クレアチン

creatine

クレアチンは、エネルギーの産生に関わるアミノ酸の一種です。筋力や身体機能を向上させる効果があるといわれており、スポーツ向けのサプリメントなどの素材として利用されています。

LINEスタンププレゼント!お友達登録はこちら。配信期間2025/01/23

クレアチンとは

●クレアチンとは
クレアチンとは、アミノ酸の一種で、体内で合成することができる成分です。
大部分がクレアチンリン酸として筋肉に存在しており、筋肉が収縮する際のエネルギーであるATP[※1]の再合成に利用されます。
クレアチンはアルギニン、グリシン、メチオニンといったアミノ酸から、主に肝臓や腎臓で合成されます。ここで合成されたクレアチンは血液によって体の様々な組織に運ばれますが、クレアチンの約95%は骨格筋に存在するといわれています。
しかし、体内で合成されるクレアチンは1日に必要な量の半分程度にすぎず、体内に蓄えられる量には限界があるため、不足している分は食べ物から補う必要があります。
また、クレアチンは年齢とともに合成速度が低下するといわれており、筋肉量、筋力、運動能力の低下にも影響を及ぼします。

●クレアチンの歴史
1832年、フランスの化学者シュヴルールが食肉からクレアチンを発見しました。クレアチンという成分名は、ギリシャ語で肉を意味する「クレアス」にちなんで名付けられました。
1990年代初期には、クレアチンを摂取することによって、運動能力が向上する可能性があると考えられるようになりました。
このようなクレアチンの効能を利用して、1996年のアトランタオリンピックに出場していた選手のち、約8割がクレアチンを用いていたことが報告されるなど、アスリートを中心にクレアチンがスポーツ栄養剤として利用されています。

●クレアチンの働き
運動を行う際には、ATPが分解される際に発生するエネルギーが使われます。しかし、体内のATPの量には限界があるため、運動し続けるためにはATPの再合成が必要となります。
クレアチンは、ATPの再合成に関わる成分であるため、利用できるエネルギーの量を増加させる働きがあるといわれています。

●クレアチンを多く含む食材
クレアチンは、主に肉や魚などに多く含まれています。
ただし、肉や魚を調理するとクレアチンの量は減少するため、生肉や生魚の方がクレアチンを多く含むといわれています。

●クレアチンの欠乏症
クレアチンはATPの再生に利用され、ATPは筋肉や脳細胞のエネルギー源となります。成長期など、エネルギーが多く必要とされる際にクレアチンの合成能力が低下すると、身体的・精神的な発達不全の原因となることがあります。

<豆知識>クレアチンとスポーツ選手
クレアチンは、多くのスポーツ選手やオリンピックのメダリスト選手たちが運動能力を高めるために用いられてきた歴史があります。
アメリカ・ケンブリッジ大学のボート競技チームは、試合前の3ヵ月間、トレーニング中にクレアチンを用いており、強豪チームであるオックスフォード大学を打ち破ったというエピソードがあります。
また、アメリカ大リーグで活躍していたマーク・マグワイア選手も、1998年のシーズン中にクレアチンを使用し、ホームラン記録を更新するといった結果を残しています。この出来事によって、クレアチンは人気の高いスポーツ栄養剤としてその名が知られるようになりました。

[※1:ATPとは、細胞の中に存在し、生命活動で利用されるエネルギーを保存・利用する上で必要な物質です。]

クレアチンの効果

●持久力を高める効果
クレアチンがエネルギーの産生を促進することによって、運動時などの持久力や筋力を高める効果があるといわれています。
クレアチンのこのような効果に対しては様々な研究が進められており、主に短時間で激しい運動を繰り返す際に、運動能力を高める効果が明らかになっています。そのため、クレアチンは数多くのスポーツ選手の間で利用されています。
また、アスリートだけではなく、クレアチンの高齢者の運動能力に及ぼす効果についても研究が進められており、高齢者の筋力維持やリハビリテーションを目的としてクレアチンが利用されています。【1】【2】

