キャラウェイ

carum carvi
姫茴香(ひめういきょう) ファイン・クミン キャラウェイシード 
カルワイシード キュンメル  sheeya Jeera

キャラウェイとは、スパイスの一種で、特有の甘く少し酸味のある香りはリラックス効果があり、お菓子や料理の香り付けに使用されています。また、キャラウェイには古くからの言い伝えで恋人や物をひきとめる力があるとされており、惚れ薬の材料として用いられていました。

キャラウェイとは

●基本情報
キャラウェイは、セリ科キャラウエイ属の二年草[※1]です。
種子のような見た目ですが、植物学上は果実の部分を香辛料として用います。
5mmほどの大きさの種子は、やや偏平な楕円形をしており、向かい合って2個なります。見た目はクミンによく似ていますが、香りは全く異なり、特有の甘くて強い芳香をもっています。
キャラウェイはドイツのキャベツ料理・ザワークラウトに加えることでよく知られています。若干、酸味に近い芳香成分を持っているのでサラダやドレッシング、塩漬けキャベツなどの酸味料理に合います。シナモンなどとブレンドして肉の臭み消しにも用いられます。キャラウェイは焼くと香ばしい香りがするのでパンなどにも使われ、粉末はケーキ・クッキーなどの風味づけに、またチーズ料理などにも利用されます。
特にりんごとの相性が良く、焼きりんご、アップルパイ、りんごソース、りんご料理によく使われています。
乾燥させたキャラウェイは、粉にするか原型のまま料理や加工食品に使われます。
キャラウェイには、恋人や物を引き止めたり結びつけたりする力があると信じられており、種子を入れた品物は盗難にあうことはなかったという逸話もあります。
また、そのような言い伝えからキャラウェイの実は惚れ薬の材料としても用いられていたといわれています。

●キャラウェイの歴史
キャラウェイの原産地はヨーロッパ、西アジア、インド、北アフリカです。
キャラウェイは古代エジプト人、ギリシャ人、ローマ人たちの間で使用され、フェニキア人の手によってヨーロッパ中に広められました。キャラウェイという名前は、この香草を最初に調理したアラビア人が、カルウィヤー、またはカラウィヤーと呼んでいたことに由来しているといわれています。
紀元前3000年の頃、西アジア最古の都市として栄えていたフェニキアのシドン港を中心に、商業貿易を営んでいたフェニキア人は、商船をあやつりフェニキア産の染料、布、硝子、杉材などとともに地中海沿岸諸国へ輸出する一方、スペインの銀、イギリスの錫、ドイツの琥珀などを手に入れていました。スイスやヨーロッパ諸国にまで運ばれており、新石器時代から青銅器時代後期にかけてつくられたスイスのメソリティク湖周辺に住んでいた原住民の遺跡の中から、キャラウェイの種子が発見されています。
さらに、12世紀のドイツの医学書にはキャラウェイについて記載されており、14世紀のイギリスの料理本にも記述があることが明らかになっています。
また、日本へは明治初年に渡来しました。和名を姫茴香(ヒメウイキョウ)といいます。
日本では昔から胃腸薬やかぜ薬のトローチ剤などとして利用されてきました。

●キャラウェイの栽培
キャラウェイは寒さに強い植物のため、日本においても栽培が可能です。
二年草であるため、実をつけるまでに2年かかりますが、葉は1年目から食べることが可能です。
日当たりの良い土地を好み、4月中旬~5月に種子をまくと、約2週間で発芽します。

●キャラウェイに含まれる成分と性質
キャラウェイの若葉は、パセリやニンジンによく似た香味をもちます。
また、キャラウェイの実は爽やかな香りをもち、穏やかな甘さと若干の苦さを感じます。
この香りの主成分は有機化合物[※2]の一種カルボンとリモネンで、精油中にカルボンが約50~60%、リモネンが約40%が含まれています。

[※1:二年草とは、秋に発芽して冬を越し、翌春に開花・結実する植物のことです。]
[※2:有機化合物とは、炭素を含んだ化合物の総称です。]

キャラウェイの効果

キャラウェイには、カルボンとリモネンが含まれているため以下のような働きが期待できます。

●消化を促進する効果
キャラウェイの種子の粉末を配合した糖菓は、消化不良予防のため食後に食べられてきました。
キャラウェイの香り成分により、脂肪の燃焼効果がアップするといわれています。
また、肝臓強壮や腎臓機能促進作用もあるともいわれています。【1】【2】

●腸内環境を整える効果
お腹の張りや消化不良、食欲不振、疝痛に利用されます。特に駆風作用(腸内のガスを取り除く作用)に優れており、同じ作用のあるフェンネルやアニスに比べてその効果が一番高いと言われています。また、健胃効果もあり、消化を助け食欲を増進させます。

●口臭を予防する効果
キャラウェイの種子をそのまま食べれば口中清涼剤や消臭剤になることから、ヨーロッパでは食後にキャラウェイの種子を噛んだり、キャラウェイティーを飲む習慣があります。
また、精油は口臭を予防する働き・殺菌作用があるため、口中清涼剤やうがい薬としても用いられています。

●リラックス効果
キャラウェイの香り成分にはリラックス作用があります。特に、キャラウェイに含まれるリモネンの香気成分は呼吸から体内に入り、脳内でリラックス時に発生するα波が出るため、心の緊張や精神的な疲労を回復してくれるといわれています。
そのため、キャラウェイを使用したお菓子を食べたり、お風呂に使用し香りを楽しむことでリラックス効果があるため、元気な毎日を送ることができると考えられます。

キャラウェイはこんな方におすすめ

○胃もたれ・胸やけが気になる方
○腸内環境を整えたい方
○口臭が気になる方
○リラックスしたい方

キャラウェイの研究情報

【1】ペパーミントオイルおよびキャラウェイオイルにより、ヘリコバクター・ピロリ菌による消化器不良が改善されたことから、キャラウェイは胃潰瘍予防、消化器保護作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12656700

【2】機能性消化不良患者96名を対象にプラセボまたはPCCカプセル(ペパーミント90mgとキャラウェイ50mgが入ったカプセル)を28日間飲用させた結果、胃の圧迫感、満腹感、重苦しさが改善したことから、キャラウェイは消化器保護作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11121917

参考文献

・佐々木 薫 ハーブティー事典 池田書店

・リエコ 大島 バークレー著 英国流メディカルハーブ 説話社

・武政三男 80のスパイス辞典 フレグランスジャーナル社

・三上杏平 カラーグラフで読む精油の機能と効用-エッセンシャルオイルの作用と安全性の図解- フレグランスジャーナル社

・ワンダーセラー 著 アロマテラピーのための84の精油 フレグランスジャーナル社

・May B, Funk P, Schneider B (2003) “Peppermint oil and caraway oil in functional dyspepsia–efficacy unaffected by H. pylori.” Aliment Pharmacol Ther. 2003 Apr 1;17(7):975-6.

・May B, Köhler S, Schneider B. (2000) “Efficacy and tolerability of a fixed combination of peppermint oil and caraway oil in patients suffering from functional dyspepsia.” Aliment Pharmacol Ther. 2000 Dec;14(12):1671-7.

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