黒砂糖

Muscovado 黒砂糖

黒砂糖とは、サトウキビを絞ってそのまま固めた砂糖のことです。カルシウムやカリウムなどのミネラルを多く含み、肥満の予防や疲労回復などの効果が期待できます。そのため、近年健康食品として注目されています。

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黒砂糖とは

●基本情報
黒砂糖とは、サトウキビを絞ってそのまま固めた砂糖のことです。砂糖の種類は大きく分蜜糖と含蜜糖に分けられ、黒砂糖は含蜜糖に分類されます。含蜜糖は、ブトウ糖や果糖がたくさん含まれている糖蜜を分離せずに、砂糖の結晶と一緒に固める方法で生成されます。主に沖縄県や鹿児島県の南西諸島で生産され、色は黒褐色で、濃厚な甘さと強い風味が特徴です。

●歴史
サトウキビの原産地は南太平洋の島々といわれており、約8000年前からニューギニア周辺で栽培されていたものがインドを経て、西方や中国へと世界的に広がったといわれています。日本に初めて黒砂糖が持ち込まれたのは、奈良時代に唐の僧・鑑真が来日したときといわれています。また、薬の目録である「種々薬帳」に、サトウキビから作った砂糖を意味する「蔗糖」という言葉が記されていることから、当時は甘味料としてではなく大変貴重な薬として使われていたと考えられます。
その後1610年、現在の奄美大島で直川智が黒砂糖の製造に成功し、国産の砂糖が誕生しました。直川智は1605年、沖縄に渡航中に台風に遭い、中国の福建省に漂着しました。当時の中国では、外国人に製糖技術を教えることは禁止されていましたが、直川智は中国にいた1年半の間に密かにサトウキビの栽培法と製糖技術を学び、日本に帰国する際、二重底にした衣類箱にサトウキビの苗を3本隠し、持ち帰りました。
帰国後持ち帰った苗を植え、数年後に製糖を開始し、60kgの黒砂糖を作ることに成功しました。こうして1690年、奄美大島で日本では初めての本格的な黒砂糖生産が行われるようになりました。18世紀になると江戸幕府によりサトウキビの栽培や砂糖の生産が推奨され、生産量が拡大していきました。

●ミネラル豊富な黒砂糖
日常的によく使用する上白糖やグラニュー糖はショ糖の純度が高く上質な砂糖といえますが、近年健康への関心が高まるにつれ上白糖などに比べカロリーも比較的控えめでカルシウムカリウムリンなどのミネラルを豊富に含む黒砂糖が注目を集めるようになりました。中でも、カルシウムは100g中240mg、カリウムは1100mgと他の糖類と比較できないほど豊富に含まれています。また、ビタミンB群やナイアシンなどのビタミンも含まれています。

<豆知識 沖縄の長寿の秘訣!黒砂糖>
長寿で有名な沖縄県の食習慣は、とん足やミミガーなどの豚肉が中心で野菜をたくさん取り入れた郷土料理も豊富です。また、沖縄料理の豚の角煮に欠かせない黒砂糖にはミネラルやビタミンも多く、これらの食品を日常的に摂取しているため長寿につながっていると考えられます。

黒砂糖の効果

●肥満を予防する効果
黒砂糖には、肥満を予防する効果があります。黒砂糖は上白糖などの砂糖に比べカロリーも比較的少ないとされています。肥満が気になる方は、日頃使っている砂糖を黒砂糖に変えることでカロリーを抑えることができるかもしれません。
●疲労回復効果
黒砂糖は、疲労を回復する効果が期待できます。黒砂糖は人間の体のエネルギー源として大きな役割を果たします。黒砂糖は、ブドウ糖と果糖がくっついた単純な構造をしているため砂糖を摂取すると短時間で消化・吸収されます。さらに、黒砂糖に含まれるブドウ糖は、脳の唯一のエネルギー源で、脳は1日に約150gのブドウ糖を使って活動しています。そのためブドウ糖が不足するとイライラしたり、集中力が低下してしまいます。そこで黒砂糖を摂取することで脳の働きを活性化することができます。
また、黒砂糖の原料であるサトウキビにはオクタコサノールが含まれています。オクタコサノールは渡り鳥の大切なスタミナ源として知られており、エネルギーが不足した際に肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲン[※2]をスムーズにエネルギーに変える働きがあります。このため、オクタコサノールを補うことで効率良くエネルギーを生み出すことができ、スポーツ時やトレーニング中のスタミナ切れを起こすことなく、持久力を高める効果が期待されています。

