キャッツクロー

Cat’s Claw Uncaria tomentosa

キャッツクローはインカの時代から健康素材として使われてきました。6種類のアルカロイドを含み、リウマチ、関節炎、神経痛などの改善に効果があるとされ、約2000年に渡り、アマゾンの先住民達が治療薬として使用してきた伝統ハーブです。近年になって「若々しさを保つ」新たな働きを持つことがわかってきました。

LINEスタンププレゼント!お友達登録はこちら。配信期間2025/01/23

キャッツクローとは?

●基本情報
キャッツクローとは、アカネ科カギカズラ属に分類される大本性大型蔓植物で、主に南米ペルーの標高400〜800mのアマゾン奥地に自生します。直径20cm、高さ20~30mにまで育ち、幹から生えてくる枝が四角形をしており、葉の付け根にネコの爪のような太いトゲが生えています。キャッツクローの根や樹皮から抽出した五環系インドールアルカロイド[※1]が有効成分として使用されています。
キャッツクローは、ペルーの熱帯雨林の高度800m程もある高地のジャングルに自生しています。1ヘクタールにつき2~3本しか生えない希少性の高い植物です。南米のペルー、エクアドル、コロンビアなどの熱帯雨林地帯に分布しています。葉の付け根にネコの爪のようなトゲが生えていることから、スペイン語で「ウニァ・デ・ガト」、英語で「キャッツクロー」、つまり”猫の爪”という意味の名前で呼ばれるようになりました。
キャッツクローには、同種の仲間が200種類以上もあり、外から見ただけでは全く区別がつかないものもあるといわれています。日本には近縁種のカギカズラという植物があり、同様にトゲの部分に有効成分があり生薬「釣藤鈎(ちょうとうこう)」[※2]として用いています。原住民たちは何百種類の中からでも判断がつくようですが、現在、サプリメントなどに使用する際は、本当のキャッツクローかどうか、厳密に化学調査を行っています。

●キャッツクローの歴史
ペルーの先住民であるインディオは、ツルを切った時ににじみ出る樹液を飲んだり、樹皮を煎じてお茶として飲んだりしていました。はるか昔のインカ帝国の時代から、神経痛やリウマチ、関節炎、腰痛などの痛みを取り去る秘薬として親しまれてきました。とりわけリウマチの特効薬として愛飲され「幻の樹木」とも呼ばれていたといわれています。こうしてキャッツクローは、何世紀もの間、貴重な伝承薬として珍重されてきました。
1974年、オーストラリアのケンブリガー博士がキャッツクローから、抗腫瘍物質を発見しました。さらに1990年には、その根から6種類のアルカロイドを抽出することに成功しました。植物でつくられる窒素を含んだアルカリ性の化合物であるアルカロイドには、生体の免疫力を増強し、侵入した病原性の細菌やウイルスを撃退する働きがあります。
キャッツクローは伝統的な薬用植物の再評価を進めていきつつありますが、1994年、WHO(世界保健機関)により、副作用の少ない抗炎症剤として認められています。

● キャッツクローの歴史と「フジモリ計画」
キャッツクローの研究が進み、人気が出たことによってペルー産キャッツクローの伐採が進み、ペルー産のキャッツクローは激減してしまいました。
そこで、当時のペルーのフジモリ前大統領が「キャッツクロー保護法」を成立させました。 前大統領自らが乗り出し、大がかりな予算を投じて1年に100万本の植樹を行うなど、キャッツクローの育成に注力しました。
キャッツクローは、根を掘り起こすとその場所に生えなくなってしまいますが、樹皮だけを取り根を残すことで再生を可能にするというものでした。キャッツクローは非常に生命力の強い植物で、根を残して幹やツルを切るようにすれば、約4年かけて、またもとの大木に生長し、収穫するほどのツルを再生できると考えられたのです。
このようにしてペルーでは自然のキャッツクローを絶やさないために国をあげて、保護する努力がなされました。
大がかりな予算を投じて1年に100万本の植樹を行う計画は、キャッツクローを守るという以外にも重要な意味があるものでした。
それは、貧しい人々が今まで貧困の中、生き抜くために栽培していたコカインからキャッツクローに切り替えるというものでした。アマゾンの貧困地帯にキャッツクローを植樹することで、麻薬撲滅と貧困解消を図ろうとしたのです。これは「フジモリ計画」と呼ばれ、社会問題の解決につながりました。

