マリーゴールド

marigolds
万寿菊 孔雀草 キンセンカ カレンデュラ
calendula officinalis  calendula  tagetes

マリーゴールドは、黄色の花弁に抗炎症作用、抗酸化作用を持つルテインという成分を多く含んでいるハーブです。様々な種類が知られており、薬効のあるハーブや観賞用に適したものなどが知られています。古くから万能薬として、軟膏やチンキ剤、ハーブティーとして利用されてきました。

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マリーゴールドとは

●基本情報
マリーゴールドは地中海原産のキク科の植物です。マリーゴールドには観賞用と医療用があり、観賞用は主にフレンチマリーゴールド、医療用はメディカルハーブとしてカレンデュラと呼ばれています。マリーゴールドは春に種をまき、夏から秋にかけて花の開花を楽しみ、冬に枯れるという一年草で、花の色は黄色、赤、オレンジの暖色系で種類は多種あり、花の大きさは4~7cm程です。
マリーゴールドの名前は「聖母マリアの黄金」に由来します。メディカルハーブとしてマリーゴールドを用いる場合は、観賞用のフレンチマリーゴールドと混同しないようカレンデュラと呼びます。
カレンデュラは、カレンダーの語源でもあります。花期が1ヵ月と長いことと月経のサイクルとの関連から名付けられたといわれています。
マリーゴールドはキク科のハーブで、古代エジプトでは若返りの薬として、また、ヨーロッパの移動型民族は万能薬として利用していました。ヨーロッパをはじめ世界各地で栽培されており、朝日が昇ると花が開き、夕方日が沈むと花を閉じる植物です。
花の部分をハーブとして利用されますが、花は生の状態でサフランの代用品としても利用され、サラダやオムレツ、チーズの色付けに使われます。他のハーブとの相性も良く、よくブレンドされます。

●マリーゴールドの利用法
消炎、創傷治癒効果に優れるマリーゴールドは、古くから万能薬として利用されています。花びらを植物油に2~3週間付け込んでつくられる浸出液や、浸出液とミツロウでつくられる軟膏を、湿疹や口唇の荒れなどに利用してきました。ハーブティーとしても利用されており、収れん、抗炎症作用があるため、消化不良や胃炎などの症状に効果的です。さらに、月経不順にも有効とされています。
他にも、保存のきくチンキ剤[※1]としたり、花弁をそのままサラダやスープに入れて食べたりといった使われ方もあります。

●マリーゴールドに含まれる成分
マリーゴールドの鮮やかな花弁には、カロテノイドの一種ルテインが豊富に含まれています。抗炎症作用があり、眼精疲労や眼病予防に利用されます。他にもフラボノイドや植物ステロール、苦味質や精油なども含まれます。

●マリーゴールドを摂取する際の注意点
マリーゴールドはキク科の植物ですので、キク科植物にアレルギーを持つ方は注意が必要です。また、女性ホルモン用作用があるため、妊娠初期に多量に使用することは避けるべきです。

<豆知識>育てやすい万能ハーブ
マリーゴールドは花を咲かせる期間が長く、観賞用の品種も多く知られています。日当たりの良いところであれば土壌状態に左右されることなく良く育ちます。秋に、プランターや庭に種を直まきし、10度前後の中で苗を育てるとよいです。2月頃~5月頃にかけて花を咲かせます。メディカルハーブとして花を利用するため、この時期は同時に収穫時期となります。

[※1:チンキ剤とは、ハーブや生薬をエタノールに浸して作られる液状の製剤のことです。]

マリーゴールドの効果

●目の健康に働きかける効果
マリーゴールドの花弁には、天然色素のルテインが豊富に含まれています。ルテインは、目の中でも網膜や水晶体に多く存在しています。目に有害とされているテレビやパソコンなどから発せられるブルーライトや紫外線、光によって発生する活性酸素を除去する働きをサポートします。しかしルテインは年齢とともに減少し、視力低下や白内障、加齢黄斑変性症というような目の病気を引き起こします。
白内障は目の水晶体のたんぱく質が変性することで白く濁り、視界がぼやけたり、光をまぶしく感じたりといった症状が表れます。原因のひとつに活性酸素が挙げられます。また、黄斑変性症は目の網膜の中心部である黄斑が変性し、ものが歪んで見えたり中心部が見えにくくなったりといった症状が表れる疾患です。黄斑はルテインが集まっている場所ですが、加齢などによって黄斑のルテイン濃度が低下すると、エネルギーの高い光のダメージによって発症しやすくなります。
どちらの疾病もルテインの摂取が予防に有効です。【1】【5】【6】【7】

