コウジ酸とは
●基本情報
コウジ酸とは、麹[※1]から発見された成分であり、麹菌が糖を発酵させることによってつくられます。
コウジ酸が含まれる麹を扱う杜氏(とうじ)[※2]の手が白くなめらかであることから、美白効果があるとして注目されています。
●コウジ酸の歴史
コウジ酸は、1900年に農芸化学者である薮田貞次郎によって発見されました。その後、コウジ酸の持つ働きについて研究がすすめられ、1988年には厚生労働省によってコウジ酸が美白有効成分として認可されました、
●コウジ酸の働き
コウジ酸には、シミのもととなるメラニン色素[※3]をつくる細胞であるメラノサイトの中で、メラニンの生成を抑えるという働きがあります。
また、メラニンの生成を促す情報伝達物質がつくられるのを予防するという働きも持ち合わせています。
その他、抗酸化作用[※4]や消炎作用があるといわれています。
[※1:麹とは、米や麦、大豆などを蒸してねかし、これに麹かびを加えて繁殖させたもののことです。主に、酒や味噌、醤油などの醸造に用いる。]
[※2:杜氏とは、酒をつくる職人のことです。]
[※3:メラニン色素とは、シミの原因になるものです。メラニン色素の蓄積によってシミは形成されます。]
[※4:抗酸化作用とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ作用です。]
コウジ酸の効果
●美白効果
コウジ酸には、メラニンの生成を抑えることでシミやそばかすの発生を防ぐ効果があります。
シミは、皮膚の中のメラノサイトという細胞で、メラニン色素が過剰つくられることによって形成されます。
メラニンは、アミノ酸の一種であるチロシンに、チロシナーゼという酵素が働きかけることで、黒色の色素へと変化します。
コウジ酸は、このチロシナーゼの活性化を防ぎ、メラニンの生成抑える働きがあるため、美白効果が期待されています。【1】【2】
●糖化を防ぐ効果
糖化とは、体内のたんぱく質と糖が反応し、AGEs(エージーイー)[※5]といわれる物質を体内につくり出すことであり、近年では老化の原因のひとつであるといわれています。
この糖化が肌で起こると、シミやしわなどの老化現象が引き起こされてしまいます。
コウジ酸は、AGEsの産生を抑える働きがあり、糖化を防ぎ若々しい肌を保つ効果が期待できます。
[※5:AGEsとは、糖がたんぱく質と反応して変異し生成された物質のことです。また、最終糖化産物ともいわれます。]
コウジ酸は食事やサプリメントで摂取できます
コウジ酸を含む食品
○麹
こんな方におすすめ
○シミ、そばかすが気になる方
○美肌を目指したい方
○いつまでも若々しくいたい方
コウジ酸の研究情報
【1】B16メラノーマ細胞を用いて、コウジ酸を投与したところ、αMSGによるメラニン合成が抑制されたことから、コウジ酸は美白作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23091364
【2】コウジ酸は美白化粧品として使用されるほど、古くから美白機能が期待されていました。コウジ酸はチロシナーゼのカテコラーゼを阻害することからも、高い美白機能を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7714722
【3】黒皮症患者39名を対象に、グリコール酸とコウジ酸の混合物を投与したところ、色素が減弱したことから、コウジ酸は黒皮症患者に対して有益であると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8634807
参考文献
・Lajis AF, Hamid M, Ariff AB. 2012 “Depigmenting effect of Kojic acid esters in hyperpigmented B16F1 melanoma cells.” J Biomed Biotechnol. 2012;2012:952452. doi: 10.1155/2012/952452. Epub 2012 Oct 2.
・Cabanes J, Chazarra S, Garcia-Carmona F. 1994 “Kojic acid, a cosmetic skin whitening agent, is a slow-binding inhibitor of catecholase activity of tyrosinase.” J Pharm Pharmacol. 1994 Dec;46(12):982-5.
・Garcia A, Fulton JE Jr. 1996 “The combination of glycolic acid and hydroquinone or kojic acid for the treatment of melasma and related conditions.” Dermatol Surg. 1996 May;22(5):443-7.