● キャッツクローの栄養成分
キャッツクローには6種類のアルカロイドが含まれています。それらは、イソテロポディン、テロポディン、イソミトラフィリン、ミトラフィリン、イソリンコフィリン、リンコフィリンです。これらの成分により抗炎症作用、鎮痛作用、関節リウマチや変形性関節症の症状緩和、免疫力を上げる効果が報告されています。
これらのアルカロイドは免疫バランスを整えるのに有効であるとされ、医学的な証明も報告されています。その他にも多くの文献でキャッツクローの免疫に関する研究結果も発表されています。キャッツクローはハーブでありながら、痛みに対して比較的早く効き、即効性があるということも特徴です。

<豆知識>手軽なキャッツクローの摂り方〜ハーブティーとしておすすめ~
キャッツクローは、ハーブティーにして飲むことがおすすめです。手軽につくることができる上、効果をより実感するため、体内への吸収を良くしたい時には煎じて飲みましょう。毎日、お茶を飲むように習慣として続けることが大切です。
関節痛やリウマチの緩和にキャッツクローサプリメントを摂取する場合は、軟骨を再生させるグルコサミンコンドロイチンが配合されたサプリメントと一緒に摂ると相乗効果が期待できます。
注意事項として、キャッツクローは、多量に摂取すると吐き気や頭痛を起こすこともあるので摂りすぎに注意が必要です。また、妊娠中も使用を控えたほうが望ましいです。

[※1:五環系インドールアルカロイドとは、「ペンタサイクリック・オキシインドール・アルカロイド(POA)」と呼ばれる成分で、免疫作用調整に多大な貢献を果たします。]
[※2:釣藤鉤とは、昔から肝気をやわらげる作用があるといわれる生薬(漢方薬)で、煎じて服用すると精神安定、血圧降下、鎮痙攣、鎮痛などの作用があり、高血圧、精神不安、高血圧が原因の頭痛、めまい、脳動脈硬化に対する効果があるといわれています。]

キャッツクローの効果

キャッツクローに含まれる6種類のアルカロイドであるイソテロポディンやテロポディン、イソミトラフィリン、ミトラフィリン、イソリンコフィリン、リンコフィリンは、免疫バランスを整えるのに有効であることが報告されています。

イソテロポディンは、免疫力を増強する働きを持つとされています。
テロポディン、イソミトラフィリンは、体外から侵入した病原体を死滅させる働きが明らかになっています。
ミトラフィリンには、利尿作用があります。
イソリンコフィリンやリンコフィリンは、血管を拡張して血圧を下げる働きがあり、抗血小板凝集作用や血栓をつくらせない働きもあり、脳梗塞、心筋梗塞を予防する働きもあります。
これらのアルカロイドが協力し合うことで様々な効果が期待されています。

● 免疫力増強、リウマチ改善効果
キャッツクローに含まれる特有のアルカロイドは、基礎研究において、白血球の貧食作用やTリンパ球[※3]の機能を高めることが認知されています。
また、特に注目されている点として、アルカロイド有効成分の幾つかが「ペンタサイクリック・オキシインドール・アルカロイド(POA)」と呼ばれる成分であり、免疫作用調整に多大な貢献を果たしてくれるということが挙げられます。
POAは体に必要な免疫機能バランスを整える力を持っていることからその効果が注目されています。免疫機能が安定することで、あらゆる病気に対する抵抗力の増強が期待されます。
さらにPOAは、免疫カ増強作用を持つことで、抗炎症作用ももたらし、関節の炎症を抑える作用があります。
次々と免疫組織が活性化され、機能が正常化に向かうことにより、リウマチが改善される効果も期待できます。

リウマチは、免疫細胞が誤って自分自身の関節を攻撃してしまう病気です。マウスやヒトに直接キャッツクローを飲ませる試験で、関節の腫れや痛みなどを抑えるといった報告もあり、副作用も認められませんでした。関節リウマチの症状を緩和する有効な成分として、効果が期待されています。【3】【6】

● 腰痛、関節痛(関節炎)、神経痛などの改善効果
キャッツクローに含まれるアルカロイドには炎症を抑える作用、血液促進作用もあり、それらが腰痛・関節痛(関節炎)、神経痛に働きかけます。血流を良くすることで筋肉の動きを良くし、関節部分の支えを強化します。また炎症や痛みをやわらげる効果があります。【4】【5】

● 血圧を下げる効果
アルカロイドのひとつであるイソリンコフィリンには、血管を拡張して血圧を下げる働きがあります。また抗血小板凝集作用や血栓をつくらせない働きもあり、脳梗塞や心筋梗塞を予防する働きもあります。
ただし、血圧を下げる薬を飲んでいる方は、摂取を控える必要があります。

