厚朴(コウボク)

magnolia bark
ほおのき

厚朴は、主に日本や中国などに自生しているホオノキの樹皮を乾燥させてできる生薬です。胃の健康を保つほか、咳や痰を鎮める・美白効果などがあるといわれています。

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厚朴とは

●基本情報
厚朴は生薬の一種であり、モクレン科の植物であるカラホオノキや、葉の先端がへこんでいる凹葉(おうよう)ホオノキ、日本に自生するホオノキの樹皮や根皮を乾燥させたものです。
日本では、ホオノキが和厚朴、シナホオノキが唐厚朴と区別されます。
ホオノキは高さ5~20メートルに達する木で、樹皮は紫褐色をしているのが特徴です。初夏には香りの良い、白く大きな花を咲かせます。

●厚朴の歴史
厚朴は、消化器の疾患や、精神神経症をやわらげるための生薬として古くから用いられていました。
また、厚朴の原料となるホオノキの葉は、食べ物を包むとカビの発生を防ぐことができるとして、食器代わりに用いられていたという歴史もあります。
また、岐阜県の飛騨高山地方には、ホオノキの葉の上に味噌を乗せ焼いて食べる「朴葉(ほおば)味噌」という郷土料理があります。

●厚朴の生産地
和厚朴であるホオノキは日本に自生し、唐厚朴のカラホオノキは中国南部に分布しています。

●厚朴に含まれる成分と性質
厚朴には、オイデスモール、ピネン、カンフェンなどの精油成分に、マグノロール、ホオノキオールのほか、マグノクラリンやマグノフロリンなどのアルカロイド[※1]が含まれています。
これらの成分により、厚朴には胃の運動を促進する働きや、抗菌作用、鎮痛作用、収れん作用、利尿作用などの働きがあるといわれています。漢方薬は単一の成分で用いることは少なく、多くの生薬を組み合わせて処方されます。厚朴はその薬草の一つとして使用されます。

[※1:アルカロイドとは、窒素原子を含み、塩基性を示す天然由来の有機化合物の総称です。]

厚朴の効果

●胃の健康を保つ効果
厚朴には、胃の健康を保つ効果があり、胃もたれや食欲不振、お腹の張りなどの症状をやわらげる効果があります。【1】

●咳や痰(たん)を抑制する効果
厚朴には痰を鎮める働きがあるため、喘息の症状をやわらげるための生薬として用いられることがあります。【2】【4】

●美白効果
ホオノキの樹皮には、シミのもととなるメラニン色素[※2]の生成を抑える働きがあります。
シミは、皮膚の中のメラノサイトという細胞で、メラニン色素が過剰つくられることによって形成されます。
メラニンは、アミノ酸の一種であるチロシンに、チロシナーゼという酵素が働きかけることによって、黒色の色素へと変化します。
ホオノキの樹皮には、メラニンの生成を抑える働きに加え、チロシナーゼの活性化を防ぐ働きがあるため、美白効果が期待されています。【3】

[※2:メラニン色素とは、シミの原因になるものです。メラニン色素の蓄積によってシミは形成されます。]

厚朴は食事やサプリメントで摂取できます

厚朴を含む食品

○ホオノキ
○カラホオノキ
○凹葉ホオノキ

こんな方におすすめ

○胃の健康を保ちたい方
○胃もたれを予防したい方
○咳や痰でお悩みの方
○シミ、そばかすが気になる方

厚朴の研究情報

【1】機能性消化不良患者を対象に、厚朴を含む製剤である半夏厚朴湯を引用させたところ、上部消化管運動を促進させ、消化器症状が改善されたことから、厚朴は胃の健康に役立つと考えられています。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004012916

【2】咽頭に違和感を感じる患者203名を対象に、厚朴を含む製剤である半夏厚朴湯を飲用させたところ、82名に咽喉違和感が改善されたことから、厚朴は咽頭疾患予防に役立つと考えられています。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006450478

【3】水、およびエタノールさらに超臨界二酸化炭素により抽出されたホオノキ抽出物は、チロシナーゼの活性を阻害することが分かりました。ホオノキを起源とする厚朴も美白効果を持つと考えられています。

【4】漢方薬を用いた治療方法のひとつとして、厚朴を含む製剤である半夏厚朴湯を飲用することにより咽喉部の息苦しさが改善することが報告されています。厚朴は咽頭疾患予防に役立つと考えられています。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004010552

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参考文献

・及川 哲郎、伊藤 剛、花輪 壽彦 (2004) “上部消化管運動に対する漢方薬の効果 : 半夏厚朴湯を中心に(42 消化器(6)(消化管運動))” 日本東洋醫學雜誌 55(別冊), 249, 2004-05

・伊藤 隆、仙田 晶子、山本 佳乃子、深谷 良 (2007) “「咽喉違和感」と半夏厚朴湯反応例の検討(診断・実習・適正使用,一般演題ポスター,第24回和漢医薬学会大会 和漢薬の複雑さ-経験知と科学知-)” 和漢医薬学雑誌 24(Supplement), 109, 2007-08-20

・辻将央  , 成田佳彦  , 爲廣貴志  , 山戸敦子  , 細川博史  , 藤原沙都姫 (2011) “ホオノキ抽出物、その製造方法、およびそれを含む美肌組成物” 公開特許

・伊藤 隆 (2003) “呼吸器疾患の漢方治療” 日本東洋醫學雜誌 54(1), 29-46, 2003-01-20

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