チコリ

chicory
アンディーブ キクニガナ

ヨーロッパ原産の野菜で、若い芽がフランス料理などによく利用されます。利尿作用や便秘解消効果によって体内の余分なものを排泄し、その結果、むくみの解消や内臓機能の向上に対して有効といえます。料理だけでなく、お茶やコーヒーとして手軽に生活の中に取り入れ、体内のデトックスにおすすめの食材です。

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チコリとは

●基本情報
チコリはキク科の野菜で、ヨーロッパに自生するタンポポ族の仲間です。別名ではキクニガナやシコレ、アンディーブなど、さまざまな呼び方があります。食用で利用されるチコリの葉は、サクサクとした歯触りで、ほろ苦さとさわやかな香りが特徴です。料理の世界では、根株を掘り出して軟化栽培[※1]した白菜のような紡錘形の若い芽が主に使用され、その葉を1枚ずつはがしてサラダやオードブルにするほか、ブイヨンで蒸し煮にしたり、バターソテーにしたりして食べられることが多いです。チコリは高さ120~150㎝の細い茎と角ばった枝を持ち、初夏から秋にかけて鮮やかなブルーの花を咲かせます。直径3~4㎝でギザギザとした形の花で、朝早く開花して、お昼ごろにはしぼんでしまうような繊細さがあります。その繊細さには穏やかな無条件の愛に気づかせるパワーがあると考えられ、チコリのブルーの花の色は聖母マリアの服の色と同じであり、「母性や慈愛」を表しているともいわれています。
チコリの主な成分として、イヌリンや苦味質、タンニン、糖類、ペクチン、アルカロイドを含んでいます。チコリの根や葉は肝臓に良いといわれており、葉はサラダで、根は炒ってコーヒーの代わりに飲まれることがあります。カフェインやカフェタンニン酸を含んでいないため、睡眠にお悩みを抱えている方などにも安心して飲んでいただけます。また、乾燥させた根はお茶としても飲むことができます。チコリには消毒作用や利尿作用、排便を促す働きがあるため、尿酸や老廃物を排泄する効果があるといわれています。また、胃酸を減らして、肝臓を刺激し、脾臓や胆のう、腎臓を洗浄してくれる働きもあります。駆風作用を持つため、おなかのガスが溜まって苦しいときに飲むのもおすすめです。

●チコリの歴史
チコリはヨーロッパや北アフリカ原産で、日本には明治時代初期に伝えられました。ベルギーやフランスでは、古くから食用として利用されていましたが、特殊な苦味があるため、渡来当初日本では利用されませんでした。最近では、軟白栽培された若芽が食材として一般的に利用されるようになっています。紀元前4世紀のエジプトのパピルス文書には、魔力を持ったハーブとして記載されています。

●チコリの生産地
チコリの原産地はヨーロッパと北アフリカです。日本では、埼玉県浦和市や千葉県、愛媛県、北海道などで栽培されています。冬場はもっぱら国産のチコリが出回りますが、10月~5月はベルギー産、6月~9月はニュージーランド産が出回り、一年中食べることができます。

●チコリの働き
チコリは豊富な食物繊維を含んでいるため、便秘解消に効果が期待できます。また、脂肪や糖の吸収を抑えることにも有効といわれています。また、ビタミンのひとつである葉酸も含んでいます。葉酸は赤血球や新しい細胞をつくる際に欠かせないビタミンで、赤血球の不足による貧血を予防してくれます。チコリ酸という独特の成分の働きによって、強肝作用や解毒作用、消化促進作用があるといわれています。

●チコリを摂取する際の注意点
チコリはアレルギー反応を起こす可能性があります。ですので妊娠中または授乳期の方やキク科のアレルギー反応を示す方は使用を避けるよういわれています。

[※1:軟化栽培とは、収穫物の品質を高める目的で野菜を暗黒下または弱光下で生育させて、黄化、徒長させる栽培方法です。軟白栽培ともいわれます。]

チコリの効果

●肝機能を高める効果
チコリに含まれるチコリ酸という独特の成分の働きによって、肝臓機能の向上や解毒作用の促進が期待できます。また、胃酸を減らし肝臓を刺激することで、脾臓や胆のう、腎臓など内臓の浄化する働きもあります。【1】

