ハニーサックル

honeysuckle
ニオイニンドウ

ハニーサックルは中国では古くから漢方薬として利用されており、ヨーロッパでは花をポプリに利用するなど、ハーブとしても利用されています。また鑑賞用としても楽しまれている植物です。主な成分としてタンニンをはじめとするフラボノイドやミネラルが含まれ、美肌効果やアレルギー症状を緩和する効果が期待できます。

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ハニーサックルとは

●基本情報
ハニーサックルはスイカズラ科スイカズラ属の多年生植物[※1]です。つる性の植物で成長すると長さ6mにまで成長します。ハニーサックルの原産地はヨーロッパからアフリカの北西部にかけてで、北半球に広く分布しています。ハニーサックルには100種類以上の原種が存在しており、以下は主な原種・園芸品種です。

●ハニーサックルの歴史
ハニーサックルは歴史の中でも古い薬草のひとつで、ヨーロッパでは泌尿器系や喘息の治療などに利用されていました。中国では体から毒を出し、熱をとる薬草として古くから利用されています。
また、日本では江戸時代に徳川家康が焼酎やみりんなどにスイカズラを漬け込んだ忍冬酒を愛飲していたといわれています。
ハニーサックルという名前は、ミツバチが花の蜜を吸うために集まることからhunig(ミツバチ)とsucan(吸う、吸い込む)に由来するといわれます。日本ではスイカズラとして知られており、花冠が蜜を吸う時の唇の形に似ていることや、花の奥の蜜が吸うと甘いためスイカズラという名が付いたといわれています。暖地では落葉せずに冬でも葉を残すことからニオイニンドウ(匂い忍冬)とも呼ばれます。また白色の花が後に黄色く色づくことから金銀花(キンギンカ)と呼ばれることもあります。

●ハニーサックルの種類
・ハニーサックル(Lonicera periclymenum)
一般にハニーサックルと呼ばれるものはヨーロッパが原産で、初夏から夏にかけて甘酸っぱい香りの花を咲かせます。黄色や白の花は甘酸っぱい芳香を持ち、夕方から香が強くなります。赤い実をつけます。

・ツキヌキニンドウ(Lonicera sempervirens)
明治初期に日本に伝わった品種で、花は香りを持ちません。初夏から秋まで長期間花をつけます。花の外側と内側で色が異なり、外側は紅オレンジで内側は白から黄色に変化していきます。

・スイカズラ (Lonicera japonica)
日本が原産の品種です。春から夏にかけて香高い白い花を咲かせ、酢の物などにも利用されます。果実は黒色です。

・ゴールド・フレーム( Lonicera × heckrottii ‘Gold Flame’)
園芸品種のひとつで、アメリカ原産のコーラル・ハニーサックルとアメリカ・ハニーサックルとの交配種といわれています。7月~9月に内側が黄色、外側が紅オレンジの香のよい花をつけます。花の後につけるオレンジ色の実は毒を持ちます。

●ハニーサックルの利用方法
ハニーサックルはつる性の植物で勢いよく茎を伸ばすため、古くから欧米ではフェンスに絡ませたりアーチにしたてて観賞用にされてきました。ヨーロッパでは花を乾燥させてポプリとして利用したり、ハーブとしても利用されています。
ハニーサックルはあせもや湿疹などに効果があることから、乾燥した茎や葉を布袋につめて煮出したものを袋ごとお風呂にいれると、入浴剤としても利用できます
ハニーサックルの収穫時期は、5月~10月にかけてで、朝早くにつぼみが開く前のものを摘み取ります。また、茎は落葉したすぐ後に収穫・乾燥させて煎じ薬として利用されます。
蕾は金銀花、茎葉は忍冬といわれ生薬として利用されます。

●ハニーサックルに含まれる成分と性質
ハニーサックルには肌を引き締める効果のあるタンニンや、アレルギー症状の緩和作用や解毒作用のあるルテオリンなどのポリフェノールが含まれます。またハニーサックルはミネラル中でも特にカリウムを含むことから、利尿作用も期待できます。

[※1:多年生植物とは、茎の一部、地下茎、根などが枯れずに残り、複数年にわたって生存する植物のことです。]

ハニーサックルの効果

●アレルギー症状を緩和する効果
ハニーサックルに含まれるルテオニンには、花粉症の症状を原因となるヒスタミンや、主にアトピー性皮膚炎の炎症の原因となるロイコトリエンなどの物質を作り出すのに必要な酵素を抑制する働きがあります。このことから、ハニーサックルには抗炎症効果やアレルギー症状を緩和する効果が期待できます。

●肝機能を高める効果
ハニーサックルに含まれるルテオリンは抗酸化作用[※2]があり、大腸で発生した悪性物質を肝臓で尿素に変える働きがあることから、肝臓の解毒を促進する作用があります。
また、活性酸素[※3]によって中性脂肪やコレステロールなどの脂質が酸化すると過酸化脂質が生成され、肝機能障害を起こしやすくなります。ハニーサックルに含まれるサポニンには過酸化脂質の生成を抑制する働きがあります。これらの働きから、ハニーサックルには肝機能を高める効果が期待できます。【1】

●美肌効果
ハニーサックルにはポリフェノールの一種であるタンニンが含まれます。タンニンはたんぱく質と結合し変性させ、薄い皮膜を形成するため、外的刺激をさえぎりほてりや痛みを和らげる働きがあります。また、タンニンには組織や血管を縮める収れん作用[※4]があるため、開いた毛穴や皮脂腺などを引き締め、毛穴を目立ちにくくする効果があります。
さらに、メラニンの生成を抑制する働きもあることから、ハニーサックルには美白効果も期待できます。

[※2:抗酸化作用とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ作用です。]
[※3:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。体内で過度に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるといわれています。]
[※4:収れん作用とは、縮こませたり、引き締めたりする働きを指します。]

食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○アレルギー症状を緩和したい方
○かゆみを抑えたい方
○あせもや湿疹を予防したい方
○肝臓の健康を保ちたい方
○美肌を目指したい方
○毛穴の黒ずみや開きでお悩みの方

ハニーサックルの研究情報

【1】ラット肝細胞およびヒト臍帯静脈血細胞を用いて、ハニーサックルが酸化LDLに対する保護作用を検討しました。ハニーサックルは、酸化ストレス誘発のミクロペルオキシソーズおよびLDLの酸化を抑制し、細胞を保護しました。ハニーサックルは抗菌作用ならびに高脂血症予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19572653

【2】ハニーサックルは、ウサギの小腸の平滑筋への電気的刺激および収縮を抑制しました。ハニーサックルは下痢などの過敏性腸症状を予防するはたらきが期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21155231

参考文献

・食材図典 小学館

・田中平三、門脇孝、篠塚和正、清水俊雄、山田和彦、石川広己、東洋彰宏 健康食品・サプリメント〔成分〕のすべて-ナチュラルメディシンデータベース- 株式会社同文書院

・中村丁次 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版

・Palíková I, Valentová K, Oborná I, Ulrichová J. (2009) “Protectivity of blue honeysuckle extract against oxidative human endothelial cells and rat hepatocyte damage.” J Agric Food Chem. 2009 Aug 12;57(15):6584-9.

・Song SJ, Li FF, Xu Y, Zhang LH, Yuan F, Zhang Y. (2009) “[Effects of Honeysuckle flower and Scutellaria Baicalensis Georgi on constraction and electric activity of rabbit small intestine smooth muscle].” Zhongguo Ying Yong Sheng Li Xue Za Zhi. 2009 Aug;25(3):344-8.

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