したい方
○便秘でお悩みの方

メラノイジンの研究情報

【1】人工胃を用いた試験で、コーヒーに含まれるメラノイジンは胃内の脂質過酸化が緩和されたことから、メラノイジンは抗酸化作用ならびに胃保護作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20070103

【2】大徳寺納豆についてラジカル消去活性の強さについて検討したところ、2か月間の熟成期間にメラノイ
ジン関連物質が産生されラジカル消去活性には、メラノイジンが関与していることが考えられました。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006367126

【3】コーヒー豆には、強い抗酸化作用があり、その活性成分には、ポリフェノールおよびメラノイジンがあります。メラノイジンには、脂質過酸化を抑制し、DNAの酸化ダメージを抑制することが分かりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23020245

【4】マウスを対象に、メラノイジンを10週間投与したところ、ピロリ菌の感染が緩和されたことから、メラノイジンはピロリ菌感染予防、胃潰瘍予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15361082

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参考文献

・中嶋洋子 完全図解版 食べ物栄養事典 主婦の友社

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・Tagliazucchi D, Verzelloni E, Conte A. (2010) “Effect of dietary melanoidins on lipid peroxidation during simulated gastric digestion: their possible role in the prevention of oxidative damage.” J Agric Food Chem. 2010 Feb 24;58(4):2513-9.

・大谷 貴美子、長渡 麻未、柴田 満、冨田 圭子、佐藤 健司、川添 禎浩 (2007) “大徳寺瑞峯院納豆の製造過程におけるDPPHラジカル消去活性の変化とその関連物質について” 日本調理科学会誌 40(4), 239-248, 2007-08-20

・Del Pino-García R, González-SanJosé ML, Rivero-Pérez MD, Muñiz P. (2012) “Influence of the degree of roasting on the antioxidant capacity and genoprotective effect of instant coffee: contribution of the melanoidin fraction.” J Agric Food Chem. 2012 Oct 24;60(42):10530-9

・Icatro FC, Koizumi W, Saigenji K, Miura S, Sugiyama T, Kimura N. (2004) “Melanoidin, a food protein-derived advanced maillard reaction product, suppresses Helicobacter pylori in vitro and in vivo” Helicobacter. 2004 Oct;9(5):429-35.

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