●その他のキャッツクローの効果
アルカロイドの働きにより、抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用などの効果が報告されています。

[※3:Tリンパ球とは、T細胞の総称です。免疫機能において重要な働きを行います。]

食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○ 免疫力を向上させたい方
○ 腰痛や関節痛でお悩みの方
○ 血圧が高い方
○ 生活習慣病を予防したい方

キャッツクローの研究情報

【1】 キャッツクローが滑膜細胞やマクロファージの活性化および増殖を抑えるかどうかを試験管内(in  vitro)で調べました。その結果、TNFα、プロスタグランジンなどの炎症に関わる物質を抑える働きは強くありませんでした。しかし、関節炎誘発マウスに対し、キャッツクロー抽出物を0.5ml与えると関節炎を抑制する働きがあることがわかりました。このことから、キャッツクローが炎症に働きかける作用がある可能性がわかりました。
http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902196922520503

【2】 抗炎症作用をもつキャッツクロー抽出物のカラギーナン誘発ラット浮腫への影響について調べました。キャッツクローは炎症作用を抑制し、浮腫を抑制しました。この効果は、キノビック酸グリコシド7、トリテルペン8によるものだと考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1919590

【3】24週間、関節リウマチ患者に対し、キャッツクロー抽出物入りカプセル(60mg)21名、またはプラセボを19名に対し投与しました。24週間時点で、プラセボに対し、キャッツクロー抽出群では、関節の痛み、圧痛関節得点、朝のこわばりが0週に比べ有意に減少しました。しかし、プラセボ群では、24週間時点で有意な減少は認められませんでした。このことから、キャッツクローは関節リウマチ炎症に対して効果が期待されることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11950006

【4】膝の変形性関節症に罹患している成人45名 (45~75歳、試験群30名) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、キャッツクロー抽出物を100 mg/日、4週間摂取させたところ、膝を動かした際の痛みが軽減していることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11603848?dopt=Abstract

【5】 リポポリサッカライドに誘発される炎症に対して、キャッツクローから抽出されたミトロフィリンを30mg/kg/日で3日間投与した結果、約50%の炎症性物質(インターロイキン1α、1β、17、TNFα)を抑えることができました。このことから、キャッツクローは、炎症を抑制する作用があることが考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22846434

【6】 マウスへ5mgまたは15mgのキャッツクローを4日間投与し、臍帯血(UCB)からヒト骨髄性前駆細胞(hHSPCs)への造血幹細胞形成細胞アッセイを行い、好中球の活性化が認められました。このことからキャッツクローは、免疫と関係する骨髄性前駆細胞を活性化する働きがあることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21771655

【7】 キャッツクローからの水抽出物、エタノール抽出物はヘモグロビン酸化を減少し、活性酸素種および脂質過酸化を減少させます。2, 4-ジクロロフェノール(2, 4-DCP)およびカテコール類によって引き起こされたヘモグロビンの酸化および脂質過酸化を有意に抑制することがわかりました。このことからキャッツクローは赤血球内の酸化を防ぐことができると考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21712061

【8】キャッツクローは、ABTS/HRP試験またはDPPH試験によって強力なフリーラジカル補足能を持つことがわかりました。新しい分析法ESI-MS/MSデータにおいてもキャッツクローは抗酸化能を有していることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19201196

【9】キャッツクローから抽出されたプテロポディンは細胞増殖抑制、抗炎症作用、抗変異原性を有する特殊なオキシドールアルカロイドです。マウスにプテロポディンのドキソルビシン誘発-姉妹染色分体交換反応および小核多染性赤血球に対する作用について調べました。また、DPPH測定法によってプテロポディンのフリーラジカル補足能を調べました。プテロポディン(100~600 mg/kg )投与により、ドキソルビシン誘発-姉妹染色分体交換反応、小核多染性赤血球の頻度を減らしました。また、プテロポディン600 mg/kg投与は強力にDPPHラジカルを補足し250μg/mlで98.26%抑制することがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19175366

【10】ヒトの口腔に由来する微生物についてのキャッツクローの種々の濃度の抗菌効果を評価しました。3%キャッツクローは腸内細菌科菌群(S. mutans)およびブドウ球菌属を抑制しました。3%キャッツクローは、抗菌作用を有することがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17426895

もっと見る 閉じる

参考文献

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・吉川敏一 辻智子 医療従事者のための機能性食品(サプリメント)ガイド―完全版 講談社

