さといも

taro

さといもには食物繊維、カリウム、ビタミンB1が豊富に含まれています。さといものぬめり成分は水溶性食物繊維であるムチンとガラクタンで、粘膜の保護や免疫力の向上に期待ができます。

さといもとは?

●基本情報
さといもは、サトイモ科サトイモ属に属している一年草 [※1]です。
さといもの原産地はマレー半島付近の熱帯地方で、別名タロイモ、タイモとも呼ばれています。
さといもは土の下で肥大した塊茎(かいけい)が食用とされます。塊茎(かいけい)とは、土の下の茎がほぼ伸びることはなく、楕円形から卵形に肥大したものです。
さといもは親いもを中心に、子いも、孫いもをまわりにつけています。親いもを中心に子いも、孫いもが育つことから、子孫繁栄を願い正月料理にも使用されています。
さといもには葉柄を食用とする種類もあります。
さといもは、山で収穫されるいもをやまいもと呼ぶのに対し、里でつくるいもがさといもと呼ばれるようになりました。他に田芋、畑芋、家芋などの名称があります。
皮をむくと出てくるぬめりや特有のねっとりとした食感がさといもの魅力です。

●さといもの品種
さといもは大きく分けて、子いも・孫いもを食用にする子いも用品種、親いもを食用とする親いも用品種、そのどちらも食用とする親子兼用品種の3つの品種に分けられます。
一般的に多く出回っているさといもは子いも用品種です。

・子いも用品種
子いも用品種には土垂(どだれ)、石川早生(いしかわわせ)、えぐいもなどがあり、一般的にさといもと呼ばれている品種です。土垂は主に関東地方で生産されているさといもの代表的な品種です。楕円形で、粘りがありやわらかいことが特徴です。石川早生は小さく丸い形で、やわらかく淡白な味わいが特徴です。8~9月に出回り、きぬかづぎ[※2]などに使われます。えぐいもは石川早生によく似ており、名前の通り味にえぐ味があります。

・親いも用品種
親いも用品種には京いもがあります。京いもは半分以上が地上に出ており、姿がたけのこに似ていることから別名たけのこいもと呼ばれています。主な生産地は九州で、ぬめりが少なく煮崩れしにくいことから煮物に向いています。

・親子兼用品種
親子兼用品種には赤芽(あかめ)、唐いも(とうのいも)、八ツ頭(やつがしら)、セレベスなどがあります。
京野菜で知られているえびいもは唐イモの最高品をタネイモに使い、夏場に4~5回土寄せを行うという特殊な栽培方法によってつくられました。形や表面の縞模様がえびに似ていることから、えびいもと名付けられました。
赤芽は芽の部分が赤いことが特徴です。また皮も褐色で赤みがあり、九州地区の赤土で栽培されています。粘りがあり柔らかいことから、煮物などに使用されます。
唐いもの親いもは楕円形で太く、子いもは長く曲がっていることが特徴的です。
八ツ頭はひとつの種から八方に芽が突き出ることからこの名がつけられました。末広がりの八と、これを食べると人の頭に立てるといわれており、縁起がよい食べ物として正月のおせち料理に使われます。
セレベスはインドネシアのセレベス島から伝来し、別名大吉とよばれています。いも全体に赤みがあり、粘りがあり味が良いことが特徴です。

●さといもの歴史
さといもは紀元前3000年頃にはインドで栽培されていたといわれています。原産地であるマレー半島付近の熱帯地方で育ったさといも中でも成長が早いさといもが中国を経由し日本に渡来しました。日本への渡来時期ははっきりとわかっていませんが、稲の渡来より古く、米が主食になる前はさといもが主食であったといわれています。中国では紀元前の歴史書「史記」にさといもの記録があります。江戸時代にさつまいもが日本に渡来するまでは、いもの主役としてさといもが主に栽培されていました。
日本各地で正月にさといもを食べる習慣が残っているのは、さといもが主要な産物として生活に浸透していた名残であるといわれています。

