アイブライト

eyebright
セイヨウコゴメグサ  ヤクヨウコゴメグサ
Euphrasia officinalis

アイブライトとは、ゴマノハグサ科の一年草で、古くから目の健康に役立つハーブとして親しまれてきました。ハーブティーとして飲むことが一般的で、充血や粘膜の炎症を改善し、疲れ目やアレルギーによる目のかゆみ、花粉症などに効果的です。

LINEスタンププレゼント!お友達登録はこちら。配信期間2025/01/23

アイブライトとは

●基本情報
アイブライトは、ゴマノハグサ科の一年草で、ハーブの一種です。古くから目に良い植物とされており、「輝く目」を意味してアイブライトと名づけられました。
和名を「セイヨウコゴメグサ」、または「ヤクヨウコゴメグサ」といい、学名を「Euphrasia officinalis」といいます。学名はギリシャ神話でアフロディテに仕える3人のカリス[※1]の一人、エウプロシュネ(喜び)にちなんでいます。和名の「コゴメグサ」は、米粒ほどの小さな花という意味に由来しています。
アイブライトは綿毛に覆われた半寄生植物[※2]で、やせた牧草地や荒地でイネやスゲ[※3]、カヤツリグサ科の植物の根に依存して成長します。20cmくらいの小さな植物で、鮮やかな緑色をした楕円形の葉の周囲には、歯状突起があり、盛夏から晩夏にかけて白あるいは黄味がかった薄紫色の花を咲かせます。
原産地はヨーロッパで、アジア西部や北アメリカでも見ることができます。

●アイブライトの歴史
アイブライトは、ギリシャの学者・テオフラストスが眼感染症の外用の浸剤として処方していたとの記録が残されています。
その後、博物学者であり医師でもあるヒルデガルドの紹介により、広く知られるようになりました、アイブライトの花の紫と黄色の斑点及び縞は、充血した目の外観と大変よく似ていることから「特徴説」を通じて信用を獲得したといわれています。
フランスではCasse Lunette「めがねの壊し屋」ともいわれ、14世紀の医学書にはすべての眼病に効果があると記されており、目のあらゆる疾病に有効なハーブとして認識され、結膜炎や眼瞼炎、麦粒腫の外用治療薬として利用されていました。
ロシアの民間療法でも疲れ目の治療薬として使われていました。
また、イギリスのエリザベス女王は薬用タバコの成分としてアイブライトを取り入れていたといわれています。

●アイブライトに含まれる成分と性質
アイブライトには、アウクビンなどのイリドイド配糖体[※4]と、ケルセチンやアピゲニン、タンニンなどのフラボノイド類の成分が含まれます。
アウクビンとは、炎症を抑える作用があるといわれており、結膜炎などの眼疾患を予防する効果を持ちます。
ケルセチンとは、タマネギのほか柑橘類に多く含まれる栄養素で、ビタミンPとも呼ばれているポリフェノールです。発見当初、人間の生命活動に必須の栄養素であると考えられていたため、ビタミン類の一種として「ビタミンP」と名付けられましたが、厳密にはビタミンではないことが明らかとなり、現在、ケルセチンはビタミン様物質として扱われています。
ケルセチンの他にも、ヘスペリジンやルチンなどもビタミンPに分類されます。
ケルセチンは、毛細血管を強化し、血流を改善する効果を持つほか、抗炎症作用を持つといわれており、アピゲニンとともに強力な抗酸化力を持っています。

●アイブライトの利用法
カップに小さじ1杯ほどのアイブライトとお湯を入れ、10分ほど抽出して飲むハーブティーとしての利用が一般的です。さわやかでクセのない風味のアイブライトティーは風邪やアレルギーによる目のかゆみ、鼻水などの症状を緩和する効果があるといわれており、とくに花粉症の方におすすめです。ハイビスカスやレモングラスなどとブレンドして飲むことで、さらにさわやかな飲み心地になります。
また、目にかゆみがあるときには、アイブライトを使用した洗浄液で目を洗うことで症状がおさまるといわれており、古くは外用でも用いられていました。
それ以外にもアイブライトの浸出液をコットンやガーゼに含ませて、閉じた目の上に湿布のように張り付けたり、刻んだ葉をハーブタバコとして用いたりと多種多様な利用法があります。

[※1:カリスとは、ギリシャ神話に登場する美と優雅を司る女神のことです。]
[※2:寄生植物とは、他の植物に寄生し栄養分を吸収して生育する植物のことです。その中でも葉緑素を持ち、自ら光合成を行うものを半寄生植物といいます。]
[※3:スゲとは、カヤツリグサ科スゲ属の植物の総称です。]
[※4:イリドイド配糖体とは、植物内では糖と結びついた形で存在する栄養素のことです。]

