ブドウ種子

grape seed

ぶどうの種は栄養豊富です。種子からとれる油には必須脂肪酸であるリノール酸やオレイン酸が豊富に含まれており、コレステロール値を下げ生活習慣病を予防・改善する効果や美肌・美白効果があると期待されています。ブドウ種子のエキスには強い抗酸化力を持つプロアントシアニジンも含まれており、老化や疫病の予防にも効果的であるといわれています。

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ブドウ種子とは

●基本情報
ブドウ種子は、普段は捨てられる部分です。ワインをつくる時に取り除かれるぶどうの種子から抽出されたエキスや油が健康成分として利用されています。イタリアをはじめ、フランスやチリ、スペインなど、主にワインの産地で生産されています。ブドウ種子は、ワインをつくるときに得られる副産物なので新たな耕作地や作物も必要ありません。
ブドウ種子油は乾燥させたぶどうの種子を加熱し、圧搾して精製されます。100kgの種子からわずか100mℓのブドウ種子油しか抽出されません。抽出にも時間がかかるため、生産され始めた当時は大変貴重な油であったといわれています。
ブドウ種子油は、ヨーロッパでは古くから料理などに使用されてきました。現在では化粧品にも使われています。
ブドウ種子エキスは、サプリメントなどの原料に使用されています。

●ブドウ種子の歴史
ブドウ種子のもとであるぶどうは、5000年以上前にカスピ海南部で栽培が始まった世界最古の果物であるといわれています。種子からとれる油も古くから存在していたとされていますが、はっきりとは分かっていません。
ブドウ種子油の最初の記録は、1596年に神聖ローマ帝国の皇帝であるマキシミリアン2世がブドウ種子油を大変重要視し、生産事業を独占したという記述です。その後、生産が困難になり一旦は生産されなくなりましたが、世界大戦中の食用油不足によりヨーロッパ内で再度ブドウ種子油の需要が高まりました。
近年では、アメリカの有名なシェフによるブドウ種子油を使用した料理が本で紹介されたことをきっかけに、一般にも知れ渡り、注目を集めました。

●ブドウ種子に含まれる成分と性質
・ブドウ種子油
ブドウ種子油には、必須脂肪酸[※1]であるリノール酸とオレイン酸が豊富に含まれています。
ブドウ種子油に含まれる成分の約60%がリノール酸です。リノール酸とは、体内で合成することができない必須脂肪酸の一種で、悪玉(LDL)コレステロールを下げる働きや肌の保水力を高める働きがあるといわれています。
他にも、ブドウ種子油は抗酸化力を持つオレイン酸を多く含みます。オレイン酸には、血液中の悪玉(LDL)コレステロールを減らす働きを持つことから、動脈硬化や心疾患、高血圧などの生活習慣病を予防する働きがあるといわれています。

また、ブドウ種子油には若返りのビタミンと呼ばれるビタミンEの含有量がオリーブ油の2倍以上と多いため、老化や疾病を予防する働きがあるといわれます。他にも、ビタミンEには末梢神経を広げる働きもあり、血流が良くなることで体の冷えが緩和されたり、脳下垂体と副腎の働きを正常に保つことでホルモン分泌を調整し、生殖機能の健康を守る効果が期待されています。ビタミンE が不足すると、月経不順を起こしやすくなるといわれており、ビタミンEは女性には欠かせないビタミンです。

・ブドウ種子エキス
ブドウ種子には、ポリフェノールの一種で強い抗酸化力[※2]を持つプロアントシアニジンが含まれています。プロアントシアニジンの抗酸化力はビタミンEの5倍もあるといわれており、血管内の悪玉(LDL)コレステロールの酸化を防ぐ効果が高く、高脂血症[※3]や動脈硬化の予防につながることが確認されています。
他にも、視力や網膜を保護する効果、関節炎などの症状を緩和する抗炎症作用などがあるとされており、アメリカなどでは白内障や胃潰瘍(いかいよう)などを予防するための食品に使われたり、さらには代替医療(だいたいいりょう)[※4]にも採用されています。
ブドウ種子には酸化されやすい不飽和脂肪酸であるリノール酸が豊富に含まれますが、一緒に含まれているプロアントシアニジンの抗酸化力によってブドウ種子の油分は酸化から守られているといわれています。

さらに、プロアントシアニジンンにはシミ・そばかすの原因となるメラニンの生成を抑えるため、美白効果があると確認されています。ブドウ種子エキスを直接肌に塗ることで、肌の透明感を高める効果が期待されています。また、プロアントシアニジンには、コラゲナーゼ[※5]やエラスターゼ[※6]といった酵素の活性を抑制する働きがあるといわれています。これらの酵素は、美肌成分であるコラーゲンエラスチンを分解する働きを持っています。プロアントシアニジンは、これらの酵素の活性を抑制するため、肌にハリや弾力、潤いをもたらす効果があるといわれています。