●さといもの生産地
さといもの生産地は埼玉県、千葉県、宮崎県などです。9~11月に旬を迎えます。

●さといもの見分け方
さといもは皮にしっとりとした湿り気があり、傷がないものが新鮮です。また、泥つきのほうが洗ったさといもよりも日持ちがよく、風味が長持ちします。
さといもから芽が出ているものや、軽く押さえて、下部がふかふかするものは避けます。ふっくらと丸みがあり、重量感のあるものを選ぶようにします。

●さといもの調理方法
さといもは独特のぬめりから皮がむきにくい食材ですが、加熱することによりつるりと簡単に、しかも有効成分のぬめりを取りすぎることなく皮をむくことができます。皮をむいた後、ぬめりを取るために塩もみをしたり、ゆでこぼしといった下処理をすることがありますが、健康面からはぬめりを残して調理する方が良いとされています。さといもを煮物にする場合はぬめりを除いた方が味がしみ込みやすくなります。
見た目を白く仕上げたい場合は下ゆでをする際に、水に塩を加えたり、酢を少し落とします。しかし水だけの方が栄養の損失は少なくて済みます。また、米のとぎ汁で茹でると白く柔らかく茹で上がります。

<豆知識>さといものかゆみ成分
さといもを洗うと手がかゆくなるのは、皮に近い部分にシュウ酸カルシウムと呼ばれる針状結晶が含まれているためです。この小さい結晶が皮膚に刺さり、かゆみを引き起こします。このかゆみを防ぐには、洗って乾かしてから皮をむくか、手を酢水につけたり、重曹や塩をつけてから皮をむくと良いとされています。

●さといもの保存方法
さといもは乾燥や低温に弱いため、冷蔵庫での保存は好ましくありません。適度な湿り気を逃がさないように泥がついた状態で紙袋に入れ、日の当たらない風通しの良い場所に保存します。
さといもの表面が乾燥している場合は霧吹きで水を噴きかけ、新聞紙に包んで保存します。洗ったさといもを保存する場合は、水気を取りポリ袋に入れて野菜室で保存します。傷みやすいため2~3日中に使い切ります。
また、冷凍保存も可能です。さといもをやわらかく蒸して冷凍保存をすると、2~3週間保存が可能です。

●さといもに含まれる成分と性質
さといもには食物繊維カリウムビタミンB1が豊富に含まれています。また、さといも特有のぬめりはムチンやガラクタンといった成分によるものです。ぬめり成分には粘膜の保護や免疫力の向上などに効果があります。
さといもはいも類の中でも水分が多く、カロリーが低めです。

[※1:一年草とは、種をまいてから一年以内に発芽・生長・開花・結実・枯死する草のことです。]
[※2:きぬかつぎとは、さといもの小芋を皮のまま蒸し、その皮を剥いて食べる料理です。]

さといもの効果

さといもには、食物繊維をはじめ、カリウムやビタミンB1が豊富に含まれており、以下のような健康に対する効果が期待できます。

●免疫力を高める効果
免疫力とは、外部から入ってくる細菌やウイルスから身を守るための防衛能力のことをいいます。免疫力が低下していると細菌やウイルスが体内に入り込みやすくなり、風邪をひきやすくなります。
さといもに含まれているガラクタンは、免疫力を高め、風邪などの予防に働きかける成分です。

●胃や腸の健康を保つ効果
さといもに含まれているムチンには胃や腸の粘膜を健康に保つ効果があります。
ムチンは胃酸から胃の粘膜を保護し修復する働きがあることから、胃炎[※3]や胃潰瘍[※4]などの予防に効果的です。さらに腎臓や肝臓、胃腸などの内臓を強くする働きもあります。
また、ムチンにはたんぱく質を分解する酵素が含まれているため、たんぱく質の消化・吸収を促す作用もあります。

●動脈硬化を予防する効果
さといもには動脈硬化を予防する働きがあるといわれています。【1】
動脈硬化とは血管が硬くなり弾力性が失われた状態を指します。血管の中にコレステロールが溜まり、血液の流れが滞ることで病状が進行します。動脈硬化が悪化すると脳出血や脳梗塞などの病気に発展する可能性があります。