●腸内環境を整える効果
チコリには豊富な食物繊維と水溶性の食物繊維イヌリンが含まれています。食物繊維は腸内で水分を吸収して膨らみ、腸内にたまった余分なものをからめ捕り体外に排泄してくれます。また、イヌリンの働きによってぜん動運動[※2]が活発になるだけでなく、水分を吸ってゲル状になったイヌリンが発がん性物質や老廃物を吸着して便とともに排出するため、腸内環境の改善や動脈硬化の予防にも有効であるといえます。【2】【3】【5】

●むくみを改善・予防する効果
チコリには利尿作用があります。腎臓を浄化し、腎機能を高めることで排泄をサポートします。余分な水分や老廃物が体外に排泄されることで、むくみの改善が期待できます。

[※2:ぜん動運動とは、腸に入ってきた食べ物を排泄するために、内容物を移動させる腸の運動です。]

チコリは食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○体内の毒素を排出したい方
○便秘でお悩みの方

チコリの研究情報

【1】チコリを用いた高齢者の慢性肝炎のリハビリと治療が有益であるといわれており、チコリは肝臓保護作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10672726

【2】便秘を訴える高齢者を対象に、チコリを1日あたり15g の量で摂取させたところ、便秘症状が改善しました。チコリはイヌリンを豊富に含むことからも、便秘改善に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21091293

【3】ブロイヤ-の雛にチコリ(イヌリン0.1%含有)を5週間飲用させたところ、十二指腸の絨毛の高さ、広さが増加し、空腸の粘膜の糖を増加させていました。このことから、チコリは、腸内の環境を整える働きがあることが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20579180

【4】チコリコーヒーはフェノール酸を多く含み、血小板凝集抑制作用、炎症性サイトカイン緩和、白血球遊走抑制因子(MIF)を含むことから、チコリは心血管疾患に対して有効である可能性が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21425378

【5】健常男性12名 (平均23.3歳) を対象とした臨床試験において、イヌリン含有シリアル (9 gイヌリン含有) を4週間摂取させたところ、血清総コレステロールおよび中性脂肪が減少し、腸内細菌環境が改善したことから、イヌリンを豊富に含むチコリは、腸内環境改善ならびに高脂血症予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10509770

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参考文献

・本多京子 食の医学館 株式会社小学館

・佐々木薫 ハーブティー事典 池田書店

・ヴィクトリア ザック、 林 真一郎、 Victoria Zak、大橋 マキ ハーブティーバイブル 東京堂出版

・鈴木一行 食品成分表 株式会社大修館書店

・菅原龍幸・井上四郎 原色食品図鑑 株式会社建帛社

・大槻 真一郎 ハーブ学名語源事典 株式会社東京堂出版

・Harnyk TP. (1999) “[The use of preparations of plant origin in treating and rehabilitating elderly patients with chronic hepatitis].” Lik Sprava. 1999 Oct-Dec;(7-8):168-70.

・Marteau P, Jacobs H, Cazaubiel M, Signoret C, Prevel JM, Housez B. (2011) “Effects of chicory inulin in constipated elderly people: a double-blind controlled trial.” Int J Food Sci Nutr. 2011 Mar;62(2):164-70.

・Awad WA, Ghareeb K, Böhm J. (2011) “Evaluation of the chicory inulin efficacy on ameliorating the intestinal morphology and modulating the intestinal electrophysiological properties in broiler chickens.” J Anim Physiol Anim Nutr (Berl). 2011 Feb;95(1):65-72.

・Schumacher E, Vigh E, Molnár V, Kenyeres P, Fehér G, Késmárky G, Tóth K, Garai J. (2011) “Thrombosis preventive potential of chicory coffee consumption: a clinical study.” Phytother Res. 2011 May;25(5):744-8.

・Brighenti F, Casiraghi MC, Canzi E, Ferrari A. (1999) “Effect of consumption of a ready-to-eat breakfast cereal containing inulin on the intestinal milieu and blood lipids in healthy male volunteers.” Eur J Clin Nutr. 1999 Sep;53(9):726-33.

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