カリフラワー

cauliflower
花キャベツ 花椰菜(はなやさい)
Brassica oleracea var.

カリフラワーは、冬から春にかけて旬を迎える花野菜です。カリフラワーにはビタミンCが豊富に含まれています。そのため美肌効果や免疫力を高める効果があるといわれています。また、カリフラワー特有のMATSは血栓を予防する効果があると注目されています。

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カリフラワーとは?

●基本情報
カリフラワーとは、冬から春に旬を迎えるアブラナ科アブラナ属の花野菜です。カリフラワーという名前には「キャベツの花」という意味があります。カリフラワーの白い部分はつぼみの集まりで、日本では特にこのつぼみの白い品種が好まれて食べられます。そのためつぼみができると外葉でつぼみを包むようにして日光を遮り、黄色く変色することを抑えます。

●カリフラワーの歴史
カリフラワーは地中海を原産地とし、もともとはケールの野生種がルーツだといわれています。日本では明治初期に鑑賞用として伝わり、1960年代に食用として一般的に普及しました。現在は、カリフラワーよりもブロッコリーの方が一般的ですが、当時はカリフラワーのほうが広く普及していました。

●カリフラワーの種類
・スノークラウン
日本国内で一般的に流通している早生の品種です。

・スノーニューダイヤ
中早種で、収穫時期はスノークラウンよりもやや遅く、12月以降に収穫されます。純白で形のよいつぼみが特徴です。

・オレンジブーケ
名前の通りつぼみの表面がオレンジ色をしています。加熱しても色は変化しません。

・バイオレットクイン
日本国内での収穫量はごくわずかで、つぼみは紫色をしています。この紫色はアントシアニンの色素によるもので、つぼみが白い品種よりも栄養価が高いといわれています。加熱するとつぼみは紫色から緑色に変化します。

・ロマネスコ
黄緑色のつぼみをしており、形もゴツゴツとした円錐状になっていることが特徴的です。イタリアの伝統的な品種で、カリフラワーとブロッコリーを合わせたような味わいがあります。

●おいしいカリフラワーの選ぶポイント
つぼみが開花しておらず、全体的に白く丸みがあり、重みのあるものがおすすめです。葉が新鮮で茎が伸びすぎず、変色していないものが質がよく新鮮だといわれています。

●カリフラワーの保存方法
20℃以上の暖かいところで保存するとつぼみが開花してしまうことがあるので注意が必要です。そのため濡らしたペーパータオルにカリフラワーを包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に保管してください。時間が経つと白いつぼみがくすんで変色してくるので2~3日で食べきることをおすすめします。

●カリフラワーに含まれる成分と性質
カリフラワーにはビタミンCや葉酸、ビタミンKが豊富に含まれています。特に、ビタミンCの含有量は淡色野菜の中でトップクラスです。生食では100gで1日の必要量の80%以上が摂取できるといわれています。また、カリフラワーに含まれるビタミンCは加熱しても失われにくいという特性を持っており、茹でても1日の必要量の50%以上が摂取できるといわれています。他にも、カリフラワー特有のイオウ化合物[※1]であるMATSや血栓[※2]を防止してくれるアリルイソチオシアネート、解毒機能を持つグルコシノレートなどの成分が含まれています。

<豆知識>変色してしまったカリフラワーのおいしい食べ方
色が変わってしまったカリフラワーは少量の小麦粉と牛乳または酢、レモン汁を加えて茹でるとアクが抜け、白く戻ります。また、煮崩れも防ぐことができおいしく食べられます。

[※1:イオウ化合物とは、長ねぎ・玉ねぎ・にんにく・にらなどのユリ科の野菜や、キャベツ・大根・わさびなどのアブラナ科の野菜に含まれている、強い香りを持つ成分です。アリシンのほかに、抗ガン作用を持つアホエンなどがあります。]
[※2:血栓とは、血液中の血小板などが固まってできる塊のことです。動脈硬化や脳梗塞の原因にも成り得るといわれています。]