●胃炎や胃潰瘍を予防する効果
マリーゴールドは抗炎症作用があり、胃の粘膜の炎症を抑えたり、胃潰瘍などの予防にも有効です。【2】【3】【4】

●女性特有の悩みを改善する効果
マリーゴールドは女性ホルモン用作用があり、生理による不調をやわらげたり生理周期を整えるためにも利用されます。

その他、マリーゴールドには創傷治療、防腐作用などの治療を促進する働きがあります。デトックス効果もあるため、肌荒れやニキビにも治療として使用されています。

こんな方におすすめ

○白内障を予防したい方
○黄斑変性症を予防・改善したい方
○視界のゆがみ・ぼやけが気になる方
○胃の炎症を抑えたい方
○月経によるお悩みがある方

マリーゴールドの研究情報

【1】マリーゴールドに含まれるルテインは青色光から目を守るといわれてきました。また、体内の炎症に関わる因子であるiNOSやCOX2、TNF-αの発現を抑制することから、加齢黄斑変性症(AMD)などの加齢性疾患を予防すると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22465791

【2】137名の十二指腸潰瘍・胃十二指腸炎(内33名は制酸薬服用)患者に対し、マリーゴールドを含んだハーブを飲用させた結果、90%以上の患者で潰瘍・炎症による痛みが緩和したことから、マリーゴールドは抗炎症作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7336704

【3】マリーゴールドの中に抗潰瘍作用のあるカレンデュロザイドBが含まれていることから、マリーゴールドの健康機能が注目されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/700077

参考文献

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・則岡孝子 栄養成分の事典 新星出版

・永川祐三 最新版 病気を治す栄養成分BOOK 主婦と生活社

・中村丁次監修 最新版からだに効く栄養成分バイブル 主婦と生活社

・アン マッキンタイア著 女性のためのハーブ自然療法 産調出版

・佐々木 薫 ハーブティー事典 池田書店

・リエコ 大島 バークレー著 英国流メディカルハーブ 説話社

・林真一郎 編 メディカルハーブの事典 東京堂出版

​・ヴィクトリア・ザック ハーブティーバイブル 東京堂出版

・Kijlstra A, Tian Y, Kelly ER, Berendschot TT. (2012) “Lutein: more than just a filter for blue light.” Prog Retin Eye Res. 2012 Jul;31(4):303-15. doi:
10.1016/j.preteyeres.2012.03.002. Epub 2012 Mar 21.

・Chakŭrski I, Matev M, Stefanov G, Koĭchev A, Angelova I. (1981) “[Treanntment of duodenal ulcers and gastroduodenitis with a herbal combination of Symphitum officinalis and Calendula officinalis with and without antacids].” Vutr Boles. 1981;20(6):44-7.

・Iatsyno AI, Belova LF, Lipkina GS, Sokolov SI, Trutneva EA. (1978) “[Pharmacology of calenduloside B, a new triterpene glycoside from the roots of Calendula officinalis].” Farmakol Toksikol. 1978 Sep-Oct;41(5):556-60.

・Shipochliev T, Dimitrov A, Aleksandrova E. (1981) “[Anti-inflammatory action of a group of plant extracts].” Vet Med Nauki. 1981;18(6):87-94.

・Ozawa Y, Sasaki M, Takahashi N, Kamoshita M, Miyake S, Tsubota K. (2012) “Neuroprotective effects of lutein in the retina.” Curr Pharm Des. 2012;18(1):51-6.

・Ribaya-Mercado JD, Blumberg JB. (2004) “Lutein and zeaxanthin and their potential roles in disease prevention.” J Am Coll Nutr. 2004 Dec;23(6 Suppl):567S-587S.

・Bhosale P, Zhao da Y, Bernstein PS. (2007) “HPLC measurement of ocular carotenoid levels in human donor eyes in the lutein supplementation era.” Invest Ophthalmol Vis Sci. 2007 Feb;48(2):543-9.

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