ギンコライド

ginkgolide

ギンコライドとは、イチョウ葉エキス特有の香り成分です。
ドイツやフランスなどのヨーロッパでは医薬品として扱われています。
強力な抗酸化作用を持ち、血流の改善や認知症の予防、アレルギー症状を緩和する効果があります。

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ギンコライドとは?

●基本情報
ギンコライドとは、イチョウ葉エキスに含まれる香り成分でファイトケミカルの一種です。
ファイトケミカルとは、植物が紫外線や有害物質、害虫や外敵などから自身を守るためにつくりだす物質の総称です。
ギンコライドの名称は、イチョウの英語名である「ギンコ(Ginkgo)」に由来しています。
ギンコライドを含むイチョウ葉エキスは、イチョウから抽出されたエキスのことで、フラボノイドカテキンなど、20種類以上の有効成分を含んでいます。非常に強い抗酸化力[※1]を持ち、体内に取り入れることで、活性酸素[※2]を除去するのに役立ちます。

●ギンコライドの歴史
ギンコライドはイチョウ葉エキス特有の成分です。
イチョウ葉エキスの原材料であるイチョウは、今から約2億5千万年前から存在していたといわれる植物です。恐竜の生息していたジュラ紀に最も栄えていたといわれ、千年以上の樹齢を持つ生命力の強い長寿木です。
また、イチョウは植物として非常に特殊であり、現在、地球上にイチョウと似た植物は存在していません。その特徴的な性質と奇跡的に生き残った太古の植物として昔から注目を集めており、ギンコライドは唯一イチョウの葉に含まれていることから、健康に対する効果が期待され、研究が進められてきた成分であるといえます。

●ギンコライドの働き
ギンコライドの最も特徴的な働きは、強力な抗酸化作用です。
紫外線やストレスなどで体内に過剰に活性酸素が発生すると、体内の脂質やたんぱく質、細胞、DNAなどを攻撃し、老化や生活習慣病につながる恐れがあると考えられています。
ギンコライドは、その強力な抗酸化力により、活性酸素を除去する力に優れています。
また、ギンコライドの持つ抗酸化作用は主に脳に作用し、脳細胞を活性酸素から守る働きが期待されています。
ギンコライドには、PAFという物質の作用を抑制する働きもあります。
PAFとは、血小板[※3]活性化因子とも呼ばれる物質で、炎症などの刺激によって体内で分泌され、血小板を凝集する作用を持つため、傷口を止血するなど、極めて重要な役割を果たす物質です。
しかし、PAFが体内で過剰に分泌されると、血小板の凝集が過剰に行われてしまうため、血栓[※4]をつくり出し、血行不良の原因になるとされています。
ギンコライドはPAFの作用を抑えることで、血流に対する働きかけや、アレルギーなどの改善に役立つといわれています。
それ以外にも、女性ホルモンの分泌を促す作用があるといわれており、認知症の予防や、女性特有の悩みなどに効果が期待されています。

[※1:抗酸化力とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ作用です。]
[※2:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。体内で過剰に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]
[※3:血小板とは、血液に含まれる細胞の一種です。血管が傷ついた時に集合体になり、止血する役割を持ちます。]
[※4:血栓とは、血液中の血小板などが固まってできる塊のことです。動脈硬化や脳梗塞の原因にも成り得るといわれています。]

ギンコライドの効果

●血流を改善する効果
ギンコライドの働きには、血流を改善する効果があります。
この効果はギンコライドが持つ抗酸化作用とPAFを抑制する作用が掛け合わさって発揮されると考えられています。
ギンコライドが持つ抗酸化作用によって除去される活性酸素には、悪玉(LDL)コレステロールを生成する作用があるといわれています。
悪玉(LDL)コレステロールは、血管の内壁に付着し、血行を悪くする原因となる物質です。
ギンコライドは活性酸素を除去する働きがあるため、血中の悪玉(LDL)コレステロールを減少させる効果があるといえます。
また、過剰に分泌されたPAFは血栓をつくり出す原因となり、血流を悪くするといわれているため、ギンコライドの持つPAFを抑制する作用も、血流改善に効果的です。
ギンコライドがPAFの作用を抑制することによって、血栓の生成が妨げられ、血液のスムーズな流れを促進するのです。
ギンコライドは、この2つの働きが相互的に作用するため、血流を改善する効果があるといえます。【8】【9】

●動脈硬化を予防する効果
ギンコライドの血流を改善する効果は、動脈硬化の発症を予防することにつながっています。
動脈硬化とは、本来は弾力性のある動脈の内壁に血栓などが付着することで、動脈壁が厚く、硬くなる症状です。
動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞、高血圧や腎機能障害などにつながり、病気が進行すると命に関わる危険性も示唆されています。
ギンコライドには、PAFの作用を阻害する働きがあるため、血栓の生成を抑制し、動脈硬化を予防する効果が期待されています。【8】