カリフラワーの効果

●美白・美肌効果
カリフラワーに豊富に含まれるビタミンCは美容効果が期待できるビタミンの代表的存在です。
人間の皮膚は、紫外線の刺激を受けるとアミノ酸のひとつであるチロシンが、チロシナーゼ[※3]という酵素の働きによってメラニンという黒い色素に変わります。シミ・そばかすは、このメラニン色素が沈着することによって起こります。ビタミンCはチロシナーゼの働きを阻害することでメラニン色素の沈着 (シミ)を防ぎ、透明感のある肌を維持する効果があるため美白効果が期待できます。
また、ビタミンCはコラーゲンの合成を助けて肌のしわを防いだり、傷ややけどの治りを良くします。

●免疫力を高める効果
カリフラワーに含まれるビタミンCは免疫力を高め、風邪の予防に効果があります。風邪をひきやすい人は血中のビタミンC濃度が低いことや、風邪をひいたときには低かったビタミンC濃度が、回復するにつれて徐々に高くなるということがわかっています。ビタミンCは、体内に侵入した病原菌を攻撃する白血球の働きを強化し、さらにビタミンC自らも病原菌を攻撃して免疫力を高めます。また、ビタミンCがコラーゲンを生成し、細胞がしっかり固められることによって、風邪などのウイルスを体内に侵入させにくくすることができます。

●ストレスをやわらげる効果
人間の体はストレスにさらされると、それに対抗するために副腎からアドレナリン[※4]を分泌して血圧や血糖を上昇させ、防衛体制をとります。アドレナリンが使われると不足分を補うために生成されますが、アドレナリンの生成にビタミンCが使われるため、ビタミンCはストレスで激しく消費されます。
ストレスは、不安やプレッシャー、緊張などの精神的なストレスだけではありません。寒さ・暑さや睡眠不足、騒音、喫煙などもストレスの要素です。激しい運動をした時や、病原菌に感染した時にも通常よりビタミンCの必要量が増加します。ストレスにさらされやすい環境で生活をしている方は、しっかりとビタミンCを摂ることが大切です。

●老化や病気から体を守る効果
カリフラワーには老化や病気から体を守る効果があります。カリフラワーには特有のMATS(メチルアリルトリスルフィド)が含まれており、強い抗酸化作用を持っています。MATSの持つ抗酸化力[※5]は血管中に血栓ができることを防止する働きがあります。他にも辛み成分でもあるアリルイソチオシアネートやコレステロールの吸収を抑制するフィトステロールも血栓の予防や動脈硬化[※6]の予防に役立ちます。また、カリフラワーには解毒機能を強化してくれるグルコシノレートが含まれています。グルコシノレートは老化を促す物質を解毒する酵素の働きを高めます。そして、体外に老化を促す物質を排出します。人間は血管とともに老いるともいわれています。子どもの頃の血管はゴムのように弾力性があり、透明度も高いのですが年齢とともにだんだんと弾力性も透明度も低くなっていきます。そして内側にコレステロールなどの脂質がたまると、血管がゴムホースのように硬くなってしまいます。血管の老化は狭心症や心筋梗塞[※7]、脳卒中などにつながりますので、栄養バランスのよい食生活や運動を適度に行うなど健康的な生活を送りましょう。

[※3:チロシナーゼとは、アミノ酸であるチロシンを酸化して、メラニンをつくる酵素のことです。この酵素の活性を阻害することにより、メラニンの生成を抑制します。]
[※4:アドレナリンとは、副腎髄質から分泌され、血糖を上昇させるホルモンです。]
[※5:抗酸化力とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ力です。]
[※6:動脈硬化とは、動脈にコレステロールや脂質がたまって弾力性や柔軟性がなくなった状態のことです。血液がうまく流れなくなることで心臓や血管などの様々な病気の原因となります。]
[※7:心筋梗塞とは、心臓を養っている動脈に血栓ができることによって血管が詰まり、発生する病気です。]

食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○美肌を目指したい方
○シミ、そばかすが気になる方
○免疫力を向上させたい方
○ストレスをやわらげたい方
○老化を防ぎたい方
○血流を改善したい方

