はちみつ

honey

はちみつは、糖類を主成分とし、ビタミン類やミネラル類、アミノ酸、有機酸、ポリフェノール、グルコン酸などが豊富に含まれる栄養価の高い食品です。疲労回復、整腸作用、老化や病気の予防、美容など多岐に渡る効果を発揮します。

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はちみつとは?

●基本情報
はちみつとは、ミツバチにより花から集められ、ハチの巣に貯蔵されている蜜のことです。自然界で最も甘いといわれています。
はちみつには、アカシア、シナノキ、ナタネ、れんげ、クローバー、さくら、りんご、そば、百花みつなど数多くの種類があり、ミツバチが蜜を採集する花の種類や地域により色や味が異なります。

<豆知識①>ハチと梅の縁深い関係
冬の寒さから目覚めたハチは、まず梅の花に向かうといわれています。これは、花が咲く春の季節に一気に蜜と花粉を集めるために、梅の花に含まれる豊富な栄養を体に蓄え、冬に失われた体力を回復するのです。
はちみつと梅の相性が良いことは有名ですが、ハチと梅の花もとても縁深い関係なのです。

●はちみつの歴史
はちみつは古くから親しまれている食品です。甘く芳しい香りを放つはちみつは神の恵みであるとされ、どんな危険を冒してでも手に入れたいと考えられていた程、貴重なものでした。
かつては野生のミツバチの巣からはちみつが採集されていましたが、古代エジプト時代に入ると養蜂が始められました。粘土でつくられた巣箱からはちみつを壺に貯蔵する様子や、はちみつ入りのお菓子やパン、貢物を運ぶ様子などを表す壁画が発見されています。
日本でのはちみつの歴史は浅く、江戸時代に入り養蜂が盛んに行われるようになったといわれています。

●はちみつの生成
ミツバチの巣は、女王バチと数万匹もの働きバチ、2~3千匹の雄バチにより構成されています。働きバチが花から採集した蜜を、巣の中にいる幼バチが口移しで受け取り、巣に貯蔵します。蜜が花から運ばれる際や口移しで貯えられる際に、ミツバチの体内にあるインベルターゼと呼ばれる転換酵素により、密の主成分であるスクロースがグルコースとフルクトースに分解されます。さらに、巣の中ではミツバチの羽の振動や幼虫の体熱により、蜜の中の水分が蒸発・濃縮し、3日程かけてはちみつがつくられます。

●はちみつの利用法
はちみつは、甘味料としてパンやのど飴などのお菓子、料理などに幅広く利用されています。
はちみつには肉を軟らかくしたり、肉の旨みを閉じ込める効果や、魚の臭みを減らし風味を豊かにする効果があるため、肉料理や魚料理に利用されています。
また、はちみつを加えて炊飯すると美味しいご飯が炊きあがるといわれています。人間はご飯を噛み続けることでご飯特有の甘さを感じます。これは、人間の唾液酵素がご飯に含まれるでんぷんを糖に分解するためです。 はちみつには唾液酵素と似た成分が含まれているため、ご飯の甘さが引き出されやすくなります。

食用だけでなく、ボディーソープや石鹸、リップクリーム、洗顔、化粧品などはちみつが使われた様々な商品が開発され販売されています。

<豆知識②>アピセラピー
アピセラピーとは、ミツバチによってつくられたものを利用した治療法のことです。現在、様々な国でアピセラピーの効果が研究されています。
例えば、ミツバチの針の毒は、神経痛や肩こりなどの治療に使用されています。ヨーロッパなどでは、傷の手当にはちみつが使用されます。日本のアピセラピーでは、主にはちみつやローヤルゼリー、プロポリスが知られています。ローヤルゼリーやプロポリスはサプリメントとして出回っています。

<豆知識③>乳児ボツリヌス症
はちみつは1歳未満の乳児には食べさせてはいけないとされています。
はちみつには、ごく稀にボツリヌス菌の芽胞が入っていることがあります。腸が未発達で腸内細菌の少ない1歳未満の乳児は、ボツリヌス菌が原因で乳児ボツリヌス症[※1]を発症する恐れがあります。

●はちみつの保存
はちみつには強い抗菌力があり、長期間保存することが可能です。代表的な保存食としても知られています。

5~14℃ではちみつを放置しておくと、結晶と呼ばれるはちみつが白く固まる現象が起こります。これは、はちみつの主要成分であるグルコースによるものです。はちみつが結晶化しても品質には全く問題なく、湯せんすることで再び使いやすい状態へ戻すことができます。