●筋肉を修復する効果
骨折などが原因で、腕や脚をギプスで固定するなどして筋肉を使用しない期間が続くと、筋肉の委縮、筋力の低下などが生じます。このような筋肉の不使用期間にクレアチンを摂取することによって、筋肉を修復し、回復を早める効果があるといわれています。【3】

●記憶力や学習能力を高める効果
クレアチンは骨格筋だけではなく、脳や神経細胞にも多く存在します。
エネルギーを産生する働きから、神経を保護し、記憶能力の改善にも役立つといわれています。【4】【5】

クレアチンは食事やサプリメントで摂取できます

クレアチンを含む食品

○にしん
○サケ
○まぐろ
○たら
○ひらめ
○かれい
○豚肉
○牛肉

こんな方におすすめ

○運動能力を向上したい方
○筋肉を強化したい方
○疲労を回復したい方

クレアチンの研究情報

【1】高齢男女39名を対象に、激しい運動とともにクレアチンを1日あたり5g ならびに共役リノール酸を1日あたり6g の量で6ヶ月間摂取させたところ、血漿クレアチンの上昇とともに、脂肪量の低下、除脂肪体重、膝、胸、腕の筋力の増加がみられたことから、クレアチンがダイエット効果ならびに筋力向上効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17912368

【2】運動習慣がない健康な高齢者16名を対象に、クレアチンを1日あたり5~20g の量で8週間摂取し、筋力トレーニングを行ったところ、レッグプレスの1-RM (最大挙上重量) が増加したことから、クレアチンが筋力向上効果を持つと考えられています。

【3】健常成人22名を対象に、右足をギブス固定した状況で、リハビリ訓練と供にクレアチンを1日開始時20g ~終了時5g の量で10週間摂取させたところ、膝関節伸展力ならびに膝下筋面積でより早い回復傾向が見られたことから、クレアチンが筋肉回復促進効果を持つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11600695

【4】クレアチンは筋肉関連に対する機能性の他、精神疲労にも役立ちます。クレアチンを1日あたり8g の量で5日間摂取させたところ、精神疲労が軽減されました。クレアチンは心的疲労軽減が期待されており、そのはたらきは脳の酸素利用量増加によるものと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11985880

【5】クレアチンを摂取することにより、ハンチントン病やパーキンソン病ならびに筋肉萎縮性側索硬化症(ALS)の改善に役立つことが報告されており、クレアチンに神経疾患予防効果が期待されています。一方、クレアチンは動脈硬化の原因因子ホモシステインとの相関性が知られており、クレアチンがホモシステインを抑制することで、動脈硬化予防効果を持つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12044443

もっと見る 閉じる

参考文献

・スポーツ以外の応用面におけるクレアチンの用途/ ラルフ・イエガー

・Tarnopolsky M, Zimmer A, Paikin J, Safdar A, Aboud A, Pearce E, Roy B, Doherty T. 2007 “Creatine monohydrate and conjugated linoleic acid improve strength and body composition following resistance exercise in older adults.” PLoS One. 2007 Oct 3;2(10):e991.

・青木純一郎2005 “クレアチン摂取は高齢者における低強度の筋力トレーニング効果を高める。” 健康医科学研究助成論文集.2005; 20: 14-21

・Hespel P, Op’t Eijnde B, Van Leemputte M, Ursø B, Greenhaff PL, Labarque V, Dymarkowski S, Van Hecke P, Richter EA. 2001 “Oral creatine supplementation facilitates the rehabilitation of disuse atrophy and alters the expression of muscle myogenic factors in humans.” J Physiol. 2001 Oct 15;536(Pt 2):625-33.

・A. Watanabe, N. Kato, T. Kato. 2002 “Effects of Creatine on mental fatigue and cerebral hemoglobin oxygenation.” Neuroscience Research, 42 , 27 9-285(2002).

・M. Wyss, A. Schulze. 2002 “Health Implications of Creatine: Can oral Creatine supplementation protect against neurological and atherosclerotic disease? ” Neuroscience, 112, 243 -260(2002)

もっと見る 閉じる

ページの先頭へ