●ブドウ種子油に含まれるリノール酸の過剰摂取
リノール酸には、コレステロール値や血圧を下げる効果があるとされ、動脈硬化や心疾患などの生活習慣病の予防を目的に摂取されてきましたが、近年、リノール酸の過剰摂取によって疾病に対する免疫力が弱まるなどの弊害が起こることがわかってきました。リノール酸には、コレステロールを減らす働きがありますが、摂り過ぎると血中のコレステロールを回収する善玉(HDL)コレステロールまでも減らしてしまうため、過剰摂取には注意が必要とされています。

[※1:必須脂肪酸とは、体内で他の脂肪酸から合成できないために食品から摂取する必要がある脂肪酸のことをいいます。]
[※2:抗酸化力とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ力です。]
[※3:高脂血症とは、血液中に溶けているコレステロールや中性脂肪値が必要量よりも異常に多い状態のことです。コレステロールは過剰になると体に障害をもたらします。糖尿病と同様に自覚症状に乏しく、動脈硬化によって重篤な病気を引き起こすのが特徴です。]
[※4:代替医療とは、鍼灸、健康食品、アロマテラピーなど通常の病院で行われない医学、医療のことです。代替医療の範囲は広く、世界の伝統医学・民間療法はもちろん、保険適用外の新治療法なども含まれています。]
[※5:コラゲナーゼとは、コラーゲンを分解する酵素です。]
[※6:エラスターゼとは、エラスチンを分解する酵素です。]

ブドウ種子の効果

ブドウ種子には、リノール酸やオレイン酸、プロアントシアニジン、ビタミンEなどがバランスよく含まれ、以下のような健康に対する効果が期待できます。

●生活習慣病の予防・改善効果
ブドウ種子油に含まれるリノール酸やオレイン酸には、悪玉(LDL)コレステロールを減らす働きがあるといわれています。
乳製品などの動物性脂肪を含む食品には、飽和脂肪酸やコレステロールが多く含まれています。こうした食品を摂りすぎると、血中の悪玉(LDL)コレステロールが増え、酸化したコレステロールが血管内壁に付着して血管を塞ぎ、動脈硬化や高血圧、糖尿病などの生活習慣病を引き起こしてしまいます。
また、オレイン酸には血管内の過剰なコレステロールを回収する役割を持つ善玉(HDL)コレステロールを増やす働きがあることも確認されています。
さらに、ブドウ種子に含まれるプロアントシアニジンにも、毛細血管を強くし、血流を改善する働きがあるといわれ、ブドウ種子には生活習慣病の予防・改善に効果があると期待されています。【3】【6】【7】【8】

●老化や疾病から体を守る効果
ブドウ種子には、強い抗酸化力を持つプロアントシアニジンやビタミンEが含まれています。
紫外線やストレスなどにより人間の体内で余剰に発生した活性酸素[※7]は、体をつくっている細胞や組織を酸化、つまりサビつかせてしまいます。その結果、体内の機能低下につながり、老化や疾病の原因になります。プロアントシアニジンやビタミンEは強い抗酸化力で酸化を防ぐことができるので、それらを含むブドウ種子は老化や疾病の予防に役立つと期待されています。【5】

●美肌効果
ブドウ種子油には、肌の保水力を高め角質を健やかに保つリノール酸や肌への栄養分の浸透力を高めるオレイン酸が多く含まれているため、直接肌に塗ることによって保湿効果が得られるといわれています。ブドウ種子油は、アレルギー反応を起こす原因物質であるアレルゲンを含まないため、肌に負担がかかりません。敏感肌でも使いやすいさらっとした使用感の油であることからも化粧品によく利用されています。
さらに、抗酸化力の強いビタミンEも豊富に含まれているため、皮膚細胞の酸化を抑制し肌の老化を防止する効果が期待されています。【2】

●美白効果
ブドウ種子に含まれるプロアントシアニジンには、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑える働きがあるため、美白効果があるといわれます。ブドウ種子油は肌のシミやそばかす、色素沈着などの予防に働きかけると期待されています。【1】【4】

[※7:活性酸素とは、普通の酸素に比べ著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。体内で過剰に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]

ブドウ種子はこんな方におすすめ

○生活習慣病を予防したい方
○コレステロール値が気になる方
○老化を予防したい方
○美肌を目指したい方
○シミ・そばかすが気になる方

ブドウ種子の研究情報

【1】日本人女性12名を対象に、プロアントシアニジン豊富なブドウ種子抽出物を5ヶ月間摂取させたところ、肝斑の指数やメラニン指数が減少したことから、ブドウ種子がメラニン産生抑制作用と美白作用を持つことが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15597304

