ジューンベリー

Amelanchier
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ジューンベリーとは、バラ科ザイフリボク属の植物のことです。赤い実が特徴で、この実には抗酸化作用のあるアントシアニンが豊富に含まれています。また、ミネラルやビタミンなどの栄養価も高いため老化の予防や骨の健康を保つ効果があります。

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ジューンベリーとは

●基本情報
ジューンベリーとは、北アメリカを原産とするバラ科ザイフリボク属の落葉植物のことです。4月~5月に開花し、6月になると赤い実をつけます。そのため、「6月の実」という意味のジューンベリーと名付けられました。この実は熟すと黒紫色に変化します。秋になると紅葉もするため四季を通じて楽しむことができます。

●ジューンベリーの品種
・バレリーナ
樹高が1m程度で実をつけます。そのため狭い場所や鉢、プランターでの栽培に適しています。

・ラマルキー
他の品種に比べ、花をたくさんつけるため実もたくさんつけます。

・ロビンヒル
ジューンベリーの花は白色が一般的ですが、ロビンヒルは桃色の花を咲かせます。

・マーチン
13~16mmの大きさで甘酸っぱくとてもジュージーな味がします。

・スモーキー
6~10mmとサイズが小さくマイルドでソフトな食感のジューンベリーです。

・ノースライン
8~14mmほどでアーモンド風味を持ち、とても甘いことが特徴です。実がつまっており、歯ごたえがあります。

●ジューンベリーの利用法
ジューンベリーの果実の赤い時期は酸味と甘みのバランスがよく、生で食べる場合は実の赤いうちがおいしく食べられます。実は完熟すると黒紫色になり、甘みが強くなりますが酸味はほとんどなくなります。また、ジューンベリーはざらざらした独特の触感があるため、ジャムやパイなどにして食べる場合は裏ごしをしてから食べることをおすすめします。

●ジューンベリーに含まれる成分と性質
ジューンベリーはとても栄養価が高く、抗酸化作用[※1]を持つポリフェノールの一種であるアントシアニンや、お腹の調子を整える食物繊維ビタミンミネラルの5つの栄養素が豊富に含まれています。特に、マンガンやカルシウムビタミンB6などが豊富に含まれています。マンガンでは、100gのジューンベリーを摂取することで、マンガンの1日摂取目安量の約35% を補うことができます。

[※1:抗酸化作用とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ作用です。]

ジューンベリーの効果

●老化を防ぐ効果
ジューンベリーには、老化を防ぐ効果があります。ジューンベリーには、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれています。このアントシアニンは紫外線やウイルスから身を守るために植物がつくりだした成分で、天然の抗酸化物質ともいわれています。抗酸化物質は体内に発生した活性酸素[※2]を消去する働きがあります。活性酸素は食生活の乱れや喫煙、紫外線、ストレスなど様々な環境によって発生します。老化の原因にもなるため、長期間活性酸素のダメージを受け続けると、シミやシワ、動脈硬化[※3]や糖尿病[※4]、白内障[※5]などの病気を引き起こすともいわれています。こうした活性酸素のダメージから体を守り、老化を防ぐために抗酸化力のあるジューンベリーは有効であるといえます。【1】【2】

●骨の健康を保つ効果
ジューンベリーには骨の健康を保つ効果があります。ジューンベリーにはマンガンやカルシウムが豊富に含まれています。マンガンは代謝[※6]の過程で働く酵素の構成成分となり、骨の代謝に関わっています。骨の代謝は、骨をつくる働きと骨を壊す働きのことで、これらがバランス良く行われることによって骨は常に新しく生まれ変わっています。マンガンは骨をつくる働きにも壊す働きにも必要ですが、特に骨をつくる働きには重要な役割を果たします。
また、カルシウムは骨や歯をつくる主要なミネラルです。体内に存在するミネラルの中でも最も多く存在し、その99%は骨や歯に存在しています。カルシウムは骨の代謝を活発にし、丈夫な骨や歯をつくる効果があります。【3】【4】

[※2:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素です。体内で過度に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]
[※3:動脈硬化とは、動脈にコレステロールや脂質がたまって弾力性や柔軟性がなくなった状態のことです。血液がうまく流れなくなることで心臓や血管などの様々な病気の原因となります。]
[※4:糖尿病は、インスリンの不足などによって糖代謝がうまくいかなくなる病気です。もともとインスリンが不足している場合と、年齢や生活習慣によってインスリンが不足していく場合があります。]
[※5:白内障とは、水晶体が活性酸素によって白く濁って徐々に見えづらくなる病気です。]
[※6:代謝とは、生体内で物質が次々と化学的に変化して入れ替わることです。また、それに伴ってエネルギーが出入りすることを指します。]

ジューンベリーはこんな方におすすめ

○老化を防ぎたい方
○いつまでも若々しくいたい方
○骨や歯を強くしたい方

ジューンベリーの研究情報

【1】17品種のジューンベリーについて抗酸化能、ポリフェノール、アントシアニン含有量について調べたところ、ネルソンという品種が最も高い抗酸化能とポリフェノールを含有していたことから、ジューンベリーの高い機能性が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18922015

【2】HPLC-DADやHPLC-ESI/MSを用いて分析したところ、ジューンベリーの実にはシアニジン系アントシアニン、ケルセチン系フラボノイド、有機酸であるヒドロキシシアミン酸、プロトカテキュ酸が含まれており、高い抗酸化作用や様々な健康機能が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22220589

【3】ジューンベリーには、タンパク質、食物繊維、カルシウム、リン、カリウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、銅、亜鉛、バリウム、アルミニウム等のミネラルが含まれ、高い健康機能が期待されています。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-2621.1982.tb05022.x/abstract

【4】610名の慢性腎疾患女性に2年間、カルシウム1200mg とビタミンD3 800IUを摂取させたところ、腎障害の程度に限らず、すべての腎疾患患者で骨密度ミネラルが上昇しました。ジューンベリーには骨の健康に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22551881

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参考文献

・中村丁次 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版

・Bakowska-Barczak AM, Kolodziejczyk P. (2008) “Evaluation of Saskatoon berry (Amelanchier alnifolia Nutt.) cultivars for their polyphenol content, antioxidant properties, and storage stability.” J Agric Food Chem. 2008 Nov 12;56(21):9933-40. doi: 10.1021/jf801887w. Epub 2008 Oct 16.

・Lavola A, Karjalainen R, Julkunen-Tiitto R. (2012) “Bioactive polyphenols in leaves, stems, and berries of Saskatoon (Amelanchier alnifolia Nutt.) cultivars.” J Agric Food Chem. 2012 Feb 1;60(4):1020-7. doi: 10.1021/jf204056s. Epub 2012 Jan 23.

・G MAZZA (1982) “Chemical Composition of Saskatoon Berries (Amelanchier alnifolia Nutt.)” Journal of Food Science Volume 47, Issue 5, pages 1730–1731, September 1982

・Bosworth C, de Boer IH, Targher G, Kendrick J, Smits G, Chonchol M. (2012) “The effect of combined calcium and cholecalciferol supplementation on bone mineral density in elderly women with moderate chronic kidney disease.” Clin Nephrol. 2012 May;77(5):358-65

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