アイブライトの効果

●眼精疲労を改善する効果
アイブライトには眼精疲労を改善する効果があります。
アイブライトには収れん作用があり、パソコンなどによる疲れ目を防ぎ、目の充血を改善させる働きを持っています。また、直接疲れ目に働きかけるだけでなく、肝臓を保護することで目の疲れを改善する効果があると考えられています。
古くから肝臓と目は密接な関係にあるといわれており、肝臓の機能が回復することで、目の機能も回復するといわれています。
中国では、「肝は目を穿(うが)つ」という言葉があり、中国医学の古典「傷寒論」や「素問」、「霊枢」などには「肝気は目に通ず、肝和すればすなわち、目は能く五色を分かつなり」(肝は目を通して外界と交流し、ものを見る目の機能に反映される。肝の働きが衰えると目が疲れやすくなり、逆に目を酷使すると肝の機能を損なうこともある)という記述があるほど、経験的に肝臓と目の関係性が知られていました。漢方で目の治療を行う際に、目そのものではなく肝臓の機能を強化する処方を用いるのは、このことからであるといわれています。
肝機能が活性化することで、解毒作用が活発になり、虚弱体質が改善され、目の機能にも影響を及ぼすことから、アイブライトは、肝臓の働きを改善することでも目の疲れを改善すると考えられています。【1】【2】

●アレルギー症状を緩和する効果アイブライトに含まれるケルセチンはビタミンPの一種で、ヒスタミンを抑制することで抗炎症作用を示す成分です。ヒスタミンとは、細胞内で合成される、かゆみや痛みの原因となる化学物質のことです。外部からの刺激によって放出されることで、アレルギーの原因物質となります。
アイブライトに含まれるケルセチンは、ヒスタミンの放出を抑制する働きを持っています。アイブライトにはアレルギーを抑制し、症状を緩和する効果があるといえます。【3】

●糖尿病を予防する効果
糖尿病ラットにアイブライト葉部抽出物を投与すると、血糖値上昇が抑制されたという報告もあることから、アイブライトが糖尿病を予防する効果があるといえます。【4】

アイブライトの研究情報

【1】炎症性結膜炎患者またはカタル性結膜炎患者65名を対象に、アイブライト点眼液を14日間にわたり1日1~5滴点眼したところ、53名が完治し11例に改善が見られたことから、アイブライトの結膜炎予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11152054

【2】カナダ西部ブリティッシュコロンビア州における128種類の薬草を調査したところ、化膿予防、関節炎予防、糖尿病予防にハーブを用いている中、眼疾患予防のためにアイブライトが使用されています。アイブライトが眼疾患予防として期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17324258

【3】アイブライトには、アウクビン、カフィー酸、フェルラ酸、スティグマステロール、βーシトステロール をはじめとする機能性成分が含まれており、目をはじめとする健康機能が高く注目されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4738767

【4】糖尿病ラットを対象に、アイブライト葉部抽出物を投与したところ、血糖値の上昇が緩和されました。一方正常ラットにおいては、血糖値降下作用や低血糖作用は生じなかったことから、アイブライトには糖尿病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11449500

もっと見る 閉じる

参考文献

・板倉弘重 監修 からだに効くハーブティー図鑑 主婦の友社

・佐々木薫 著 ハーブティー事典 池田書店

・ヴィクトリア・ザック 著 ハーブティーバイブル 東京堂出版

・リエコ・大島バークレー 英国流メディカルハーブ 説話社

・アースプランツリサーチオーガニゼーション監修 HERB BIBLE 双葉社

・Stoss M, Michels C, Peter E, Beutke R, Gorter RW. 2000 ” Prospective cohort trial of Euphrasia single-dose eye drops in conjunctivitis.” J Altern Complement Med. 2000 Dec;6(6):499-508.

・Lans C, Turner N, Khan T, Brauer G, Boepple W. 2007 ” Ethnoveterinary medicines used for ruminants in British Columbia, Canada.” J Ethnobiol Ethnomed. 2007 Feb 26;3:11.

・Harkiss KJ, Timmins P. 1973 ” Studies in the Scrophulariaceae. 8. Phytochemical investigation of Euphrasia officinalis.” Planta Med. 1973 Jun;23(4):342-7.

・Porchezhian E, Ansari SH, Shreedharan NK. 2000 ” Antihyperglycemic activity of Euphrasia officinale leaves.” Fitoterapia. 2000 Sep;71(5):522-6.

もっと見る 閉じる

ページの先頭へ