【2】繊維芽細胞にブドウ種子抽出物を投与すると、傷の修復因子プラスミノーゲン阻害物質に対してはたらきかけることで、創傷や細胞修復を早めるはたらきが確認されました。ブドウ種子が創傷や細胞修復促進効果を持つことが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19640694

【3】高脂肪食摂取ウサギにおいて、ブドウ種子抽出物を0.1% 含んだ餌を摂取させたところ、大動脈における動脈硬化が抑制されたことから、ブドウ種子が動脈硬化予防効果を持つことが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9920515

【4】体毛をもたないモルモットにおいて、ブドウ種子抽出物を1% 含有している餌を8週間摂取させたところ、紫外線照射に伴うメラニン産生酵素チロシナーゼの活性が抑制され、メラニン産生が減少しました。ブドウ種子がメラニン産生抑制ならびに美白効果を持つことが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14629720

【5】紫外線暴露マウスにおいて、ブドウ種子を0.5%, 1.0% 含有する餌を摂取させたところ、紫外線暴露による皮膚ならびにリンパ節の免疫抑制物質IL-10の産生が抑制され、免疫促進物質IL-12 の産生が増加しました。ブドウ種子が免疫力向上効果を持つことが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15987716

【6】Ⅱ型糖尿病患者322名を対象に、ブドウ種子抽出物を1日あたり600mg の量で4週間摂取させたところ、抗酸化酵素GSH の低下や炎症関連蛋白CRP の増加が抑制されました。ブドウ種子が抗糖尿病効果や抗炎症作用、心臓血管保護作用を有することが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19646193

【7】ブドウ種子抽出物には機能性成分であるプロアントシアニジンB2 が含まれており、年齢に伴う最終糖化産物(AGE) による、血管平滑筋細胞の増加を抑制することが知られていま。ブドウ種子が糖尿病合併症予防効果や動脈硬化予防効果を持つことが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21897042

【8】高血圧患者を対象に、1日300mg のブドウ種子抽出物を4週間摂取させたところ、収縮期、拡張期血圧が低下したことから、ブドウ種子が高血圧予防に役立つと考えられています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19608210

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参考文献

・中村丁次監修 最新版からだに効く栄養成分バイブル 主婦と生活社

・NPO日本サプリメント協会 サプリメント健康バイブル 小学館

・山田豊文 青木敦子 登石麻恭子監修 植物油の事典 毎日コミュニケーションズ

・本多京子 食の医学館 小学館

・Yamakoshi J, Sano A, Tokutake S, Saito M, Kikuchi M, Kubota Y, Kawachi Y, Otsuka F. 2004 “Oral intake of proanthocyanidin-rich extract from grape seeds improves chloasma.” Phytother Res. 2004 Nov;18(11):895-9.

・Sandra D, Radha M, Harishkumar M, Yuichi N, Sayuri O, Masugi M. 2010 “Downregulation of urokinase-type plasminogen activator and plasminogen activator inhibitor-1 by grape seed proanthocyanidin extract.” Phytomedicine. 2010 Jan;17(1):42-6.

・Yamakoshi J, Kataoka S, Koga T, Ariga T. 1999 “Proanthocyanidin-rich extract from grape seeds attenuates the development of aortic atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits.” Atherosclerosis. 1999 Jan;142(1):139-49.

・Yamakoshi J, Otsuka F, Sano A, Tokutake S, Saito M, Kikuchi M, Kubota Y. 2003 “Lightening effect on ultraviolet-induced pigmentation of guinea pig skin by oral administration of a proanthocyanidin-rich extract from grape seeds.” Pigment Cell Res. 2003 Dec;16(6):629-38.

・Sharma SD, Katiyar SK. 2006 “Dietary grape-seed proanthocyanidin inhibition of ultraviolet B-induced immune suppression is associated with induction of IL-12.” Carcinogenesis. 2006 Jan;27(1):95-102.

・Kar P, Laight D, Rooprai HK, Shaw KM, Cummings M. 2009 “Effects of grape seed extract in Type 2 diabetic subjects at high cardiovascular risk: a double blind randomized placebo controlled trial examining metabolic markers, vascular tone, inflammation, oxidative stress and insulin sensitivity.” Diabet Med. 2009 May;26(5):526-31.

・Cai Q, Li BY, Gao HQ, Zhang JH, Wang JF, Yu F, Yin M, Zhang Z. 2011 “Grape seed procyanidin b2 inhibits human aortic smooth muscle cell proliferation and migration induced by advanced glycation end products.” Biosci Biotechnol Biochem. 2011;75(9):1692-7.

・Sivaprakasapillai B, Edirisinghe I, Randolph J, Steinberg F, Kappagoda T 2009 “Effect of grape seed extract on blood pressure in subjects with the metabolic syndrome.” Metabolism. 2009 Dec;58(12):1743-6.

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