●腸内環境を整える効果
さといもの食物繊維には腸内環境を整える働きがあります。
腸内には、悪玉菌、善玉菌と呼ばれる細菌が存在しており、これらの細菌が腸内環境を左右しています。
腸内に悪玉菌が増殖すると、消化されていない物の腐敗が進んだり免疫力が低下します。一方、善玉菌が増殖すると、腸内環境が整うことにより免疫力の向上や便通の改善、美肌効果など全身の健康維持に役立ちます。

●高血圧を予防する効果
高血圧とは血圧が高い状態をいいます。血圧とは血管にかかる圧力のことをいい、高血圧の状態が続き悪化すると脳出血や脳梗塞などが発症するリスクが高くなります。
血圧にはナトリウムとカリウムが大きく関係しています。ナトリウムを過剰に摂取すると、血液中のナトリウム濃度を下げるため血液の量が多くなり高血圧になります。
さといもに含まれているカリウムには、一度血液中に吸収されたナトリウムが腎臓で吸収されることを防ぎ、尿中への排出を促すことで血圧を下げる作用があるため、高血圧の予防に効果的です。

●疲労回復効果
さといもに含まれているビタミンB1には疲労を回復させる効果があります。
ビタミンB1は食事から摂った糖質をエネルギーに変えるために必要不可欠な栄養素です。糖質をエネルギーに変える力が低下してしまうと、疲労物質である乳酸が溜まり、疲れやすくなります。

[※3:胃炎とは、胃の粘膜が炎症を起こす病気のことです。]
[※4:胃潰瘍とは、胃の保護をする粘膜が胃液によって溶かされ、吐き気や腹痛を引き起こすことです。]

 

さといもはこんな方におすすめ

○風邪をひきやすい方
○動脈硬化を予防したい方
○胃腸の健康を保ちたい方
○便秘でお悩みの方
○美肌を目指したい方
○高血圧を予防したい方
○疲れやすい方

さといもの研究情報

【1】さといも抽出物は、ヒトのラノステロール(コレステロール生合成中間体)合成酵素を抑制する働きが知られており、さといもが高脂血症予防効果を予防する働きを持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15684488

【2】さといもの芋茎には機能性成分アントシアニンが含まれており、さといもが高い機能性を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17447784

【3】さといもの皮にはリグナン類が含まれており、メラニン形成を抑制する働きを持つことから、さといもが美白作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20359228

【4】さといもの葉に含まれるフラボノイド、β-シトステロールは、抗不安作用や抗うつ作用を持つことが知られていることから、さといもが不眠症や心身症に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20818937

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参考文献

・則岡孝子監修 栄養成分の事典 新星出版社

・中嶋 洋子 著、阿部 芳子、蒲原 聖可監修 完全図解版 食べ物栄養事典 主婦の友社

・西崎統 鈴木園子 専門医がやさしく教える食品成分表 PHP研究所

・野間佐和子 旬の食材 秋‐冬の野菜 講談社

・荻野善之 野菜まるごと大図鑑 主婦の友社

・内田正宏 芦沢正和 花図鑑野菜 星雲社

・池上保子 おいしく食べて健康に効く目で見る食材便利ノート 永岡書店

・Sakano Y, Mutsuga M, Tanaka R, Suganuma H, Inakuma T, Toyoda M, Goda Y, Shibuya M, Ebizuka Y. 2005 “Inhibition of human lanosterol synthase by the constituents of Colocasia esculenta (taro).” Biol Pharm Bull. 2005 Feb;28(2): 299-304.

・Terasawa N, Saotome A, Tachimura Y, Mochizuki A, Ono H, Takenaka M, Murata M. 2007 “Identification and some properties of anthocyanin isolated from Zuiki, stalk of Colocasia esculenta.Identification and some properties of anthocyanin isolated from Zuiki, stalk of Colocasia esculenta.” J Agric Food Chem. 2007 4154-9.

・Kim KH, Moon E, Kim SY, Lee KR. 2010 “Lignans from the tuber-barks of Colocasia antiquorum var. esculenta and their antimelanogenic Activity.” J Agric Food Chem. 2010 Apr 28;58(8): 4779-85.

・Kalariya M, Parmar S, Sheth N. 2010 “Neuropharmacological activity of hydroalcoholic extract of leaves of Colocasia esculenta.” Pharm Biol. 2010 Nov;48(11): 1207-12.

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