りんご

Malus pumila Apples

りんごは、強い健康パワーを持つとして有名な果物です。
クエン酸やリンゴ酸、カリウム、食物繊維の一種であるペクチン、強い抗酸化力を持つりんごポリフェノールなどが豊富に含まれており、生活習慣病の予防や整腸効果、美肌効果など多岐にわたる効果が期待されています。

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りんごとは?

●基本情報
りんごは、バラ科リンゴ属に属する落葉高木植物[※1]です。
一般的に夏の終わりから秋にかけて旬を迎えますが、現在では、貯蔵する空間の気体組成・湿度・温度を制御して、鮮度を維持し、長期間の保存を可能にした「CA貯蔵法」という技術により、1年中手に入れることができます。

●りんごの歴史
りんごは、紀元前6000年頃にはすでにトルコで栽培が始まっており、紀元前1300年頃にはエジプトでも栽培されていたといわれています。
旧約聖書に登場するイブが食べた禁断の果実や白雪姫が食べた毒りんご、ニュートンが万有引力を発見する手がかりとなった果実など、西洋にはりんごにまつわる有名なエピソードがたくさんあります。それだけりんごは昔から西洋の人々にとって身近な果物として親しまれていました。
日本では明治時代初期、政府がりんごの苗木を輸入し、全国に無償で配布したことをきっかけとして本格的に栽培が行われるようになりました。

●りんごの品種
世界中に数千~1万以上のりんごの品種が存在するといわれています。現在、日本の農林水産省に品種登録されているものでも80種類以上です。有名品種であっても誕生年が古いと登録されていない場合も多く見られます。代表的な品種としては「ふじ」や「つがる」、果皮が黄緑色の「王林」、「ジョナゴールド」などが挙げられます。

<豆知識①>世界一の生産量を誇るりんご「ふじ」
青森県藤崎町で誕生した品種である「ふじ」は、日本のりんご生産量の約半分を占めています。国外にも盛んに輸出され、海外でも日本同様に「Fuji」の名前で親しまれています。中国や北アメリカ、オーストラリアなどでも多く生産されており、2001年にアメリカ人学者たちによる調査によってふじが世界的に最も多くつくられている品種であることが確認されています。

●りんごの原産地・生産地
りんごの原産地は、カザフスタン南部やキルギスタン、タジキスタン、中国など中央アジアの山岳地帯、カフカスから西アジアにかけての寒冷地であるといわれています。
日本での主な生産地は青森県で、国内の全生産量の約6割を占めています。次いで、長野県や岩手県などが挙げられます。

●りんごの選び方・保存方法
美味しいりんごを選ぶポイントは、軸が太く果皮にハリとつやがあることです。未熟な果実の下部は緑色で、熟すにつれて黄色く甘みが強くなるといわれています。果皮に傷があったり、色がまだらでも糖度に影響はありません。

りんごを保存する際は、水分の蒸発を防ぐためビニール袋などに入れて密封し、なるべく低温・低湿度が保たれる冷蔵庫や風通しの良い涼しい暗所で保存します。家庭ではそれほど日持ちしないので早めに食べ切ることが大切です。りんごは成長ホルモンのエチレンを出すため、他の果物や野菜と一緒に保存することでそれらの追熟を促す効果があります。

●りんごに含まれる成分と性質
りんごは昔から「1日1個のりんごで医者いらず」といわれている程、健康パワーを持つとして有名な果物です。クエン酸やリンゴ酸などの有機酸、カリウムなどのミネラル類、食物繊維の一種であるペクチンなどが豊富に含まれています。
また、りんごには強い抗酸化力を持つプロシアニジンやエピカテキン、クロロゲン酸、ケルセチンなど様々な種類のポリフェノールが含まれています。
抗酸化力とは、紫外線や喫煙、ストレスなど生活の様々な場面で発生する活性酸素[※2]を除去し、体が酸化することを防ぐ働きのことです。
人間の体内に活性酸素が過剰に発生し酸化が起こると、病気や老化、肌トラブルが引き起こされます。りんごに含まれる抗酸化物質が体内で強い抗酸化力を発揮して酸化から体を守ることで、病気や老化、肌トラブルを予防することができます。