●冷え性を改善する効果
ギンコライドは、末梢血管における血行障害であるといわれている、冷え性の改善に効果的です。
冷え性には様々な原因があり、偏った食生活やエアコン等の機器による自律神経の機能不良、運動不足による筋力の低下などが挙げられます。
冷え性になると、手足が冷えるという症状以外にも、頭痛や肩こりが酷くなる、風邪を引きやすくなる、腹痛や下痢が多くなる、肌荒れが酷くなるなど様々な弊害的な症状が生じます。
ギンコライドには血流を改善する作用があるため、冷え性の根本的な原因である血行不良を解消し、症状を緩和する効果があるといえます。
また、ギンコライドが持つ、女性ホルモンの分泌を促す作用も冷え性の改善に効果的です。
これは、冷え性の原因のひとつでもある自律神経の乱れが、女性ホルモンのバランスと密接に関係しているためです。
ギンコライドを摂取することで女性ホルモンのバランスを良好に保ち、自律神経の機能を正常化し、冷え性の改善に効果を発揮するのです。

<豆知識>冷え性が女性に多い理由
冷え性は男性にも起こる症状ですが、比較的女性に多い傾向にあり、その原因は大きく3つに分けられます。
①女性ホルモンとの関係
冷え性の要因のひとつでもある自律神経の機能低下は、女性ホルモンのバランスが深く関与しています。特に、妊娠時や更年期といった女性ホルモンのバランスが乱れやすい時期には、冷え性になりやすいといわれています。
②衣服の関係
男性に比べ、女性は身体にぴったりとした服を着る傾向にあります。
このような衣服は体を締め付ける場合があり、血液の流れを悪くする作用があるといわれています。
また、ミニスカートなどの薄着によっても冷え性になりやすい場合もあるため、特に夏場は注意が必要です。
③ダイエットの関係
男性に比べ、女性は無理な食事制限などによるダイエットを行う人が多い傾向にあります。
ダイエットによる栄養不足は貧血や低血圧を招き、血液そのものの不足につながるため、肩こりの原因になりやすいといわれています。

●肩こりをやわらげる効果
ギンコライドには、肩こりの症状を軽減する効果があるといわれています。
肩こりは、首や肩周りの筋肉がこり固まった状態を指し、主な原因は生活習慣の乱れや運動不足が挙げられますが、病気の兆候である場合もあるため、注意が必要です。
長時間のデスクワークや長距離の運転などに起因して、同じ筋肉を使い続けた結果、血行が悪くなることで筋肉が疲労を蓄積しやすくなります。
ギンコライドは、血行不良を改善することで筋肉の疲労を軽減し、肩こりを改善に導くことができます。

●認知症を予防する効果
ギンコライドには、認知症を予防する効果があります。
認知症とは、脳の障害によって知的能力が著しく低下する症状の総称で、原因は諸説ありますが、詳しいことは未だ明確になっていません。
ギンコライドが持つ強力な抗酸化作用は、主に脳細胞に作用するといわれており、活性酸素によって生じ得る脳の障害を予防することができます。
また、ギンコライドには血流を改善する効果もあるため、認知症の原因のひとつでもある脳梗塞を予防することにもつながります。
ギンコライドの働きは、脳の細胞や末梢血管に対して働きかけ、認知症の発症を予防する効果があると考えられています。【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】

●アレルギー症状や炎症を緩和する効果
ギンコライドが持つPAFを阻害する働きは、アレルギー症状や炎症をやわらげることができると考えられています。
PAFには、血小板を凝集する働き以外にも、アレルギー反応に対する作用が知られており、本来は人間の体に必要な物質ですが、過剰に分泌されたPAFは、急性の炎症が生じる原因にもなります。
PAFは、人間の免疫細胞にある受容体と合体し、アレルギーなどによる炎症を引き起こします。
受容体とは、神経伝達物質[※5]やウイルスなどと合体して作用する物質で、レセプターと呼ばれる場合もあります。
ギンコライドは、PAFより先に受容体と合体することができるため、PAFと受容体との合体を阻止することから、アレルギー反応による炎症を抑えることができると考えられています。
ギンコライドが持つこのような働きは、花粉症などに関する治療薬と同じであり、体内で起きる様々な免疫作用の調整に役立つことが分かっています。
また、炎症を抑制するギンコライドの働きは、臓器移植による拒絶反応を消去する効果にもつながる可能性が示唆されており、世界中でギンコライドの研究が進められています。

●緑内障を予防する効果
緑内障は視野欠損と血流の悪化が病気の特徴といわれますが、ギンコライドが豊富なイチョウ葉エキスを摂取することにより、視野欠損の予防と血流改善が認められたという研究報告もあります。
これらの結果より、ギンコライドを含むイチョウ葉には緑内障予防が期待されています。【10】【11】【12】

[※5:神経伝達物質とは、神経細胞の興奮や抑制を他の神経細胞に伝達する物質のことです。]

ギンコライドはこんな方におすすめ

○血流を改善したい方
○冷え症でお悩みの方
○動脈硬化を予防したい方
○認知症を予防したい方
○アレルギー症状や炎症を緩和したい方

ギンコライドの研究情報

【1】アルツハイマー病患者202名において、ギンコライドを含むイチョウ葉エキスを1日120mg 、52週間摂取させたところ、認知力スコアや日常生活や社会活動スコアが、投与26週以降に改善が見られました。この結果より、イチョウ葉には認知症改善作用があることが示唆されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9343463

