茶花とは
●基本情報
茶花とは、お茶の樹に咲く花のことです。茶の樹は、ツバキ科に属する多年草の常緑樹[※1]で、11月頃に白く可憐な花を咲かせます。原産地は、中国の雲南省からミャンマー北部にかけての広い範囲で栽培されています。一般的によく飲まれるお茶は、葉の部分が使われており、特有成分のカテキンが老化防止や血中コレステロール値の低下、抗菌効果があるといわれています。一方で茶花は、もともとお茶の葉を栽培する際に、栄養を葉に行き渡らせるため間引かれていましたが、有効成分が含まれていることが近年の研究で明らかになってきました。茶花にはポリフェノールの一種であるフラボノイドや、配糖体[※2]の一種であるサポニンが含まれています。特に、茶花に含まれるフローラテアサポニンやチャカサポニンは、メタボリックシンドローム[※3]の原因ともいわれる肥満や糖尿病の予防に有効で、ダイエット中の方や、生活習慣病に悩んでいる方におすすめの素材といえます。メタボリックシンドロームを予防することで、心疾患、脳血管疾患の原因でもある動脈硬化のリスクを減らす効果が期待できます。また、胃粘膜を保護する働きもあるため、胃の健康維持にも有効であるといえます。
代表的な茶花の食べ方で、松江藩7代藩主茶名人である松平不昧公によって生み出された鳥取県出雲地方の「ぼてぼた茶(別名:花番茶)」というお茶があります。サポニンの発泡作用による泡立ちを利用して、茶花のお茶を泡立て、その中に具を入れて食べるお茶漬けのような食べ物で、古くから伝わる名物料理です。茶会の席でも頻繁に振舞われ、不昧公自身も好んで食べていたため、250年も昔には珍しく68歳まで長生きしたといわれていますこれは、茶花の健康パワーが長生きの秘訣であると考えられています。また、茶花はお茶として飲むだけでなくてんぷらにして食べる習慣が京都ではあるようです。
●茶花の歴史
茶は、2000年以上も前から飲まれていたという報告もあり、当初は薬としての利用が中心でした。茶花も約1000年前から飲料として重宝されており、豊富な食経験をもとに安全性を確立しています。中国・宋の時代(979年)には、お茶に木の実や茶花、梅などの果実、緑豆などを入れ、さらに野菜や塩、バターを入れて食べる習慣があったそうです。そこから、日本にも茶花を食べたり、煎じて飲んだりする風習が伝わりました。
●茶花の生産地
お茶の原産地は中国の中南部で、雲南省や四川省をはじめとする各省で広く栽培されてきました。日本でも、12世紀頃に京都に伝わったことをきっかけに現在では全国で栽培され、京都・宇治や静岡など全国に茶所が誕生しています。
●茶花の働き
茶花にはフラボノイドやサポニンなどの有効成分が含まれています。特に、茶花に含まれるフローラテアサポニンやチャカサポニンの働きによって、脂肪の吸収が抑えられ、中性脂肪の上昇を抑制する効果があるといわれています。また、脂肪の形成や蓄積を抑える働きもあるため、肥満予防に効果を発揮してくれます。血糖値の上昇も抑えてくれるため、糖尿病への効果も期待されており、メタボリックシンドロームの予防に大いに有効であると考えられています。
[※1:常緑樹とは、葉の寿命が1年以上あり年中葉をつけている樹木です。]
[※2:配糖体とは、糖と様々な種類の成分が結合した有機化合物のことです。生物界に広く分布し、植物色素であるアントシアニンやフラボン類などがあげられます。]
[※3:メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に高血糖、高血圧、脂質異常症のうち2つ以上を合併した状態をいいます。]
茶花の効果
●ダイエット効果
茶花含まれるサポニンの働きにより、脂肪の形成だけでなく、蓄積までも抑制することができるといわれています。ラットの実験では、茶花抽出物を混ぜたエサを食べたラットは体重の増加が抑制され、皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積も抑制されることが分かっています。
●脂肪の吸収を抑制する効果
茶花には、食後の中性脂肪の吸収を抑制する働きもあります。人を対象にした実験でもの血中のコレステロールの値が低くなっており、脂肪の吸収を抑制する効果が明らかになっています。
●糖尿病を予防する効果
茶花には、血糖値の上昇を抑える働きがあり、ラットの実験では、血糖値の上昇が抑制されたことがわかっています。糖尿病の予防にも効果が期待できます。【1】
●胃の健康を保つ効果
茶化には胃粘膜保護の働きがあることがわかっています。サポニンの働きで、胃粘膜が破壊されることを防ぎ、胃粘膜に起こる諸症状の予防に効果が期待できます。胃が荒れることにお困りの方にもおすすめの素材です。【1】
茶花は食事やサプリメントで摂取できます
こんな方におすすめ
○肥満を防ぎたい方
○胃の健康を保ちたい方
○生活習慣病を予防したい方
○糖尿病を予防したい方
茶花の研究情報
【1】茶花に含まれるサポニンはエタノール誘発ラットの胃の粘膜の病変を抑制し、スクロース誘発高血糖ラットの血中グルコースを低下させることから、茶花は胃潰瘍予防ならびに糖尿病予防効果が期待されています。
https://ci.nii.ac.jp/naid/110006533013
【2】茶花からの抽出物(TFPS)を3つの成分は、抗酸化作用、抗腫瘍作用および肝保護作用を持つことから、茶花は高い健康機能を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22033094
参考文献
・吉川 雅之、王 涛、杉本 幸子、中村 誠宏、長友 暁史、松田 久司、播磨 章一 (2008) “茶花(チャ,Camellia sinensis,花蕾部)の機能性サポニン : Floratheasaponin類の胃保護作用と血糖値上昇抑制作用及びHPLCを用いた定性及び定量分析” 藥學雜誌 128(1), 141-151, 2008-01-01
・Xu R, Ye H, Sun Y, Tu Y, Zeng X. (2012) “Preparation, preliminary characterization, antioxidant, hepatoprotective and antitumor activities of polysaccharides from the flower of tea plant (Camellia sinensis).” Food Chem Toxicol. 2012 Jul;50(7):2473-80.