●はちみつに含まれる成分と性質
はちみつはビタミン類、鉄や亜鉛などの体をつくるために必要不可欠なミネラル類、アミノ酸、有機酸、抗酸化作用を持つポリフェノールなどが豊富に含まれる非常に栄養価の高い食品です。
抗酸化作用とは、紫外線や喫煙、ストレスなど生活の様々な場面で発生する活性酸素[※2]を除去し、体が酸化することを防ぐ働きのことです。例えば、クギを放置し空気にさらしておくとクギがサビついてしまいます。この現象が酸化であり、人間の体内で起こると、病気や老化、肌トラブルの原因となってしまいます。はちみつに含まれる成分が体内で強い抗酸化作用を発揮して酸化から体を守ることで、病気や老化、肌トラブルを予防します。

はちみつの構成成分の約8割はグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)、オリゴ糖などの糖分です。グルコースとフルクトースは、体内でそれ以上分解・消化される必要がなく、短時間で体内に吸収され素早くエネルギーとして使われるため、脂肪になりにくいという特徴があります。
オリゴ糖とは、グルコースやフルクトースなどの単糖類が結合した糖のことです。消費者庁が認可する特定保健用食品[※3]で「おなかの調子を整える食品」の機能表示が認められている成分でもあります。

さらに、グルコースからミツバチが持つ酵素により有機酸の一種であるグルコン酸が生成されます。グルコン酸とは大腸まで到達する唯一の有機酸であり、主にはちみつのまろやかな酸みと日持ちの向上に役立っています。

[※1:乳児ボツリヌス症とは、赤ちゃんの大腸に入ったボツリヌス菌から生まれる毒素によって発症する病気のことです。便秘、活気がない、哺乳不良、泣き声が弱い、よだれが多い、首のすわりが悪くなるなどの初期症状が現れます。]
[※2:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。体内で過剰に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるといわれています。]
[※3:特定保健用食品とは、特定の保健の目的が期待できることを表示した食品のことです。身体の生理学的機能などに影響を与える保健機能成分(関与成分)を含んでいます。その保健効果が当該食品を用いたヒト試験で科学的に検討され、適切な摂取量も設定されています。また、その有効性・安全性は個別商品ごとに国によって審査されています。]

はちみつの効果

はちみつには、グルコースやフルクトース、オリゴ糖などの糖分、ビタミンB₁やナイアシン、ビタミンKなどのビタミン、鉄や亜鉛、銅などのミネラル類、グルコン酸などが豊富に含まれており、これらの成分は以下のような健康に対する効果が期待できます。

●疲労回復効果
はちみつの主成分であるグルコースやフルクトースは、構造が単純な単糖類であるため、体内に入ると短時間で吸収され、エネルギーに変換されます。胃腸への負担が少なく、体が弱っている時や疲れが溜まっている時でも効率良く栄養が吸収され、疲労回復に効果的であるといわれています。
また、はちみつはクエン酸との相性が良いためレモンや梅などのクエン酸を含む食品と一緒に摂取すると、さらなる疲労回復の効果が期待できます。

●糖尿病を予防する効果
はちみつは、ブドウ糖やショ糖に比べて、食後血糖値の上昇が緩やかとなるため、糖尿病の予防に役立つといわれており、糖尿病患者の糖分補給として、ブドウ糖やショ糖の代わりにはちみつを代替食として使用することもあります。【1】

●腸内環境を整える効果
はちみつには、オリゴ糖やグルコン酸が豊富に含まれています。
オリゴ糖には、腸内でビフィズス菌などの善玉菌[※4]を増殖させる働きがあります。善玉菌が増えると腸内環境が良くなり、便秘や下痢などの予防や改善に効果があります。また、はちみつに含まれるグルコン酸は腸内環境を整える効果があります。

●美肌効果
はちみつには、ビタミン類やミネラル類が豊富に含まれています。
亜鉛には新陳代謝[※5]を活発にする働きがあるため、肌の細胞の生まれ変わりを促進し、美しい肌の維持に効果があるといわれています。さらに、はちみつには美肌効果があるといわれているナイアシンも含まれています。
また、はちみつには抗菌作用や潤いを保つ働きがあるため、顔に塗ると肌荒れや乾燥肌の予防・改善に効果があると考えられています。【2】

●老化を防ぐ効果
老化は体が酸化することで進行します。
はちみつには、強い抗酸化作用を持つポリフェノールやビタミン類、新陳代謝を促進する亜鉛などが豊富に含まれています。これらの成分が酸化を防いだり、古い細胞から新しい細胞への生まれ変わりを促進することで、老化を防ぐ効果が期待できます。【3】

●傷の治りを早める効果
はちみつには強い抗菌力があります。そのため、擦り傷や切り傷にはちみつを塗ると菌の増殖が抑制され、傷の治りが早まると考えられています。【2】【3】【5】

●感染症を予防・改善する効果
はちみつの強い抗菌力によって、呼吸器系細菌の増殖が抑制されるため、のどの痛みや咳、風邪などの感染症の予防・改善に効果が期待できます。
また、近年の研究ではニュージーランド産のマヌカハニーとイエメン産のシドルという木から取れるはちみつが、耳鼻咽喉(いんこう)の感染症の治療に使われる抗生物質の代わりになる可能性が示唆されています。【4】【7】