一般的にりんごは皮を剥いて食べますが、りんごポリフェノールは皮に多く含まれているため、皮ごと食べるほうが多くのりんごポリフェノールを摂取することができます。

<豆知識②>油上がりは美味しい証拠
店頭に並んでいるりんごの中には、果皮がワックスを使ったようにツヤツヤと光っているりんごがあります。これは「油上がり」と呼ばれる現象で、りんごに含まれる脂肪酸であるリノール酸やオレイン酸が表面に出てきているためです。りんごが水分の蒸発による乾燥から自身の身(実)を守るための工夫であるといえます。油上がりは熟すにつれて現れ、美味しさの証拠であるともいわれています。

<豆知識③>りんごの蜜の正体
りんごは蜜が入っている方が甘いといわれています。
蜜の正体は糖アルコールの一種であるソルビトールです。葉の光合成によってつくられたデンプンは、加水分解し、グルコースとなります。そのグルコースが還元され、ソルビトールとなります。この反応は、果実の成長段階において葉から軸を通り果実内に運ばれる時に行われます。その後、ソルビトールは果実の中でりんご本来の甘味である果糖やショ糖、ブドウ糖に変換されます。りんごが完熟するとソルビトールは果糖やショ糖、ブドウ糖へは変換されなくなり、細胞と細胞の間に溜まって水分が引き寄せられ蜜になります。つまり、蜜が入っている状態はこれ以上糖に変換しなくてもよい程に完熟しているというサインでもあります。

<豆知識④>りんごの褐変
りんごは切って放置しておくと、茶色く変色する性質があります。これは、りんごポリフェノールが空気に触れ、酸素と結合して起こる褐変によるものです。
切ったりんごは塩水に浸したり、レモン果汁をかけることで褐変を防ぐことができ、りんごポリフェノールの減少も防ぐことができます。また、変色してしまったりんごはレモン果汁に浸すことで、一度酸素と結合してしまったりんごポリフェノールから酸素が切り離されるため、色を元に戻すことができます。

[※1:落葉高木植物とは、定期的に葉を完全に落とし、樹高が4.0m以上になる植物のことです。]
[※2:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。体内で過剰に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるといわれています。]

りんごの効果

りんごには、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸、カリウムなどのミネラル類、食物繊維の一種であるペクチン、りんごポリフェノールなどが含まれているため、以下のような健康に対する効果が期待されています。

●生活習慣病を予防する効果
りんごには、脂質の酸化を防ぐことで血流を改善する効果があります。
脂質が酸化すると、体内に悪玉(LDL)コレステロールが増え、血液がドロドロになります。そのためアテローム性動脈硬化などの生活習慣病につながる危険性が高まります。アテローム性動脈硬化になると、増えすぎた悪玉(LDL)コレステロールが血管壁に付着し、隆起 (プラーク) 形成され、血液が流れにくくなったり、そのプラークとともに血栓を形成したりします。
りんごに含まれるりんごポリフェノールは、その強い抗酸化力で脂質の酸化を防ぐため、血流を改善し、動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果があるといえます。
さらに、りんごに豊富に含まれるペクチンには、急激な血糖値の上昇を抑える働きがあるため、高血糖が原因で起こる糖尿病の予防や進行を抑えることに効果的であると考えられています。【1】【2】

●高血圧を予防・改善する効果
りんごにはカリウムが豊富に含まれています。
カリウムは体内でナトリウムとバランスを取り合って、血圧を正常に保つ働きをしています。
味の濃い食事などによって過剰に塩分を摂り続けると血液中のナトリウムが増え、高血圧を引き起こす原因となります。りんごにはナトリウムを体外に排泄する働きも持つカリウムが含まれているため、高血圧の予防・改善に効果が期待されています。

●便秘や下痢を解消する効果
りんごには、ペクチンが豊富に含まれています。
ペクチンには、腸内の善玉菌[※3]である乳酸菌を増やし、腸の調子を整える働きがあります。また、強い粘性を持っており、腸内の有害物質を吸着させて一緒に体外に排泄する働きもあるため、便秘や下痢の解消に効果があります。