●生活習慣病の予防効果
黒砂糖は生活習慣病[※3]の予防効果があるといわれています。黒砂糖には、フェニルグルコシドという成分が含まれていることから、糖の吸収を抑制する働きがあるのに加えて、上白糖に比べて血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます。また、黒砂糖にはコレステロールの上昇を抑える働きもあるといわれています。これらの働きにより生活習慣病予防に効果があると考えられます。【1】【2】●骨粗しょう症を予防する効果
黒砂糖に含まれるカルシウムには骨粗しょう症を予防する効果があります。カルシウムは人間の体では骨や歯を構成する必須ミネラルです。しかし近年、日本の食生活の変化や、昔と比べて食材自体に含まれるカルシウム量が低下していることもあり、日本人に最も不足しているミネラル ともいわれています。カルシウムが不足するとスポンジのようなスカスカの骨になってしまい、この状態を骨粗しょう症といいます。
骨粗しょう症を予防するには、カルシウムとともに、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや吸収されたカルシウムを骨にとり込むのを助けるビタミンKなどを一緒に摂取するといいといわれています。[※1:pHとは、水素イオン濃度のことで0から14までの数値で物質の酸性度、アルカリ性度を表します。pH 7.0が中性で7.0以上がアルカリ性、7.0以下が酸性です。]
[※2:グリコーゲンとは、筋肉や肝臓に含まれている動物のエネルギー源のことです。]
[※3:生活習慣病とは、病気の発症に、日頃の生活習慣が深く関わっているとされる病気の総称です。糖尿病、脳卒中、脂質異常症、心臓病、高血圧、肥満などが挙げられます。]

黒砂糖はこんな方におすすめ

○肥満を防ぎたい方
○脳を活性化したい方
○疲労を回復したい方
○生活習慣病を予防したい方
○骨や歯を強くしたい方

黒砂糖の研究情報

【1】黒砂糖にはフェノール化合物が多く存在している。それらは高いα-グルコシダーゼ、α-アミラーゼ、アンジオテンシン阻害活性を持つので、2型糖尿病や高血圧の方に使う甘みとして非常にいい。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18598178

【2】砂糖を作る過程で、黒色部分を除くが工程がある。そかし、この黒色の部分には多くの栄養成分が入っており、その効果としてはグルコースやショ糖の腸管からの吸収を阻害することで中性脂肪やインスリンの上昇を阻止する可能性が示唆された。
https://ci.nii.ac.jp/naid/110003650364

参考文献

・食材図典 蔵敏則 小学館

・食材健康大事典 五明紀春 時事通信社

・SRanilla LG, Kwon YI, Genovese MI, Lajolo FM, Shetty K. (2008) “Antidiabetes and antihypertension potential of commonly consumed carbohydrate sweeteners using in vitro models.” J Med Food. 2008 Jun;11(2):337-48.

・Yoshiyaki Kimura,Hiroji Ohminami, Hideko Arichi,Hiromich Okuda, Shigeru Arichi, Teruaki Hayashi (1982) “Effects of Black Substances in Crude Black Sugar on Carbohydrate and Lipid Metabolism of Rats.” 藥學雜誌 102(7), 666-669, 1982-07-25

・沖縄インターネット放送局

・消費者庁 黒砂糖等の表示の適正化について

・沖縄県黒砂糖協同組合 沖縄県黒砂糖工業会

・農畜産業振興機構/消費者コーナー 砂糖の種類

・農畜産業振興機構/お砂糖豆知識

・第一三共株式会社 食彩辞典

・地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター

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