・石原 茂正 編 機能性ハーブの生理活性 (株)常盤植物化学研究所

・岡村由布子、峰リサ、浅野聡子、桧垣恵 、三木敬三郎 “キャッツ・クローの抗炎症作用の検討” 炎症 NIHON ENSHO GAKKAI ZASSI /JAPANESE JOURNAL OF INFLAMMATION 20, 4, 523

・原山 建郎 著 久郷 晴彦監修 最新・最強のサプリメント大事典 昭文社

・田中平三 健康食品のすべて-ナチュラルメディシンデータベース- 同文書院

・蒲原聖可 サプリメント事典 平凡社

・清水俊雄 機能性食品素材便覧 特定保健用食品からサプリメント・健康食品まで 薬事日報社

・Aquino R, De Feo V, De Simone F, Pizza C, Cirino G. (1991) “Plant metabolites. New compounds and anti-inflammatory activity of Uncaria tomentosa.” J Nat Prod. 1991 Mar-Apr;54(2):453-9.

・Rizzi R, Re F, Bianchi A, De Feo V, de Simone F, Bianchi L, Stivala LA. (1993) “Mutagenic and antimutagenic activities of Uncaria tomentosa and its extracts.” J Ethnopharmacol. 1993 Jan;38(1):63-77.

・Mur E, Hartig F, Eibl G, Schirmer M. (2002) “Randomized double blind trial of an extract from the pentacyclic alkaloid-chemotype of uncaria tomentosa for the treatment of rheumatoid arthritis.” J Rheumatol. 2002 Apr;29(4):678-81.

・Piscoya J, Rodriguez Z, Bustamante SA, Okuhama NN, Miller MJ, Sandoval M. (2001) “Efficacy and safety of freeze-dried cat’s claw in osteoarthritis of the knee: mechanisms of action of the species Uncaria guianensis.” Inflamm Res. 2001 Sep;50(9):442-8.

・Rojas-Duran R, González-Aspajo G, Ruiz-Martel C, Bourdy G, Doroteo-Ortega VH, Alban-Castillo J, Robert G, Auberger P, Deharo E. (2012) “Anti-inflammatory activity of Mitraphylline isolated from Uncaria tomentosa bark.” J Ethnopharmacol. 2012 Jul 27. [Epub ahead of print]

・Farias I, do Carmo Araújo M, Zimmermann ES, Dalmora SL, Benedetti AL, Alvarez-Silva M, Asbahr AC, Bertol G, Farias J, Schetinger MR. (2011) “Uncaria tomentosa stimulates the proliferation of myeloid progenitor cells.” J Ethnopharmacol. 2011 Sep 1;137(1):856-63. Epub 2011 Jul 8.

・Bors M, Bukowska B, Pilarski R, Gulewicz K, Oszmiański J, Michałowicz J, Koter-Michalak M. (2011) “Protective activity of the Uncaria tomentosa extracts on human erythrocytes in oxidative stress induced by 2,4-dichlorophenol (2,4-DCP) and catechol.” Food Chem Toxicol. 2011 Sep;49(9):2202-11. Epub 2011 Jun 25.

・Nogueira Neto J, Coelho TM, Aguiar GC, Carvalho LR, de Araujo AG, Girao MJ, Schor E. (2011) “Experimental endometriosis reduction in rats treated with Uncaria tomentosa (cat’s claw) extract.” Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2011 Feb;154(2):205-8. Epub 2010 Oct 27.

・Amaral S, Mira L, Nogueira JM, da Silva AP, Helena Florencio M. (2009) “Plant extracts with anti-inflammatory properties.a new approach for characterization of their bioactive compounds and establishment of structure-antioxidant activity relationships.” Bioorg Med Chem. 2009 Mar 1;17(5):1876-83. Epub 2009 Jan 25.

・Paniagua-Perez R, Madrigal-Bujaidar E, Molina-Jasso D, Reyes-Cadena S, Alvarez-Gonzalez I, Sanchez-Chapul L, Perez-Gallaga J. (2009) “Antigenotoxic, antioxidant and lymphocyte induction effects produced by pteropodine.” Basic Clin Pharmacol Toxicol. 2009 Mar;104(3):222-7. Epub 2009 Jan 20.

・Ccahuana-Vasquez RA, Santos SS, KogaIto CY, Jorge AO. (2007) “Antimicrobial activity of Uncaria tomentosa against oral human pathogens.” Braz Oral Res. 2007 Jan-Mar;21(1):46-50.

もっと見る 閉じる

ページの先頭へ