●貧血を予防する効果
鉄や銅は血液中の酸素を全身に運ぶ働きをしているヘモグロビンの構成成分です。鉄や銅が不足すると、全身に酸素が行き渡らなくなるため、貧血やめまい、頭痛などの症状が出ます。はちみつには鉄や銅に加え、造血作用を持つビタミンB群などが含まれているため、貧血を予防する効果が期待できます。

[※4:善玉菌とは、ヒトの腸内にすむ細菌で、健康に役立つ働きをする菌のことです。もともと大腸にすんでいる腸内ビフィズス菌や乳酸菌、腸球菌などが善玉菌といわれます。]
[※5:新陳代謝とは、古い細胞や傷ついた細胞が、新しい細胞へ生まれ変わることを指します。]

はちみつは食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○疲れやすい方
○糖尿病を予防したい方
○便秘でお悩みの方
○乾燥肌・肌荒れでお悩みの方
○美肌を目指したい方
○いつまでも若々しくいたい方
○貧血でお悩みの方

はちみつの研究情報

【1】Ⅰ型糖尿病患者12名を対象に、ブドウ糖、ショ糖、はちみつを摂取させ、血糖値に対する影響を調査した結果、はちみつが血糖値上昇の指標となるGI値やPI値が穏やかであり、糖尿病患者の糖分補給として有益であると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2951092

【2】ヒト皮膚細胞(表皮ケラチノサイト)に、マヌカはちみつを投与したところ、細胞の新陳代謝促進酵素( cyclin-dependent kinase 2, focal adhesion kinase, and rasGAP SH3 binding protein 1)が活性化したことから、マヌカはちみつに新陳代謝促進、創傷再生促進効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22882448

【3】術後創傷治癒障害患者36名に、医療用はちみつを塗布したところ、炎症中の屍臭、傷および肉芽が軽減したことから、医療用はちみつに創傷治療促進効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22903463

【4】はちみつは殺菌作用を持ち、病原性細菌である枯草菌、MRSA、大腸菌、緑膿菌、VREに対する抗菌作用が知られています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20228250

【5】ヒトの白血球細胞(多形核好中球) にはちみつを投与すると、活性酸素が減少しました。また抗菌作用を持つことも知られており、はちみつに抗酸化作用と抗炎症作用や創傷治療促進効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18494436

【6】炎症誘発マウスにおいて、ニュージーランド産はちみつを投与すると、炎症の原因である白血球の遊走作用が抑制され、炎症が緩和されたことから、はちみつに抗炎症作用が確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21978989

【7】上気道感染小児105名を対象に就寝30分前にはちみつを摂取したところ、夜間の咳や睡眠困難の改善が見られたことから、はちみつに咳止め作用と睡眠障害改善効果が期待されています
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18056558

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参考文献

・本多京子 食の医学館 小学館

・原山 建郎 著 久郷 晴彦監修 最新・最強のサプリメント大事典 昭文社

・則岡孝子監修 栄養成分の事典 新星出版社

・吉田企世子 松田早苗 あたらしい栄養学 高橋書店

・Samanta A, Burden AC, Jones GR. 1985 “Plasma glucose responses to glucose, sucrose, and honey in patients with diabetes mellitus: an analysis of glycaemic and peak incremental indices.” Diabet Med. 1985 Sep;2(5):371-3.

・Ranzato E, Martinotti S, Burlando B.2012 “Epithelial mesenchymal transition traits in honey-driven keratinocyte wound healing: Comparison among different honeys” Wound Repair Regen. 2012 Aug 10

・Knipping S, Grünewald B, Hirt R. 2012 “Medical honey in the treatment of wound-healing disorders in the head and neck area.” HNO. 2012 Aug 19.

・Kwakman PH, te Velde AA, de Boer L, Speijer D, Vandenbroucke-Grauls CM, Zaat SA. 2010 “How honey kills bacteria.” FASEB J. 2010 Jul;24(7): 2576-82.

・van den Berg AJ, van den Worm E, van Ufford HC, Halkes SB, Hoekstra MJ, Beukelman CJ. 2008 “An in vitro examination of the antioxidant and anti-inflammatory properties of buckwheat honey.” J Wound Care. 2008 Apr;17(4): 172-4, 176-8.

・Leong AG, Herst PM, Harper JL. 2012 “Indigenous New Zealand honeys exhibit multiple anti-inflammatory activities.” Innate Immun. 2012 Jun;18(3): 459-66.

・Paul IM, Beiler J, McMonagle A, Shaffer ML, Duda L, Berlin CM Jr. 2007 “Effect of honey, dextromethorphan, and no treatment on nocturnal cough and sleep quality for coughing children and their parents.” Arch Pediatr Adolesc Med. 2007 Dec;161(12):1140-6.

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