●美肌・美白効果
シミやそばかすの原因として、メラニン色素の形成が挙げられます。紫外線などの影響によりつくられたメラニン色素は、皮膚細胞の生まれ変わりとともに剥がれ落ちていきますが、年齢を重ねるにつれこのサイクルが遅くなります。それにより、皮膚の表面にメラニン色素が残り、シミやそばかすが形成されます。りんごに含まれるりんごポリフェノールには、皮膚細胞の酸化を抑制しメラニン色素の過剰な生成を防ぐ働きがあります。そのため、肌のシミやそばかすを防ぎ、美白・美肌に効果があると考えられています。

●アレルギーを緩和する効果
りんごには、アレルギーを緩和する効果があると期待されています。
アレルギーとは、特定の刺激に対して免疫反応が過剰に起こることをいいます。りんごに含まれるりんごポリフェノールやペクチンには、この過剰反応を抑制する効果があることが研究により明らかとなっています。

●ダイエット効果
りんごに含まれるりんごポリフェノールには、脂肪を分解する酵素であるリパーゼの活性を抑制する働きがあるため、食事で摂取した脂肪分が小腸から吸収されることを防ぎ、排泄する働きがあります。また、肝臓にある脂肪を合成する脂肪酸合成酵素の働きを抑制し、脂肪をエネルギー源として燃やす酵素を活性化させる働きがあります。また、りんごには、安定した血糖値を維持する働きがあるため、空腹感を感じさせにくくする効果があります。そのため、りんごはダイエットに効果的であると考えられています。

●疲労回復効果
りんごには、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸が豊富に含まれます。
激しい運動やストレス、不規則な生活によって細胞が酸欠状態になることで疲労物質である乳酸が蓄積します。クエン酸やリンゴ酸は乳酸を分解しエネルギーに変える働きがあるため、疲労の蓄積を抑制し、疲労の回復を早める効果があります。

●むくみを予防・改善する効果
りんごに含まれるカリウムには、体内の余分な水分を排出する働きがあります。そのため、細胞間に溜まる水分が原因で起こるむくみの予防や改善に効果を発揮します。

[※3:善玉菌とは、腸内へのウイルスや毒素の進入を防ぐなどの働きをする腸内細菌のことです。ビフィズス菌やラブレ菌、乳酸菌などが善玉菌にあたります。]

りんごは食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○動脈硬化を予防したい方
○糖尿病を予防したい方
○血圧が高い方
○便秘気味な方
○シミやそばかすが気になる方
○若々しい肌を保ちたい方
○花粉症などのアレルギーを持つ方
○ダイエット中の方
○疲労が溜まっている方
○むくみを改善したい方

りんごの研究情報

【1】粘性繊維のペクチンは、コレステロールの低下を促します。LDLコレステロールを低下させるペクチンの種類について調べました。その結果、柑橘エステル化ペクチンとリンゴエステル化ペクチンは対照群と比較して7~10%LDLコレステロールを低下させることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22190137

【2】リンゴサイダー酢をマウスに飲用させたところ、トリグリセリドおよびVLDLを減少させたことが分かりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21561165

参考文献

・本多京子 食の医学館 小学館

・池上保子 おいしく食べて健康に効く目で見る食材便利ノート 永岡書店

・Brouns F, Theuwissen E, Adam A, Bell M, Berger A, Mensink RP. (2011) “Cholesterol-lowering properties of different pectin types in mildly hyper-cholesterolemic men and women.” Eur J Clin Nutr. 2012 May;66(5):591-9. doi: 10.1038/ejcn.2011.208. Epub 2011 Dec 21.

・Budak NH, Kumbul Doguc D, Savas CM, Seydim AC, Kok Tas T, Ciris MI, Guzel-Seydim ZB. (2011) “Effects of apple cider vinegars produced with different techniques on blood lipids in high-cholesterol-fed rats.” J Agric Food Chem. 2011 Jun 22;59(12):6638-44. Epub 2011 May 18.

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