【2】アルツハイマー病患者および多発性脳梗塞性認知症の患者156名において、ギンコライドを含むイチョウ葉エキスを1日240mg 、24週間摂取させたところ、認知症治療に対する有効性が確認されました。これらの結果より、イチョウ葉に認知症予防とアルツハイマー病予防効果が示されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8741021

【3】ギンコライドを含むイチョウ葉エキスを使用した認知症予防効果の研究論文(4件、212名)を調査したところ、イチョウ葉を1日あたり120~240mg の量で3~6ヶ月間摂取させることにより、軽度のアルツハイマー病や認知症の予防に役立つことが確認されました。これらの結果より、イチョウ葉には認知症予防が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9823823

【4】軽度~中程度の記憶障害のある患者27名において、ギンコライドを含むイチョウ葉エキスを1日あたり120mg 、6ヶ月間摂取させたところ、認識力スコアが12週後、24週後には改善が見られ、さらに24週後には識別作業などの動作にも改善が見られました。これらの結果より、イチョウ葉は記憶力改善に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2044394

【5】健常男女20名に、ギンコライドを含むイチョウ葉エキスを120, 240, 360mg 摂取させると、記憶力に改善が見られました。特に摂取2時間半~6時間後までは、摂取量に比例して、記憶力改善が見られたことから、イチョウ葉は健康な方の記憶力改善にも役立つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11026748

【6】健常男女31名において、ギンコライドを含むイチョウ葉エキスを1日150, 300, 120, 240mg を2日間摂取させたところ、記憶力や作業記憶力に改善が見られ、50-59歳で特に改善が見られました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10441781

【7】健常女性8名において、ギンコライドを含むイチョウ葉エキスを1日120, 240, 600mg 、1日で摂取させたところ、摂取1時間後には記憶力において、改善が見られました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6469442

【8】ギンコライドを含むイチョウ葉エキスの有効成分テルペンラクトンは、血小板凝固に関わるPAF の働きを抑制することで、血小板凝集を抑制し、血流改善と血管障害予防が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1647474

【9】ギンコライドを含むイチョウ葉エキスの有効成分テルペンラクトンには、血小板活性因子(PAF)の活性化を抑制し、血液凝固成分トロンボキサンA2 のはたらきを抑制することで、血小板の凝集を抑制するはたらきを持っています。この働きにより、イチョウ葉エキスは血流改善効果を持つことが知られています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9253682

【10】正常眼圧緑内障患者332名において、ビルベリーエキス(132名) またはギンコライドを含むイチョウ葉エキス(103名) を24ヶ月間摂取させると、ビルベリーエキスを摂取した患者では視力と視野で、イチョウ葉エキスでは視野の改善が見られました。この結果より、イチョウ葉には緑内障予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18214851

【11】正常眼圧緑内障患者42名において、ギンコライドを含むイチョウ葉エキス(1日あたり280mg) を12年にわたり摂取させたところ、緑内障による視野損傷を抑制することが確認されました。この結果より、ギンコライドを含むイチョウ葉エキスは緑内障予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22595937

【12】健常男女11名において、ギンコライドを含むイチョウ葉エキスを1日40mg 、2日間摂取させたところ、目の血流増加と血管拡張作用が見られました。ギンコライドを含むイチョウ葉エキスは目の血流を増加させることで、緑内障などの眼疾患の予防に役立つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10385132

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参考文献

・中村丁次監修 最新版からだに効く栄養成分バイブル 主婦と生活社

・清水俊雄 機能性食品素材便覧 特定保健用食品からサプリメント・健康食品まで 薬事日報社

・杉山隆 成人病・ボケは「イチョウ葉エキス」で克服できる 現代書林

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・Kanowski S, Herrmann WM, Stephan K, Wierich W, Hörr R. 1996 “Proof of efficacy of the ginkgo biloba special extract EGb 761 in outpatients suffering from mild to moderate primary degenerative dementia of the Alzheimer type or multi-infarct dementia.” Pharmacopsychiatry. 1996 Mar;29(2):47-56.

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・Kennedy DO, Scholey AB, Wesnes KA. 2000 “The dose-dependent cognitive effects of acute administration of Ginkgo biloba to healthy young volunteers.” Psychopharmacology (Berl). 2000 Sep;151(4):416-23.

・Rigney U, Kimber S, Hindmarch I. 1999 “The effects of acute doses of standardized Ginkgo biloba extract on memory and psychomotor performance in volunteers.” Phytother Res. 1999 Aug;13(5):408-15.

・Subhan Z, Hindmarch I. 1984 “The psychopharmacological effects of Ginkgo biloba extract in normal healthy volunteers.” Int J Clin Pharmacol Res. 1984;4(2):89-93.

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・Stücker O, Pons C, Duverger JP, Drieu K, D’Arbigny P. 1997 “Effect of Ginkgo biloba extract (EGb 761) on the vasospastic response of mouse cutaneous arterioles to platelet activation.” Int J Microcirc Clin Exp. 1997 Mar-Apr;17(2):61-6.

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