カリフラワーの研究情報

【1】1,338人の前立腺ガンの患者を対象に、野菜・果物摂取とガンの関連を調べたところ(食事調査・疫学研究)、悪性度の高い前立腺ガンのリスクは、アブラナ科の野菜、特にブロッコリーとカリフラワーの摂取により、リスクが減る可能性が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17652276

【2】ヒト黒色腫細胞にビタミンCを投与すると、NO産生および誘導性NO合成酵素(eNOSおよびiNOS)が阻害され、メラニン形成が抑制されました。ビタミンCがメラニン形成を阻害することにより、美白効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21656367

【3】B16マウスメラノーマ細胞およびヒト皮膚細胞にビタミンCを12週間投与したところ、チロシナーゼが阻害され、メラニンの生成が抑制されたことから、ビタミンCが美白作用を持つことが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19186973

【4】カリフラワージュースには、カビ等の真菌を抑制する働きがあることが分かりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12837360

【5】メチルアリルトリスルフィドには、抗菌、抗がん、抗トロンビン作用があることが分かっています。そのため、血栓になりにくい働きがある可能性が考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16823096

【6】メチルアリルトリスルフィドには、抗凝固作用があることが分かっています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10192909

【7】アレルギー性喘息マウスにビタミンCを1日当たり130mg/kg の量で5週間摂取させたところ、好酸球の浸潤が抑制されました。また免疫物質インターフェロン、IL-5が増加したことから、ビタミンCが抗アレルギー作用と免疫力向上作用を持つことが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19831405

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参考文献

・井上正子 栄養学の食のきほん事典 西東社

・荻野善之 野菜まるごと大図鑑 主婦の友社

・五明紀春 食材健康大事典 時事通信社

・則岡孝子 あなたに必要な栄養成分と食べ物 河北書房新社

・食材図典 小学館

・がん予防成分をアブラナ科野菜に作らせる新規遺伝子を発見 独立行政法人理化学研究所

・Kirsh VA, Peters U, Mayne ST, Subar AF, Chatterjee N, Johnson CC, Hayes RB; Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian Cancer Screening Trial.
Source (2007) “Prospective study of fruit and vegetable intake and risk of prostate cancer.” J Natl Cancer Inst. 2007 Aug 1;99(15):1200-9. Epub 2007 Jul 24.

・Panich U, Tangsupa-a-nan V, Onkoksoong T, Kongtaphan K, Kasetsinsombat K, Akarasereenont P, Wongkajornsilp A. (2011) “Inhibition of UVA-mediated melanogenesis by ascorbic acid through modulation of antioxidant defense and nitric oxide system.” Arch Pharm Res. 2011 May;34(5):811-20. doi: 10.1007/s12272-011-0515-3. Epub 2011 Jun 9.

・Shimada Y, Tai H, Tanaka A, Ikezawa-Suzuki I, Takagi K, Yoshida Y, Yoshie H. (2009) “Effects of ascorbic acid on gingival melanin pigmentation in vitro and in vivo.” J Periodontol. 2009 Feb;80(2):317-23. doi: 10.1902/jop.2009.080409 .

・Sisti M, Amagliani G, Brandi G. (2003) “Antifungal activity of Brassica oleracea var. botrytis fresh aqueous juice.” Fitoterapia. 2003 Jul;74(5):453-8.

・Ariga T, Seki T. (2006) “Antithrombotic and anticancer effects of garlic-derived sulfur compounds: a review.” Biofactors. 2006;26(2):93-103.

・Lim H, Kubota K, Kobayashi A, Seki T, Ariga T. (1999) “Inhibitory effect of sulfur-containing compounds in Scorodocarpus borneensis Becc. on the aggregation of rabbit platelets.” Biosci Biotechnol Biochem. 1999 Feb;63(2):298-301.

・Chang HH, Chen CS, Lin JY. (2009) “High dose vitamin C supplementation increases the Th1/Th2 cytokine secretion ratio, but decreases eosinophilic infiltration in bronchoalveolar lavage fluid of ovalbumin-sensitized and challenged mice.” J Agric Food Chem. 2009 Nov 11;57(21):10471-6. doi: 10.1021/jf902403p.

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